アネメトロ

By , 2014年7月12日 8:07 AM

日本には、必要のない抗菌薬がたくさんある一方で、海外では当たり前に使える本当に必要な抗菌薬がなかったりします。その一つがメトロニダゾールの点滴薬です。これまではメトロニダゾールは内服薬しかありませんでした。

ちなみに、メトロニダゾールの内服薬の名前は「フラジール」と言います。飛行機で壊れ物を預けたときに貼られるテープには「fragile」と書いてあり、いつもフラジールを連想してしまうのですが、フラジールのスペルは “FLAGYL (フランス語)” らしいです。余談です。

さて、メトロニダゾールの注射薬は「アネメトロ」という名前です。感染症診療に従事する医師たちには、武器が一つ増えました。ファイザー社、GJです。

嫌気性菌感染症治療剤「アネメトロ®点滴静注液500mg」 製造販売承認を取得

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お尻受難

By , 2014年7月12日 7:56 AM

2014年6月30日まで沖縄に行っていた話を前回しましたが、その続きです。

7月1日、肛門の左側の皮膚を触るとチクッとするのに気づきました。触った感触では虫刺されのように盛り上がっています。「沖縄で乗馬したとき、外で裸でシャワー浴びたから、そのとき刺されたのかな」と思って様子をみることにしました。

7月2,3日は、鈍痛がかなり強くなってきました。

7月4日、風呂あがりに iPhoneで写真を撮ってみると、左尻の内側に 2本線状の発赤があり、一部膨隆しています。これはただの虫さされじゃないと思って、Facebookの医者仲間に見せたら、「幼虫跛行症じゃないか」とか恐ろしい意見を頂きました。灼熱痛が強く、仕事が何も手に付かないレベルです。勤務先の皮膚科医に写真を見せたら、「ステロイドでも塗っとけば」と言われました。しかし、あまりに痛みがひどすぎるので、仕事帰りに職場近くの皮膚科クリニックを受診したら、帯状疱疹と言われました。「鑑別は単純ヘルペスだけどね」と笑われたので、「心当たりないですよ」と答えたら、「前に診た人もそう言ってましたよ」と。ちなみに単純ヘルペス 2型は性感染症なんですね。本当に心当たりはないです (´・ω・`)。

この日から、バルトレックスを開始しました。帯状疱疹急性期の疼痛は、侵害受容性疼痛です。そのため NSAIDsを内服しました。帯状疱疹と診断がついてから考えてみれば、ちょうど S4くらいが中心で神経支配に沿っています。この領域の帯状疱疹で膀胱直腸障害を呈した症例報告を読み、ちょっとビクビクしていました (私の皮疹の大きさは、ちょうど症例 1と症例 2の間くらいでした)。

7月5日が症状のピークで、起床時は 37.5℃の発熱があり、jolt accentuationと軽度の吐気もありました。おそらく軽い髄膜炎を起こしていて、大学病院だったら髄液検査されちゃうのでしょう。何とか 2時間くらいかけて出勤し、後輩に申し送りをして早退し、2時間くらいかけて家に着きました。7月5, 6日は自宅でゴロゴロして過ごしました。

7月7日頃には痛みが半分くらいまで和らぎ、皮疹は痂皮化してきました。7月12日現在、見た目はかなり汚いものの、疼痛はほぼありません。ただし、排便後に拭くときはまだ痛みを感じます。

帯状疱疹を体験し、疾患の経過がどのようなものかわかって勉強になりました。

最後に、Beethovenの弦楽四重奏曲より、「病が癒えたることの神への感謝の歌」。

・Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart

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