抗MOG抗体と NMO/NMOSD

By , 2014年1月27日 6:07 AM

2014年1月13日の JAMA neurologyに、視神経脊髄炎 (NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム疾患 (NMOSD) における抗 aquaporin-4 (AQP4) 抗体陽性例と抗 myelin-oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体陽性例の臨床像を比較した研究が掲載されていました。

Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders With Aquaporin-4 and Myelin-Oligodendrocyte Glycoprotein Antibodies

A Comparative Study

NMO/NMOSD患者の多くは抗 AQP4抗体陽性と考えられています。しかし数年前から、抗 AQP-4抗体陰性例に抗 MOG抗体が検出されることが報告されるようになりました。そこで著者らは、2010年1月1日~2013年4月1日に初回の脱髄イベントを起こした、抗 AQP-4抗体もしくは抗 MOG抗体陽性患者について調べました。

Table1

Table1

その結果、明らかになった臨床的特徴は下記。

・抗 AQP4抗体と抗 MOG抗体が両方陽性の患者はいなかった

・抗 MOG抗体陽性患者は、抗 AQP-4患者と比較して、男性に多い、若年という特徴が見られた。

・抗 MOG抗体陽性患者は、視神経炎と横断性脊髄炎を併発もしくは 1ヶ月以内に続発することが多かった。抗 AQP4患者では同時発症はみられなかった。

・44%の抗 MOG抗体陽性患者は、発症時に視神経脊髄炎の診断基準を満たした。抗 AQP-4抗体では発症時に視神経脊髄炎の診断基準を満たした患者はいなかった。

・最重症時の EDSSは両群間で差はなかったが、抗 MOG抗体陽性患者の方が、EDSS、運動障害、MRI画像とも改善が大きかった。抗 AQP4抗体陽性例と異なり、抗 MOG抗体陽性例では観察期間中に再発した患者はいなかった (単相性)。

・脊髄病変の長さは両群間で差はなかったが、抗 MOG抗体陽性例では脊髄円錐が侵されやすかった。また、抗 MOG抗体陽性例では、脳 MRIで白質病変が一般的に見られた (ADEM-like)。

・髄液所見は両群間で差がなかった。

・回復後の抗体陰転化は、抗 MOG抗体 (56%) の方が抗 AQP4抗体 (15%) よりも一般的に見られた。

・多発性硬化症 (MS) 患者において抗 MOG抗体をスクリーニングしてみたが、陽性例はなかった。別の研究では一部患者で陽性だったと報告しており、抗体のアッセイ系の違いが原因と推測される。

 この論文を読むと、NMO/NMOSDにおいて、抗 MOG抗体陽性例と抗 AQP4抗体陽性例では、臨床像がかなり異なるようです。、読みながら、「あっ、そういえば、昔診たあの患者さんがそうだった」と思いながら読みました。しかし、抗 MOG抗体陽性 NMO/NMOSDを疑ったとして、一般の病院では検査することは難しいですね。ググると、すでにキットも販売されていますし、測定して報告している大学が国内にいくつかあるので、そういうところに依頼することになるのでしょうか。

あと、2014年1月20日の JAMA neurologyでは、NMOにおける免疫抑制療法の比較が掲載されていました。

Comparison of Relapse and Treatment Failure Rates Among Patients With Neuromyelitis OpticaMulticenter Study of Treatment Efficacy

Results  Rituximab reduced the relapse rate up to 88.2%, with 2 in 3 patients achieving complete remission. Mycophenolate reduced the relapse rate by up to 87.4%, with a 36% failure rate. Azathioprine reduced the relapse rate by 72.1% but had a 53% failure rate despite concurrent use of prednisone.

アザチオプリンは、ステロイド併用していても約半数で治療失敗がみられるんですね。

薬価を見ると、アザチオプリン 100~200 mg/day (2~3 mg/kg/day) で 306.2~612.4円/日、ミコフェノール酸モフェチル 1000~2000 mg/dayで 1304.8~2609.6円/日、リツキシマブ 1000 mg 初回投与及び 2週間後投与併せて 856640円。3剤の中で最も安いアザチオプリンの治療失敗が最も多いとは・・・残念です。

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