めがねめがね

By , 2014年12月12日 6:08 AM

昨日朝、シャワーを浴びた後に眼鏡のレンズを拭いていたら、レンズがフレームから外れてしまいました。以前に草野球で打球が当たったりして、フレームが歪んでいたのが原因と思います。
外勤を終えて眼鏡屋に行ったら、前回購入したのが 5年前だったので、買い換えることにしました。

視力測定では右眼の近視が改善傾向・・・。遠視の始まりを意味しているそうです (/_;)

フレームは、「ファッションには全く興味がないので、前回と同じで良いです」と伝えたのですが、女性店員がやけに熱心に色々と勧めてきました。全部スルーしていたものの、最後に「これが将棋の羽生さんがつけているのと同じです」と言われて陥落。それにしてしまいました。シャルマンのラインアートという眼鏡です。

本当かなと思って Twitterで呟いたら、下記のサイトを教えて頂きました。どうやら本当のようです。これで、一歩鬼畜メガネに近づいた気がします (違

『ラインアート』のメガネ

有名人の眼鏡  羽生善治さん


ワーグナーと片頭痛

By , 2014年12月11日 7:56 AM

2013年のクリスマスBMJにワーグナーの頭痛についての論文が掲載されていると紹介しました。

クリスマスBMJ ワーグナー

2014年10月号の Cephalalgia誌に、同じ著者達がより詳細な検討を加えた論文を発表しました。

Phenotype of migraine headache and migraine aura of Richard Wagner.

著者は 3人とも名字が Göbelですが、一家で書いた論文なのでしょうか。

この論文では、ワーグナーの家族歴が示され、どうやら母、ワーグナー、その子どもと 3世代に渡って頭痛持ちだったようです。片頭痛は家族歴があることが多いので、納得ですね。ワーグナーの 2番めの妻コジマ (リストの娘) は日記をつけており、そこには家族全員の健康状態、頭痛についてが詳細に綴られていました (論文 table 1に一覧表あり)。そして、どうやらコジマ自身も片頭痛でした。

論文によると、ワーグナーの頭痛の記載は 28歳から 67歳に渡って存在し、発症時期は片頭痛として矛盾しません。また、ワーグナーには視覚前兆もあったようです。著者らは、ワーグナーの頭痛が、国際頭痛分類3β版における「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」の診断基準をそれぞれ満たすとしています。

ワーグナーのオペラ「ジークフリート」には片頭痛を思わせる描写が登場し、その作曲時点でワーグナーは頭痛に苛まれていたといいます。疾患が作品に影響を与えることがあるのですね。こういう知識を持ってオペラをみるのも感慨深いものです。


東京書庫

By , 2014年12月10日 5:51 AM

周囲の医師たちを見ていて、私は割と本を沢山購入する方だと思います。興味を持った医学書はその場で買うようにしているので、知らず知らずのうちに本が溜まってしまいます。

困るのが置き場所です。都内だと特に狭い物件が多く、収納スペースが限られます。都心部から離れた比較的家賃の安い練馬で広めの家を部屋を借りていますが、本棚 6~7個が埋まった後は、本を床に積んでいる状態です。自炊は、コストや手間がかかりますし、やはり紙媒体で持っておきたいものです。

そこで、知人から教えてもらい、本を預けるサービスを使うことにしました。

東京書庫

割とリーズナブルな値段で預けることが出来、満足しています。預けた本のリストを CD-ROMで送って貰うこともできます。預けた当初は部屋がスッキリしました。

しかし、ダンボール 10箱預けた後、再び本棚が埋まりつつ・・・ orz


ブルーコンチェルト

By , 2014年12月8日 6:10 AM

知人の作曲家酒井健治氏の交響曲 (世界初演) を聴いてきました。

第543回定期演奏会

酒井健治:ブルーコンチェルト (読響委嘱作品・世界初演)

メシアン:トゥーランガリラ交響曲

指揮 シルヴァン・カンブルラン

ピアノ アンジェラ・ヒューイット

コンサートマスター 小森谷巧

2014年12月4日 (木) サントリーホール

ブルーコンチェルトは、酒井氏が「これまでの僕の音楽の集大成である」という評価を与えた交響曲です。いくつか印象的な部分があり、特にシェパードトーン (無限音階) がオーケストラ全体で奏でられるシーンはとても壮大で美しく感じました。また、鐘が打ち鳴らされる中、弦楽四重奏曲が奏でられる箇所も幻想的でした。昔ウィーンのロプコヴィッツ邸中庭で、ヤナーチェク弦楽四重奏団を聴いた時、演奏中に近くの教会で鐘が打ち鳴らされていたのがとても美しかったのですが、それを思い出しました。

