ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足

By , 2007年6月25日 9:33 PM

「ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足 (小長谷正明著、中公新書)」を読み終えました。

一般人でも十分読めるように、かみ砕いて書かれています。それでいて、医師から見ても考証がしっかりしています。

本書には、「神経内科からみた20世紀」という副題がついています。著者は私と同じ神経内科医です。

目次

まえがき
震える総統 ヒトラー
言葉を失ったボリシェヴィキ レーニンとスターリン
主席の摺り足 毛沢東
大統領たちの戦死 ウィルソンとフランクリン・ルーズベルト
芸術家、大リーガー、兵士 モーリス・ラヴェル、ルーゲーリック、横井庄一
二〇世紀のファウスト博士 ハーラーフォルデン
映像の中のリーダーたち
あとがき
参考文献

最初はヒトラーについて。彼がパーキンソン病であったことが、様々な証拠から示されます。ヒトラーのパーキンソン病のスコアなども紹介されます。

毛沢東は、筋萎縮性側索硬化症であったそうです。「新たな医療機動班を各都市に作って、中国中から同じ病気の患者を集めて治療し、もっとも効果あるものを主席に応用してみたらどうか」という意見すらあったようです。結局、西洋医学の情報を集めますが、如何なる治療も効果はありませんでした。現代でも難病です。

ハーラーフォルデンは、ハーラーフォルデン・スパッツ病に名前を残していますが、ナチスが虐殺した死体を研究していたそうです。

ナチスの虐殺 (T4計画) は優生学、「生きるに値しない命」という考えを元にしています。一方で、このような考え方はナチスだけでなく、フォスター・ケネディ症候群やレノックス・ガストー症候群に名を残したフォスター・ケネディーやレノックスやガストーにも見られ、彼らが 1942年に発達障害児の安楽死を提唱していたことを知りました。

著者は、あとがきで「医学の進歩や病態の追究を急ぐ余り、倫理観を見失ってはいけない、そう思って、ハーラーフォルデンの事例を検証した」と述べています。

我々も残酷な人体実験で得られた情報を何気なく使っています。例えば、ナチスが実験した「一酸化炭素中毒の脳に及ぼす影響」「氷水中で何分生きられるか」などです。本書で知ったこれらの情報を思い出す度に、虐殺された方々のことを考えそうです。

本書はわかりやすく読むことが出来、それでいて残るものの多い本です。是非お薦めします。

Post to Twitter


Magic Bow

By , 2007年6月24日 6:25 AM

Magic Bow」というビデオを見ました。

国内では手に入らなくて、アメリカのアマゾンから取り寄せて購入した音楽映画です。パガニーニというヴァイオリニストが主人公です。音源は若かりしメニューイン。英語版で字幕なしだったので、イマイチ内容が理解出来ず残念でしたが、E-D線の弦を切ってG線だけで演奏したりといった、主人公のパフォーマンスを見ているだけでも楽しめました。

ただ、例によって俳優の手の動きと音が全然一致していないのがストレスでした。この手の音楽映画は、俳優が演奏素人なので、音と動きが一致しません。だったら、演奏家に主役をやってもらえば良かったのにと思います。

例えば、Heifetzが出演した「彼らに音楽を」や「カーネギーホール」といった映画では、このようなストレスから解放されることが出来ます。

とはいえ、音楽は絶品です。

パガニーニの映画に関して言えば、他に「パガニーニ」というタイトルの映画もあります。こちらの演奏はサルバトーレ・アッカルド。技術的には傷が多いのですが、鬼気迫る演奏という表現がぴったり。悪魔の乗り移ったかのような雰囲気を作り出すのに成功しています。ただ、パガニーニの人生を描いているため、映画自体は官能シーンの連続で、他人と見ると気まずいのでご注意を。

Post to Twitter


黄熱の歴史

By , 2007年6月23日 6:23 PM

「黄熱の歴史 (フランソワ・ドラポルト著, 池田和彦訳, みすず書房)」を読み終えました。

黄熱の原因を誰がつきとめたかは、議論が紛糾するところです。米国のリードの功績を称える声が多い一方で、蚊が媒介するとすることをキューバのフィンレーが約 20年前に提唱していました。

