パーキンソン病と iPS

By , 2017年2月4日 10:48 AM

ついにパーキンソン病に対する iPS治療の臨床試験が始まりそうですね。

パーキンソン病を他人のiPSで治療 京大研究所、30年度治験開始へ

産経新聞 2/4(土) 7:55配信

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ったパーキンソン病の治療を研究している京都大iPS細胞研究所(CiRA(サイラ))の高橋淳教授は3日、他人の細胞から作ったiPS細胞による治療の実用化へ向け、平成30年度の治験開始を目指すことを明らかにした。

他人由来のiPS細胞をめぐっては、理化学研究所などによる網膜移植の臨床研究について厚生労働省が了承。厚労相が2日付で通知している。

高橋教授によると、拒絶反応が起きにくい免疫型を持つ健常者の血液からあらかじめ作製し、ストックしていたCiRAの再生医療用のiPS細胞を使用。今後の実用化段階では、iPS細胞から作製した神経前駆細胞を、パーキンソン病患者の脳内に注入して移植する方法で手術を行う。

CiRAでは、患者自身のiPS細胞を使った臨床研究も検討したが、高橋教授は「患者自身のiPS細胞を使用する計画は、コストや時間のめどがたたなかった」と説明。結果的に、他人のiPS細胞を使う方が実用化への早道になると判断したという。

また、ストック細胞を使うことで費用や移植までの期間が縮減できることが期待され、高橋教授は治療費を数百万円レベルに抑えることを目標とした。

計画では、国から医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく承認を得られれば、大日本住友製薬(大阪市)がiPS細胞由来の神経細胞を再生医療用に製品化する方針。

2015年5月の神経学会総会で、「2015年中の臨床試験を目指す」という発表があった話は、昔ブログで書きました。その後、なかなか臨床試験の話が聞こえてこないので、2016年秋の神経学会東北地方会前日の講演で、高橋教授にどうなっているのか質問しました。そうすると、「患者から iPS細胞を作成して移植する (=自家移植) のはコストがかかりすぎるので、他人由来の iPS細胞を使うことにした (=他家移植) ため、追加での研究が必要になっている」とのことでした。具体的には、他人由来の細胞だと免疫抑制をどうするかというのが重要になってくるようです。個人的に聞いたことなのでブログには書かずにいたのですが、ついに報道されました。

患者さんからは、「iPS治療をすればパーキンソン病は治るのか」と聞かれることが多いのですが、治療効果はあるにしても、それで完治というわけではなく、薬物療法やリハビリなども継続していく必要はありそうです。


最近の医学論文 後編

By , 2017年2月1日 6:23 PM

前編】より

BE-FAST (Balance, Eyes, Face, Arm, Speech, Time): Reducing the Proportion of Strokes Missed Using the FAST Mnemonic. (2017.1.12 published online)

脳卒中の早期発見の啓蒙活動に、海外では FASTをよく用いる。これは、Face, Arm, Speechの略で、これらの異常があれば脳卒中の可能性があるとするもの。ただし、これでは 14.1%を見逃してしまう。そこで、Balance, Eyesという、バランスの異常と視覚症状を加えると、見逃しが 4.4%に減少するのではないかという報告。

BE-FASTだとゴロが良いので、脳卒中早期発見の啓蒙に使えるのではないかと思う。ただ、バランスの異常は、発熱でふらついていても起こりそうだから、特異度は低くなりそうだけれど・・・。

Incidence and outcome of functional stroke mimics admitted to a hyperacute stroke unit. (2016.8.28 published online)

脳卒中と誤診されるような紛らわしい病態を stroke mimicsと呼ぶ。脳卒中としてロンドンの超急性期脳卒中ユニットに入院した症例 1165名を対象に、stroke mimicsについて調べた。実際に脳卒中だったのは 904名 (77.6%)、medical mimicsは 163名 (14%)、functional mimics (≒心因性) は 98名 (8.4%) だった。Medical mimicsでは過去の脳卒中による機能障害、てんかん、片頭痛などが多かった。

medical mimics

medical mimics

こんなに心因性って多いのかなぁ・・・とも感じるけれど、著者らの所属に “Department of Neuropsychiatry” “Institute of Psychiatry, Psychology and Neuroscience” というのがあるので、精神疾患を持つ患者のかかりつけが多いのかもしれない。

Impact of Rehabilitation on Outcomes in Patients With Ischemic Stroke: A Nationwide Retrospective Cohort Study in Japan. (2017.1.20 published online)

虚血性脳卒中で入院した患者のリハビリ効果を調べるために、データベースを用いて 100719名を解析。リハビリ早期開始 (入院後 3日以内)、リハビリ強度 (単位数) について、Barthel index改善の有無を評価。早期開始による Barthel indexの改善は odds ratio 1.08 (95%信頼区間 1.04~1.13), 強化リハビリ療法 > 5単位/dayによる Barthel indexの改善は odds ratio 1.87 (95%信頼区間 1.69~2.07) であった。

解析に用いた数が大きいので有意差自体は出やすくなっている。しかし Barthel indexの改善に対する Odds比 1.08とか、リハビリを早期に始めるメリットって、この程度なのかと思った。一方で、リハビリ強度については、綺麗な量相関関係があり、しっかりとリハビリは頑張った方が良さそうだ。

YAMATO Study (Tissue-Type Plasminogen Activator and Edaravone Combination Therapy). (2017.1.24 published online)

日本からの報告。血栓溶解療法の前にエダラボンを投与しても、後にエダラボンを投与しても、再開通率や症候性脳卒中、mRSでの転帰に有意差はなかった。

個人的には、エダラボンの効果自体が微妙だと思っている (全くゼロじゃないだろうけれど、薬価に見合うだけのことはないのでは・・・) ので、予想範囲内の結論。エダラボンが本当に有効なのかについて、これまでの臨床試験はベースラインが揃っていなかったり、ブラインド化されていなかったりするので、きちんとしたデザインの RCTが行われることの方に関心がある。

Abstract 18462: Proton Pump Inhibitor Use Increases the Associated Risk of First-Time Ischemic Stroke. A Nationwide Cohort Study (2016.11.11 published online)

プロトンポンプ阻害薬 (PPI) が脳梗塞のリスクを高める (incidence rate ratio (IRR) of 1.21 (95% CI 1.16-1.27; P-value <0.0001)) という報告。

元々、AHA/ASA虚血性脳卒中予防ガイドライン2014の 2195ページには “Recently, evidence has emerged that proton pump inhibitors (PPIs), such as esomeprazole, may reduce the effectiveness of clopidogrel. However, a large population study from Denmark suggested that PPIs themselves may increase the risk of cardiovascular events, so that when they are used with clopidogrel, the PPI may be the culprit.” という記載があり、PPIで心血管イベントが増えるかもしれないとされていたけれど、それを裏付ける結果。最近、PPIの副作用についての論文が増えている。

Potential Signals of Serious Risks/New Safety Information Identified by the FDA Adverse Event Reporting System (FAERS): July – September 2016 Report

FDAより、NOACsで血管炎の恐れとの安全情報。

ダビガトランとシンバスタチンの併用には注意

プラザキサとリポバスの併用で、出血リスクが高まる (OR 1.46[1.17-1.82]) らしい。詳細はリンク先のブログ記事参照。

WarfarinAssociated Nonuremic Calciphylaxis. (2017.1.11 published online)

ワルファリンに関連した非尿毒症性 Calciphylaxisの報告。著者らの 3例に加えて、15例の文献的検討。Calciphylaxisは腎不全に関連して起こることが近年話題になっているが、腎不全がなくてもワルファリン内服に関連して発症することが極めて稀ながらあるらしい。治療は抗凝固療法やチオ硫酸ナトリウム (デトキソール) などが用いられ、18例中 15例が生存した。古典的 Calciphylaxisの死亡率が 50~80%とされているのと比較すると予後は良好だった。

Facebookでこの論文について書いたら、リウマチ科医の先生から「vasculitis mimicsとして有名」と教えて頂いた。

Pharmacologic Treatment of Hypertension in Adults Aged 60 Years or Older to Higher Versus Lower Blood Pressure Targets: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians and the American Academy of Family Physicians. (2017.1.17 published online)

アメリカ内科学会とアメリカ家庭医学会より、高齢者の血圧管理についてのガイドラインが公表された。GRADEシステムで作成されている。

Recommendation 1:ACP and AAFP recommend that clinicians initiate treatment in adults aged 60 years or older with systolic blood pressure persistently at or above 150 mm Hg to achieve a target systolic blood pressure of less than 150 mm Hg to reduce the risk for mortality, stroke, and cardiac events. (Grade: strong recommendation, high-quality evidence). ACP and AAFP recommend that clinicians select the treatment goals for adults aged 60 years or older based on a periodic discussion of the benefits and harms of specific blood pressure targets with the patient.
Recommendation 2:ACP and AAFP recommend that clinicians consider initiating or intensifying pharmacologic treatment in adults aged 60 years or older with a history of stroke or transient ischemic attack to achieve a target systolic blood pressure of less than 140 mm Hg to reduce the risk for recurrent stroke. (Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence). ACP and AAFP recommend that clinicians select the treatment goals for adults aged 60 years or older based on a periodic discussion of the benefits and harms of specific blood pressure targets with the patient.
Recommendation 3:ACP and AAFP recommend that clinicians consider initiating or intensifying pharmacologic treatment in some adults aged 60 years or older at high cardiovascular risk, based on individualized assessment, to achieve a target systolic blood pressure of less than 140 mm Hg to reduce the risk for stroke or cardiac events. (Grade: weak recommendation, low-quality evidence). ACP and AAFP recommend that clinicians select the treatment goals for adults aged 60 years or older based on a periodic discussion of the benefits and harms of specific blood pressure targets with the patient.
要するに、「何もない高齢者では収縮期血圧 150 mmHg以下、心血管イベントのリスクが高ければ 140 mmHg以下を目標にするが、個々の症例で利益と害をよく考えて決める」というもの。高齢者の血圧を下げすぎないのは最近のトレンドだが、やはり脳血管障害予防はある程度下げるほうが効果的ともいわれているので、妥当な結論ではないかと思う。ただ、細かい数字については色々議論があるようで、2017年1月30日の JAMAにはもう少し異なる提案が掲載されていた。

Hypertension

降圧基準の提案 (JAMA)

米国糖尿病学会から糖尿病の標準医療 2017年版が公開された。主な変更点はこちら

Management of Sepsis and Septic Shock. (2017.1.19 published online)

敗血症の治療ガイドラインである Surviving Sepsis Campaignが改定された。主要な推奨項目は下記 (抜粋)。

・敗血症と認識してから 1時間以内に、想定される病原体を全てカバーした広域抗菌薬を投与。

・解剖学的な感染源のコントロールを可能な限り速やかに行う。

・毎日、培養結果や臨床的改善を基に抗菌薬を de-escaltionすることを検討。

・敗血症性の低血圧がある場合、3時間以内に 30 ml/kgの晶質液を輸液。

・昇圧剤を要する敗血症性ショックでは、平均血圧 65 mmHgを目標とする。

・昇圧薬としては、ノルアドレナリンを第一選択薬とする。

・敗血症関連 ARDSでは、一回換気量 6 ml/kg、プラトー圧 30 cmH2O以下を目標とする。

→こちらの過去のブログ記事も参考に:入れる、締める、叩く!

