弦が切れたとき

By , 2011年4月23日 11:10 AM

4月22日はラロの命日でした。ラロの「スペイン交響曲」は、小学生の頃発表会で演奏した思い出の曲です。まぁ、弾くのと弾けているのは違うのであって、あくまで「弾いた」だけです。ラロのヴァイオリン協奏曲第1番と、2番「スペイン交響曲」を初演したのはかの有名なサラサーテというのは知られた話です。

Youtubeでラロの「スペイン交響曲」を鑑賞していたら、面白い動画に出会いました。事件が起こったのは最後の動画ですが、せっかく良い曲なので、全曲通して聴いてみてください。

・Symphonie Espagnole (Lalo Violin concerto) 1/5 – Marek Pavelec

・Symphonie Espagnole 2/5 (Lalo) – Marek Pavelec

・Symphonie Espagnole 3/5 (Lalo) – Marek Pavelec

・Symphonie Espagnole 4/5 (Lalo) – Marek Pavelec

・Symphonie Espagnole 5/5 (Lalo) – Marek Pavelec

事件は、第五楽章 2分50秒辺りで起こりました。ソリストが弾ききったときに、E線が切れてしまいました。もともと E線は細いので切れやすくて、演奏会中に切れることはそれほど稀ではないのですが、今回は、弓の根もとの金具でひっかけてしまったようにも見えました。

こうしたとき、ソロを弾いた経験がある人なら知っていると思いますが、いくつか対処法があります。

①残った弦で弾ききる
とっさに他の弦で代用しながら弾ききることが可能な場合があります。しかし、下記の場合には、この方法はとることができません。

・切れた弦を含む和音 (もしくは分散和音) を弾かないといけない
・技巧的な曲で、他の弦で弾くだけの余裕がない
・G線が切れてしまった (原理的に弦を押さえて開放弦より高い音を出しているので、一番低音の弦が切れると代用が利きません)
・高音が含まれる (もっとも高い音を出せる E線で、さらに高い音を出すような場合では、二番目に高い音を出せる A線を使っても代用不能です)

②弦を張り直して楽章の最初から弾き直す
室内楽では、良く見られる方法です。しかし、ソリストにとってすごく集中力を必要とする協奏曲で、弾き直すのは集中力をそぐことになりますし、曲の構成的にも、流れが失われます。

さらに、弦を張り直した直後はチューニングが狂いやすいので、張り直したとしても、技巧的なソロ曲を弾くには不安が残ります (E線は狂いにくいのですが、低弦だと 30秒くらい弾いただけで、すぐ半音近くチューニングが低く狂います)。特にガット弦を使っているソリストは、チューニングが物凄く狂うので演奏になりません。

③コンサートマスターから借りる
今回ソリストがとったのはこの方法でした。コンサートマスターから素早く楽器を受け取って演奏を続けます。コンサートマスターはオーケストラのカリスマ的存在ですし、曲によってはソロパートを演奏しますので、当然良い楽器を持っています。

弦の切れた楽器を受け取ったコンサートマスターは後ろの奏者と楽器を交換します。

弦の切れた楽器を受け取った奏者はさらに後ろの奏者と楽器を交換・・・これを順次繰り返して舞台袖まで到達し、一番後ろにいる奏者が弦を張り替えに楽屋に持っていく、あるいは楽屋から持ってきた人から新しい楽器を受け取ります。オーケストラによっては譜面台の横にヴァイオリンを吊るしてあって、一番後ろの奏者まで送らなくても楽器を交換できるようになっています。

オーケストラを聴きに行った時、譜面台の脇に予備の楽器がぶら下がっているか、良く見てみましょう。確かウィーンフィルとか聴いたときはあった気がするなぁ・・・。


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