α-synucleinの伝播

By , 2014年4月8日 8:53 PM

2013年1月23日のブログで、変性疾患の原因タンパク質の伝播について簡単に触れました。

変性疾患の原因タンパク質の伝播に関し、2014年2月18日にオンライン公開された Annals of Neurology誌論文が興味深かったです。

Lewy body extracts from Parkinson disease brains trigger α-synuclein pathology and neurodegeneration in mice and monkeys

パーキンソン病患者の脳からレヴィー小体 (α-synucleinが主成分) を豊富に含む分画を抽出し、マウスやマカクザルの黒質や線条体に注入したら、内因性の α-synucleinが病的な α-synucleinに置き換わりました。つまり、ヒトのパーキンソン病患者の脳にあった異常な α-synucleinが、動物の正常な α-synucleinを病的な性質に変えてしまったということです。まるでプリオンをみているかのようです。

現在、α-synucleinをターゲットとした薬剤がいくつも開発中ですが、病的なヒト α-synucleinを脳内で発現した上記の実験動物にこうした薬剤を使ってみたら、どのような効果がみられるのだろうかと思いました。

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