Transient smartphone blindness: Relevance to misdiagnosis in neurologic practice. (2017.1.18 published online)

2016年に NEJM誌に報告された transient smartphone blindnessについて。メカニズムは、一般人向けのサイトに詳しい。それ自体に害はないのだけれど、頭部MRIで小血管病巣と思われる白質病変が散剤されていたため、多発性硬化症と誤診されてしまったという報告。

Ibrutinib monotherapy in relapsed/refractory CNS lymphoma: A retrospective case series. (2016.11.18 published online)

原発性中枢神経リンパ腫 (PCNSL) あるいは二次性中枢神経リンパ腫の対する Ibrutinibの後方視的ケースシリーズ 14名。いずれも、難治例 (12名) もしくは再発例 (2名)。最良の治療効果は、完全寛解が 3名、部分寛解が 4名。最終的には、5名死亡、6名が疾患活動性がありながら生存、3名が寛解を維持 (8, 8, 12ヶ月) であった。

Improved Muscular Weakness During Asthma Exacerbation. (2017.1.3 published online)

48歳男性、小児期からの筋力低下で、針筋電図や、血清CKレベルなどは正常。喘息発作のため、アルブテロールおよびステロイドの吸入を行ったところ、筋力が改善し、階段をのぼったり、数 km歩いたりできるようになった。

診断は先天性筋無力症。DOK7変異による先天性筋無力症では、サルブタモール吸入 (10 mg/day) で症状が改善することが知られているようだ。機序は不明だが、MuSKシグナル経路の障害を軽減することによる終板構造の安定化が仮説と唱えられているらしい。

AbbVie Initiates Phase 2 Clinical Trial Programs for ABBV-8E12, an Investigational Anti-Tau Antibody, in Early Alzheimer’s Disease and Progressive Supranuclear Palsy (2017.1.25)

AbbVie社が初期アルツハイマー病患者と進行性核上性麻痺患者を対象に、抗タウ抗体 ABBV-8E12の第二相試験を開始するらしい。

進行の遅い患者も多いので、52週間進行を観察して有意差を示せるかなぁ・・・という気はするけれど、薬剤の機序的にとても期待している。

Burnout, career satisfaction, and well-being among US neurologists in 2016. (2017.1.25 published online)

神経内科医の燃え尽き (burnout)、仕事満足度などについてのサーベイランス。米国神経内科学会の会員を対象とし、40.5%から回答を得られた。平均年齢は 51歳、65.3%が男性。少なくとも 60%が燃え尽きの症状を自覚していた。燃え尽きのリスクと関連していたのは、労働時間/週、夜間オンコール/週、外来患者数/週、事務仕事量だった。サポートスタッフ、仕事の裁量権、意義のある仕事、年齢、てんかんのサブスペシャリティがリスク低下と関連していた。アカデミア (Academic practice) の神経内科医は臨床 (clinical practice) の神経内科医と比較して、燃え尽き率が低く、満足度が高く、QOLも高かった。燃え尽きは、仕事満足度の低さと強く相関していた。

私はまだ燃えてすらいないダメ医者ヽ(´ー`)ノ


最近の医学論文 前編

By , 2017年2月1日 6:21 PM

なんとか2月の3講演のスライドを完成させ、和文総説も前倒しで終えました。ガイドラインの資料もほぼ完成して、委員のチェックが終わればパブコメです。

今回の論文チェックは 1ヶ月分だから楽かなとおもったら、面白い論文が多すぎて、2回に分けました。

Ocrelizumab versus Interferon Beta-1a in Relapsing Multiple Sclerosis. (2016.12.21 published online)

多発性硬化症 (一次性進行型を除く) に対して、オクレリズマブとインターフェロンβ1aを比較した 2つの第三相試験 (OPERA I/II) をまとめた報告。Double-dummyで double-blindとのこと。オクレリズマブは、CD20陽性 B細胞に対するモノクローナル抗体である。オクレリズマブ群は、600 mgを 24週間毎に経静脈投与した。一方、インターフェロンβ1a群は 44 ug週 3回の皮下注射を 96週間続けた。その結果、主要エンドポイントである年間再発率は OPERA I試験でオクレリズマブ群 0.16, インターフェロンβ1a群 0.29 (オクレリズマブ群で 46%低い, p<0.001) で、OPERA IIでオクレリズマブ群 0.16, インターフェロンβ1a群 0.29 (オクレリズマブ群で 47%低い, p<0.001) であった。両試験を併せると、12週間後に障害が進行した患者の割合は、オクレリズマブ群でインターフェロンβ1a群に比べて有意に低かった (9.1 v.s. 13.6%, hazard ratio 0.60, 95%信頼区間 0.45~0.81, p<0.001)。また24週間後についても同様であった (6.9 v.s. 10.5%, hazard ratio 0.60, 95%信頼区間 0.43~0.84, p=0.003)。ガドリニウム造影病変の平均個数は、オクレリズマブ群で 0.02個、インターフェロンβ1a群で 0.42個であった。注射関連反応がオクレリズマブ群の 24%でみられた。重症感染は、オクレリズマブ群 1.3%で、インターフェロンβ1a群 2.9%であった。悪性腫瘍はオクレリズマブ群 0.5%で、インターフェロンβ1a群 0.2%だった。

ベースラインで半数以上の患者の EDSSが 0という、比較的軽症者を対象とした試験。経静脈投与の薬剤の方が、皮下注射で用いるインターフェロンなどより効果が高いというのは、他の薬剤でもそうなので驚くような結果ではない。むしろ驚いたのは次の文章。スポンサーとズブズブの臨床試験じゃないか・・・。”The sponsor, F. Hoffmann–La Roche, designed the trial in consultation with members of the ORATORIO trial steering committee. Data were collected by the site investigators, queries were responded to by site personnel, and the data were analyzed by the sponsor; the aggregated and individual results of the participants were reviewed by the sponsor and steering committee.”, “A subgroup of authors, which included academic authors and authors who are employees of the sponsor, drafted the manuscript, and all the authors approved the final version and made the decision to submit the manuscript for publication. Medical-writing assistance was funded by the sponsor.” という記載。あと、注射関連反応が 24%にみられたということは、その 24%では盲検化は崩れているのではなかろうか・・・。

Ocrelizumab versus Placebo in Primary Progressive Multiple Sclerosis. (2016.12.21 published online)

多発性硬化症の一次進行型を対象に、オクレリズマブとプラセボを比較した第三相試験。732名の一次進行型多発性硬化症患者を、2:1でオクレリズマブ 600 mgかプラセボに割り付け。薬剤の経静脈投与は 24週間ごとに、少なくとも 120週間もしくは事前に定められた数の障害進行イベントが起こったときまでとした。主要エンドポイントは 12週間の時点で障害の進行が確認された患者の割合とした。その結果、12週での障害が進行した患者の割合は、オクレリズマブ群 32.9%で、プラセボ群 39.3%だった (Hazard ratio 0.76, 95%信頼区間 0.59~0.98, P=0.03)。24週ではオクレリズマブ群 29.6%で、プラセボ群 35.7%だった (Hazard ratio 0.58, 95%信頼区間 0.58~0.98, P=0.04)。120週での timed 25-foot walk (25フィート歩行の時間) の悪化は、オクレリズマブ群 38.9%で、プラセボ群 55.1%だった (P=0.04)。T強調像での病変は、オクレリズマブ群で 3.4%減少に対し、プラセボ群では 7.4%増加した。

一次進行型の多発性硬化症に効果が証明された薬剤は存在しないので、もし有効であれば凄いことだと思う。同じく CD20阻害薬であるリツキシマブは、有効性を証明できなかった (OLYMPUS trial) とのこと。この臨床試験も、同じ号に掲載されたインターフェロンβ1aとの比較同様、次の文句が並ぶ。”The sponsor, F. Hoffmann–La Roche, designed the trial in consultation with members of the ORATORIO trial steering committee. Data were collected by the investigators and analyzed by the sponsor; the results were reviewed by the sponsor and steering committee.” “The first draft of the manuscript was written by the first and last authors, with medical writing assistance funded by the sponsor.”

