ゴルゴ13とギラン・バレー症候群

By , 2014年1月18日 11:02 PM

ゴルゴ13を読んでいたら、ゴルゴが髄液検査をするシーンに遭遇しました。ギラン・バレー症候群の診断を受けるシーンです。おー、ゴルゴが医者に背中を向けている (゚д゚)!

ゴルゴ13

ゴルゴ13

でも、このシーン、医学的におかしなことのオンパレードなんですね。

まず髄液検査が腹臥位になっている!普通は、側臥位ですし、どうしても難しい場合でも座位です。腹臥位で出来る検査ではないです。

そして、特異度の低い髄液検査での「蛋白細胞解離」を根拠に、診断を下してしまっています。症状がギラン・バレー症候群としては極めて非典型的 (手が突然しびれて、力が入らなくなって、数分後には症状が消失する) なので、電気生理検査や抗体検査 (ただし、この時代には抗体検査は出来なかったと思われる) などで詰めていかないと誤診の元です。こういう医者に身を任せるとは、ゴルゴにしては見る目がなかったものです。

ゴルゴオタクの先生にこの話をした所、「ゴルゴがギラン・バレー症候群だという描写は、他に数度出てくる (女工作員の話、台湾の漢方薬で治そうとする話、フィリピンの話)」と教えてくれました。基本的に、ギラン・バレー症候群は単相性の経過なので、再発を繰り返すのも不自然ですね。

この漫画は有名な某神経内科医が監修するようになったという噂で、2012年頃の連載で、「修験道の最奥の修行を完成して症状を克服し,結果的に心因であったと結論づけた」そうです (※私は連載を読んでいないので、確認したわけではありません)。

数十年に渡る誤診にも、やっとケリがついたと言えます。

さて、2013年12月の Lancet Neurologyの総説が、”axonal Guillain-Barre syndrome“でした。千葉大学の桑原先生の書かれた総説ですが、非常によく纏まっていて、神経内科医必読だと思います。あと、2012年に結城先生が New England Journal of Medicineに書かれた総説 “Guillain-Barre syndrome” も併せてお勧めしておきます。

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