少し気になったのは、オーケストラが鳴る中で各弦楽器のトップが別の旋律を弾く箇所。オーケストラに埋もれてしまっている感があり、もう少し目立っても良いのかなと思いました。また、この曲の終わりの部分は、酒井氏の「カスム」という曲を思い起こさせましたが、私が彼の他の曲をもっと知っていれば、この交響曲をより深く味わえたのかなと思いました。予習不足だった点は反省です。

メシアンは、冒頭の電子音の音量が大きすぎ、耳が痛くなってしまい、騒音性難聴のリスクを回避するため耳を塞いで聴きました。うるさいとしか感じない、生理的に受け付けない曲でした。

(参考)

4日に世界初演される酒井健治「ブルーコンチェルト」の曲目解説を公開


The Future of Research in Parkinson Disease

By , 2014年12月5日 4:18 PM

JAMA neurologyにパーキンソン病の最先端の研究について簡単に纏められていました。いくつか知らない研究があったので参考になりました (iPS細胞を用いた治療には触れられていませんでした)。

The Future of Research in Parkinson Disease

☆パーキンソン病の原因、いつどこで変性が始まるのか

黒質の細胞体ではなく軸索の末梢から変性が始まり逆行するという “dying back” 仮説

αシヌクレインがプリオン音蛋白のように振る舞うというシード仮説

 

☆どうやってパーキンソン病の予防、進行抑制、改善させるか?

下記のような研究が行なわれている

<神経保護作用、疾患修飾作用>

  • Isradipine:L型カルシウムチャネル拮抗作用薬。動物モデルでのドパミン産生神経細胞の保護作用。
  • Inosine:抗酸化作用
  • AZD-3241:Myeloperoxidase阻害薬。ミクログリアの活性化を制御するかもしれない。
  • RP103:抗酸化薬として作用する脳由来の神経成長因子などが増加する。
  • Pioglitazone, exenatide:サイトカイン誘導性アポトーシスから保護するかもしれないglucagon-like peptide 1 receptor agonistである。
  • グリア細胞由来神経保護因子とneurturin: 臨床試験での有効性証明できず

<遺伝子治療>

ProSavin:ドパミン合成に必要な 3つの酵素 (tyrosine hydroxylase, dopa-decarboxylase, GTP cyclohydrolase-1) を、レンチベクターを用いて導入する遺伝子治療。運動スコアが軽度改善したが、実験的治療である。

<抗シヌクレイン>

PT200-11, quinpramine, PBT434, rifampicinなど:・αシヌクレインの凝集抑制

PD01など:αシヌクレインに対する抗体を誘導するワクチン

PRX002など:αシヌクレインに対する抗体を用いた免疫治療

 

☆新しい治療

・L-Dopaの新しい投与経路:貼り薬、ポンプ、吸入薬、腸管内持続投与

・pimavanserin tartrate: serotonin 2A inverse agonistで、FDAが最近承認した。第3相試験では、安全で認容性が良く、運動症状を悪化させることなく levodopa誘発性精神病に効果があった。

・深部脳刺激 (DBS)


華岡青洲と麻沸散

By , 2014年12月3日 8:18 AM

華岡青洲と麻沸散 麻沸散をめぐる謎 (松木明知著, 真興交易医書出版部)」を読み終えました。華岡青洲が麻酔薬を用いて乳癌の手術を行ったことは有名ですが、詳しい話を知らなかったのでとても勉強になりました。麻沸散は、曼陀羅華と烏頭の絶妙な組み合わせによる部分が大きいのですね。また、呉秀三先生が、学問上のミスをいくつか犯していたことにびっくりしました。

本書を読むと、華岡青洲は、一過性の下肢の麻痺を患ったことがあるようです。1年弱で改善し、その後は症状の出現がなかったようなので、急性散在性脳脊髄炎 (ADEM) や Guillain-Barre症候群などの可能性を考えてみたいです。華岡青洲と会って診察ができれば診断できると思うのですが。

華岡青洲は最も知名度の高い日本の偉人の一人です。彼についてここまで詳細に調べた報告を私は知りません。一方で、とても読みやすい本です。興味のある方は是非読んでみてください。