An observational study of alemtuzumab following fingolimod for multiple sclerosis. (2017.1.10 published online)

フィンゴリモドを中止して 12ヶ月以内にアレムツズマブを開始すると、多発性硬化症の疾患活動性が高くなることを示唆する 9症例の報告。アレムツズマブに先行してフィンゴリモドが投与されていた 36例中 9例なので、実は多いのかもしれない。

多発性硬化症の新薬は次々と生まれていて、組み合わせ次第では様々なことが起きるのではないかという気がする。これは氷山の一角ではないだろうか。

Severe B-cell-mediated CNS disease secondary to alemtuzumab therapy. (2017年2月号)

41歳男性にアレムツズマブの初回投与を行った後、症状の急激な増悪があり、頭部MRIで造影される新規病変が 20ヶ所出現していた。メチルプレドニゾロン 7000 mgの静脈内投与を行ったが改善なく、免疫吸着療法が奏功した。病勢を安定させるため、リツキシマブを追加した。その後、症状は安定し、新規病巣の出現もない。

アレムツズマブを使う機会はそうそうないけれど、こういうこともあるのかと。しかし、そこでリツキシマブを使うとは、かなり勇気が必要だっただろうなぁ・・・。

Soluble CD27 Levels in Cerebrospinal Fluid as a Prognostic Biomarker in Clinically Isolated Syndrome. (2017.1.3 published online)

臨床的イベントが 1回のみで、まだ多発性硬化症と呼べないものを clinically isolated syndromeと呼ぶが、将来多発性硬化症になる患者ではそうでない患者と比べて髄液中の可溶性 CD27が高いという報告。

確かにそうかもしれないけれど、個々の症例で将来多発性硬化症を発症するかどうかの予測に使えるほどはっきり分離できる結果ではないと思った。

MOG antibody-positive, benign, unilateral, cerebral cortical encephalitis with epilepsy. (2017.1.16 published online)

東北大学からの報告。てんかんを伴う片側性皮質性脳炎で抗MOG抗体を測定したところ陽性であった。そこで、24例の原因不明の成人ステロイド反応性脳炎で抗MOG抗体を測定した。その結果、さらに 3名が抗MOG抗体陽性であった。全例男性で、年齢中央値 37歳 (23~39歳)、主要な症状は全般性てんかん発作であった。2例では片側性の良性視神経炎があった。全例、頭部MRIで片側の大脳皮質が FLAIRで高信号となっており、それらは腫脹し、SPECTでの血流増加に合致した所見であった。髄液では、単核球優位の中等度の細胞数増多と軽度の蛋白上昇があったが、ミエリン塩基性蛋白の上昇はなかった。他の抗体は陰性で高用量のメチルプレドニゾロンが有効で、MRIでの病巣は消失した。再発はなかった。

頭部MRIで片側皮質の FLAIR高信号を伴う自己免疫性脳炎では、抗MOG抗体の測定が必要・・・というのは勉強になった。

Anti-LGI1 encephalitis is strongly associated with HLA-DR7 and HLA-DRB4. (2016.12.27 published online)

悪性腫瘍非合併の抗LGI1抗体による脳炎患者 25名の HLAを調べたところ、HLA-DR7が 88% (コントロール群 19.6%)、HLA-DR4が 100% (コントロール群 46.5%) であった。著者らは、HLA-DR7や HLA-DR4を欠く抗LGI-1抗体脳炎では、悪性腫瘍の疑いがあるかもしれないとしている。

Characteristics in limbic encephalitis with anti-adenylate kinase 5 autoantibodies. (2017.1.6 published online)

抗AK5抗体陽性脳炎 10例の纏め。平均年齢中央値 64歳 (57~80歳)、けいれん発作を伴わない前向性健忘、ときどき無力症 (asthenia) や気分障害の先行がある。癌との関連はない。全例、MRIで両側の海馬以上信号があった。髄液検査では、軽度の細胞数増多、IgG index上昇、オリゴクローナルバンド、タウ上昇 (Aβやリン酸化タウは正常) がみられた。1例を除き、免疫療法は効果がなく、高度な前向性健忘が残存した。2例では重度の認知機能低下が進行した。MRIでその後海馬萎縮がみられた。In vitroでは 抗AK5抗体の役割を同定することはできなかった。

高齢者の前向性健忘を伴う脳炎で、当初 FLAIRで海馬の異常信号があり、やがて萎縮するという、似たような症例の経験がある。この報告と異なっていたのは、てんかんを合併していたこと。昔働いていた病院なのだけど、この疾患だったのかどうか気にかかる。

Efficacy, safety, and tolerability of lacosamide monotherapy versus controlled-release carbamazepine in patients with newly diagnosed epilepsy: a phase 3, randomised, double-blind, non-inferiority trial. (2016.11.24 published online)

新規抗てんかん薬ラコサミドの第三相試験。16歳以上の新規てんかん患者が対象。介入群はラコサミド (100→200 mg/day, 発作があれば max 600 mg/dayまで増量)、対照群はカルバマゼピン徐放錠 (200→400 mg/day, 発作があれば max 1200 mg/dayで増量)。主要エンドポイントは 6ヶ月連続で発作消失。6ヶ月の治療を継続できたのは、ラコサミド群 74% (327名)、カルバマゼピン徐放錠群 70% (308名) だった。6ヶ月間の発作抑制は、ラコサミド群 90%、カルバマゼピン徐放錠群 91%で、絶対リスク差 -1.3% (95%信頼区間 -5.5~2.8%)、だった。ラコサミドはカルバマゼピン徐放錠に非劣性だった。

有害事象の総数は両群でそれほど大きな違いはないが、ラコサミド群では浮動性めまいが多く、カルバマゼピン徐放錠では倦怠感、皮疹、傾眠、肝機能障害が多い傾向にあった。

副作用

副作用

Monotherapy treatment of epilepsy in pregnancy: congenital malformation outcomes in the child. (2016.11.7 published online)

妊婦への抗てんかん薬単剤療法の Cochrane reviewが公開されている。包含基準を満たした 50の臨床試験のうち、31試験で meta-analysisをおこなった。その結果、大奇形のリスクが最も低かったのはレベチラセタムとラモトリギンであった (キモの部分は “There was no increased risk for major malformation for lamotrigine (LTG). Gabapentin (GBP), levetiracetam (LEV), oxcarbazepine (OXC), primidone (PRM) or zonisamide (ZNS) were not associated with an increased risk, however, there were substantially fewer data for these medications.For AED comparisons, children exposed to VPA had the greatest risk of malformation (10.93%, 95% CI 8.91 to 13.13).”)。しかし、特異的な奇形についてのデータには乏しく、内科医はリスクと治療の有効性について、患者とよく話し合うべきである。(日本語要約)

薬剤選択について従来の結論と大きな違いはないが、こういう質の高い研究で示された意義は大きい。さまざまな抗てんかん薬の直接比較をおこなっているのだが、抗てんかん薬は種類が多く、比較には様々な組み合わせがあるため、解析を見ると Comparison 66までおこなっていて、大変な努力が必要な研究だと思った。

Rhabdomyolysis Associated with Levetiracetam Administration. (2016.12.31 published online)

レベチラセタム静脈内投与後に横紋筋融解症をきたした 27歳女性の報告。レベチラセタム単剤で治療を始めた後に出現し、無症候性で血清 CKの最大値は 49539 U/lだった。これまでレベチラセタムに関連した横紋筋融解症は 4例報告されている。全例 13~29歳で、CKは 986~29136 U/lだった。4名中 3名では併用薬があり、単剤だった 1名の CKは 986 U/lだった。

よく使う薬剤なので、極めて稀ではあっても、知っておきたい副作用。

Glucocorticoid-associated worsening in reversible cerebral vasoconstriction syndrome. (2017.1.17 published online)

可逆性脳血管攣縮症候群は、繰り返す雷鳴頭痛を呈し、約 1/3~1/2に虚血や出血を合併する。中枢神経原発血管炎 (primary angiitis of the CNS; PANCS) との鑑別を要する。mRS 3点を超えるアウトカム不良は 5~14%とされている。著者らは、後方視的に臨床的あるいは画像上の増悪をきたす要因を調べた。その結果、ステロイドを投与された患者の 37%で臨床的な悪化があった (ステロイド非投与では 5%)。また、臨床的悪化のあった患者で退院時の mRS 4-6の予後不良の割合は、ステロイド投与群で ステロイド投与群 47%、非投与群 17%だった。ベースラインの重症度で、ステロイド投与群が非投与群より軽症であったわけではなく (むしろベースラインの画像ではステロイド投与群の 35%が正常で、非投与群では全例異常があった)、ステロイド投与から症状増悪まで、ほとんどが 2日以内だった。SSRIで症状や画像上の悪化がみられたが、退院時の障害スコアへの影響はなかった。カルシウム拮抗薬やトリプタン製剤は、頭痛や増悪の予防に効果はなかった。

後方視的な研究だが、かなり説得力のある報告である。PANCSだった困るという理由で安易にステロイドを使ってしまうと、予後を悪化させる恐れがあるというのは、臨床医にとってジレンマとなるかもしれない。

Genetic epidemiology of amyotrophic lateral sclerosis: a systematic review and meta-analysis. (2017.1.5 published online)

筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の遺伝子についての systematic reviewおよび meta-analysisをおこない、ヨーロッパ人とアジア人を比較している。ヨーロッパ人では C9orf72変異が多く、日本人では SOD1変異が多い。

それぞれの頻度については、図を見ると一目瞭然。

Genetic epidemiology of ALS

Genetic epidemiology of ALS

Pain in amyotrophic lateral sclerosis. (2016.12.8 published online)

筋萎縮性側索硬化症 (ALS) と疼痛についての総説。ALSでは様々なタイプの疼痛がある。頻度については研究によりばらつきが大きい。軽度のことが多いが、中等度以上の疼痛もみられる。メカニズムとしては、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性感作がある。治療法について、2013年のコクランレビューでは RCTなしとしている。著者らは、疼痛で用いる薬剤を次のように推奨している。

・神経障害性疼痛 (四肢):Gabapentin (First line), Pregabalin (First line), 三環系抗うつ薬 (First line)

・筋痙攣 (下肢、手、腹部):Quinine sulphate (First line), Gabapentin (Second line), Mexiletine (First line), Dronabinol (Second line), Levetiracetam (First line)

