SWEDDs

By , 2011年7月19日 8:09 AM

Parkinson病は、中脳黒質のドパミン神経細胞を主体とした変性を生じ、典型的には筋強剛 (rigidity) や静止時振戦 (resting tremor)、運動緩慢 (bradykinesia)、姿勢保持障害 (postural instability) といった Parkinson症状を呈する疾患です。ドパミン神経細胞の脱落が症状の原因となっていますので、ドパミンを内服で補充する治療などが行われ、それなりの治療効果を得ることが出来ます。

Parkinson病の鑑別診断としては、Parkinson症状を来す多岐に渡る疾患、すなわち各種変性疾患、薬剤性 Parkinsonism, 脳血管性 Parkinsonism・・・などが挙げられます。神経内科医は、頭部 MRIや脳血流 SPECT, 心筋 MIBGシンチといった検査を使い、診断を勧めていきます。海外では、放射性物質を使って脳内のドパミン・トランスポーターを調べる “DaT SPECT (dopamine transporter single photon emission computed tomography)” という検査を保険適応で行う国もあるそうですが、残念ながら日本では保険適応ではなく、自費診療であってもごく一部の病院でしか検査できません。この DaT SPECTでParkinson病の患者さんを調べると、ドパミン神経細胞の脱落を反映した所見が得られます。

近年、こうした診断技術の進歩と共に新しい概念が話題になってきています。それは “Scans without evidence of dopaminergic deficit (SWEDDs)” という概念です。わかりやすく言うと、どうみても Parkinsonなのだけど、”DaT SPECT” の正常だという症例が報告されるようになったのです。これらの患者さん達は、これまで全て Parkinson病と診断されてきましたが、DaT SPECTの結果から想像されるとおり、治療としてドパミンを投与しても効かず、Parkinson病とは別の病気ではないかといわれています。当然「SWEDDsとは何なのだろうか?」という疑問が出てきますが、Parkinson病ではない幾つかの疾患 (本態性振戦、鬱病、脳血管性 Parkinsonism、心因性 Parkinsonism, ドパミン反応性ジストニア、supranigral parkinsonism) の寄せ集めだろうという意見があります。

最近 SWEDDsに関する興味深い論文を読みましたので、紹介します。

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