名大病院救急
久々にこの手の医療崩壊系ニュースを見ました。
名大病院救急医9人が退職 体制半減、受け入れに影響も
名古屋大病院(名古屋市昭和区)で救急搬送患者らに対応する救急科の医師二十一人のうち九人が、三月末で一斉に退職することが、病院関係者への取材で分かった。四月以降に退職する意向を示す医師もおり、医師がほぼ半減する異例の事態となる。職場環境への不満や救急医療の方針への反発が、退職の理由とみられる。他の診療科の協力で救急患者受け入れは継続するが、規模縮小は避けられない見通しだ。
名大病院は複数の外部識者を交えた調査委員会を設置し、こうした事態が生じた経緯を調べる。
名大病院は、他の診療科の医師の応援を得るほか、当面は、医師の当直回数を増やすなどして、救急対応を継続する方針だ。ただ、救急搬送が複数重なった場合など、受け入れきれずに、他の医療機関に回さざるを得ないケースも想定される。長期的な態勢の再構築も不透明だ。
退職する九人は、九州など出身地の医療機関に移ったり、名古屋市内や東京都の別の病院に移ったりする。
退職する医師の一人は取材に対し、「明らかに理不尽と感じる方針を押しつけられ、他の診療科とあつれきが生まれる場面も何度もあった」と、職場環境が要因だったと明かした。
一方、指導する立場の救急科の教授は「各医師の人生設計やキャリアアップが主な理由だ」と説明し、「どんな職場でも不満は生じる。現状をどう感じるかは各医師次第だが、全国的に救急医の数を増やさないと根本的な解決にはならない」と話す。
名古屋市消防局によると、二〇一四年の救急搬送件数は約十万三千件。名大病院は同年、約四千二百台の救急車を受け入れている。〇九年度は千台余りだったが急増した。高度先進医療に対して、救急部門は遅れがちで、六年ほど前から、重度の患者を常時受け入れられる「救命救急センター」を目指し強化してきた。病院幹部は「この傾向に無理があったのかどうか。原因はどこにあるのか。客観的に検証するため外部識者を招いてきちんと調べ、適切な組織のあり方を探りたい」と話した。
今回の事態に関し、救命救急センターを備える名古屋市内の別の病院幹部は「市内には、救急搬送の受け入れ医療機関が充実しており、大きな影響は出ないだろう」と話した。
このニュースからわかるのは、「救急をたくさん受け入れるようになったこと (5年間で救急車 4倍!)」、「他科との軋轢が生じたこと」です。救急部で受けた患者が専門的な治療を要する場合、専門の科に紹介しなければいけません。専門の科にキャパシティーがない場合、救急部と専門の科で軋轢が生じることは良くあります。その辺の折り合いがうまくいっていなかったのでしょうか。
もう一つ、別のソース。
名大病院、救急科医師9人が月末に一斉退職 調査委設置
2016年3月30日11時34分
名古屋大学病院(名古屋市昭和区)の救急科の医師21人のうち、9人が3月末で一斉に退職することが病院への取材でわかった。病院は外部の有識者を加えた調査委員会を立ち上げ、退職の経緯を調べる。救急患者の受け入れは、他の診療科の医師の応援を受けるなどして、影響が出ないようにするとしている。
名大病院によると、他の病院から研修に来ていた医師が元の病院に戻ったり、出身地に帰ったりする医師らの退職が重なったという。ただ、「教授と意見が合わなかった」など職場環境への不満をあげる医師もいるため、4月上旬に調査委員会を設置する。
一方、救急科の松田直之教授は「医師が研修に出たり、地元に戻ったりすることが重なっただけ。一時的に人数が減るのは全国的な救急医不足が根本的な問題だ」と説明している。
同病院では、内科や外科などの医師が応援に入り、救急科を支える。救急科には4月に2人、5月にも1人の医師が加わる見通しで、病院は「救急車を断ることなどは考えていないので市民に影響はない」としている。
「教授と意見が合わなかった」という記載と、前述のニュースと併せて考えると、救急部が他科との軋轢で患者受入を制限しようとしたのに教授が許さなかったのでしょうかね。名大の知り合いからもそんな内容のことを聞きました。しかし、臨床以外の部分が関係しているという噂も・・・。
調査委員会の結論を待ちたいと思います。