・痙性 (下肢):Levetiracetam (First line), Baclofen髄注 (Second line),Baclofen内服/tizanidine/dantrolene/benzodiazepines (NA)

・体動困難に起因する疼痛:NSAIDs and paracetamol (First line), Opioids (Second line), Cannabis (Second line)

・四肢の麻痺 (肩痛, 関節痛):リドカイン・ステロイドの関節内注射 (First line)

ALSと疼痛

ALSと疼痛のタイプ

ALSで疼痛を訴える患者さんはたまにいるので読んでみたけれど、やはりわかっていないことが多いみたい。治療薬としては NSAIDs/アセトアミノフェンもしくは神経障害性疼痛についての薬剤がメインになるというのは予想通り。

後編】へ続く


なぜ、無実の医師が逮捕されたのか

By , 2017年1月26日 5:43 PM

なぜ、無実の医師が逮捕されたのか: 医療事故裁判の歴史を変えた大野病院裁判 (安福謙二著、方丈社)」を読み終えました。

ここ数ヶ月で一番心に響いた本。熱い言葉がたくさん散りばめられていました。

私が都内の大学から福島県の病院に出張になっていたとき、大野病院事件は起こりました。当時はさまざまな医療系ブログが連日この事件を扱っていて、あの頃の独特な空気は今でも思い出します。加藤先生を救うための署名運動に、私も署名しました。

この事件は、ギリギリで頑張っていた医療従事者たちの心を折って、医療崩壊を顕在化させました。「たらい回し」報道が溢れたのも、この後です。

読んでいてどんどん引き込まれるドキュメントですが、現在の医療と司法制度の問題が、繰り返し深く考察されています。

本書を読むと、到底過失を問える案件ではないこと、医学に無知な検察が思い込み (患者家族に保険金が下りるようにという目的で作られた鑑定書に、医師に過失があったように記載する必要があり、それを元に医師に懲戒処分がくだったことなども影響したようでした) を押し通そうとして突っ走ったことがよくわかります。裁判では、検察の思い込みがことごとく論破されています。また、訴訟は勝つか負けるかを争うものであり、真実かどうかは関係ない、裁判に関係ない資料はたとえ真相究明に重要であっても無視される、ということがよく伝わってきました。

なお、先日、私は警察の取り調べを受けた病院関係者と話す機会がありましたが、「相手は何もわかっていないみたいでした。『これを聞かなくて良いの?』というのもあったけれど、聞かれなかったから答えませんでした」とのことでした。

この事件は医療関係者にとって大きな意味をもっています。是非、多くの人に読んで貰いたいです。被告側弁護人であった著者に、印税という形で感謝の気持ちを伝えたいという思いもあります。

最後に、いくつかメモしておきたい文章。

・だが、警察の拘束、監視下に何日も置かれ、非日常のなかで思いもつかないことを聞かれ続けると、頭の中を引っかき回されるような状態になる。相手がどういう意図や目的で聞いているのか、自分に不利なのか有利なのか、判断する力が奪われていく。答えても、自分が何を語っているのか判然としなくなってくる。その状態に人を追い込むことこそ、それが「日本における取調べ」であり、強制捜査 (逮捕、勾留) の目的の一つなのである。こんな取調べは、まともな先進国では許されない。しかし、これが、日本の刑事司法の現実である。(P17~18)

・年間の出産件数 224件!1年365日のなかで 224件のお産なら、一人で毎日のようにお産を扱っていることになる。1年365日オンコール状態だ。人間わざではない。毎日毎日、生死を分けるお産の現場に、1人で立ってきた。これは限界を越えている。医師の人権がここでも踏みにじられていた。心のどこかでカチンと小さな音がした。 (略) 懲戒処分を知って、しぼんでいた気持ちの風船が怒りでまた、ふくらみだした。気がついた時、私は電話を手に取っていた。やるしかない。(p25~26)

・会えた、加藤医師だ。傍聴の人々からなんともいえない押し殺した悲鳴があがった。佐藤教授は、加藤医師をじっと見たまま、滂沱の涙が流れるままのゆがんだ顔。医局の医師はみな、声を殺しすすり泣いている。加藤医師が法廷に進んでくると、「頑張れ」「みんながついているぞ」と、傍聴席から低い声があがった。(略) 帰り際、裁判所の廊下で、佐藤教授が語りかけた。「加藤先生をつれていった看守が、先生の弁論にもらい泣きしていましたよ」「えーっ」私は驚いた。加藤医師を退廷させる時に、さりげなく拘束を緩めて、加藤医師が振り返ることを許したあの人だろうか。「あれだけ理路整然と言っても、まだ、わかってもらえないどころか、まったく反応しない。裁判所は最初から勾留を認める、って決めていたんでしょうけれどね。裁判とは怖いものだねぇ。私は今日、身にしみてわかりました」と佐藤教授は唇を噛み締め、下を向かれた。よほど悔しい思いなのだろう。(p108~112)

・この母親の死を無駄にしない方法は、裁判ではない。調査、検証による徹底した究明、それにもとづいた再発防止の徹底しかない。いつまで、「医師逮捕」に象徴される愚かしい制度を続けるんだ。怒りすら沸き起こってくる。(P239)

・私の担当医であった若い医師がある時、「逮捕されないためにはどうすればいいですか」と聞いてきた。その真剣な目つきに、返す言葉を失った。要するに業務上過失致死罪によって逮捕されないためには、どのような注意をし、対応したならばよいのかと言う質問だった。同じ業務上過失致死罪に問われる業務の一つで言えば、自動車などの運転業務であれば、逮捕されない方法は、弁護士に聞くまでもなく、ほぼ誰にでも明らかなのではないだろうか。(略) しかし、これが、医療現場における医療者の場合は、そのようなわかりやすい方法はない。何故ならば、大野病院判決が述べた通り「医療行為が身体に対する侵襲行為を伴うものである以上、患者の生命や身体に対する危険性があることは自明であるし、そもそも医療行為の結果を正確に予測することは困難である。過失なき医療行為をもってしても避けられなかった結果 (死) と言わざるを得ない」のである。にもかかわらず、大野病院事件では逮捕された。要するに逮捕される理由が見当たらない。言い換えれば、逮捕されない方法が見当たらない。単に、結果の責任を問われただけである。しかもその結果は、過失なき診療行為をもってもたらされた。(P269~270)


心房の線維化

By , 2017年1月9日 5:30 PM

2017年1月5日の抄読会で、心房の線維化についての論文を読みました。2016年12月31日のブログで簡単に紹介した論文です。

心臓の植え込み式レコーダーの普及とともに、心原性脳塞栓症と思われる症例の前に、必ずしも心房細動が先行していないことがわかってきました。どうやら、心房細動がなくても、心原性脳塞栓症を発症することがあるようなのです。

著者らは、心臓MRIの知見を元に、それが心房の線維化によるものではないかと考察しています。つまり、心房の線維化が、心房細動を引き起こすこともあれば、心房細動を介さずに直接脳梗塞の原因になることもあるというのです。

私は、これまで「心房細動→血栓形成→心原性脳塞栓症」というのが主な流れだと思っていたので、非常に驚きました。

論文を要約した資料を下記に貼っておきます。

New perspectives on atrial fibrillation and stroke.


初熱

By , 2017年1月9日 5:22 PM

明けましておめでとうございます。

1月2日、ビジター会員となっている大山乗馬センターで乗馬をしました。なんと、1日乗り放題コース。午前 12 km, 午後 18 km、トータルで 30 kmちょい乗りました。

1月3日新幹線ひかりグリーン車 (正月は普通車が取れないんですね) に抄読会の準備をしていたのですが、なんだか身の置き所のないような倦怠感。名古屋駅で隣に乗ってきた女性の髪が良い匂いだったので、それを胸いっぱいに吸い込み (※すみません)、なんとか誤魔化しながら乗り切りました。東北新幹線でビールを飲んだもののまずくて、大体そういうときは発熱の前触れです。

1月4日午前2時頃、寒気で目が覚めました。37℃台の発熱です。筋痛は、乗馬の筋肉痛のせいではっきりせず。その後、段々と鼻汁、咳、痰が加わりました。どうしても休めない仕事があったので、出勤し、職場でインフルエンザ迅速検査をしましたが陰性。ただ、インフルエンザ迅速が陰性というのは、インフルエンザではないという証明には全くならないんですよね。それは、感度が非常に低いからです。下記のサイトをごらんください。私が Birminghamでコクランの診断精度研究の講義に出た時に用いた論文を解説しています。

「熱が出てすぐはインフル検査をしない」は妥当か?