米国人に功績を与えるか、キューバ人に功績を与えるかには、政治的な意図が見え隠れします。また、純粋な功績争いも関与し、真の歴史は閉ざされたままです。それを本書は読み解いていきます。読み始めたときは、上質のミステリーを読んでいるかのようなワクワク感がしました。

熱帯医学の感染症分野には、マンソンという人物が大きな役割を果たしています。マンソンがフィラリアにおいて蚊が媒介することを発見しました。

まず、フィラリア研究の歴史を軽く紹介します。

1872年、ルイスはヴッヘラーが乳び尿症の患者尿に見いだした微小な住血虫が、患者の血液にも存在していることを示しました。このわずか後、ヨゼフ・バンクロフトは、リンパ管嚢腫にその仔虫の親を発見し、コッボルドに伝えました。コッボルドは1877年にこの成果を発見し、バンクロフト糸状虫と命名しました。こうして、血液と尿に存在する微小な住血虫がリンパ管に住む成虫の子孫だと理解されるに至りました。マンソンは、バンクロフト糸状虫に関して、論理的に媒介とする生物の存在を必要としました。フィラリアの流行する地域に一致して存在する生物を追い求めた結果、イエカ (Culex mosquito) にたどり着きました。マンソンは、イエカによる媒介を説きました。1879年、マンソンは、コッボルドにグリセリン保管された蚊と陰嚢をコッボルドに郵送します。患者血液を吸った蚊はフィラリアに満ちており、生活環を示す強い証拠でした。

著者は、フィンレーはマンソンの説を取り入れたに違いないと推測しています。マンソンは中国で研究しており、一見関係がないように思えます。しかし、コッボルドやフェイラーが「ランセット」誌上でマンソンの法則に言及しており、フィンレーが「ランセット」を同学者らに紹介していることから、その問題は解決します。フィンレーは自分のオリジナリティを主張するために、マンソンの説を取り入れたことを隠しているのではないかと、著者は推測しています。

黄熱の研究は、難航していました。カビや細菌などが原因と考えられ、諸説紛糾しましたが、決着はつきませでした。

こうした中、転機が訪れます。1900年、アメリカの委員会はフィンレーと会合を持ち、フィンレーから渡されたイエカの卵 (同定の結果、学名 Culex fasciatus Fabricus) を持ち帰ります。しかし、委員長のリードは、陸軍基地で流行した腸チフスの報告書をまとめるため、ワシントンに呼び戻されてしまったのです。この間に卵が孵化しました。

そして、部下のラゼアーが実験を始めました。その結果、その蚊の接種を受けた研究者や兵士達が次々と黄熱を発症しました。ラゼアーも、黄熱を発症し、死亡しました。リードはハバナに戻り、すぐに「蚊が黄熱の寄生体の中間宿主の役割を果たしている」とする論文を書き上げました。

こうして、フィンレーの言うようにイエカが媒介することが濃厚になったため、感染実験が行われました。すなわち、患者の血を吸わせた蚊をボランティアの人間に再度刺させるのです。ボランティアの 7例のうち、6例に発症しました。これにより、蚊が媒介することが証明されました。また、死亡した黄熱患者の黒い吐瀉物、血便、尿で汚したものを並べた部屋で 3名が 20日間過ごすことにより、誰も感染しなかったため、蚊以外の経路は考えにくいとされました。また、黄熱の患者血液を、他人の静脈に注射したところ、4例中 3例に発症を認めました。こうして黄熱の原因が完全に証明されたのです。

こうして見ると、フィンレーは大きな貢献をしていますが、彼の説も紆余曲折を経ています。最終的にはイエカの卵を米国に渡すという貢献があったにしても。

本書には、フィンレーがロスの研究を参考にしていた可能性があるとして、マラリアの話にも言及しています。

1880年、ラベランはマラリアの原因となる住血虫を発見しました。ゴルジは分裂増殖サイクル像を作り上げました。グラッシ、ビグナミ、ダニレウスキ、パイファー、コッホらによる議論がありました。マラリアで見られる運動性の繊維をつけた物質の本態は何か、マラリアの伝搬様式はどのようなものか、といった問題で再びマンソンの説が貢献します。1897年、ロスは隔離した幼虫から育てたハマダラカを用いて実験をしました。二匹の蚊には患者血液を吸わせてあり、蚊の胃壁にマラリア (スポロシスト) が存在することの証明でした。蚊を経時的に解剖し、マラリアの状態を観察し、8日目に蚊の体内の細胞が弾けて中から糸状の物体が出てくるのを観察しました。そして、蚊の毒唾腺にこの蠕虫様生物を発見しました。

