新型インフルエンザの疫学

By , 2009年12月24日 7:09 AM

感染症診療の原則-死亡率が低いのは-で紹介されていた論文です。

Epidemiological characteristics and low case fatality rate of pandemic (H1N1) 2009 in Japan

以前、私が新型インフルエンザ年齢別死亡率で紹介したようなことを更に詳細に行った研究です。インフルエンザに関する疫学的研究で、年齢別患者数、年齢別入院患者数、年齢別死亡率などのデータが示されています。また、海外との比較、季節性インフルエンザとの比較なども検討されています。

日本の治療成績が何故良いのか?抗ウイルス薬が寄与しているのかもしれないけれど、本当のところはわかっていません。抗ウイルス薬を初期から投与しても重症化が防げないケースがあることがわかっています。抗ウイルス薬が季節性インフルエンザの合併症を減らすかどうかは疑問視されていますし、新型インフルエンザの重症化を防ぐかどうかの根拠もそれほど強いわけではないのですね。

こうしたことを考えると、我々は「○○かもしれない」「○○の方が良いのではないかなぁ・・・」という判断を通じて、インフルエンザと戦っているのだと実感します。まさに試行錯誤ですね。

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