ということで、この時期に発熱、flu-like symptomがあったら、インフルエンザ患者として扱うべきです。私は、臨床診断のみで診断書まで書きますし、患者に仕事を休むように指導しますが、自分が休めるかといえば、外来と当直次第ですね・・・(汗

その後、熱はダラダラと続き、やっと 1月9日 37.0℃まで下がりました。

ガイドラインの資料の締切が 1月10日、講演が 1月14日、という差し迫った事情があり、連休中はずっと仕事をしていました。早く体調を戻さないと。

2月の講演 2件は準備が全くできていなくて、プラスして和文総説の締切もあります。ずっと師走が続いている感覚になります。


最近の医学論文

By , 2016年12月31日 4:35 PM

12月中旬の講演、12月25日のガイドライン作成会議に向けた資料作りなどでバタバタしており、またもや纏めて論文チェックする羽目に。例によって備忘録です。チェックした論文はこうしてどこかに書いておかないと、「○○みたいな雰囲気の論文読んだ気がしたけれど、なんだっけ」と後日モヤモヤした気分を味わうことになります。他の同業者は、その辺どうしているんでしょうかねぇ・・・。

何とか年内に終わらせたくて、当直明けの睡魔と戦いながら 1日で読んで纏めたので、今回もちょっと雑です。

Association of Albumin Levels With Outcome in Intravenous Immunoglobulin-Treated Guillain-Barré Syndrome. (2016.12.27 published online)

Guillain-Barre症候群で免疫グロブリン大量療法 (IVIg) 後に低アルブミン血症である場合、重篤で機能予後も良くないのかもしれない。主な理由として、代謝の亢進、産生低下、血管低下性の亢進が挙げられる。免疫グロブリンによる直接作用も考えられるが、IVIgによる IgGの増加とアルブミン低下に相関はなく、どの程度の影響しているかは不明。

GBSとアルブミン

GBSとアルブミン

Guillain-Barré syndrome after surgical procedures. (2016.11.23 published online)

Guillain-Barre症候群 208名のうち、外科手術後 8 週間以内に発症したのは 31名 (15%) であった。術後 Guillain-Barre症候群の初発症状の中央値は、術後 19日であった。手術は胃腸、心臓、整形外科手術が多かった。術後 Guillain-Barre症候群では、悪性腫瘍の合併 (61%)、自己免疫疾患 (29%) が多かった。

Autoimmune choreas (2016.12.1 published online)

表1に後天性の舞踏病の原因一覧が纏まっている。個人的には、高血糖/低血糖、脳血管障害で多い印象だが、感染後の原因不明の舞踏病で困ったことがあり、その時にこういう手元にあったら良かったと思った。

Autopsy validation of 123I-FP-CIT dopaminergic neuroimaging for the diagnosis of DLB. (2016.12.9 published online)

レビー小体型認知症 (DLB) において、ドパミン作動性ニューロンを SPECTで評価。Reference standardには剖検を用いた。SPECTの感度 80%, 特異度 92%だった (臨床診断の感度 87%, 特異度 72%)。DLBの 10%は SPECTで正常だった。

Bortezomib for treatment of therapy-refractory anti-NMDA receptor encephalitis. (2016.12.21 published online)

2016年8月のブログ記事で、抗NMDA受容体抗体脳炎で bortezomibが奏功した 2例を報告した JAMA Neurology論文を紹介した。今回は、Neurology誌より、5例中 4例で臨床的効果があったとの報告。将来的に、有力な治療オプションとなるような予感。RCTが望まれる。

Causes of progressive cerebellar ataxia: prospective evaluation of 1500 patients. (2016.12.13 published online)

進行性の小脳失調 1500例の内訳。かなり人種差があるように思うけれど、どのような疾患を考えなければいけないか参考になる。孤発性が 80%を占めた。孤発性のうちGluten ataxiaが 25%、特発性が 24%であった。

進行性小脳失調原因内訳

進行性小脳失調の原因内訳

Cerebellar Ataxia and Hearing Impairment. (2016.12.5 published online)

症例問題。解答はクロイツフェルト・ヤコブ病 (CJD)。診断のための検査精度 (感度/特異度) は髄液 14-3-3蛋白 92%/80%, 脳波での PSD 67%/86%, MRIでの拡散強調像 83~92%/87~95%とされている。ポイントは、古典型で特に特発性小脳失調が初発症状の場合、これらが陰性である場合があり、場合によっては全て陰性ということもあること。

Study Suggests Alzheimer and Parkinson Disease Are Not Transmitted Through Blood Transfusion. (2016.12.21 published online)

アルツハイマー病やパーキンソン病の原因蛋白質が伝播するというプリオン仮説というのが知られているが、輸血で伝播することはどうやらないようだ。

Chemoprevention of colorectal cancer in individuals with previous colorectal neoplasia: systematic review and network meta-analysis (2016.12.5 published online)

大腸癌 (colorectal neoplasia) 既往患者の再発予防についての systematic review & network meta-analysis。アスピリン以外の NSAIDsの効果が最も高いが、安全性と効果のバランスという意味では、アスピリンが良いようだ。

大腸がん予防

大腸がん予防

Coagulation Testing in Acute Ischemic Stroke Patients Taking Non-Vitamin K Antagonist OralAnticoagulants. (2016.11.29 published online)

NOACsは、薬剤による凝固への影響を直接測定することが難しく、その結果として血栓溶解療法が回避されることが多いという論文。

Direct comparison of dabigatran, rivaroxaban, and apixaban for effectiveness and safety in non-valvular atrial fibrillation. (2016.9.28 published online)

2016年11月23日のブログ記事で、高齢者を対象として、非弁膜症性心房細動にダビガトラン (150 mgを 1日 2回) を使用した場合とリバロキサバン (20 mgを 1日 1回) を使用した場合を比較したコホート研究について紹介した。Dabigatran, Rivaroxaban, and Apixabanの直接比較をしたコホート研究も出ていたようだ。

いずれも、非弁膜症性心房細動における脳卒中ないし全身性塞栓症に有意差はなし。重大な出血について、apixabanは dabigatran (HR 0.50), rivaroxaban (HR 0.39) より少なかった。Rivaroxabanは dabigatranより重大な出血 (HR 1.30) と頭蓋内出血 (HR 1.79) が多かった。

ダビガトランにとって辛いデータが次々と出ているようだ。

New perspectives on atrial fibrillation and stroke. (2016.8.24 published online)

2014年の NEJMに、心臓植え込み式レコーダーイベントトリガー式記録装置による長期間記録で心房細動の検出頻度が高まるという論文が 2報同時に発表されたのは記憶に新しい。

こうしたモニタリングにより、脳塞栓症を発症したとき、必ずしも心房細動が先行していないことがわかってきた。

最近の研究では、どうやら左房の線維化が影響しているらしい。

Stroke paradox with SGLT-2 inhibitors: play of chance or a viscosity-mediated reality? (2016.11.28 published online)

糖尿病治療薬 SGLT-2阻害薬で脳卒中のリスクが高まる可能性が指摘されている。SGLT-2阻害薬によるヘマトクリット上昇、ひいては血液の粘性亢進との関連が示唆される。

Differentiating lower motor neuron syndromes. (2016.12.21 published online)

下位ニューロン症候群の鑑別。

lower-motor-neuron-syndrome

lower-motor-neuron-syndrome

Ensuring Staff Safety When Treating Potentially Violent Patients. (2016.12.27 published online)

暴力を振るう可能性のある患者を治療する際、どのようにスタッフの安全性を確保するのかという総説。

First-in-human assessment of PRX002, an anti-α-synuclein monoclonal antibody, in healthy volunteers. (2016.11.25 published online)

Parkinson病を代表として、さまざまな神経変性疾患の原因となる α-synucleinへのモノクローナル抗体 PRX002。健常人を対象とした第一相試験で、安全性、忍容性は良好だった。

α-Synuclein binds to TOM20 and inhibits mitochondrial protein import in Parkinson’s disease. (2016.6.8 published online)

パーキンソン病の病因研究。α-synucleinはミトコンドリア外膜蛋白の TOM20と相互作用し、結果としてミトコンドリアの機能不全を起こすようだ。

Hypothermia for Neuroprotection in Convulsive Status Epilepticus. (2016.12.22 published online)

てんかん痙攣重積で、脳保護効果を期待して低体温療法を追加してもメリットはないようだ。

New-Onset Seizure in Adults and Adolescents (2016.12.27 published online)

新規発症のてんかん発作についての総説。基本的な事項がよく纏まっている。

Incidence and Etiologies of Acquired Third Nerve Palsy Using a Population-Based Method. (2016.11.17 published online)

動眼神経麻痺の原因にどのような疾患があるか。微小循環障害が多いけれど、その他にも年齢によって様々な疾患を考える必要がある。

動眼神経麻痺

動眼神経麻痺

Myasthenia Gravis (2016.12.29 published online)

NEJM誌に掲載された重症筋無力症の総説。特に真新しいことがあるわけではないけれど、網羅的でよく纏まっている。心筋炎は最近経験したので、とても参考になった。

“Myocarditis is rare but occurs with an increased frequency in patients with myasthenia gravis, as indicated by numerous single case series and reports. However, myasthenia-related clinical heart disease and heart dysfunction are very rare. In population-based studies, myasthenia gravis has not been associated with an increase in mortality related to heart disease. Functional imaging studies have shown minor and subclinical dysfunction. Myocarditis in myasthenia gravis is associated with Kv1.4 muscle antibodies. Antibodies against acetylcholine receptor, muscle-specific kinase, and LRP4 do not crossreact with heart muscle, in contrast to nonjunctional antibodies against Kv1.4, titin, and ryanodine receptor.”

神経内科医は知識の整理に読んでおくべき総説だと思う。

Osteoporosis and Fracture Risk Evaluation and Management. (2016.12.12 published online)

骨粗鬆症と骨折予防についての総説。キモは “Adequate calcium, vitamin D, and exercise involving weight-bearing and resistance are important for bone health at any age and likely contribute to the effectiveness of medications to reduce fracture risk. The Institute of Medicine (now the National Academy of Medicine) recommends calcium intake of 1000 to 1200 mg/d, ideally from foods; calcium supplements may be needed for patients whose diets do not supply sufficient calcium. For vitamin D, 600 to 800 IU/d is recommended for public health purposes, but a supplement of 1000 to 2000 IU/d is reasonable for those at increased risk of osteoporosis; serum 25-hydroxyvitamin D levels higher than 30 ng/mL (to convert to nmol/L, multiply by 2.496) may be the appropriate target in such patients. Walking (or a weight-bearing “walking equivalent” such as treadmill or elliptical) for 30 to 40 minutes at least 3 times per week is ideal (5 sessions per week of aerobic activity is recommended for cardiovascular fitness; additional sessions, if needed could be non–weight bearing, such as swimming or cycling).” で、きちんとビタミンDとカルシウムの補充をし、運動と体重のコントロールをした上で、ハイリスク症例でビスホスホネートなどを考えましょうという点。

Ring-enhancing spinal cord lesions in neuromyelitis optica spectrum disorders. (2016.12.2 published online)

視神経脊髄炎関連疾患 (NMOSD) の脊髄病変では、約1/3にリング状造影効果がみられ、多発性硬化症を除く、他の脊椎疾患との鑑別に有用である。Figure 4の画像所見が勉強になる。A:頸椎症、B:サルコイドーシス、C:dural AVF、D:脊髄梗塞、E:傍腫瘍性ミエロパチー、F:多発性硬化症 (NMOSDの ring enhancementは Fig.2)

