12億円

By , 2008年2月12日 7:42 AM

「脳トレ」を監修した川島教授は、自身が受け取る権利がある12億円を辞退したそうです。教授の奥さんは怒っているそうですけれども。

私は「脳トレ」をやったことも見たこともないのですが、高次機能専門の先生に聞くと、前頭葉 (一部頭頂葉) に単純化したタスクを反復して課することを主眼としたゲームなのだそうです。

ただ、こうしたゲームの効果は賛否両論あるものです。ゲームをやったから、頭が良くなったとは思わない方が良くて、局所的な能力をトレーニングしただけと思っておいた方が良い気がします。知的な刺激を得たり、他人と意見を交換したり、総合的に脳を使う方が、大事だと思います。やらないよりは、良いのかもしれませんけどね。

それにしても、12億円も貰う機会があったら、普通喜んで貰ってしまいますね。「12億円あったらどうしようか」などと、俗人の私は他人事なのに下世話な夢想をしてしまいます。

 12億円を辞退、ゲームもしない:『脳トレ』の川島教授
2月6日13時0分配信 WIRED VISION

世界中で売れている『脳を鍛える大人のDSトレーニング』ゲーム。その中で微笑んでいる顔が印象的な川島隆太教授(48歳)は、このシリーズで生じた監修料約1100万ドルの受け取りを辞退した人物でもある。

AFPが最近行なったインタビューをまとめた記事 (英文記事) によると、川島教授が勤める東北大学の規定で、教授はこれらのゲームで発生した監修料の半分を受け取る権利があるが、同教授はこの全額を研究室建設に回したのだ [監修料は Nintendo DSのみでも累積 24億円にのぼり、教授はこのうち 12億円を受け取る権利があるという]。

川島教授は約 1100万円の給料だけで満足だと述べ、「家族はみな怒ってますが、私は、金が欲しいなら働いて稼げと言っているんです」と語っている。

川島教授は辞退した監修料を研究資金として使用し、東北大学加齢医学研究所に 3億円をかけた研究室 [ブレイン・ダイナミクス研究棟。最新のレーザー顕微鏡が約 2億円] を建設した。4億円をかけた別の研究室 [超高磁場の磁気共鳴画像装置を備えている] も、3月に完成する予定だ。

世界で最も成功したゲームの 1つに顔を出しているにもかかわらず、川島教授自身はゲームをせず、仕事をして時間を過ごす方が好きだという。教授の子供たちも、平日のビデオゲームは禁止され、遊んでいいのは休日の 1時間のみだった [前述記事によると、教授には、14歳から 22歳まで、4人のお子さんがいる。規則を破った罰にディスクを壊したこともあるという]。

「ゲームの恐ろしいところは、いくらでも多くの時間を注ぎ込めることだ。ゲームをすること自体が悪いとは思わない。問題なのは、ゲームをすることで子供たちが、勉強や家族との会話といった大切なことをできなくなってしまうことだ」と、川島教授は言う。

だからこそ、川島教授のゲームは 1日数分で脳を鍛えられるようになっているのだろう。

川島教授は本当にひたむきな人のようだ。少々変わり者でもあるが、悪い意味でというわけではない。

[科学技術振興機構のサイト 『Science Portal』 には、川島家の子育ても含むさまざまな話題に関する、教授へのインタビュー記事がある]

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