終診

By , 2006年12月16日 1:02 PM

先日、埼玉のとある病院に代診に行きました。着くと看護師から、「次に来る先生がいないので、今日で外来は終わりなんです。先生紹介状とかお願いしますね。」と言われました。

初めて行く病院で、初めて診る患者ばかりですが、分厚いカルテをひっくり返して、一人一人問題点を整理し、次の受診先を決め、紹介状を書きました。医師が確保出来ず、一つの診療科を閉めるというのが、これ程切ないものかと思いました。

一番困るのは患者でしょうが、これから医療崩壊が始まり、同様の光景があちこちで見られるようになります。固定観念をもたれている方もいますが、医師は決して楽をしている訳でもなく、医療の高度化に伴う負担増を制度的に支えられなくなってきているのです。一人の患者にかかる労力は、一昔前より雲泥に増しています。

医学が高度化すれば、それだけ鑑別診断も増えるし、検査法も増えます。今まで「原因不明」「調べる手段がない」「治療がないから」と全身管理のみであった疾患も、多くの検査が行われ、いくつもの治療が組み合わされることとなります。医師はそれらの検査、治療のすべての指示を出し、結果を評価します。医学の進歩は労力を増やす方向に働くというのが感覚的にわかると思います。治療にしても、例えばt-PAという治療は、ほぼ24時間医師が一人の患者につきっきりで診察していないといけません。

訴訟の増加は、防衛のための書類を山のように増やします。Informed consentの充実はそれだけでかなりの時間を要します。また、コンビニ感覚での夜間の受診が増えています。旧泰然とした制度で、これらが支えられるとは思いません。

医療崩壊について、多くの医師が警鐘を鳴らしています。日本的な特徴として、夕張市の例をとるまでもなく、問題が顕在化するときは、手遅れになったときです。こうした問題に対するマスコミの報道も貧困なものです。

(参考)
三重県医師会 日本の医療が崩壊する?!
新小児科医のつぶやき -春のドミノ-

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忘年会での合奏

By , 2006年12月16日 11:07 AM

12月11日は当直でした。翌日は当直明けに症例検討会で発表。世界的に珍しい疾患を発表しました。こうした症例検討会で発表するために、前日英語の論文 30本くらい読んで準備してきたのですが、教授、助教授クラスの質問はやはり厳しいものでした。とはいえ、私のみならず、世界の誰もがわかっていないことなので、いずれにせよ仮説でしか答えられませんが。

症例検討会が終わると、医局の忘年会に行くために駅に向かいました。駅のホームで、愛読紙の東京スポーツを読んでいると、後ろから「いやー、一緒になっちゃったねぇ」との声が。無視して新聞に集中していると、もう一度「いやー、一緒になっちゃったねぇ」。人違いかと思って後ろを向くと、楽器を抱えた教授でした。

電車で一緒に話せるといううれしさと、気付かなかった後ろめたさ。東京スポーツはそそくさと鞄にしまいました。

電車の中では、いろいろな話をしました。

私が、ルツェルンのピカソ美術館で「3人の楽師達」という絵を見たと話すと、教授は「ルツェルンは思い出の街でね。パリでお金がなかったときに、バーゼルで会議があって、『よしっ』と思ってルツェルンに時計を買いに行ったんだ。鳩が出てくるやつ。ラヴェルの家にあったような時計が欲しくてね。パベル橋が燃える前の話だけど・・・」

また、ハンブルクの話、ドイツの綺麗な街の話、演奏家の話など話題は尽きませんでした。

ホテルに着くと、早速練習を始めました。最初は全く呼吸が合わない箇所もありましたが、3回くらい練習して合うようになったのでそのまま本番に挑むことにしました。

練習後、教授は夜景を指さし、「あそこが僕の母校で、池辺晋一郎とか坂本龍一が出身なんだよ」と教えてくださいました。

忘年会は、私が2人の幹事の内1人でしたが、ほとんど仕事せず、同僚に仕事して貰っていました。どうも幹事というのは苦手です。

そして、いよいよ演奏の時間が来ました。曲は「DUO in B, KV 424 (W.A.Mozart)」。

練習ではゆっくりめのテンポで演奏しようと話していたのですが、アルコールが手伝ったこともあり、CD同様のテンポで始まりました。リズム感のある部分の多い曲なので、速いテンポが生きたと思います。教授が「この部分綺麗だね」とおっしゃったころは、お互いの呼吸が一致して、美しく演奏出来たと思います。

