実証分析入門

By , 2014年7月17日 7:30 AM

実証分析入門 (森田果著, 日本評論社)」を読み終えました。法律家向けに書かれた、因果推論や実証分析の本です。この本を読もうと思った理由は、下記のリンクにあるように、目次が面白そうだったからです。

【東北大学】森田果准教授が書いた本の目次がヤバいことになっていると話題にwwwwwwwwwwwww

内容はかなりに高度でしたが、目次に釣られる形で通読できました。目次だけではなく、本文や注釈もおもしろく、例えば第 9章の「きのこの山とたけのこの里と、どちらが好きですか?」というアンケートの回答を変数とした解析の脚注は、「ちなみに筆者の好みはきのこの山。たけのこの里のぼそぼそ感は許し難い」となっていて(p.95)、思わず「お前の好みはどうでも良い」とツッコミを入れてしまいました。

第12章は、「飛ばない豚はただの豚」を例に取り、「豚が飛ぶことを選ぶ (=ただの豚でなくなる) のは、どのような要因によって決まるのか」を、線形確率モデル (LPM), 非線形モデルで解析しています。そのネタだけでも十分面白いのに、さらに「なお、『飛べない豚は・・・』だと誤解している人が多いけれども、正確には『飛ばない豚は・・・』だ」と、無駄に丁寧な解説がされています (P.128)。

また第 14章、目的変数が 3択以上の解析では、Perfumeという音楽グループを例にしているのですが、「しかしたとえば、のっちは髪がショートなのに対し、あ~ちゃんとかしゆかは髪が (セミ) ロングだから、同じ票を食い合うことにより、のっちは 50%のまま、あ~ちゃんとかしゆかは 25%ずつ、という確率になることも十分現実的だ」という文章 (p.156) があり、これを見て学術書だと思う人はいないでしょう。

このように読者を引き込むために遊びの部分が多いとはいえ、学問的には極めて真面目な本です。法律家向けの本でありながら、生物統計に生きる部分もたくさんありました。例えば、統計学の基礎や、バイアス、重回帰分析、サバイバル分析、ベイジアン統計学などです。

簡単な統計学の入門書などを一冊こなしてから本書を読むと、楽しめると思います。

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