神経筋疾患における運動

By , 2013年9月10日 9:06 AM

患者さんから「運動した方が良いですか?それとも安静にした方が良いですか?」と聞かれることがよくあります。例えば、筋萎縮硬化症だと運動していると有病率が高かったり、神経細胞の興奮性が問題視されていたりするので、メカニズムを考えると「やって大丈夫かな?」なんて思ってしまいますが、こういうことは、臨床研究で明らかにすべき問題です。

今回、Muscle & Nerve誌に “Exercise in neuromuscular disease” という総説が掲載されました。多岐にわたる疾患について良く纏められていたので、ごく簡単に紹介します。

 Exercise in neuromuscular disease

・筋萎縮性側索硬化症 (ALS)

よくわかっていない。疫学的には、発症前に身体活動性が高い方が、ALSの発症頻度が高いと言われている。

マウスモデルでは、たくさん泳がせると神経細胞死が遅れ、脊髄のアストロサイトやオリゴデンドロサイトに保存的に働く。ヒトでは、呼吸不全がある症例を含めウエイトトレーニングや有酸素運動を行ったランダム化研究が存在する。12名が非運動群、8名が ramp treadmill protocol (徐々にトレッドミルの抵抗が強くなる) を用いた有酸素運動群に割り付けられた。Functional Independent Mobility (FIM) score及び呼吸機能において、有酸素運動群で進行がゆるやかであった。

体重負荷運動では 3つの臨床試験がある。①25名の ALS患者を、日々適度な負荷をかけた群と通常の身体活動群に分けて、 1年間観察した。前者の方が、ALS Functional Rating Scale (ALSFRS) の悪化が遅かったが、筋力、QOL, 疼痛、倦怠感では有意差はなかった。②26例の歩行可能な ALS患者を管理された抵抗運動および固有受容性神経筋促通法 (proprioceptive neuromuscular facilitation; PNF) 群、家庭でのストレッチ及び可動域訓練群に分けて 8週間観察した。前者では機能的能力がより保たれ、短期ではあったが有意に筋力や関節制限が改善した。③ALS患者を抵抗運動群、通常ケア群に分けて 6ヶ月観察した。前者では ALSFRS及び SF-36 physical function subscale scoreが高く、下肢筋力が低下しにくかった。

現在、有酸素運動について行われている臨床試験には、FACTS-2-ALSと ENDURANCE (NCT01650818) の二つがある。

呼吸筋訓練を調べた臨床試験では、26名の呼吸機能正常な発症早期 ALS患者をターゲットとして、8ヶ月の呼吸筋訓練を施行した群と、4ヶ月のプラセボ訓練後 4ヶ月呼吸筋訓練をした群で比較した。ALSFRSに差はなかったが、各群で最大換気量、最大呼気流量、鼻腔吸引圧の一時的な改善が見られた。似たような研究が別にあり、9名のトレーニング患者と 10名の偽トレーニング患者を比較した。両群で呼吸筋筋力に改善があったが、両群間に有意差はなかった。

Kennedy病/球脊髄性筋萎縮症 (SBMA)

有酸素運動についての臨床試験が一つある。8名の患者に自転車エルゴメーターを用いて VO2 maxの 65%まで負荷をかけ、12週間観察した。最大作業能力が 18%, 筋クエン酸シンターゼ活性が 35%上昇したが、その他の評価項目 (VO2 max, ) は変化がなかった。現在、SBMA患者に対する機能的筋力訓練の効果を調べる臨床試験 (NCT01369901) が行われている。

脊髄性筋萎縮症 (SMA)

多くの動物実験が行われており、有酸素運動は運動ニューロンの生存を促進するとされている。SMAに対するエクササイズの効果を調べる臨床試験は、現在 2つ (NCT01233817, NCT1166022) 行われている。

それ以外に、水中運動療法 (aquatic therapy) についての臨床研究がある。50名の SMA2/SMA3患者に 2年間水中運動療法を行った。全ての SMA2患者と一部の SMA患者で筋力が安定化した。多くの患者では元々あった関節変形は進行したにも関わらず、Barthel ladder scale は改善した。3歳の女児に水中運動療法を行って Gross Motor Function Measureの改善を認めた症例報告が存在する。

