「萌え系」解説書
美少女が教える専門知識 「萌え系」解説書が続々
1月27日10時7分配信 産経新聞
軍事や科学、古典などの“堅い”ジャンルの解説書に「萌(も)え系」と呼ばれる美少女のイラストをふんだんに駆使した解説書が人気を呼んでいる。著者は「たくさんの人に手軽に手に取ってもらい、専門分野の知識を深めてもらうきっかけになれば」と期待を込めている。
118個の元素を萌えキャラに擬人化して紹介する解説書「元素周期 萌えて覚える化学の基本」(PHP研究所)が昨年11月に発売されたところ、これまで8刷2万4000冊を発行した。「こうした理工系の本では1万冊売れればヒット」(同社コミック出版部)とされるところ、予想を上回る売り上げという。
元素は物質を構成する基本要素。それを重量順に横に、性質の似たものを縦に並べたものが周期表だ。学生時代に「水平リーベ、僕の船…」などとおまじないのように覚えた人も多いと思うが、同書は、武蔵工業大で化学を教える満田深雪・非常勤講師の監修で、元素を、その特徴や性質に基づいて33人のイラストレーターが擬人化した。メイドや妖精の姿をしたり、武器や戦闘服をまとうなどしたキャラクターの姿から、元素のイメージが浮かんでくるようだ。
それぞれにキャッチフレーズもつけた。炭素(C)は「生命の息吹を吹き込む漆黒の女王様」、鉄(Fe)は「紀元前から人気者のポップメタル娘」、殺菌能力のある銀(Ag)は「汚れを鎮める力を持った誇り高き美女」…といった具合だ。原子量や電子の軌道図、利用法などのデータも盛り込まれており、専門書としての機能も備えている。
満田さんは「携帯電話の液晶など身近なハイテクに欠かせない元素が日本には乏しい。採掘をめぐって国際問題になることもある。この本を入り口に、こんなグローバルな観点から化学に親しんでほしい」と話す。PHP研究所は「萌えて覚える化学の基本」がヒットしたため、6月、第2弾として天文宇宙分野で同様の解説書を発売予定だ。
日本最古の歴史書「古事記」を「萌え」でリメークした「萌ゆる古事記」(イカロス出版)も発売2カ月で1万冊を売り上げた。同書は「天地開闢(かいびやく)」「海幸彦・山幸彦」「神武東征」など神話のエピソードを萌えキャラを使って漫画化し、平易な文章で解説している。
著者の鈴木ドイツさん(47)は「神話は、登場人物の名前やエピソードを何となく知っていても詳細を知っている人は少ない。ジャンルとして定着してきた『萌え』を使って、手にとってもらいたかった」と話す。
漫画は実にハチャメチャな展開だが、解説文を読むと神話の内容が漫画と不思議に大差ない。「日本の神様って、こんなにスゴイんだ」と驚かされる。
「神話の神様はほとんどが自然現象や動植物、人間の生活と結びついたものを姫などに擬人化したもの。“宇宙初の萌え擬人化”ですよ」と鈴木さん。
就職活動や株式投資のハウツー本をはじめ、職業案内や受験参考書まで、実に多くが出版されている「萌え本」。売れるのは古来の民族性が理由だった?
(安岡一成)
解剖学の授業で、骨の名前や筋肉、神経の名前が覚えられなくて四苦八苦する医学生は多いのですが、さすがに医学の「萌え本」は出ないでしょうね(^^;