疲労

By , 2008年9月5日 7:45 AM

慈恵医大の先生が、良いお仕事をされたようです。

 疲労感じる原因たんぱく質を発見 慈恵医大教授ら

2008年9月4日3時0分

疲れを感じる原因となるたんぱく質を、東京慈恵会医科大がマウスを使った研究で突き止めた。このたんぱく質は、徹夜や運動の直後に心臓や肝臓、脳などで急激に増え、休むと減る。元気なマウスに注射すると、急に疲れた。疲労の謎を解く鍵として、科学的な疲労回復法の開発につながりそうだ。沖縄県名護市で開かれている国際疲労学会で4日、発表する。

近藤一博教授と大学院生の小林伸行さんは、人が疲れると体内で増殖するヘルペスウイルスに関係するたんぱく質に注目、疲労因子を意味する英語からFFと名付けた。水があると眠れないマウスを、底に1センチほど水を張った水槽に一晩入れて徹夜状態にし、その直後に臓器を取り出し、FFの量を調べた。

その結果、睡眠をとったマウスに比べ、徹夜マウスでは、FFが脳、膵臓(すいぞう)、血液で3~5倍、心臓と肝臓では10倍以上も増えていた。2時間泳がせた場合も、同様に変化した。どちらも休息後は平常値に戻った。

さらに、FFを元気なマウスに注射すると、大好きな車輪回し運動をほとんどしなくなった。疲れの程度に応じて増減し、かつ、外から与えると疲れが出現するという「疲労原因物質」の二つの条件を満たした。

FFは、細胞に対する毒性が強い。心臓、肝臓で特に増えるため、過労に陥ると心不全や肝障害が起きやすくなる、という現象に関係している可能性が高い。

人が疲れを感じる仕組みは、まだ十分解明されていない。運動疲労の原因とされていた乳酸は、運動すると筋肉中に増えるが、疲労の程度とは関係せず、筋肉に注射しても疲れが出現しないため、原因物質ではないことが数年前に実証されている。

近藤教授は「FFは、疲労が起きるとすぐに反応するため、疲労に対し最初に働く回路だろう。正確な疲労の測定装置や、科学的な疲労回復法の開発につながる」と話す。(編集委員・中村通子)

「FF」だけだとなんの略かわかりません。Final Fantasyじゃないだろうし。でも、多分「Fatigue (疲労)」「Factor (因子)」なんだろーなーと考えて、文献検索してみました。上の研究は、まだ論文にはなっていないようですね。

血液でも FFは上昇するようですね。これが検査出来るようになったら、過労死のメカニズムの研究が進むでしょう。疲労を定量できるようになる可能性があり、疲労と作業効率の関係も証明されるかもしれません。

疲労を改善する薬も開発競争が起こるのかも知れませんが、疲労は人間の体を守るための警告なのだと考えれば、安易に使用しない方がよいのかもしれません。

個人的には、疲労とうつ病発症の関係、各種神経疾患 (筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症など) や精神疾患 (うつ病など) での易疲労性の原因、慢性疲労症候群の病態の解明などに役立つことを期待しています。

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