 急性灰白髄炎/ポリオ (Poliomyelitis)

16週間の有酸素運動群 (70%の心拍反応 HRR, 10分間, 週 3回) とコントロール群を比較した 2つの研究では、有酸素運動群で酸素消費量、筋力、分時換気量、運動時間の改善を認めた。一方、6週間の有酸素運動 (最大心拍数の 55-70%) を行った先行研究では、心肺機能に変化はないという矛盾する結果だった。

現在、ポストポリオ症候群患者に対し、上肢でエルゴメーターを用いた有酸素運動に対する臨床試験 (NCT01271530) が行われている。

ポストポリオ症候群での筋力トレーニングについては過去にいくつかの報告がある。その多くで筋力の改善を認めた一方で、有害な結果だったものは一つもなかった。

Charcot-Marie-Tooth病 (CMT)

CMT患者への筋力トレーニングの効果を調べた研究はたくさんあるが、多くは無作為化されておらず、さらにいくつかのタイプの CMT患者を纏めて解析している。全体的には、歩行速度や機能スケールの結果とは矛盾して、筋力については改善を認めた。興味深いことに、2つの臨床試験で機能の改善と筋線維のタイプを分析している。その結果、MHC1 (major histocompatibility complex 1) レベルが低く、MHC2筋線維が増加しており、type I線維径が増加していることと、椅子立ち上がり動作時間/階段登りの改善に関連がみられた。

有酸素運動については少数例での研究がいくつかある。一つの研究では 6分間歩行の一時的のみの改善があり、もう一つの研究では心拍変動の改善があり、残り一つの研究では心肺機能の有意な改善があった。

重症筋無力症 (MG)

MGでは永続的な機能障害のない筋力低下なので、エクササイズの効果を調べた研究はほとんどない。

11名の軽症~中等症 MG患者に抵抗訓練を行った臨床研究が一つあり、合併症は全くなかったものの、効果は訓練側の膝伸展筋力の 23%改善のみで、他の評価項目では改善はなかった。毎日 5グラムのクレアチン摂取と週 3回の抵抗訓練を行ったケースシリーズが一つあり、軽度の筋肉量増加や等速性運動での下肢筋力改善などを認めた。

6名の MG患者でトレッドミルを用いて有酸素運動を行った非ランダム化研究では、代謝仕事量は 4倍に増加した。250名の MG患者を調べた研究では、36名の MG患者が有酸素運動をしていた。これらの患者では倦怠感は有意差はなかったが、身体機能が高かった。

多くの研究では呼吸筋トレーニングは MG患者に有効である。27名の状態が安定した MG患者を呼吸筋訓練群とコントロール群に無作為に割りつけた研究では、呼吸筋訓練群では最大吸気圧、最大呼気圧、呼吸筋耐久力、胸郭運動性で改善を認めた。似たような非ランダム化研究でも同様の結果だった。

MG患者に筋力訓練、有酸素運動、呼吸訓練を行う臨床研究が (NCT01047761) が現在行われている。

Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) / Becker型筋ジストロフィー (BMD)

DMDでは筋肉の脆弱性がある。このような脆弱性にも関わらず、筋ジストロフィーマウス (mdxマウス) は運動に耐えることができて、低強度の持久性訓練や筋力強化訓練においては有益でさえある。一方で、やり方によっては有害なものもある。

ヒトでの DMD患者への訓練の有効性については、矛盾した結果が出ている 。方法に問題がある研究も多い。例えば、軽症患者に対して、大腿四頭筋に対して週 5回、6ヶ月間の最大下筋力訓練を行った研究では、筋力の改善は見られたが、機能予後については測定されていない。

呼吸筋訓練についてはもう少し調べられている。DMD患者 8名をコントロール群と、最大吸気圧の 30%の呼吸をトレーニングした訓練群にランダム化した研究では、訓練群で6週間後に最大吸気圧で 46%長く呼吸できた。

ジストロフィン異常患者に対する低強度の持久力訓練では 1つの研究が行われた。BMD患者 11名を対照にした訓練では改善はあったが、心機能、CK値、筋組織には違いはみられなかった。