直前に 3回合わせただけで本番なので不安はありましたが、大きなミスもなく演奏することが出来ました。教授からも、終了後「楽しかった」と言って頂けて万感の思いでした。

2次会は親しいものだけで飲みに行き、そのうち 3人で 3次会へ。午前 1時過ぎまで飲んで乱れていましたが、さすがに徹夜明けなので睡魔に襲われ帰宅しました。

演奏を聴いていた先輩医師から後日メールを頂きました。嬉しかったので、許可を得て転載させて頂きます。

 先生のバイオリンはなかなかのものだと風の便りに耳にしておりましたが、こんなに素晴しいものいだとは予想していませんでした。
いままで聴いた医者の演奏のなかで、初めて「医者の余技だから」と自分を無理に納得をさせる必要なく、楽しんで聴くことができました。もっとも、上杉先生の生の演奏を知らないものだから、バイオリン以外の演奏についてはあまりいいかげんなことはいえないけれど。先生の演奏を聞いただけでも、あまり良くない体調をおして夜の新宿に出かけた甲斐があったというものです。J.S.Bachの無伴奏バイオリンパルティータのあの有名なシャコンヌは、先生弾けるかな?もしできたら、なにかの機会に聴きたいものです。
それにしても、良い演奏を、ありがとう。

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医師の音楽家、音楽家の医師

By , 2006年12月10日 11:52 PM

プロの音楽家になるには、毎日数時間の練習が不可欠です。その上で、一流として食べていけるのは一握り。

医師でありながら音楽家として活躍している日本人を2人知っています。面識はありませんが。

米沢傑氏は、郡山の病院のボスに自宅に招待された際、CDを聴かせて頂きました。氏は鹿児島大学の病理学の教授でありながら、一流の声楽家として活躍されています。

上杉春雄氏は、神経内科医でピアニストです。先日教授に教えて頂きました。今日、CDを買って聴いたのですが、滅茶苦茶上手でした。私がこれまで聴いたプロの演奏家の中でも、最上位に入るレベルです。是非一度お会いしたいものです。

医師が音楽家であることは、時間的な制約などから非常に難しいことと思います。声楽に関しては、ある程度の年齢になってから始めること、喉を痛めるので練習量が他の楽器より少ないため、才能の要素が強くなります。そのため、才能さえあれば可能なように思えます。一方、ピアノについては、上杉氏がそうであるように、小さい頃どこまで極められるかにかかっています。ヴァイオリンにしろ、ピアノにしろ、基礎となる部分は小さいうちに築く必要があるからです。もちろん、トッププロの話であって、アマチュアは別です。

この2人にビルロート作曲の歌曲を演奏して頂けたら、どんなに幸せかと思います。

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四季

By , 2006年12月9日 8:37 PM

12月7日、頂いたチケットで、サントリーホールに聴きに行ってきました。サントリーホールに着いて、少し時間があったので、まず一杯。クリスマスツリーが飾られていましたが、クリスマスを忘れ去りたい私に対して、何かの嫌がらせでしょうか?

