お気に入りの主題

By , 2008年7月31日 7:38 AM

これまで、バッハ、モーツァルトの全集を聴いてきて、「使い回し」のように、同じ旋律を他の曲に使用することが如何に多いか感じていました。旋律そのものより、旋律をどう扱うのかに重点を置いていたからでしょうか。

バッハの場合は、毎週日曜日のミサまでに曲を完成させないといけませんでしたから、やむをえずといった事情があったのではないでしょうか?それだけではないでしょうが。

モーツァルトの場合は、主題の扱い方を変えることを楽しんでいたように思えます。変奏曲の得意なモーツァルトらしく、主題を色々なシチュエーションでいじくり回すことに興味を覚えたのではないでしょうか?

今、ベートーヴェンの全集を聴いています。そこに「プロメテウスの創造物」の主題を用いたピアノ曲がありました。曲名は長いのですが、「<プロメテウスの創造物>の主題による15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 op.35 <エロイカ変奏曲>」といいます。

この主題、ベートーヴェンが気に入って、何回も使い回したものです。CDの解説書から一部引用します。

CD解説書より

この曲の主題は最初オーケストラのための<12のコントルダンス>WoO 14第7番に用いられ、次いでバレエ音楽<プロメテウスの創造物>作品 43のフィナーレに転用され、その次にこの変奏曲、最後に交響曲第3番<英雄>のフィナーレへと何度も使われた。

この曲は作品 34の変奏曲と同時に書かれた姉妹作であるが、作品 34とは違った手法が見られる。テーマの前に序奏を置き、主題の低音の持つ可能性を示す手法はバロック時代のパッサカリアを思わせるもので、しかも 2声、3声、4声と進められたのちに「テーマ」が現れるという個性的な作り方。曲想も作品 34に比べて雄大華麗であり、ベートーヴェンの変ホ長調作品に共通した明るさ、力強さ、英雄的な音楽性を感じさせるものである。

最後に、YouTubeから、「<プロメテウスの創造物>の主題による 15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 op.35 <エロイカ変奏曲>」を紹介しておきます。交響曲第 3番「エロイカ」と聴き比べて、ご堪能ください。 まぁ、ベートーヴェンは他にも、交響曲第 9番の最終楽章の主題に、弦楽四重奏曲第 15番の最終楽章の主題を当初流用していたりと、いろいろあるようですが。

Glenn Gould – Beethoven 15 Variations and Fugue Op 35 (1/3)

Glenn Gould – Beethoven 15 Variations and Fugue Op 35 (2/3)

Glenn Gould – Beethoven 15 Variations and Fugue Op 35 (3/3)

Beethoven – Symphony No.3 E-flat major, Op.55 “Eroica” / Jordi Savall

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