これらの研究は、家畜のテキサス熱の病原体ピロソーマ・ビゲミヌム (Pirosoma bigerinum) の伝播に関するスミスとキルボーンの研究、トリパノソーマ・ナガナ (Trypanosoma nagana) の伝播に関するブルースの研究にも影響を与えています。

普段触れない分野について、とても参考になったのですが、一つだけ苦言を呈しておきたいと思います。本書のカバーは、黄熱を意味するのか、黄色です。しかし、著者の顔写真にも黄色い印刷がかかっていて、まるで「黄疸患者」に見えることです。せめて、顔写真のところくらいは、普通の印刷にしたあげて欲しかったと思います。

著者は誰に功績が会ったのか、マンソンの手紙を引用することで応えています。

「しかしながら、貴兄 (フィンレー) は後者 (リード) に示唆と現物とを供給されたわけですから、貴兄の側にあっても重要な役割を果たされたわけです。一軒の家を建てるために煉瓦を運ぶひとはたくさんおります。わたくしには、なぜ、偶み石を運ぶひとだけがすべての栄誉に浴することになるのか了解できないでおります。」

(参考)
黄熱の歴史 (Top pageは名古屋検疫所)
感染症と公衆衛生 関連年表
蟲ギャラリー

Post to Twitter


アルコール誘発性喘息

By , 2007年6月22日 11:30 PM

郡山の病院時代、一緒に働いていた数名や、私の親しい医師でメーリングリストを作りました。そこで、色々と意見交換をしています。

ある先生がアトピー、喘息で悩んでおられて、酒を飲むと喘息発作が出やすくなるという話題となりました。

そこで、呼吸器科のN先生が色々と調べてくれました。内輪の話で済ませるにはもったいないので、N先生の了解を得て、転載します。

アルコール誘発性喘息について少し調べてみました。

飲酒による喘息の誘発はほとんどが日本からの報告で、その背景にアセトアルデヒド分解酵素の活性があるようです。

長崎大学の第二内科からアルコール誘発性喘息に関して報告が出ていました
まとめてみると
・エタノール経口負荷試験では健常者・誘発陽性喘息患者・誘発陰性喘息患者について調べた。
・血中アルコール濃度には3群で有意差は認められなかったのに対して、血中アセトアルデヒド濃度と血中ヒスタミン濃度は誘発陽性患者で陰性群と比較して有意に高値を示した。
・白血球ヒスタミン遊離試験ではエタノールにはヒスタミン遊離作用は認められなかったが、アセトアルデヒドに対しては用量依存性にヒスタミン遊離が認められた。
・健常者と比較して誘発陽性患喘息患者では有意にアセトアルデヒドに対するヒスタミン遊離が促進していた。
・誘発陽性患者の代謝酵素の遺伝子解析では日本人の平均的な分布と差異は認められなかった。
・変異型ホモでは100%、ヘテロでは53%、正常型ホモでは22%の患者にアルコール誘発性の喘息が認められた。

つまり、飲酒を契機に喘息が誘発される方はアセトアルデヒド代謝酵素の活性が低く、マスト細胞などからのヒスタミン放出を介して喘息発作が生じることになります。
ヒスタミンによる喘息ですので、H1ブロッカーの内服が効果があると考えられます。
(ただし、もともと気道過敏性を持っているために喘息が誘発されると考えられるので、通常の喘息の治療も必要と考えます。)

ちなみに、アセトアルデヒド分解酵素の活性を落とすジスルフィラムをあらかじめ内服させた喘息をもつ欧米人に飲酒をさせたところ、喘息が誘発されたとの報告もあります。
また、一部のセフェム系抗菌薬にもジスルフィラム様作用があり、注意が必要です。

ある報告では飲酒2時間程度前のH1ブロッカー内服と、30分程度前のβ刺激薬吸入が発作の予防に有効であるとされていました。

(稀ですが、飲料そのものに含まれる添加物や原料に対するアレルギーもあり、ワインやビールでは保存料や大麦・ホップに対するアレルギーで喘息が誘発されることもあるようです。)

アルコール誘発性喘息とアセトアルデヒド代謝酵素の関係については以下のものに記載されていました。
Correlation between alcohol-induced asthma and acetaldehyde dehydrogenase-2 genotype.
J Allergy Clin Immunol. 1998 May;101(5):576-80.