曲目は、ハイドンのオラトリオ「四季」。広上淳一指揮、日本フィルハーモニー交響楽団、ソプラノ野田ヒロ子、テノール福井敬、バス高橋啓三。東京音楽大学合唱団。

ハイドンはヘンデルの影響を受け、オラトリオ(管弦楽+合唱)を4曲作曲しました。うち、「天地創造」と「四季」が有名です。当日のプログラムの曲紹介からの引用です。

「ロンドンからウィーンに戻ったハイドンは、名高い音楽愛好家であり、ヘンデルの熱心な紹介者だったスヴィーテン男爵の協力を得る。男爵は、ハイドンのオラトリオ誕生に向けて、自ら筆をとって歌詞を書き、上演実現のために陰になり日向になって働いた。」

演奏が始まり、まずコンサートマスター、木野雅之さんの姿を発見して感動。日本人バイオリニストの中では、私が尊敬する方の一人です。私が大好きなミルシタインの弟子であるそうです。

やがて合唱が始まりましたが、非常にまとまりがあって綺麗でした。侵しがたい美しさがありました。歌詞の対訳も配布されていたため、内容を理解しながら聴くことが出来ました。

「春」第4曲の管弦楽は、交響曲「驚愕」の旋律。しかし、このオラトリオの中に用いられていたにも関わらず、違和感はありませんでした。

その時、バーンスタインの「音楽は何も意味しない」という言葉を思い出しました。本当に音楽がただ一つの意味を持つとすれば、多くのシチュエーションに当てはまることはないはずです。音楽は、音符の集まりに過ぎず、意味を持たない「曖昧」なものであるが故に、逆に強い表現力を持ちます。「曖昧さ」のない法律の文面に表現力がないこと、詩のように「曖昧な」文章は表現豊かであることを考えると理解しやすいと思います。といっても、限度がありますが・・・。

一曲を通じて、神への感謝を歌い上げていますが、自然の描写や、その素晴らしさを表現している点で、ベートーヴェンの交響曲「田園」と似た雰囲気を感じました。作曲手法としては、かなりフーガが多用されています。

ハイドンの時代のドイツ語の歌詞ですが、医学用語もいくつか登場していました。夏、第15曲、アリアから一例を挙げます。

感覚(Sinne)にはこよない蘇生
心(Herz)にはこよない回復
すべての欠陥をくまなく貫通し、
神経(Nerve)のすみずみにまで
爽やかな気持ちが行きわたる
こよない蘇生(Labung)・・・
魂(Seele)は目覚めて
歓喜を満喫する
新たな力が湧き、
穏やかな衝動で若者は
胸をときめかす・・・

最後の盛り上げ方は、指揮者が上手だと感じた瞬間です。演奏が終わった後、いつまでも拍手が鳴りやみませんでした。東京音大の学生による合唱だったためか、オケの団員達も観客と一緒に舞台の上から祝福の拍手をしていました。

19時開演で、演奏終了は21時40分。大作でした。席は半分くらい空席で、もったいないことだと思いました。

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驚異のボウイング

By , 2006年12月6日 7:41 AM

昔は世界で数人しか弾けなかったパガニーニの難曲を今では芸大の入試で弾かされる時代となっていますが、それだけ演奏技術の向上がありながら、難しいテクニックというのが存在します。

パガニーニのカプリス第5番は、楽譜に忠実に弾くとすると、最初の音階が終わった後の速いパッセージのボウイングはリコッシェで弾かないといけません。しかし、私の先生の話では、弾ける人は「芸大時代は同級生に一人いた」レベル。世界でも珍しいでしょう。ほとんどの人は、違う奏法で弾いていますが、アレクサンダー・マルコフなどはきちんとリコッシェで弾いています。音量を維持するのが大変のようです。

他に、ダウンボウで弓を跳ばすテクニックもあり、これも私の先生によると、芸大の同級生に出来たのが一人だったそうです。Heifetzが得意にしていました。

・Jascha Heifetz plays Hora Staccato

他にお薦めは、レオニード・コーガンのパガニーニです。左手も右手も完璧だと思います。私が持っているビデオと同じ動画がYoutubeにありました。

・Kogan Paganini

コーガンは好きな演奏家で、カルメンファンタジーも圧巻の演奏です。

・Wachsmann – Carmen Fantaisie, Leonid Kogan

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抗体科学入門

By , 2006年12月4日 8:31 PM

「抗体科学入門(岡村和夫著、工学社)」を読み終えました。著者は生化学が専門のようですが、抗体に対して、物理学や化学からのアプローチがされていて新鮮でした。物理学や化学の基礎が出来ていない私にとってはかなり辛い内容でしたが・・・。