脊髄画像

脊髄画像

 

Safety and pain in electrodiagnostic studies. (2016.9.28 published online)

電気生理診断の安全性と疼痛について。針筋電図の疼痛緩和に局所麻酔薬の塗布はあまり意味がないそう。冷却スプレーは効果があるが筋電図所見に影響を与える可能性がある。

一時期、傍脊柱筋の針筋電図で出血を問題視した論文が話題になったが、追試では問題なかったそう。

神経伝導検査は、経皮ペーシングしているとき以外は問題ないとのこと。

電気生理検査の安全性

電気生理検査の安全性

ドイツ科学機構連合とエルゼビア社の交渉が決裂

ドイツの60以上の主要な研究機関は、2017年1月1日からエルゼビア社の出版する雑誌フルテキストへのアクセスができなくなるようだ。


カプリス

By , 2016年12月30日 3:14 PM

ヴァイオリニストの成田達輝氏が、Youtubeにカプリス(パガニーニ) 全曲演奏会の動画を公開しています。しびれます。全部凄いですが、特に 5番 (21分50秒辺り~) のボウイング。こんなパガニーニ見たことありません。中間部分は楽譜には 3回ダウンで 1回アップと書いてある (厳密には、ダウンとかアップの指示ではなく、四連符のうち最初の 3つをスラースタッカートで 飛ばすようになっている) のですが、演奏困難なのでダウンとアップ交互に弾くことがほとんどなのです。それを完璧に弾くとは!
・Tatsuki Narita, 24 Paganini Caprices


ここ半年

By , 2016年12月30日 3:07 PM

ここ半年あちこちに出かけました。ブログで近況を報告することもめっきりなくなってしまったので、年末にまとめて投稿。

①秋田からの当直帰り

2016年9月17日、いつものように秋田県で全科当直をしました (東京で働いていた頃は月に 2回行っていましたが、現在では月 1回です)。この日は、気分を変えて、ちょっと大回りして帰ることにしました。

盛岡 11:07→一ノ関 11:47 (東北新幹線), 一ノ関 12:45→気仙沼 14:09 (大船渡線), 気仙沼 14:55→17:26前谷地 (気仙沼BRT), 前谷地 17:36→18:11 小牛田 (石巻線), 石巻 18:00→仙台 18:46 (仙石線)

一ノ関駅で下車したのは初めてでした。一ノ関出身の建部清庵や大槻玄沢ゆかりの展示品を集めた一関市博物館があるのですが、この日は時間的に無理。絶対いつか行こうと思いました。一ノ関も気仙沼もポケモンGoに力をいれているようで、どちらも駅にその看板がありました。

気仙沼から前谷地に行く途中、未だに防波堤建築や区画整理の工事をしている場所が多数あり、震災から 5年以上経ってもまだまだ復興への道は遠いのだなと思いました。そして、私が震災直後にボランティアに行った地域を通ったとき、なんか故郷を通っているような感覚になりました。

②夏休み

9月23日

研究会のため、尼崎へ向かいました。ホテルについてからは、編集中の雑誌に投稿された原稿の査読などしており、妹の夫と会って、駅前の名代千代勝という店で少し飲みました。

福島空港 (11:45) ANA3176便 福島空港 (12:35)→伊丹空港(13:45)→大阪空港→(大阪モノレール)→蛍池駅→(阪急宝塚本線)→川口能瀬駅→(徒歩)→川西池田駅→(JR宝塚線)→尼崎駅→ホテル ホップイン アミング (Hotel Hopinn Aming) 泊

9月24日

尼崎総合医療センターで診断精度の研究会。私と同じように Cochraneで診断精度研究をしている医師達と意見を交換しました。あと会場で、メールのやり取りで共同研究をしている相手と初めて会うことができました。夜は韓国料理で打ち上げ。そこにいた優秀な研修医は、私がたまに研究会に顔を出す福島県内の病院に就職予定とのことでした。将来が楽しみです。

その日は神戸ポートピアホテル泊で、妹の夫とホテルのバーで飲み直しました。

9月25日

沖縄に旅行。本当は、婚前旅行のはずだったのですが、それを前にしてまさかの破局。別れることはあるまいとキャンセル不可で予約していたブセナテラスのデラックススイートルームで独り寝・・・orz

ブセナホテル

ブセナホテル

沖縄では妹夫婦との行動となりました。この日は、ブセナテラス近くで甥っ子達と遊覧船に乗り、名護市の居酒屋で食事しました。

9月26日

妹家族と古宇利島に行きました。恋人たちの聖地と書いてあって、何やねんと思いました。途中の道の駅で、琉球犬に会えました。

その後、念願の美ら海水族館へ。沖縄美ら海水族館が日本一になった理由という本を読んで是非行きたいと思っていました。また、魚はエロいという本でも予習してましたね。蘊蓄を語る相手なく、一人で回りましたけれど (しつこい)。いるかのショーがすごかったのと、その直後にピカチュウをゲットしたのが記憶に残っています。あと、歯型のついた鮫が泳いでいて、鮫社会で生きるのは大変なんだなぁと思いました。

歯型のついた鮫

歯型のついた鮫

夜は、妹の夫が予約してくれたやんばるダイニング 松の古民家へ。やんばる若鶏のつみれやゴーヤとか入った鍋でアグー豚のしゃぶしゃぶでした。スタッフの接客が良く、とても居心地の良い居酒屋でした。締めは沖縄そばを入れてくれました。

そして、ブセナテラスのデラックススイートルームで独り寝 (しつこい)。

ブセナホテル

ブセナホテル

ブセナホテル

ブセナホテル

9月27日

那覇空港でレンタカーを返して空の人へ。

飛行機:那覇 (12:40)→博多 (14:20):ANA1276便, 新幹線:博多 (15:17)→熊本 (15:55)

熊本でレンタカーを借りて、2016年4月14~16日にかけての地震で甚大な被害を受けた阿蘇へ。熊本市内は豪雨で、冠水した道路をジャブジャブと音を立てて通りながら、阿蘇への山越え道路へ。本来使える道路は地震のため通行止めとなっており、迂回ルートを通ることになりました。外輪山から阿蘇のカルデラ盆地を下って内牧へ。阿蘇プラザホテルに到着しました。このホテルは、震災の影響で営業中止していましたが、7月1日から営業再開したのだとか。公式サイトに次のような記載がありました。

【営業再開のご案内】
今回の熊本地震により被害にあわれた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
また皆さまよりたくさんの励ましのお電話、メールを頂き誠に感謝いたします。
おかげさまで当館は7月1日より営業再開の運びとなりました。
7/16~8/31は毎年恒例のガーデンプールもオープン致します。
皆さまには大変ご不便をおかけいたしましたが、どうぞ阿蘇プラザホテルを今後もごひいきによろしくお願い申し上げます。

※(7/06追記)展望露天風呂の修復が完了致しました!
最上階大浴場・貸切風呂については未だ修復が完了しておらず、工事完了次第の再開を予定しております。
現在未定ですが、分かり次第改めてご案内させて頂きます。

また、今回の地震により阿蘇市内方面への交通機関に影響が生じております。
お手数ではございますが、交通アクセスページをご確認いただきまして、当ホテルへお越しください。
皆さまのお越しを、従業員一応笑顔でお待ちしております!

震災やそれに伴う観光客減少で色々打撃を受けた地域なので、お金を沢山落とそうと思って街をぶらぶらしましたが、使うところがなく・・・それは断念しました。温泉は気持ちよかったです。

9月28日

朝一で阿蘇ハイランド乗馬倶楽部に乗馬に出かけました。カーナビに入れると、別の場所が表示されたので、迷いましたが、無事到着。阿蘇ハイランド乗馬クラブは、山の中を抜け牧場を見ながら阿蘇を一望できる場所までトレッキングができます。一方、同じ経営のエルパティオ牧場は草原の中をトレッキングできるのだそうです。また阿蘇を訪れることがあったら、エルパティオにも行ってみたいと思いました。そしてなんと、姉妹店は沖縄や那須にもあるのだそう。沖縄は私が以前行った沖縄乗馬クラブです。当時は初心者は外乗させてくれなかったのですが、経営が替わってからは馬をトレーニングしてできるようになったそうです。那須の牧場も近いですし、これらも是非行きたいと思いました。

乗馬を終えてからは、内牧駅へ。地震のせいで駅は閉まっていました (その後、解体されたそうです)。

内牧駅

内牧駅

内牧駅から阿蘇駅へ。その後、山越えをして熊本に戻りました。外輪山を越える時、見下ろした阿蘇盆地がとても綺麗でした。

14時15分の新幹線で鹿児島へ。鹿児島ワシントンホテルプラザにチェックインして、水族館のいおワールドに行きました。やっぱり、いるかは可愛いですね。

夜は、Facebook友達の女医砲先生とその知り合いのヴァイオリニストと笑神で食事。その後、一人で天文館を攻めました。

9月29日

ゆっくりするはずでしたが、「鹿児島中央 8:09 隼人 8:46着 隼人 9:02発 嘉例川 9:26着 9:56発 (路線バス) 鹿児島空港 10:07着」というルートを通るよう、鐵ヲタの chunchukulin先生 (別名 しゃんでりあの君) から指令を受け、何故か早起きする羽目に。ただ、早起きしたかいがあって海の向こうに見える桜島と太陽がとても綺麗でした。

嘉例川駅では、有名な猫がいて、和みました。

鹿児島 (12:10)→羽田 (13:55):ANA624便

羽田からは新幹線で帰りました。恋人と別れたときはどうなるかと思ったけれど、充実の旅行になりました。

③10月の 3連休小旅行

10月8日(土)

