症例報告

By , 2013年6月21日 10:20 AM

昔のボスから「症例報告は医者の義務」と言われ、報告すべき症例は出来るだけ論文にするようにしています。EBM最盛期の時代、メタ解析や RCTが重宝がられますが、これらは万能ではありません。例えば、稀な疾患だったりすると大規模研究が出来なかったりします。こうしたとき、症例報告には大変お世話になります。日本神経学会が発行する邦文誌が症例報告主体なのは、特に神経疾患において稀な疾患が多いことが関係しているのかもしれません。

この度、「ケースレポート(症例報告)を書くためのコツを教えるウェブセミナー」がオンラインで見られるようになりました。英語なのでうまく聴き取れず、大部分私は寝落ちしてしまいましたが (汗)、英語のヒヤリングが苦にならない方には勉強になるのではないかと思いますので、紹介しておきます。

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まだ1万人

By , 2013年6月21日 10:06 AM

感染症診療の原則 -歴史に残る暴言 もしくは 救いの言葉か-」で知ったのですが、厚生労働大臣から「風疹はまだ 1万人」との言葉が発せられたそうです。

ことしの風疹患者数、1万102人に 厚労相は財政支援に否定的

国立感染症研究所は18日午前、2013年に入ってからの風疹の患者数が、あわせて1万102人に達したと発表した。
ワクチン接種に、国の財政支援を求める声が上がる中、田村厚生労働相が18日朝、財政支援に否定的な考えを示した。
国立感染症研究所によると、風疹患者数は、2013年に入り、あわせて1万102人に達した。
患者数のおよそ8割は男性で、その多くを20~40代が占める状況は変わらない。
こうした中、17日夕方、妊娠中に風疹にかかり、子どもに障害が出た母親らが厚生労働省に要望書を提出した。
「先天性風疹症候群」の子どもを持つ西村 麻依子さんは「風疹の流行を食い止め赤ちゃんを守るために、国の積極的な対応を求めます」と話した。
要望では、風疹を予防接種法に基づき、国などが費用を負担する「臨時接種」の対象とすることや、必要なワクチンの量の確保などを求めている。
理化学研究所の加藤茂孝氏は「1万人も患者を出したということを世界から危惧されていて、(拡大防止には)集団接種、つまり臨時接種以外にはあり得ない」と話した。
要望に対し、18日朝、田村厚生労働相は「(臨時接種とは)緊急時のパンデミック(世界的大流行)のおそれがあるものに対してという話で、なかなか風疹がそのような状況ではない。なかなか財政的措置をして、ほかの予防接種疾病と(比べ)、特別な対応ということころまでは来ていない。風疹は、まだ1万人ということでございますので」と述べた。
また、このままいけば、ワクチンが不足する可能性があるが、その場合、厚生労働省は、妊娠を予定している女性や、その同居人などを優先的な予防接種の対象にする方針。

そして、この発言を受け、 複数の医師達が大臣に抗議メールを送ったそうです (一例はこちら)。風疹はただ罹患して終わりなのではなくて、先天性風疹症候群のリスクになることを考えると、この流行は看過できませんよね。厚生労働大臣がこんな認識では・・・と思います。

先天性風疹症候群とは

免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生児に先天性風疹症候群 (CRS)と総称される障がいを引き起こすことがある。(略)

母親が顕性感染した妊娠月別のCRS の発生頻度は、妊娠1 カ月で50%以上、2カ月で35%、3カ月で18%、4カ月で8%程度である。成人でも15%程度不顕性感染があるので、母親が無症状であってもCRS は発生し得る。(略)
臨床症状 
CRS の3 大症状は先天性心疾患、難聴、白内障(図3)である。このうち、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3 カ月以内の母親の感染で発生するが、難聴は初期3 カ月のみならず、次の3 カ月の感染でも出現する。しかも、高度難聴であることが多い。3 大症状以外には、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたる。
(補足)
風疹予防接種啓発動画の記事で、2013年6月21日に追記しました。

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