前半は「The cell」で説明されている内容と似通っていたのですが、より物理学的ないし化学的なアプローチがされており、分子間力や抗体の親和性に多くのページが割かれていました。数式にはついていけませんでしたが、何となく雰囲気はわかりました。

後半は最新の知見が紹介されていて楽しめました。例えば、抗腫瘍抗体で臓器内の腫瘍化した部位を特定するといった応用についても紹介されていました。臨床家が読んでも面白い内容と思います。

著者のWeb pageがあり、一部内容が掲載されています。

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レッスン

By , 2006年12月3日 6:42 PM

久しぶりに、ヴァイオリンのレッスンに行ってきました。

見て頂いた曲は、「DUO in B, KV 424 (W.A.Mozart)」です。12日に教授と合奏する曲ですが、今日はヴァイオリンの先生が初見でビオラパートを弾いてくださいました。久しぶりの合奏を楽しみました。

レッスン中、和声からみたフレージングなど、参考になる話をたくさん伺いました。ただ感じたままに弾けば良いというのは子供や初心者には許されるでしょうが、勉強を進めるに従って、演奏には根拠が必要になります。もちろんアプローチの仕方はいくつかありますが、和声というのは非常に有用な方法と思います。和声を基礎から学びたいという気持ちがかなりありますが、なかなか教えて頂ける方がおらず、探しています。

ヴァイオリンの先生の友人が、コンセルトヘボウ響で第2ヴァイオリンを弾かれているそうなのですが、私の先生に「最近日本では誰が有名なの?」と聞かれたそうです。私の先生がいくつか名前を挙げたところ、「こっちでは全然聞かない」と言われたそうです。最近、コンクールが重要視されなくなってきており、コンクール向けの傷のない演奏が得意なだけではヨーロッパでは売れないそうです。そういった意味では、日本はヴァイオリンの分野では不作なのかもしれません。

ヨーロッパで最近評価が高いのは、ツィンマーマンやレオニダス・カヴァコスだそうです。2人とも私は学生時代に聴き、非常に感動して、周囲に吹聴してまわった記憶があります。

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遭遇

By , 2006年12月2日 6:44 PM

昨日、仕事を終えて帰宅中、偶然教授と一緒になったのです。話がはずんだので、少しでも教授といられるように、遠回りして帰りました。教授は、新しい片頭痛の薬(抗てんかん薬の一種)の治験の会議に出席される途中でした。

舞い上がってしまっていて、何を話していたかはあまり憶えていません。後から、「あの話もすれば良かった」とか、いろいろ後悔しました。

途中、医師兼音楽家である人物の話になり、ヨーロッパにはオルガニストで医師である人物が何人もいるだとか、日本人にもプロのピアニストである医師がいるとか、そういったことを話しました。人名は詳しくは忘れてしまいましたが。

それから、以前9月9日の日記で紹介した「不思議の国のアリス症候群」の話題になりました。「不思議の国のアリス症候群」は、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」という小説から名付けられました。キャロル自身が「不思議の国のアリス症候群」だったと言われていて、その体験を元に「不思議の国のアリス」という小説を書いたと考えられています。

教授は、「キャロルが『不思議の国のアリス』という小説を書いたのは、彼が『不思議の国のアリス症候群』に罹る前だったという説があるよ。」とおっしゃっていましたが、私が「でも、自分が罹患していないと、あそこまで細かな描写は出来ないでしょう?」と言うと、「そうかもしれないね」とおっしゃっていました。

その他、ブラームスやビルロートの話をしました。

電車の音がうるさくて、時々聞き取れない部分もあったのが残念です。でも、12月12日の忘年会は、教授とモーツァルトのデュオを合わせます。今からとても楽しみにしています。