朝楽器の練習をして、一ノ関博物館へ。ここは一ノ関駅から20 kmくらい。バスだとバスプールから9番、厳美渓下車、徒歩5分です。一ノ関は、建部清庵や大槻玄沢ゆかりの地なんですね。建部清庵が杉田玄白と交わした手紙を纏めた「和蘭医事問答」、そのほか大槻玄沢が翻訳した「重訂解体新書」など、医学史好きの心をくすぐる展示品がたくさんありました。受付で資料を数点購入し、申請書に記入してから、何点か資料の写真を撮らせて頂きました。ここはまた訪れる予定です。

17:53気仙沼→(JR大船渡線・気仙沼行)→気仙沼 アコモイン気仙沼泊

アコモイン気仙沼は、震災復興のための作業員が普段使っている施設なのだそうです。復興が終われば、いずれ介護施設になるのではないかという噂を耳にしました。

夜は「ぴんぽん」という居酒屋へ。入口には「思い出の気仙沼線」と題して、震災前の気仙沼線を撮影した写真がたくさん貼られていました。また、壁には「つまずいたおかげで」というタイトルの、胸を打つ詩が飾られていました。「パイズリ」「センズリ」「マンズリ」「マンチュー」「パンティー」といった怪しい名前のカクテルや「チンポンウインナー」といったおつまみがありました。

10月9日(日)

仕事が溜まっていたため、この日は列車内でひたすら systematic reviewのための文献スクリーニングをしていました。数百件の論文をチェックしていると、頭痛がしてきました。景色は素晴らしかったです。

12:10 気仙沼→(JR大船渡線BRT・盛行)→13:31 盛, 14:00 盛→(三陸鉄道南リアス線・釜石行)→14:54 釜石

ホテルフォルクローロ三陸釜石に宿泊して、近くの「釜石はまゆり飲食店街」へ。ここはプレハブの飲食店街で、被災者たちの店が集まっていました。ただし、どの店も同じようなメニューで差別化がされておらず、ウリとなる地域の特産品もありませんでした。気仙沼だと、海の幸や地酒を前面に出して、メニューも店によって大きく違うので、そういう点を見習えば良いのにと思いました。2件回ったのですが、客は私しか居なくて、気がついたら健康相談に乗っていました。

10月10日(月)

ひたすら電車から海を眺めながら、文献スクリーニング。被災地支援のため、浜千鳥をたくさん購入し、また三陸鉄道のグッズをいくつか買いました。

7:41 釜石→(岩手県交通バス・釜石船越線・岩手船越行)→8:28 岩手船越, 8:50 岩手船越→(岩手県北バス・宮古駅前方面・宮古行)→9:54 宮古着, 11:05 宮古→(三陸鉄道北リアス線・久慈行)→12:43 久慈, 14:56 久慈→(JRリゾートうみねこ・八戸行)→16:58 八戸, 17:06 八戸→(東北新幹線)→18:29 仙台, 18:44 仙台→(東北新幹線)

④京都

10月21日、京都医療センターの神経内科医らと会食をしました。また、10月22日に京都医療センターにお邪魔して、音楽療法がおこなわれる部屋を見せて頂きました。そして、頭痛学会で集まっていた神経内科医らと弦楽五重奏を楽しみました。

⑤第9回NIRC (Neuro- Imaging Refresher Club)

11月5日、国立科学博物館に「ラスコー展」を見に行きました。ラスコーの壁画が再現され、一定の時間間隔で光で絵が浮かび上がるようになっていました。また、東京都美術館で「ゴッホとゴーギャン展」をしていたので、ついでに見ました。翌 6日は NIRCという神経放射線の研究会でした。とても勉強になりました。

⑥神楽坂

11月25日糖尿病関連の著作がいくつもある岩岡先生らと神楽坂で会食でした。私は何冊か岩岡先生の本で勉強していますが、特に「ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック Ver.2」がお気に入り (そういえば、もうすぐ Ver. 3が出るのだっけか・・・)。

11月26日、サントリー美術館で「小田野直武展」を見ました。小田野直武は秋田県角館市出身で、解体新書の絵を書いています。平賀源内の教えを受け、遠近法などの西洋絵画の手法を取り入れました。また、司馬江漢の指導もしています。その後、上野の森美術館に移動し、「デトロイト美術館展」を見ました。

⑦伊豆

12月16日、下田海中水族館に行きました。ドルフィン・ビーチに入って、直接バンドウイルカに触ることができました。3頭いましたが、その 3頭であれば個体識別ができるようになりました。この体験のおかげでバンドウイルカは見ればわかりますが、その後のショーで見たカマイルカはマイルカとの鑑別が難しかったです。スタッフにとても親切にしていただいたのですが、唯一残念だったのは、小川鼎三先生のことを話しても通じなかったこと。

12月17-18日は伊豆で医師向けに神経疾患全般について 講演をしました。6時間の依頼だったのですが、質問が多く盛り上がり、つい熱が入って気がついたら 7時間30分も喋っていました。聴衆のレスポンスが良く、刺激を受けました。

12月18日、帰りに伊豆・三津シーパラダイスに行きました。閉園間際でしたが、何とかイルカのショーを見ることが出来ました。また、セイウチのショーは終わっていましたが、スタッフが私一人のために「バイバイ」とか、色々ショーをやってくれて、とても感動しました。


最近の医学論文 後編

By , 2016年11月23日 7:12 PM

前編】より

A genome-wide association study in multiple system atrophy (2016.11.1 published online)

多系統萎縮症 918名の GWAS解析の結果、疾患と関連した遺伝子座を見つけることはできませんでした。著者らも書いている通り、サンプルサイズが小さすぎたのではないかという気がします。ただし、FBXO47, ELOVL7, EDN1, MAPTは有意差はなかったものの、「怪しい」結果でした。

CoQ10 in progressive supranuclear palsy (2016.8.2 published online)

多系統萎縮症と CoQ10の関連を調べた研究は本邦からいくつかあるようですが (, ) 、著者らは進行性核上性麻痺に対して CoQ10を投与する RCTを行いました。しかし、CoQ10群は進行抑制効果 (12ヶ月後の PSPRSと UPDRSの変化) を示せませんでした。

Diagnostic criteria for Susac syndrome (2016.10.25 published online)

Susac症候群は、脳や内耳や網膜の動脈に自己免疫が介在する障害がおきる疾患で、脳症、局所神経症状、頭痛、聴覚障害、網膜動脈分枝閉塞症などがみられます。今回、診断基準が発表されました。

Susac症候群診断基準

Susac症候群診断基準

Efficacy and safety of rituximab therapy in neuromyelitis optica spectrum disorders (2016.11.1 published online)

リツキシマブは視神経脊髄炎関連疾患に対して有効であることはコンセンサスが得られていますが、今回 46の研究、438名の患者を統合したメタアナリシスが発表されました。リツキシマブは年間再発率を 0.79 (95%CI, -1.08~-0.49)、EDSSを 0.64 (95%CI, -1.18~-0.10) 減少しました。有害事象は 26%にみられ、注射関連 (10.3%)、感染症 (9.1%)、白血病 (4.6%), PRES (0.5%) であり、7名 (1.6%) が死亡しました。著者らは、リツキシマブを第一選択薬とする上で、安全性に警鐘を鳴らしています。

Rituximab for treating multiple sclerosis: Off-label but on target (2016.10.19 published online)

多発性硬化症に対するリツキシマブについての後ろ向きコホート研究。治療期間の平均再発率は、 0.044 (再発寛解型)、0.038 (二次性進行型)、0.015 (一次性進行型) でした。造影病変は 4.6%にみられました (ベースラインでは 26.2%)。進行性多巣性白質脳症を発症した患者はいませんでした。

New Draft MS Treatment Guidelines in US and Europe

ヨーロッパと米国で、それぞれ多発性硬化症のガイドラインが更新されるようです。その草案が公開されています。

Extra-autonomic manifestations in autoimmune autonomic ganglionopathy: a Japanese survey (2016.11.11 published online)

自己免疫性自律神経節障害 (AAG) は、84%で自律神経以外の症状が見られるという熊本大学からの報告。中枢神経病変 (精神症状), 感覚障害、内分泌疾患、自己免疫疾患 (シェーグレン症候群など)、腫瘍 (卵巣腫瘍など) などを合併しうるそうです。

Lessons in uncertainty and humility – clinical trials involving hypertension (2016.11.3 published online)

高血圧患者に対する降圧療法の臨床研究をまとめた総説です。それがどのようにガイドラインに影響を与えてきたかが図によくまとまっています。降圧目標はガイドラインによって少しずつ異なりますが、ある範囲内でおさまっているというのが、よくわかります。

Trials-influencing-blood-pressure-thresholds

Trials-influencing-blood-pressure-thresholds

Management of acute and recurrent gout: a clinical practice guideline from the American College of Physicians (2016.11.1 published online)

痛風発作の治療ガイドラインが米国内科学会から出ました。推奨文は次のとおりです。

Recommendation 1: ACP recommends that clinicians choose corticosteroids, nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs), or colchicine to treat patients with acute gout. (Grade: strong recommendation, high-quality evidence).

Recommendation 2: ACP recommends that clinicians use low-dose colchicine when using colchicine to treat acute gout. (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).

Recommendation 3: ACP recommends against initiating long-term urate-lowering therapy in most patients after a first gout attack or in patients with infrequent attacks. (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).

Recommendation 4: ACP recommends that clinicians discuss benefits, harms, costs, and individual preferences with patients before initiating urate-lowering therapy, including concomitant prophylaxis, in patients with recurrent gout attacks. (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).

