捏造インタビュー

By , 2009年5月6日 8:01 PM

朝日新聞がインタビュー内容を捏造し、それを削除した事件がありました。全然話題になりませんでしたが、先月の話です。

元の記事が 勤務医改行つれづれ日記2-■「宮大は医師免許取得の合宿所といったところ」朝日がまた何かやったらしい 「学生流出 歯止めに力」- に貼ってありましたので、転載させて頂きます。

 学生流出 歯止めに力

asahi.com 2009年04月02日
(リンク切れ)

昨春、宮崎大学医学部を卒業したKさん(26)は熊本市の済生会熊本病院で研修中だ。

社会に貢献したい、との思いから医師を志した。出身地の熊本大学医学部を志望したが、「(入試が)ちょっと難しかった」。

宮大側からは、宮崎に残るよう暗に促されたという。それでも、卒業後の研修先は「医療設備などが充実している環境で働きたかった」と、宮崎を離れた。

医学部卒業後の研修先を自由に選べるようになったのは、新しい臨床研修制度が始まった04年。以前は、卒業した大学の医局で研修を積むのがセオリーだった。

大学卒業後も同じ都道府県にとどまる医師は、全国平均49・1%(08年度の文部科学省調べ)に対し、宮崎は20~25%。全国で最も低い。出身地の大学病院に行ったり、都市部の施設を選んだりした結果だ。

Kさんは今、整形外科を担当。1日2~3回は交通事故や労働災害による外傷や骨折治療の手術に立ち会い、最先端の技術を学ぶ。「ここを選んで良かった。宮大は医師免許取得の合宿所といったところ」と話した。

宮大は、医師不足が深刻な県立延岡病院にも医師を派遣している。しかし、その宮大からも医師の卵たちは流出。結局、医局そのものの医師が足りず、派遣先から引き揚げざるを得なくなる。

昨年2月、宮大医学部第3内科教授、中里雅光さん(53)は大学の車のハンドルを握り、旧南郷町の診療所に向かっていた。5、6年生5人にへき地医療の現状を見せるためだ。簡単な治療ができる医療機器は一通りそろい、医師の手際もいい。「責任感と誇りを持って働いている現場を実感して欲しかった」。夜は旅館で学生と鍋を囲み、地域医療を語り合った。

年数回、東京や大阪で開かれる学会にも学生を連れ出す。交通費や食費はポケットマネーだが、都市部の著名な大学教授に交じって討論に立つ宮大の研究者の姿を見せ、自分たちの大学に自信を持って欲しいからだ。

中里さんは延岡市出身。県外の高校を卒業後、「故郷の地域医療を自分たちの手で作りたい」と、宮大医学部の前身の宮崎医科大学へ。当時は研修先を自由に選べず、指導教官らの指示で大学の医局に残った。

しかし、いまは違う。

「色々とお世話になったのに申し訳ありません。やっぱり地元に帰ります」。毎年3月末、卒業を前にした学生が中里さんの研究室を訪ねてくる。「残念ですね」と言って送り出すのが精いっぱいだ。

この春は、少しだけ明るい兆しが見えてきた。

中里さんの第3内科は今月、2年ぶりに新しい医局員2人を迎える。1人は宮大の卒業生。出身地の千葉県に帰らず、宮崎に残る道を選んだ。中里さんが何度か学会に連れて行ったり、地域医療のあり方について話し込んだりした男子学生だ。

「ここでも医師として十分成長できると思えた。県民から頼ってもらえる医師になりたい」。そう話す彼の言葉に、中里さんは少なからず手応えを感じ始めている。
(牧野友也)

(ブログ管理人 注: 一部個人名をイニシャルに変更しております)

さて、この事件、methyl先生が関与しています。

methyl先生は、この「Kさん」と知り合いでした。

4月 2日の午前 1時頃、このニュースが朝日新聞のサイトにアップされたのを見た methyl先生はびっくりしました。そんなことを言う人ではなかったからです。

朝一で、Kさんに連絡したところ、本人も記事を読んでびっくりしたようでした。Kさんはすぐに済生会熊本病院に連絡しました。

済生会熊本病院はこうした情報管理がしっかりしたところで、インタビュー中、病院側がすべて記録を残していました。その記録と照合すると、インタビュー内容と記事が全く違うことが判明しました。

当然、病院側は猛抗議。証拠が残っている以上、朝日新聞は反論できず、お詫びを掲載しました。お詫びも半月経たないうちに削除されてしまっているので、上記のサイトから転載します。

おわび 「医師不足の現場から 下」

asahi.com 2009年04月14日
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000000904130005

2日付の連載「医師不足の現場から 下」の記事には事実誤認があるなど、取材、紙面化の過程に問題があったことが分かりました。研修医のKさんに関する記述については削除します。Kさんや宮崎大学などの関係者の方々にご迷惑をおかけしたことをおわびします。宮崎総局は、報道にかかわる人権侵害を救済するための朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」(PRC)にこの問題の解決を求めて、申し立てを行うことにしました。結果については、後日、紙面でご報告します。

(ブログ管理人 注: 個人名をイニシャルに変更しております)

昔、東洋経済の記者が、「取材の裏側」でという記事で、「少し戸惑ったのは、原稿のチェックをさせてくれと言われたことです。当誌では、基本的に原稿は見せないので、見たいという医師にはメールや電話で事実確認をさせていただきました」と述べていました。今回は済生会熊本病院が記録を残していたので助かりましたが、マスコミ記者から似たような経験をしたことが多いため、医師は取材に対する警戒心が強くなったのだと思います。

まぁ、今回の事件を教訓として、医師の側も済生会熊本病院のようにきちんと記録を残し、対応しないといけませんね。

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