現在、DMD患者に対する低強度訓練としては、”No Use is Disuse trial” が行われている。

筋強直性ジストロフィー (myotonic dystrophy 1 (DM1) /myotonic dystrophy 2 (DM2))

大部分の研究は DM1に対して行われている。

筋力強化訓練は 2つの研究が行われている。①33名の DM1患者に対し、膝の屈曲/伸展、臀部の屈曲/外転に対する最大下のウエートトレーニングを週 3回 24週間行った。筋力、易疲労感、機能的パフォーマンスの改善はなかった。②9名の患者に対して 12週間の膝屈筋に対する高負荷訓練を行ったところ、筋力や筋肉肥大の改善が推測されたが、病理組織学的な異常や筋肉量、MRIでの異常信号の改善は見られなかった。

有酸素運動は、筋力強化訓練とは異なり効果があった。エルゴメーターを使った低強度の有酸素運動を 12週間続けたところ、最大酸素摂取量が 14%、最大仕事負荷量が 11%上昇し、筋線維径も有意に増加した。興味深いことに、MRIで筋肉量、MRSでミトコンドリア機能も改善しており、最大酸素摂取量の上昇に貢献している可能性がある。しかし、有酸素運動の効果は、きちんと管理されたトライアルでのみ効果があるのかもしれない。35名の患者をランダム化してコントロール群、商用の運動プログラムに割り振った試験では、6分間歩行、SF-36 Health Survey, Epworth Sleeping Scaleで有意差を認めなかった。

バランス訓練と低負荷有酸素運動を組み合わせた後ろ向き研究では、Berg  Balance scale, 歩行速度、訓練した筋肉の最大トルクの有意な改善を認めた。

肢帯型筋ジストロフィー (LGMD)

筋力強化訓練についてのきちんとしたトライアルは行われていない。

有酸素運動については LGMD type 2I患者 9名を対照にした研究がひとつだけあり、VO2 maxの 65%のトレーニングを 12週間続けた。筋肉の形態や血漿乳酸レベルの変化はなく、最大仕事負荷量と酸素摂取量の改善を認めた。

 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)

筋力強化訓練では、さまざまな結果が混在している。①9名の FSHD患者に対して、上下肢近位筋の筋力訓練と、神経筋電気刺激を 5ヶ月間行った研究では、全ての筋で徒手筋力テストの改善が 10~15%みられた。肩関節伸展、外転の最大容量等尺性収縮は 40~45%、6分間歩行でも軽度の改善を認めた。疼痛や倦怠感の改善はなかった。②66名の FSHD患者に対するランダム化研究では、1年間、肘関節伸展、足関節背屈の筋力強化を行ったが、最大容量等尺性収縮、倦怠感、疼痛、機能的状態の改善はなかった。

有酸素運動では、8名の FSHD患者と 7名のコントロール群に対して12週間の自宅訓練をした研究がある。それぞれの群で 13~16%の VO2 max改善と、13~17%の最大仕事負荷量の改善を認めたが、各群間で有意差はなかった。

現在、FACTS-2-FSHDと NCT01116570の二つの臨床研究が行われている。

炎症性筋疾患 (皮膚筋炎 DM, 多発筋炎 PM, 封入体筋炎 IBM)

エクササイズは主に皮膚筋炎、多発筋炎に対して調べられている。しかし、他の神経疾患同様、スタディーには対象患者が少なかったり、ブラインド化されていなかったり、選択バイアスがかかっているなどの制約がある。

皮膚筋炎や多発筋炎に対して、筋力強化訓練の有益な効果を示した研究は沢山ある。筋力の強化は、炎症性遺伝子および線維化遺伝子ネットワークの遺伝子発現低下によると考えられている。EN-4および IL-1 Ra陽性細胞の減少を示した研究もあり、エクササイズによる炎症活動の低下が示唆されている。筋力の強化はまた、筋線維の平均面積増加や筋持久力の改善とともに type I筋線維の増加によるものかもしれない。