アセトアルデヒドに対する気道過敏性の上昇については以下のものに記載されています。
Increased airway responsiveness to acetaldehyde in asthmatic subjects with alcohol-induced bronchoconstriction.
Eur Respir J. 1999 Jul;14(1):19-22.

飲酒前のH1ブロッカー内服、β刺激薬吸入に関しては以下のものに記載されています。
Inhibitory effect of terfenadine, a selective H1 histamine antagonist, on alcoholic beverage-induced bronchoconstriction in asthmatic patients.
Eur Respir J. 1995 Apr;8(4):619-23.

アルコールと喘息  押方智也子, 谷口正実, 秋山一男
独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター  臨牀と研究, 83(11) : 1683-1685, 2006

Post to Twitter


日フィル 第591回定演

By , 2007年6月14日 11:17 PM

日本フィルハーモニー交響楽団
第591回東京定期演奏会

6月14日(木) 19時開演 東京オペラシティ
1.ジークフリート牧歌 (ワーグナー)
2.交響曲第39番 変ホ長調 (モーツァルト)
3.交響曲第6番 ヘ長調 (ベートーヴェン)
指揮:Martin Sieghart
日本フィルハーモニー交響楽団

ジークハルトはとてもオシャレな雰囲気を持っていて、洗練された指揮は (映像でしか見たことがないけれど) カルロス・クライバーを連想させました。

モーツァルトが素晴らしかったのですが、ベートーヴェンも、最高でした。聴きながら自分自身の存在が希薄になっていくような不思議な感じがして、途中から胸が張り裂けそうになりました。途中管楽器のチューニングが微妙に狂っていたのは少し気になったけれど、音楽的にはこの上ないものでした。

この指揮者の CDを色々買ってみたいと思います。

演奏会は、すべて対向配置で行われました。最近ブームです。

Post to Twitter


第4回抄読会

By , 2007年6月14日 10:48 PM

6月12日に内輪で抄読会を行いました。

電気整理の I先生は、「糖尿病性動眼神経麻痺は、末梢神経の虚血性ニューロパチーと考えられているが、実は動眼神経核など、中枢の虚血が原因の症例も多いのではないか?」という論文を紹介しました (Hopf HC, et al. Diabetic 3rd nerve palsy: Evidence for mesencephalic lesion. Neurology 40; 1041-1045, 1990)。

私は、胸腺腫について2本紹介しました。
①Lamberts SWJ. The thymus : at the interface between immunology and neuroendocrinology. Ann Med 31; 3-4, 1991
②Muller-Hermelink HK, et al. Pathological aspects of malignant and benign thymic disorders. Ann Med; 5-14, 1991

①の論文は、胸腺についての総論。胸腺における somatostatinやsubstance Pの重要性などについて。

②の論文は胸腺腫の病理分類について。まだ色々な分類が混在しているので、それを整理しました。また、胸腺疾患はしばしば重症筋無力症を合併しますが、何故胸腺炎での胸腺摘出は重症筋無力症の症状を緩和するのに、胸腺腫では改善に乏しいかを検討しました。胸腺腫で改善に乏しいのは、既に自己攻撃性 T細胞が胸腺から播種しているからとされていますが、それでも心臓血管合併症を起こすため、手術はせざるを得ないことも記載されていました。

結局末梢神経の病理を専門に選んだ K医師は、「massachusetts general hospital」のカンファレンスを題材に症例呈示しました (N Engl J Med 2007; 356: 1252-)。Sjogren症候群って、本当に扱いが難しいですね。私たちの勉強会の結論では、sicca syndromeとsjogren syndromeは別個の疾患で、sicca syndromeは診断基準にあるのと反対に、実は sjogren syndromeの本態ではないのではないか・・・、ということでした。もちろん overlapすることも多々ありますけど。また、多発性硬化症と Sjogren症候群による脊髄炎はしばしば鑑別が困難ですね。

