ドイツ旅行(2009年9月2日〜9月9日)

ミュンヘン第3日目

 ミュンヘン散策に与えられた一日。ただ、残念なことに、ドイツでは多くの博物館・美術館は月曜日が休日になっているので、訪れることが出来る施設が限られる。

 現に、美術館「アルテ・ピナコテーク (Alte = old)」「ノイエ・ピナコテーク (Neue = new)」「モダン・ピナコテーク」はいずれも見学することは出来なかった。古い時代の作品から現代芸術まで楽しめる美術館だと思っていたのだが、残念。まぁ、今後また訪れる機会もあるだろう。

健康用品店

 数口しか食べない朝食を終えると、カールス広場に出た。カールス広場から駅の方向を向いて、Sonnen通りを左手に少し歩くと、健康用品店がある。一階はスポーツも多いのだが、二階は女性ものの下着と介護用品で埋め尽くされている。階段付近は女性の下着コーナーなのでなるべく見ないように通り抜け、奥に行くと介護用品の数々。トイレの便座だとか、様々な種類の車椅子だとか、介護用の風呂だとか、本当に何でもだ。レジのところで「神経内科医なのですが、ハンマーください」と言ったら、「Reflex hammer, oh yes.」と数種類見せてくれた。私が全種類欲しいというと、俄には信じがたい様子で、目を見開いた。他にペンライトを買って、全部で 200 Euroくらい。各国の診察道具を比較するのも楽しいので、大きな出費だが仕方がない。

 少し重くなった鞄を手に、フラウエン教会となりの公園へ。そこで読書を楽しむ。1時間くらい木陰で読書をしたが、吹く風はやや冷たく、肌寒かった。子供とサッカーする母親や、芝生で昼寝する人たちを眺めていると、時々教会の綺麗な鐘の音、遠くから縦笛を練習する音などが聞こえてきた。非日常的な時間を得られるのが旅の醍醐味だ。

公園

 寒くなってきたので、レジデンツ北の公園「ホーフガルテン」に場所を変えて再び読書。ホーフガルテンの中心にある建物 (天井はあるが壁はない) では、ヴァイオリンを弾いている若者がいて、バッハの無伴奏やモーツァルトのコンチェルトなど、なかなか上手だった。音程が良くて、音も綺麗だ。惜しむらくは拍感がないこと。そのため、まぁ、二流という評価だ。

 ヴァイオリンを聴きながら読書をしていると、昼を過ぎてしまった。公園の隣に机と椅子がたくさんならんでいて食事が出来るようになっていたので、リゾットとワインを頂いた。

 そろそろ観光でもしようかと思って、ホーフガルテンの建物に隣接するレジデンツに入ってみたら滅茶苦茶広かった。中を普通に歩くだけで 1〜2 kmはある。美術品などがたくさん並んでいて、これだけでお腹一杯になりそうだ。さっさと歩いて、おおよその雰囲気だけ味わって外に出た。

ドイツ博物館

 マクシミリアン通りを下り、イーザル川にぶつかると、川向こうにマクシミリアノイム (州議会) が見える。川を渡らずに右手に折れ、河水浴を楽しむ女性で目の保養をしつつ歩くと、ドイツ博物館がある。ここは圧巻だ。テーマ毎に展示物があるが、まずテーマが広い。テーマは例えば、船舶、飛行機、自動車、薬学、化学、音楽、天文学、時間・・・。多すぎて列挙しきれない。一つ一つも充実していて、例えば飛行機の展示だけで数十機。船舶も木を縒った昔の船から新しい船まで。薬学のコーナーではピルの展示やエイズに関する展示もあった。本当に何でもアリなのだ。何も見ずに一周するだけで2時間近くかかる、圧倒的な展示である。ここを訪れるときは、一日用意しても良いくらいだと思う。

ホーフブロイハウス

 夕食はホーフブロイハウスで。ここは1589年に王宮の敷地内にヴィッテルスバッハ王家の醸造所として造られたそうで、過去にはモーツァルトやエリーザベト、レーニンらも訪れたらしい。さらに、1920年に、ヒトラーがナチス党 NSDAPの結成集会を開いたのも、ここだったという (「地球の歩き方 ’09〜’10」ダイヤモンド社)。雰囲気を楽しみながら、シュニッツェルとビールを注文。ビールは 1Lで、ピッチャーのようなジョッキが出てきてビックリ。ここのシュニッツェルは絶品だ。バンド演奏も楽しめた。一杯でかなり出来上がって店を出たが、一人でなければ、相手と上機嫌に遅くまで語り合ったことだろう。

 近くにラーメン屋があったが、ラーメンは数日後日本で食べるとして、ヴァイセス・ブロイハウスへ。ここは Schneider Weisseという、小麦ビールで有名だ。小麦を使った分、パンのような香ばしさがある。味の複雑さだけをとると、普通のビールより上だと思う。ビール造りに小麦をやめて大麦を使うようになったのは、小麦はパン用とする考え方があったからと本で読んだことがある。今日2件目で、お腹がいっぱいだったので、ビール一杯しか飲めなかったのが残念だった。

 いい加減酔っぱらったので、ホテルに戻ってさっさと寝ることにした。しかし、向かいの部屋から「キャー」という女性の悲鳴。助けに行かなければと思って、服を着て、ドアを開けた。しかし、続けて女性の甘い声。「もぅ、やだぁ〜 (はーと)」と聞こえ、日本人カップルと判明。紛らわしい。

 このホテルの壁がどれだけ薄いか多分理解していないのか、「キャー」「もぅ〜、嫌だったらぁ〜 (はーと)」はしばらく続いた。日本人女性も海外だと開放的な気分になるのかもしれないが、開放的になるのは、壁の厚いホテルにした方が良い。でないと、近くで悶々としてその声を聞く男性の睡眠を妨げることになるのだから。


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