ライプツィヒ・ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

By , 2010年3月15日 12:12 AM

Gewandhaus-quartett Leipzig による「Beethoven Streichquartett Op. 59, “Rasmouwsky”」の CD (VICC-60619~20) を聴きました。1977年に坂戸文化会館で行われた録音です。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス弦楽四重奏団は何度か団員が変わっていますが、1977年のこの録音では、ゲルハルト・ボッセ (Vn.1)、ギュンター・グラス(Vn.2)、ディートマル・ハルマン(Va)、ユルンヤコブ・ティム(Vc)といったメンバーです。一時、カール・ズスケなんかも所属していましたね。

実際に聴いてみると、味わいのある良い録音でした。人が四人集まった温かみを凄く感じることができました。一方、解釈ではっとさせられるところもあったりして。

先日、奇遇なことに、この第一ヴァイオリンのボッセさんと会うことができました (Wikipediaで経歴みると、凄い方ですね)。すると、彼は色々面白い話を教えてくださいました。

まず「一番好きな曲は?」と聞かれたので、私が「弦楽四重奏曲第15番第3楽章です」と答えると、ボッセさんは「それはねぇ、トーマス・マンの前で弾いたとき、『アンコール何が良い?』って聞いたら、彼が答えた曲だよ」と教えてくださいました。

つづけて、「面白い逸話があってね」とボッセさんは続けました。「ヨアヒムの最後の弟子がコンサートのある街に急いでいたんだけど、嵐で遅れることになってしまった。そこで電話したんだ。翌日のコンサートの曲目を伝えるためにね。彼が『Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart. (リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌)』って言ったら、電話の音が悪かったようで、相手が聞き間違えてしまったの。コンサートの案内には『中国の歌、ユダヤ風に (ボッセさんが実際にドイツ語で発音してくださいました)』って載ってしまって (爆笑)」

彼の口からでる言葉に、生きた歴史に触れた心地がして、胸がいっぱいになりました。

あとで調べて知ったのですが、ヨアヒムもゲヴァントハウス室内管弦楽団に属していたことがあったのですね。こうした音楽家と触れ合えるなんて、音楽好き冥利に尽きます。

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