New England Journal of Medicineは、世界で最も権威ある医学雑誌の一つですが、最近「Wii」というゲーム器で肩を痛める Wiitisという病気を掲載した、ユニークな面も持っています。

Post to Twitter


コンポ

By , 2007年6月10日 4:47 PM

一晩に内科一人当直で、めまい、めまい、肺炎(基礎疾患:肺結核、COPD)、吐血 (基礎疾患:OMI, CHF)、虫垂炎疑い、肺炎・・・とたくさんの救急車を受けてヘロヘロの当直明け、そのまま池袋に遊びに行きました。

15年くらい前に買ったKenwoodのコンポが壊れたので買い直さないといけません。

ビッグカメラで、いろいろ見ているうちに、Kenwood製の

アンプ RK1 168000円
スピーカー LSK1 84000円

を購入することとなりました。

本当は、一時期 BBSに書き込んでくださった小提琴奏者様推奨のスピーカーにしようとも思ったのですが、徹夜明けで気力がなかったのと、以前使用して Kenwood製のコンポが気に入っていたので、即買いでした。

これからセッティングします。

Post to Twitter


ふるえの臨床

By , 2007年6月9日 7:54 AM

6月8日に、第3回Metropolitan Neurology Conferenceに参加しました。

「ペルマックス錠~リスクとベネフィット~」
座長 東京医科大学 第三内科准教授 内海裕也先生

「Parkinson病の診断・治療に関する注意点」
日本医科大学 神経・腎臓・リウマチ膠原病部門 助教 永山寛先生

「ふるえの臨床」
東京女子医科大学 神経内科主任教授 岩田誠先生

「Parkinson病の診断・治療に関する注意点」では、まずレモン水とL-Dopaの相互作用について検討されました。一つはレモンに含まれるビタミン Cによる COMT阻害作用です。VitC 2 g (ビタミンC製剤シナール10錠分) 飲むと少し効果があるのだとか。また、酸の作用も影響を与えるそうです。

次に検討されたのは、麦角製剤であるカベルゴリンの弁膜症への影響です。カベルゴリンでの弁逆流は大動脈弁に多いことや、統計結果などが示されました。

また、パーキンソン病の診断に有用であるMIBGシンチも検討されました。当初、MIBGで心筋への取り込み低下はParkinson病に特徴的所見と考えられていましたが、多系統萎縮症 (MSA)、びまん性レビー小体病 (DLB)、進行性核上性麻痺 (PSP)、アルツハイマー型痴呆 (senile dementia Alzheimer’s type; SDAT)、脳血管障害・・・いろいろな疾患でも低下がみられることが明らかとなりました。特に他系統萎縮症での MIBG取り込み低下は、約 3割にみられることも紹介されました。

最後の、岩田誠教授の「ふるえの臨床」は圧巻でした。講演が終わった後、会場がどよめいていましたね。

あまりに面白かったので、録画していた主催者に DVDをおねだりしました。頂けるとのことですので、今度我が家で上映会としゃれこみたいものです。

Post to Twitter


神経学の歴史

By , 2007年6月5日 7:36 AM

神経学の歴史を紹介したサイトを発見。

じっくり読んでみよう。

鈴木康弘の神経学関連ページ以下に、神経学の歴史が記載されています。

神経学の歴史1(19世紀前半まで)
神経学の歴史2(19世紀後半)
神経学の歴史3(20世紀前半)

Post to Twitter


ジェイムズ・パーキンソンの人と業績

By , 2007年6月5日 5:23 AM

ジェイムズ・パーキンソンの人と業績 (豊倉康夫編著、診断と治療社)」を読み終えました。

本書では、「An Essay on shaking palsy」と題する、パーキンソンの原著が紹介されています。この論文を読んだシャルコーは、「振戦麻痺 (shaking palsy)」を「パーキンソン病」と呼ぶことを提唱しました。

その他、パーキンソンの人生などが本書で紹介されています。

Continue reading 'ジェイムズ・パーキンソンの人と業績'»

Post to Twitter


Panorama Theme by Themocracy