ルツェルン旅行(2005年9月13日〜9月19日)

ルツェルン第1日目

 今年の夏休みは9月ということで、丁度ルツェルン音楽祭真っ盛り。 初めて旅行会社「H.I.S.」を利用してみたけれど、昨年の旅行に比べて旅費は格段に安かった。 良いホテルに泊まろうが、そうでなかろうが、旅の価値は変わらないと考え、 初の格安旅行に挑戦。

 旅行前まで学会準備で、5時起きの生活。そのためか午前4時30分に自然と目が覚めた。 7時くらいにタクシーに乗って郡山駅に向かう。東京に住んでいた頃と違って、新幹線に乗る必要がある。 その後、上野で京成ライナーに乗り換え。朝早く家を出ることが出来たせいで余裕を持って成田空港に到着。

 今回の旅行で使用する飛行会社は「British Airways」である。搭乗して早速スッチーをチェック!・・・。 飛行機(BA008)は定刻通り、13時10分に滑走、離陸した。

 何度経験しても、飛行機にはやはり慣れることが出来ない。椅子の上で身じろぎも出来ず固まっていた。 こういうときに、クラシックを聴けると少しはリラックス出来るのだけど、流れるラジオはあいにくロックばかり。 せっかくの窓際の席なのに、恐怖で窓の外の景色を見ることすらままならない。 また、「綺麗な女性が近くにいてくれるとリラックス出来るのだけど・・・」と、思っていると、 空いている隣の2席にカップルが移動してきた!それも、女性が俺の側ですか??? おそらく、バラバラでしか航空券が取れなくて、離陸後なら空いている席に勝手に座っても 大丈夫と判断したのだろう。

 何が効果あったか、恐怖心も徐々に取れてきた。窓の外を見ると飛行機の翼の上を雲が流れていて、 そこに虹が映っていた。もうすでに日本のことは忘れていた。見ているうちに、離陸前に飲んだ抗不安作用を持つ薬が やっと利いてきたのか、眠りに落ちてしまった。

 目覚めると、既にヨーロッパ。窓の外の景色を見たり、持ってきた本を開いたりする。 持ってきた本は「ヴァイオリンの巨匠達(ハラルド・エッゲブレヒト著)」。 華麗な語で様々な演奏家を批評しているのだが、内容にそれほどの中身がなくて、 或いは推測した内容を断定的に記していることが好きになれなくて、直ぐに飽きてしまった。 そこそこ重い本でもあり、持ってくる本の選択を誤ったと少し後悔。 こういうときは、と「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(バッハ)」の 楽譜を開く。楽譜を見て、頭の中で演奏しているだけで、とても心地よい気持ちになる。 まだ弾いたことのない、ソナタ第2番と第3番を眺めているうちに、飛行機は ロンドン目指して着実に進んでいた。

 着陸前。見ると隣のカップルが手をつないでいる。純粋にうらやましい。 「もし、飛行機が墜落することになったら、どさくさに紛れて、俺も隣の女性と 手をつないでやろうかな」と邪なことを考える。

 眼下にロンドンの町が広がってくる。赤い屋根の住宅地が各区画ごとに整然と並んでいるが、 その区画の配置は雑然としている。上からみるとゴミゴミしてあまり好きになれない。

 いつも着陸は離陸ほど恐怖心を覚えない。現地時間17時15分、無事ロンドンにある ヒースロー空港に着陸した。

 ヒースロー空港からの次の乗り換えは、18時50分。直ぐに次の搭乗口を発見することが出来、 時間もかなり余っていたので、空港内を散策。時計を、世界標準時刻に設定する。 このことが問題を引き起こすことになる。

 空港内のゲームセンターでは、「セガラリー2」「フェラーリF350」 「バーチャサッカー」といった日本でおなじみのゲームを発見。 時間が余っていたので、何か軽く食べようかと思ったが、 そんな気分になれずに搭乗口に1時間前くらいに行ってみる。

 すると、なぜかチューリッヒ行き(BA720)のアナウンスが表示されているものの、受付の人が どこかに去ろうとしていた。疑問に思って、念のため隣の搭乗口の受付に航空券を見せる。

 受付の人の顔つきが変わった!すぐに電話を取り、何事かを確認。そしてチューリッヒ行きの搭乗口を指さし、 「走れ!」と厳しい顔つきで言ってきた。走りながら空港内の時計を見ると・・・「18時50分」。 俺の時計は・・・「17時50分」。俺の時計の上には「+0.0 LON」と表示されているし、何より 電波時計なので、1時間もの間違いはないはず。

 頭の中で、ひらめいた。そういえば「サマータイム」って聞いたことがある。夏の間、1時間 ずらすシステムだ。日本では採用されていないが、ヨーロッパでは各国採用されている。 空港内で一つも時計を見なかったこと、「ロンドン=世界標準時刻」の思いこみにとらえられていた。

 飛行機のドアに着くと、飛行機は滑走直前。ドアのところで腕組みしたスッチーが怖い顔して数人 立っている。英語で凄く怒られて、所謂「Kill You!」のポーズ(親指で首を引っ掻くポーズ)をされた。 全面的に俺が悪いので、ひたすら謝るのみ。「Sorry! Sorry!・・・」。まさに「総理!総理!」の 辻元清美議員と同じ語を連呼である。申し訳なさで、離陸時の恐怖心は吹っ飛んでしまった。

 飛行機は、フランスのいくつかの地名の間を飛び、 結局は日本の方向に少し逆戻りをする形で、21時40分にチューリッヒ空港に到着した。空港から ホテル前は、電車で移動。自動販売機のような機械で切符を購入するのだが、買い方もわかりやすく、 電車も10分おきに走っている。「Zurich Flughafen」→「Zurich HB」を購入し、電車に乗った。 空港から駅までも約10分。夜景の中を電車は走る。初日なので少し感傷的になっているのかもしれない。 といいつつも少しは不安もある。

 駅に着いて、一番賑やかな方、すなわち右手に駅を出る。ウィーンの電車と同じで 出入り口に改札はない。時々抜き打ちで切符をチェックされるらしいのだが、 たまたまか、そういったこともなかった。

 駅前に、大きなホテルがあって、その裏手に今日泊まるホテルがある。「ザンクトゴットハルト」 というホテルだ。駅前なので利便性が良い。早速チェックインをする。

 部屋は2階と知らされる。2階に向かうエレベーターのドアがなかなか開かず、 前で立っていたのだが、従業員がドアを手で開けてくれた。手動らしい。 しかも、早速乗り込むと内扉がない???2階まで扉側の壁が動いていく。 2階に着くと、「カチッ」という音がしたので、外扉を手で開けてみると 簡単に開いた。

 部屋について早速中を確認。部屋は大通りに面している。方角的には、今日乗ってきた 電車の進行方向だ。目の前を路面電車が走っている。フロントで バーのチケットをもらったのを思い出し、荷物を置いて1階のバーへと向かう。

 バーでは、チケットでワインが1杯サービスされた。演奏されているピアノが非常に 上手で驚いた。ピアノを弾きながら、時々歌を歌うが、日本の歌手よりよっぽど上手だ。 演奏に完全に魅了された。 何か話しかけたいがきっかけはないかな・・・?と思っていると、 夜も遅いせいか、彼女はピアノの蓋を閉じ、去っていった。 サービスのチケットだけ飲食して帰るのも悪いので、何か注文しようとしたが、 既にサービス終了の時間。 本当は必要ない筈のチップを置いて、去ることとして、部屋に戻った。


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