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シンボリ

By , 2006年12月1日 7:49 AM

シンボリの冠名を有する競走馬は、シンボリルドルフ、シンボリクリスエスなどの名馬を含め、多数存在します。

過去には、シンボリジャイアン、リーチシンボリ、シンボリフェラーリなど面白い名前の馬がいました。

あるテーマを元に名付ける傾向があり、現4歳馬世代では、シンボリヤンキース、シンボリレッズ、シンボリロイヤルズ、シンボリマリナーズ、シンボリマーリンズ、シンボリタイガース、シンボリドジャース、シンボリエクスポズ、シンボリエンゼルス・・・。メジャーリーグの球団名が用いられています。

現12歳馬はシンボリプラトン、シンボリサルトル、シンボリガリレイ、シンボリデカルトといった哲学者シリーズでした。

友人からの情報によると、今年は音楽家シリーズ。現2歳馬世代ではシンボリブラームス、シンボリハイドン、シンボリヘンデル、シンボリショパンといった高名な作曲家が名を連ねます。

音楽に関する馬名の馬には、シンボリ冠名に関係ないところでは、チゴイネルワイゼン、カノン、ピアニスト、マイクラリネットなどがいましたが、成績は今ひとつ。

シンボリショパン、シンボリブラームスは成績を残せていませんが、シンボリハイドンは11月12日に未勝利戦(福島ダート1150m)をレコード勝ちしました。強い馬ではないでしょうが、当面楽しめそうです。

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椎骨動脈解離

By , 2006年11月30日 10:08 PM

頭痛の分野で最近注目を集めているのが、低髄圧性頭痛や椎骨動脈解離といった頭痛です。先日、山形大学の細矢高亮教授の講演を聞きました。

細矢教授は、椎骨動脈系の病変のほとんどは動脈解離なのではないかと考え、研究を進めてきました。血管をMRI (CE-SPGR) や血管造影で評価することにより、Wallenberg症候群の約半数で possible or definiteの動脈解離を証明しました。論文のタイトルは「Prevalence of vertebral artery dissection in Wallenberg syndrome: neuroradiological analysis of 93 patients in the Tohoku District, Japan.」で、雑誌は1996年のRadiat Medです。

こうした解離の場合、外径が予後に関係するので、MRIのCE-SPGRやBPAS (Basi-parallel anatomic scanning: 脂肪抑制 heavily T2WI, 20mm cilvus後縁に平行に撮像) といった外径をみる撮像法が大切になります。

これまで、証明が難しかった分野ですが、画像診断法の進歩により明らかになった部分が多いようです。

解離の誘因は、頭部を激しく動かすことで、整体やヨガ、ゴルフやサッカーのヘディングなどがハイリスクとなります。演者の経験では、ビートたけしの真似(首を動かす仕草)で解離を発症した症例があるそうです。解剖学的に模型を作ると理解しやすいとのことです。

私の大学の教授の発言でも、「ラジオ体操は危ないよなぁ」と。

講演で他に面白かったのが、perioptic subarachnoid space (perioptic SAS) の話。MRIのFast-STIRで評価するそうですが、asymmetricalなのが病的で、拡張は check valveの機序による拡張で、狭小化は眼窩病変を示すそうです。初めて聞いた話でした。演者には、他にFisher症候群における脳神経の造影効果を最初に報告した実績があります。

講演が終わってから、意見交換会 (飲み会) へ。演者と、私と、同僚と、私の大学の教授が同じ卓を囲みました。

私の大学の教授が海外で初めて椎骨動脈解離を知った時の話や、昔の気脳室撮影の手技、血管造影の黎明期の話(頸部から動脈を穿刺しており、失敗も日常茶飯事だった)など興味深く聞きました。

細矢教授はとても気さくな方で、「放射線科診断医は金の卵、放射線治療医はダイヤモンド」と学生に入局の勧誘をされているとのことでした。放射線治療専門医は全国で400~500人程度 (http://www.jastro.jp/)。米国では「Docotor of doctor」と呼ばれ、億の収入を誇る放射線科医も、日本ではあまりに地位が低すぎ、なり手不足のようです。

講演全体を通して、一つの分野を築いた人への憧れを感じました。

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