炎症性筋疾患に対する有酸素運動も有効である。

筋力強化と有酸素運動の組み合わせは、皮膚筋炎および多発筋炎において機能的状態の改善に役立つ。CKや  MRIなど評価で増悪を示した研究はひとつもない。

封入体筋炎でのエクササイズについては、よくわかっていない。筋力強化と有酸素運動を組み合わせて 12週間行った研究では、有酸素運動能、機能的能力 (階段を昇ったり、30分の歩行) や、一部の筋群の筋力などが改善した。別の研究では、筋力強化や、筋力強化と有酸素運動の組み合わせで筋力は強化されなかったが、害もなかった。

代謝性筋疾患

・ミトコンドリア筋症

ミトコンドリア筋症では、ミトコンドリア遺伝子異常によるミトコンドリア機能障害、酸化能力低下、運動耐容能力低下がある。

少人数のミトコンドリア筋症患者に対して、自転車漕ぎを用いた 12-14週間の最大下持続トレーニングでは、VO2 max, 作業能力、骨格筋酸素抽出は 20~30%増加した。ミトコンドリア体積の 50%増加に伴い、呼吸鎖酵素は 25~67%増加した。血清 CK値の上昇や筋生検での形態学的な所見を伴わず、生活の質や最大運動に対する耐性は改善した。これら全ての効果は脱トレーニングの間に失われ、12ヶ月間訓練を継続することにより維持することが可能であった。4名のミトコンドリア筋症患者を対象とした似たような研究があり、合併症なしに酸化能力、運動能力が 23%改善した。持久力訓練は、疲労感も軽減させる。これはミトコンドリア酵素活性や筋線維の呼吸基質の酸化能の上昇と強く相関している。

興味深いことに、筋力強化訓練は持久力訓練よりさらに、変異 DNAの割合を減少させ、野生型 DNAを回復させる。

筋力強化訓練と有酸素運動の組み合わせも効果がある。20名の患者をコントロール群と訓練群に分けたスタディーでは、最大酸素摂取量が増加し、仕事量、持続運動能、末梢の筋力、生活の質、臨床症状に改善がみられた。

・糖原病

ポンペ病 (Pompe disease) はヒトリコンビナントGAAの補充療法が劇的に奏功するので、この疾患の患者において最もエクササイズの効果がありそうである。筋力強化や治療的エクササイズの確立したガイドラインはないが、多くのエキスパートは穏やかで最大下負荷の有酸素運動を勧めている。

最もよく知られた研究は、非ランダム化観察研究で、34名のポンペ病患者が低炭水化物食と最大下負荷 (VO2 maxの 60%) の有酸素運動を 2~10年間続けた。エクササイズに適合した 22名は適合しなかった患者と比べて、筋力低下が緩徐であった。酵素補充療法を受けている late-onsetのポンペ病患者 5名に、最大下負荷で筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせて 20週間観察した研究では、一部の筋力の有意な改善を認め、6分間歩行も成績が良かった。しかし、筋力の改善と 6分間歩行の結果には相関がなかった。そのため機能的な利得は、心肺機能の改善によるものであると推測されている。酵素補充療法を受けている late-onsetポンペ病患者に対する観察研究のサブグループ解析では、エルゴメーター訓練で 6分間歩行が改善した。ポンペ病に対する呼吸筋訓練を行った研究もあり、呼吸筋筋力に改善を認めたが、被検者はわずか 2名のみであり、結果の解釈には注意が必要である。

McArdle病では、”second wind” 現象を呈する代謝性筋疾患である。この現象は、持続可能な低強度の運動を数分間をやったあとに出現し、別の筋外のエネルギー源 (肝臓グルコース、脂肪組織脂肪酸など) を利用するためとされている。運動 30-45分前に経口スクロースを摂取すると、運動への耐性が著明に改善する。

McArdle病に対する筋力強化訓練の研究はされていないが、持久力訓練 (有酸素運動) では 3つのスタディーがなされている。そのうち 2つでは酸化能力および運動能力の有意な改善があった。

こうしてみると、ほぼ全ての神経筋疾患において、トレーニングが有害に働くことはなくて、それなりに効果もあるようです。もちろん、過去のスタディーで対象にされた患者と目の前の患者の病状が違えばそのまま当てはめることは出来ませんが、参考にはなると思います。

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臨床医が語るしびれ・頭痛から認知症まで: 神経内科のかかり方