痛風治療

痛風治療

More on biotin treatment mimicking Graves’ disease (2016.10.27 published online)

ビオチンの投与は、streptavidin-biotin immunoassayで行われる種々のホルモン検査やビタミン B12などに検査値に影響を与えることがあるので、検査 72時間前には内服をやめるべきだという論文です。ネットで調べると、ビオチンは美容のためのサプリメントでも販売されているようですが、多くは 3~5 mgの製剤で、この研究で表になっているのは検査数時間前に 300 mg内服したものなので、治療で大量投与したのでなければあまり心配しなくても良いのかなと思いました。

Novel HSPB1 mutation causes both motor neuronopathy and distal myopathy (2016.10.31 published online)

Motor neuronopathyと遠位型ミオパチーを合併した家系の報告。非常に珍しい表現型ですね。遺伝子検査で、HSPB1 c.387C>G変異が検出されたそうです。なお、遠位型ミオパチーを起こす DES, CRYAB, MYOT, LBD3, TTN, VCP, FKRP, GNEなどの変異はなかったそうです。鑑別疾患が論文中に挙げられていないので、そのくらい稀なことなのかもしれませんが、どこかでこうした患者をみかけたら、この遺伝子変異が頭に浮かぶようにしておきたいと思いました。

Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of heart failure in four European countries: nested case-control study (2016.9.28 published online)

NSAIDsが心不全に与える影響についての臨床研究です。14日以内の使用は半年以上前に使用した場合に比べ、心不全での入院を 19%増やすという結果でした。心不全リスクを増やした薬剤は、7種類の NSAIDs (diclofenac, ibuprofen, indomethacin, ketorolac, naproxen, nimesulide, piroxicam) と 2種類の COX2阻害薬 (etoricoxib, rofecovib) で、celecoxibでは増えませんでした。

NSAIDsは腎機能のマイナスの影響を与えるので、心不全を悪化させるというのは感覚的に理解できます。

Optic neuropathy associated with systemic sarcoidosis (2016.8.2 published online)

サルコイドーシスの視神経障害についての研究です。2つの臨床的サブタイプがあり、多くは視神経炎に似た亜急性視神経障害で、残りの 17%はそれよりゆっくり進む視神経障害です。31%は両側性です。眼球内の炎症が、36%に見られます。疼痛は 27%にしかありません。視神経周囲炎や視交叉浸潤が稀にみられます。MRIでは視神経病変が 75%にみられ、31%では炎症の周囲への波及がみられます。ステロイドは視神経障害には効果がありますが、腫瘤性病変にはそうではありません。視覚症状の再発は 25%でみられますが、予後不良因子ではありません。

Promotion of the Unfolding Protein Response in Orexin/Dynorphin Neurons in Sudden Infant Death Syndrome (SIDS): Elevated pPERK and ATF4 Expression (2016.10.29 published online)

乳幼児突然死症候群の原因として、2015年夏頃からオレキシンの異常が指摘されています。今回の研究では、pPERKの凝集がオレキシンの翻訳低下を含め、脳幹での様々な神経機能の低下を引き起こすのではないかと著者らは述べています。

Potential Signals of Serious Risks/New Safety Information Identified by the FDA Adverse Event Reporting System (FAERS) April – June 2016

2016年4~6月に FDAが安全性について監視リストに入れた薬剤の一覧です。神経内科医が日常診療で使う薬だと、抗うつ薬のたこつぼ型心筋症、インターフェロンβの 薬剤性ループス、DPP-4阻害薬の類天疱瘡、第1・2世代抗ヒスタミン薬のけいれん、スタチン (HMG-CoA reductase inhibitors) の間質性肺炎、ジメチルフマル酸徐放錠の薬剤性肝障害あたりでしょうか。

All scientific papers to be free by 2020 under EU proposals

EUは、2020年までに全ての科学論文に無料アクセスできるようになるべきだとしています。実現するかどうかはわからないですが、そうであれば嬉しいですね。

Levetiracetam vs. brivaracetam for adults with refractory focal seizures: A meta-analysis and indirect comparison (2016.5.16 published online)

レベチラセタムはブリバラセタムと比べて効果に有意差はないけれど、浮動性めまいが少し少ないかもしれないという meta-analysisです。ただし、非直接比較という limitationがあります。

Prevalence of Pulmonary Embolism among Patients Hospitalized for Syncope (2016.10.20 published online)

失神で入院になった患者のうち、17.3%に肺塞栓症がみつかったというコホート研究。

コレだけ聞くと凄いインパクトではありますが、失神は神経調節性などの原因が多く、通常は帰宅させますよね。注意すべき疾患の中で頻度が高いのが不整脈やてんかん、稀だけど怖いのが肺塞栓症、くも膜下出血、大動脈解離などだと思います。入院になったというのはよほどのことなので、その辺を割引いて解釈する必要がありそうです。

Remission of follicular lymphoma after treatment for hepatitis C virus infection (2016.10.27 published online)

C型肝炎を合併した濾胞性リンパ腫の患者に、sofosbuvirと ribabirinを用いた C型肝炎の治療をしたら、リンパ腫まで消えてしまったという凄い報告。”C型肝炎を対象とした B細胞リンパ腫” 患者を対象とした臨床試験が待たれます。

HCV Drug Warning (2016.11.15 published online)

FDAは、C型肝炎に使用される直接作用型抗ウイルス薬について、B型肝炎ウイルスの再活性化を起こすことがあることを添付文書に枠組みの警告文で記すことを求めまる見込みです。

2013年から 2016年までの 31ヶ月で、そのような症例は 24名報告され、2名死亡し、1名は肝移植を余儀なくされました。

Statin use for the primary prevention of cardiovascular disease in adults: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement (2016.11.15 published online)

USPSTFが、スタチンを心血管疾患の一次予防に用いるためのガイドラインを発表しました。危険因子、10年間の心血管疾患発症リスク 10%を判断材料にするようです。なお、10年間の心血管疾患の発症リスクは、ツール (http://tools.acc.org/ASCVD-Risk-Estimator/) を用いて判断します。

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statin-for-primary-prevenation

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dose-of-statin

Community acquired pneumonia incidence before and after proton pump inhibitor prescription: population based study (2016.11.15 published online)

プロトンポンプ阻害薬 (PPI) が、慢性/急性腎臓病、急性間質性腎炎、低マグネシウム血症、クロストリジウム腸炎、市中肺炎、骨折のリスクを高めるという報告が、近年相次いでいます。このブログでも 2016年2月20日に紹介しました。PPIによる市中肺炎の増加は薬剤のせいではなく、交絡因子によるものだったという研究結果が、British medical journalより報告されました。著者らは、PPI内服群の方が、併存疾患や逆流性食道炎の重症度などの点で、もともと肺炎を発症しやすい集団だったので、肺炎が増えているようにみえたのだろうと考察しています。

CHCHD10 mutations and motor neuron disease: the distribution in Finnish patients (2016.11.3 published online)

種々の神経疾患やミトコンドリア病のコホート研究に参加した患者を対象として、CHCHD10変異を調べたフィンランドの研究です。

筋萎縮性側索硬化症、ミトコンドリア病 (筋症)、前頭側頭葉変性症、Charcot-Marie-Tooth病2型 (CMT2)、脊髄性筋萎縮症 Jokela型 (SMA Jokela type; SMAJ, 有痛性筋痙攣、線維束性収縮、腱反射低下~消失、CK上昇、手の振戦が特徴) などで CHCHD10変異がみつかりました。CHCHD10変異の中で特に疾患の原因になっている可能性が高いと考えられたのが、c.176C>T (p.S59L) と c.172G>C (p.G58R) 変異でおこるミトコンドリア病と、c197G>T (p.G66V) 変異でおこる SMAJ (過去には CMT2の報告もあり) でした。

CHCHD10は論文の表現では “part of mitochondrial mitochondrial contact site and cristae organizing system (MICOS) complex” となっており、ミトコンドリアに関連した複合体を構成する蛋白質の一つのようですが、変異部位によってミトコンドリア病になったり、SMAの特殊なタイプになったりするのが興味深いと思いました。

Treatment dilemmas in Guillain-Barre syndrome (2016.11.11 published online)

Guillain-Barre症候群におけるジレンマとして、いつ治療すればよいのか、血漿交換と IVIgのどちらを用いるべきか、追加治療は必要あるのか・・・などが挙げられ、それに対するエビデンスの纏めと推奨が記された総説です。Table 5が纏まっています。

summary-of-treatment-dilemmas

Summary-of-treatment-dilemmas in GBS and recommendations

【再発又は難治性の慢性リンパ性白血病対象】「イムブルビカカプセル」(イブルチニブ)薬価収載について

形質細胞疾患に合併する末梢神経障害として、POEMS症候群、原発性マクログロブリン血症 (Waldenstrom macroglobulinemia), 多発性骨髄腫、軽鎖アミロイドーシスが知られています。そのなかでも、原発性マクログロブリン血症は、約 90%の症例に MYD88 L265P変異があることが 2012年に報告されるなど、研究の進歩が著しいです。2015年に New England Journal of Medicineに掲載された報告では、MYD88に結合する BTK (Bruton’s Tyrosine Kinase) の阻害薬である Ibrutinibを用いると、MYD88 L265P変異のある症例ではほぼ 100%治療効果がありました。同年 Blood誌に掲載された総説では、原発性マクログロブリンへの第一選択薬として Ibrutinibを推しています (とはいって、2015年の New England Journal of Medicine論文の著者がその総説を書いているのですが・・・)。Ibrutinibは国内において、慢性リンパ性白血病を対象に薬価収載された (2016年5月) らしく、原発性マクログロブリン血症も早く保険適用になると良いなぁと思いました。

Thymoma associated with autoimmune diseases: 85 cases and literature review (2015.9.25)

胸腺腫に合併した自己免疫疾患のケースシリーズです。胸腺腫がある症例の 55%に自己免疫疾患が合併しており、重症筋無力症が多かったものの、橋本病、Isaacs症候群、Morvan症候群、赤芽球癆、全身性エリテマトーデス、扁平苔癬、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、Good症候群、天疱瘡、自己免疫性肝炎、Graves病、辺縁系脳炎、炎症性筋疾患も少数例ながらありました。

胸腺腫と自己免疫疾患といえば、昔読んだ “The Spectrum of Diseases Associated With ThymomaCoincidence or Syndrome?” という論文がとても印象に残っています。


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