チャルダーシュ

By , 2009年7月20日 10:26 PM

「チャルダーシュ」というのは、曲の形式です。そして、ロマ(ジプシー)音楽での舞曲の一つです。ラッシュと呼ばれるゆったりした部分と、フリッシュと呼ばれる速い部分から構成されます。

ラッシュは迫害をうけてきたロマ民族の悲しみをたたえているともいわれ、フリッシュはそれを振り払うかのような激しい踊りを連想させます。

「チャルダーシュ」自体が曲の形式なので、「チャルダーシュ形式」でかかれていれば、どんな曲だって「チャルダーシュ」なのです。実際、ロマ音楽には、多くの「チャルダーシュ」があります。

ロマ音楽は、本来、代々口伝のような形で伝えられ、楽譜は存在しないと言われています。従って、同一の曲でも、演奏家によって、あるいは家系によって全然アレンジが違います。まさに「俺には俺のチャルダーシュがあるのさ」状態です。演奏家にとって、自分のチャルダーシュはアイデンティティでもあります。更に、即興の要素も大事とされますので、演奏毎にかなり違いがあって、そこが魅力です。

クラシック音楽とは全然違うロマ音楽ですが、ベートーヴェンもロマ音楽を聴いていたという情報が残っています。ベートーヴェンの曲の盛り上がりには、意外とロマ音楽が意識されていたりして・・・。

こうした「チャルダーシュ」に、クラシックの側からアプローチした例がいくつもあります。例えば、リストやエネスコ、バルトークなどは、ハンガリーの民謡をモチーフに用いています。もっと露骨なのは、モンティが作曲した「チャルダーシュ」です。モンティ自身はイタリア人で、別にロマの方ではないのですが、典型的な「チャルダーシュ形式」の曲を作曲したのでした。タイトルはずばり「チャルダーシュ」(^^;

モンティのチャルダーシュは、浅田真央選手が演技に用いたりして一般の方にも有名になりましたが、ヴァイオリンでは昔から結構アンコールピースの定番だったりします。クラシックとして作曲されたので楽譜は簡単に手に入るのですが、前述のように演奏家毎にアレンジしているので、聴き比べが楽しめます(私も自分なりにアレンジして弾いています)。

Youtubeで、なかなか面白い演奏があったので、紹介しておきます。尚、ソリストの後ろにあるチェンバロのような楽器が、「ツィンバロン」という民族楽器です。猫じゃらしのようなバチで弦を叩いて演奏します。

・József Lendvay – Monti: Csárdás

※このサイトのトップページの「Gypsy」のリンク先で、ロマ音楽のCDについてまとめています。研修医の頃に作ったきりで、以後更新していませんが、参考にしてください。

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発表会

By , 2009年7月20日 9:59 PM

8月中旬にある発表会の練習をしています。

場所は、池袋シャロンゴスペルチャーチという教会らしいです。教会と知っていたら、バッハの無伴奏でも演奏すれば良かったかなぁ・・・なんて思ったりもしますが、今年はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第 1番を演奏する予定です。

・Menuhin plays Beethoven Violin Sonata No.1 (第一楽章)

第 1番はベートーヴェンがサリエリに献呈した 3つのヴァイオリン・ソナタの第 1曲ですが、ほぼ純粋に古典派に属すると言って良く、彼が最終的に指向したロマン派的な要素はまだあまり感じられません。今回は第 1, 3楽章を演奏します。

第 2楽章は変奏曲です。モーツァルト的な「恋人の音楽」との表現がぴったりなこの楽章が一番好きです。特に第 2主題の美しさは、天国の音楽のようにも思えます。今回は時間の関係で、本番では第 2楽章を演奏できないようです。残念ですが、その分、第 1, 3楽章を頑張りたいと思います。

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