以下、備忘録です。

・呉秀三は、華岡青洲が初めて全身麻酔を用いて乳癌を治療した日を 1年間違えて著書に記載した。これが世に広まってしまった。さらに、呉秀三は「乳癌治験録」原文の 18字を欠落して活字化したばかりでなく、注釈なく原文の誤りの一部を訂正するという、好ましくない行為を行った。また、呉秀三が用いた「乳癌治験録」の写真は、実際と異なる合成写真が含まれていたという。(p.12)

・鎖肛、鎖陰は華岡青洲による命名である。(p.32, p.180)

・矢数道明は、華岡青洲の妻加恵の失明について、曼陀羅華の他に附子による眼内圧の上昇が原因になっていることを動物実験の結果から推察した。(p.42) (※ただし、華岡青洲が麻沸散を妻に用いたという信頼できる証拠は残されていないらしい (p.109~110))

・18世紀半ば頃から、西欧では気体の研究が盛んになった。1757年ジョセフ・ブラックによる二酸化炭素の分離、1771年ジョセフ・プリーストリーやカール・シェーレによる酸素の発見、1777年アントワーヌ・ラヴォアジェによる酸素の命名。この頃から新発見の気体を病気の治療に応用しようとする動きが出てきた。1799年にハンフリー・デービーは亜酸化窒素の鎮痛効果を発見し、翌年出版。1824年にヘンリー・ヒックマンは二酸化炭素吸入させて動物に手術を行い、吸入麻酔法の原理を確立した (CO2ナルコーゼ)。西欧で最初に全身麻酔法の概念が示された。(p.90~91) (※亜酸化窒素による麻酔が行なわれるようになったのは 1840年代)

・華岡青洲の「麻沸散」の命名は、中国の三国志時代の名医華佗による「麻沸散」からの仮借である。(p.97)

・華岡青洲の麻沸散の処方は、京都の花井仙蔵、大西晴信の処方を改変したものであり、中国の元時代の「世医得效方」まで遡ることができるという。(p.101)

・華岡青洲の麻沸散には、曼陀羅華、烏頭などが含まれる (p.102に成分表あり)。主な作用は曼陀羅華に含まれるスコポラミンの中枢作用である。烏頭に含まれるアコチニンの徐脈作用は、曼陀羅華による頻脈に拮抗するばかりでなく、それ自体強い鎮痛効果を持つ (p.113)。

・著者は動物実験で麻沸散の効果を確認したが期待した効果は確認できなかった。ボランティアに用いたところ、40分~1時間で効果が発現して意識を失った。ICU管理し、胃内の麻沸散を吸引して輸液するなどの処置をしたところ、約8時間で麻酔はとけた。(p.114)

・1803年、43~44歳にかけて華岡青洲は両下肢の麻痺で歩行困難になった。(p.127)

・華岡青洲は麻酔のことを「終身」と呼んでいたようだ。1810年に各務文献は「整骨新書」のなかで「麻睡散」という名称を用いた。「ますい」と発音する言葉の初見である。1813年杉田立卿の手術録には「麻睡之剤」という表現が登場する。1857年の緒方洪庵が翻訳した本の中に、「麻痺薬」「麻薬」「麻睡薬」「麻酔薬」などの語があり、「麻酔薬」は鎮痛薬の意味で用いられている。1849年、杉田立卿の子杉田成卿はエーテルによってもたらされる状態を「麻酔」と表現した。明治時代に催眠術が日本に紹介されたとき、「魔睡術」「麻睡術」と訳された。これらは麻酔と発音がややこしかったので、これらは催眠術という語に置き換わった。しかし、「魔睡をかける」「麻睡術をかける」と混同されて、「麻酔をかける」という語が広まった。本来、麻酔はかけるものでなく行うものである。(p.129~132)

・著者による調査では、華岡青洲が手術した乳癌患者 33名の平均術後生存期間は 47ヶ月であった。(p.165)

・華岡青洲の弟子たちは各地で「麻沸散」を用いた手術を行った。高名な福井藩士橋本左内は 1852年に陰茎切断術や乳癌手術を行っている。(p.194)

・杉田玄白は華岡青洲に手紙を書き、偉業を褒め称えたが、書簡の後半は技術を教えて欲しいという依頼であったようだ。華岡青洲は杉田一門であった宮川順達に秘法を伝授した。

・華岡青洲は臨機応変な医療を行っていた。男児が釣り針を喉の奥に引っ掛けた時、どの医者も釣り針についた針を引っ張るだけで抜くことはできなかった。華岡青洲は弟子にそろばんを割らせて、そろばんの玉をいくつも糸に通した。それが竿状になったところで糸の端を掴み玉を押しこむようにすると、力が針に伝わり抜くことができた。(p.226)


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