川の流れはバイオリンの音

By , 2013年8月4日 1:29 PM

秋田で当直明けに病棟当番を任されて、待機中に当直室でボーっとテレビを見ていたら、NHKで「アンダルシアの虹」という古いテレビドラマを放映していました。そのドラマ紹介の場面で、「川の流れはバイオリンの音」というフレーズが気になったので、ネットで調べてみました。

川の流れはバイオリンの音 (Wikipedia)

1983年のドラマのようです。クレモナのヴァイオリン工房を訪れる話ですね。Youtubeに動画が上がっていました。

・「川の流れはバイオリンの音」

クレモナと聞いて昔訪れたときのことを思い出しました。続きが是非見たいです。NHK, 復刻版として DVD出してくれないかなぁ・・・。こんな良質の番組がお蔵入りとはもったいないと思います。

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フィンゴリモド

By , 2013年8月3日 10:11 PM

多発性硬化症の治療薬にフィンゴリモド (商品名ジレニア) という薬剤があります。治験に関わった医師には “FTY720” という方がしっくりくるかもしれません。FREEDOMS試験TRANSFORM試験といった臨床試験で、有効性が示された薬剤です。

導入時に徐脈になったり、ヘルペスウイルス感染症が重篤化したり、白人でメラノーマが増えたりといった副作用は懸念されますが、自己注射が必要なインターフェロンと異なり経口薬というのが大きなウリです。

ところが、2013年7月30日の Reuter誌で、フィンゴリモドによると推測される進行性白質脳症 (PML) の症例が報道されてしまいました。

Patient taking Novartis MS pill developed rare disease

Tue Jul 30, 2013 5:18am EDT
* Patient took Novartis’ Gilenya MS pill

* Developed progressive viral disease

* First incidence in 71,000 patients

* Gilenya facing competition from Biogen’s Tecfidera

ZURICH, July 30 (Reuters) – A patient taking Novartis’ multiple sclerosis pill Gilenya developed a rare and potentially fatal viral disease, the Swiss drugmaker said on Tuesday, an unexpected setback as it faces growing competition from new oral treatments.

Gilenya is one of Novartis’ big new drug hopes, growing 66 percent in the second quarter to $468 million. But the drug faces competition from new medicines such as Biogen Idec’s Tecfidera.

Novartis said it had been informed of a case of progressive multifocal leukoencephalopathy (PML) in a patient who had been taking Gilenya for MS for seven months.

It said it was working with the reporting physician to understand all possible contributing factors, including those beyond treatment, given several atypical features of the case.

“The course of the underlying neurological disease was rapid with some atypical findings for MS on the MRI scans of the brain and spinal cord, as well as some unusual clinical features,” Novartis said in a statement.

Novartis said all previously reported cases of PML among the approximately 71,000 patients treated with Gilenya thus far had been attributed to prior treatment with Biogen Idec’s Tysabri, which bears a known risk of PML.

Deutsche bank analyst Tim Race said the case may provoke some concerns about Gilenya’s future growth potential. But he noted the incidence of reported PML cases for Gilenya has so far been extremely low.

“By the time there was a similar level of patient experience with Tysabri there had been 298 cases reported. Thus, even if the risk proves to be real it is likely to be of a very different order of magnitude,” Race said in a note.

販売元のノバルティス社は、これまでフィンゴリモド内服中に発症した PMLは全て、過去に使用されていた Natalizumab (タイサブリ) に起因するものだったとしています。しかし、今回の症例はフィンゴリモドが原因と認めざるを得ないようです。おそらく稀とはいえ、フィンゴリモドで PMLを発症することがあるとすれば、使用するハードルはこれまでより高くなりますね。記事では、患者が 7ヶ月間内服していたという情報以外書かれていないので、今後詳細な症例報告が出てくるのを待ちたいです。

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Sad music induces pleasant emotion

By , 2013年8月2日 8:55 AM

2013年6月13日の frontiers in psychology誌に、”Sad music induces pleasant emotion” という論文が掲載されました。無料公開されています。

Sad music induces pleasant emotion

著者は東京芸術大学、理化学研究所のグループです。責任著者は、鳥の歌研究で有名な岡ノ谷一夫先生です。

論文を読んで最初に驚いたのが、査読者の名前が公開されていることです。こうされると、査読される側もいい加減な査読は出来ませんね (^^;

内容は、理化学研究所のプレスリリースがあるので、そちらをご覧いただくのがよいと思います。

悲しい音楽はロマンチックな感情ももたらす

-なぜ私たちは悲しい音楽を聴くのかが明らかに-

プレスリリースで大体の内容はわかるのですが、折角論文を読んだので、プレスリリースの補足をしながら、簡単に内容を紹介します。

悲しみは一般に negativeな感情と考えられるのに、われわれは何故悲しい音楽を聴くのか?

最初に著者らが立てた仮説は以下の 2つでした。

①体験した感情 “felt emotion” は必ずしも判断された感情 “perceived emotion” と一致しないのではないか ?

②音楽的経験のある方が、悲しい音楽を聞いた時により悦びを感じるのではないか?

そんな問に答えるため、18歳~46歳の44人(男性19人、女性25人)の実験参加者に聞いてもらい、鑑賞後にどのような感情が生じたか、62の感情 (Table 1) とその強度を答えてもらいました (神経心理学の研究でよく用いられる手法です)。

table.1

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その結果、悲しい音楽は悲しみを与えるものの、被験者は実際にはそこまで悲しい感情になっておらず、曲から受けとるよりもロマンチックな感情 (romantic) や、陽気な感情 (blithe emotion) が生じていることが明らかになりました (Figure 1)。

figure.1

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このことには、音楽経験は関係ないという結果でした。音楽経験が関係ないという結果は、Kawakamiらによる先行研究とは矛盾しますが、著者らは Kawakamiらが使用した評価尺度に問題があったのではないかと考えているようです。

著者らは、悲しい音楽で快の感情が生じるという「両価的感情 (ambivalent emotion)」が何故生じるのか、3つの可能性を考えました。

1) 聴き手が予期したことが当たると心地よいと感じる予測効果 (prediction effect) です。例えそれが悲しい音楽であったとしても生じます。

2) 芸術を愉しむという審美的なコンテクストでは、悲しい音楽でも快の感情が引き起こされるのかもしれません。

3) 日常では、判断された感情は周囲の状況にマッチしています。しかし、音楽が危険を表現していても、聴き手は安全です。そのため、われわれは代理的に感情を経験をすることができます (代理感情)。

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