なぜ飼い犬に手をかまれるのか

By , 2010年1月8日 7:04 AM

「なぜ飼い犬に手をかまれるのか 動物たちの言い分 (日高敏隆著、PHPサイエンス・ワールド新書)」を読み終えました。

東京大学理学部動物学科を卒業し、京都大学教授、滋賀県立大学学長などを歴任した方のようですが、本書は平易な文章で書かれており、内容に引き込まれるように読みました。一つの項が 4ページ程度で書かれており、読みやすいので是非読んで頂きたいのですが、特に面白かった部分を抜粋、要約します (私の感想も一部加えます)。前半は動物の話が多いのですが、後半はふつうのエッセイと言うべき内容が多くなっています。

・親鳥はひなのくちばしを色で認識している。マッチ棒を黄色く塗って菱形の模型を作るとそこに餌をやる。ひなどりは空腹具合に応じて口の大きさを変えるので、最も大きく口を開けているひなどりに餌をやれば、餌を貰えないひなはできない。マッチ棒の模型のサイズを変えた実験で、そのことは証明されている。「小鳥の給餌」

・かいこの蛾は冬の寒さがないと孵化出来ない。暖かいと、貯蔵されているグリコーゲンはある種の糖アルコールとグリセリンに分解されてしまい、栄養源にならない。これを冷蔵庫に入れると、糖アルコールとグリセリンはグリコーゲンに戻り、孵化できるようになる。すなわち、冬が必要なのだ。「虫と寒い冬」

・カラスは視覚の認知が非常に発達している。例えば、学習させれば「機」と「能」という漢字も約 80%の正答率で識別できるようになる。「○」と24角形の印も区別でるようになり、記憶は少なくとも 40日間保持される。「カラスの賢さ」

・霊長類は、まず進化の始まりの頃に原猿類 (メガネザル、キツネザル、アイアイなど) が現れ、それらが進化して真猿類が現れた。真猿類はさらに二つのグループにわかれる。尾がある有尾類 (ニホンザル、オナガザル、オマキザル、ヒヒなど) と尾がない無尾類 (ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザルなど) である。英語では、有尾猿を monkeys, 無尾類を apesといって区別する。・・・ということは、ドラゴンボールで考えると、サイヤ人は monkeyということになり、ブルマとベジータは結婚できないことになる?と私は感じたのですが、どうでしょうか。「来年のえと『サル』」

・「稲むらの火」という感動的な小説があり、教科書に復活させようとする運動がある。ネットでも読むことができる。「稲むらの火」

・伝統は絶えざる創造があってこそ維持され発展するものである。フランスでシャンソンを歌っているのは、ほとんど外国人であり、フランスのシャンソンはシャンソンの伝統を新しい形の中に生かしながら、シャンソンでありつづけている。「伝統と創造」

・蝶は花を色で認識している。長方形のカードに色をつけておけば、蜜を吸いに口吻を伸ばしてやってくる。ただし、赤色のカードには来ない。蝶は赤を暗黒として認識してしまうためである。「チョウはなぜ花がわかるか?」

・人間は後世に、遺伝子 (gene) の他に、技術、業績、作品、名声、つまりミーム (meme) を残すことができる。また、memeを残すことが、geneを残すことに優先する場合もある。「なぜ老いるのか?」

ちなみに、タイトルの答えは、本書の「まえがき」にあります。読んでみてください。

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