外科の夜明け

By , 2006年9月30日 8:18 PM

「外科の夜明け(J・トールワルド著)」という本を読み終えました。麻酔や消毒法、心臓手術をテーマにした医学史の本ですが、架空の主人公を登場させ、医学史上の人物と会話させることによって、感情移入しやすくなっています。

リスターという医師が、手術室でのスプレーによる殺菌法を始め、これが無菌手術を試みた最初とされていましたが、実際には、空気中には菌は少なく、30分に15cm四方の傷口に落下する菌は70個程度で、ほとんどが無害な菌だったため、だんだん無意味であるとされるようになりました。

無菌手術の研究が進むにつれて、器具や手の消毒に注意が払われるようになりました。リスターは手を石炭酸に浸すことを提唱しましたが、これは違った理由で効果があるのが後々わかりました。外科医が石炭酸のにおいを消すために手を石けんと水で洗ったことが奏功したというのです。

ミクリッツという外科医は、殺菌したニットの手袋を用いましたが、すぐに濡れて取り替えないといけないという難点がありました。そこにハルステッドという医師がすばらしい発明をしました。ハルステッドは、お気に入りの看護婦の手が荒れることを気にしていました。そのため手を保護するためのゴム手袋を送りました。手袋は滅菌されており、昇汞水で手を洗う必要はありませんでした。彼女は後にハルステッドの妻になりましたが、彼女が去ったあと、あとには手袋が残ったそうです。

ハルステッドは、コカイン中毒を乗り越えて教授になった人物ですが、ヘルニアの術式に名を残しています。

手術用手袋一つにこんなロマンがあったなどとは知りませんでした。

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