By , 2013年9月8日 10:23 AM

臨床医が語るしびれ・頭痛から認知症まで: 神経内科のかかり方 (岩田誠著、日本評論社)」を読み終えました。一般の方向けに書かれた本です。

書店の健康本コーナーに行くと、「よくぞここまで嘘八百並べられたものだ」と思うものが多いのですが、この本は自信を持ってお薦めできます。さまざまな症状について考えるべき病態が解説されていて、またどう対処すべきかが書かれています。著者は日本の臨床神経学を牽引してこられた先生で、臨床医の視点がそこにはあります。

神経内科医にとっても、「そう説明すればわかりやすいな」とか、「こういう解釈をすれば患者さんも前向きになれるだろうな」と、はっとさせられて、非常にためになりました。

内容の豊富さに比べて、良心的な価格の本でもありますし、是非多くの方々に読んで頂きたいです。

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音楽家たちに囲まれて

By , 2013年9月5日 7:14 AM

9月1日に、ヴァイオリニストの成田達輝さん、作曲家の酒井健治さん達と数人で、リヨン料理の店で飲みました。

なんとその日、酒井健治さんは芥川作曲賞授賞が決定し、レセプションに参加してから駆けつけることになったのでした。

芥川作曲賞:酒井健治さんに決まる

毎日新聞 2013年09月01日 19時49分

 第23回芥川作曲賞(サントリー芸術財団制定)の公開演奏・選考会が1日、東京都港区のサントリーホールで開かれ、酒井健治さん(36)の「ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲」に決まった。同賞は国内外で昨年初演された若手の管弦楽作品を対象とし、最終候補3曲を大井剛史さんの指揮で新日本フィルが演奏。酒井作品は審査員の伊藤弘之ら3氏により「完成度の高さと芸術性の豊かさ」が評価された。同曲はエリザベート王妃国際コンクール作曲部門でもグランプリに輝いている。酒井さんは大阪府出身で、武満徹作曲賞第1位など受賞多数。

受賞作品を成田達輝さんがエリザベートコンクールで演奏したときの動画が Youtubeで見られます。「あるシンプルなメロディーがオーケストラに伝播していき、形を変えて戻ってきて、それがハーモニーになる」というのが一つのコンセプトらしいです。

・Tatsuki Narita | Sakai Kenji Violin Concerto | Queen Elisabeth Competition | 2012

私はこの手の現代音楽をほとんど聴かないので、色々初歩的な質問をぶつけたのですが、酒井健治氏は色々丁寧に教えてくださいました。現代音楽におけるオクターブの位置づけや、微分音についてなど興味深かったです。彼は、「バッハも好きだしベートーヴェンも好きだし、こうした曲もよく聴くけれど、たまたま今の自分の表現したいことを伝えているのが、こういうスタイルなんだ」みたいなことをおっしゃっていました。同席した医師は、「作曲する上で、リズム、ハーモニー、メロディーの中で何を最も重視するか?」などとマニアックな質問をしていましたが、酒井氏は「ハーモニーだと思う。メロディーはあまり重要じゃなくて、出てきても断片的」と答えていました。他にもマニアックなトークたっぷりの、充実した飲み会でした。サインを御願いしたところ、即興で私のために作曲したものを書いてくださいました。多分、歴史的に貴重なサインです (^^)

成田達輝さんとは、10月にパリで会う予定で、その旅行中に酒井健治さんとベルギーで会えるように日程調整中です。

彼らはこれからはクラシック音楽業界をリードすること確実な、というか既にリードしている、日本人若手音楽家達です。クラシック音楽マニアじゃなくても、いずれ名前をよく耳にする時代がくるでしょう。

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π^{0}p

By , 2013年9月1日 3:38 PM

論文タイトルを見て、「π^{0}p」が顔文字が見える私は、ネットに毒されているに違いない。

Accurate Test of Chiral Dynamics in the γ[over →]p→π^{0}p Reaction.

さらに、アブストラクトにあるこれも絵文字っぽく見えて仕方ない・・・orz

Σ≡(dσ_{⊥}-dσ_{∥})/(dσ_{⊥}+dσ_{∥})

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