極論で語る感染症内科

By , 2016年5月3日 10:05 AM

極論で語る感染症内科 (岩田健太郎著, 丸善出版)」を読み終えました。

「極論」とは言っても、第一版から青木本を読んで育ってきた我々世代にとっては、感染症診療の原則そのものが書いてあるなぁ・・・という印象でした。最終章の HIV/AIDSは少しマニアックな感じがしましたけれども。

神経内科医としては、髄膜炎の章は是非読んでおくべきでしょう。細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014ではカルバペネムが推奨されるシチュエーションが多いですが、私は基本的に、岩田健太郎先生が書いているのと同じように、第三世代セフェム+バンコマイシン±アンピシリンで治療しています。カルバペネムの温存と、肺炎球菌のカルバペネムへの耐性化が進んでいることが理由です。本書には、JANISのデータで、5%弱の肺炎球菌がカルバペネム耐性であること、髄液検体だと 10%以上は感性でないことなどが書かれており、そこまで耐性化が進んでいるのかと思いました。あと、細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014では、MICの縦読みがされていることを私は気にしているのですが、そのことへの言及はありませんでした。実際、どうなんでしょうね。感染症の専門家の意見が聞きたいです。

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気管支喘息バイブル

By , 2016年5月3日 9:42 AM

気管支喘息バイブル (倉原優著、日本医事新報社)」を読み終えました。

研修医時代は、天気の変わり目の当直といえば喘息発作が列をなしていて、ひたすら気管支拡張薬の吸入やステロイドの点滴を使っていた印象が強く残っていますが、近年ではそういう患者を見かけることもめっきり減りました。おそらく、吸入薬の進歩によるものでしょう。

吸入薬の進歩はめざましく、近年では様々な製剤が出ています。私はせいぜい ICS/LABAとしてアドエアくらいしか使ってこなかったのですが、ICSおよび ICS/LABAの使い分け、ステップアップやステップダウンの方法など、とても勉強になりました。

また、気管支喘息と ACOS (気管支喘息+COPD)、咳喘息、アトピー喘息の鑑別法もとても丁寧に書いてありました。気道過敏性と気道感受性の違いも、本書で初めて知りました。

クリニックなどで一般外来をしていると、「夜になると咳が止まらない」等の主訴でいらっしゃる喘息患者はたまにいらっしゃいます。そういう時に、本書はとても役立ちます。

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