ベトコンのカデンツァ

By , 2010年3月17日 7:50 AM

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、略してベトコン?ヴァイオリン協奏曲の場合、メンデルスゾーンをメンコン、チャイコフスキーをチャイコンとは言いますが、ベトコンとはあまり言いませんね。語感の問題でしょうか。ショスタコーヴィチをショタ・・・もうやめましょう (^^;

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のカデンツァが今回の話題です。カデンツァはソリストによる腕の見せ所で、特に指示がなければ自分で作曲して演奏することも可能です。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲には、ベートーヴェン自身が作曲したものがありませんので、何人もの作曲家が代わりに作曲しています。自分で作曲しない演奏家はこれらの中から好きなカデンツァを選んで演奏することができます(一方で、メンデルスゾーンやチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は作曲者自身がカデンツァを書いています)。

有名どころではヨアヒム、クライスラーといったヴァイオリンの巨匠が作曲したもので、これらを演奏するのがポピュラーです。多く演奏されるだけあって、このコンチェルトに非常にマッチしており、音楽的です。技巧を誇示するという面でも嫌みがありません。ハイフェッツのものは、ハイフェッツによるこの曲の録音が有名であるが故に有名になりました。その他、私は名も知らぬ作曲家のカデンツァを旅行先の楽譜屋で購入したことがあります。

このヴァイオリン協奏曲は面白いことに、ピアノ協奏曲に編曲され、こちらにはベートーヴェン自身によるカデンツァが書かれています。最近は、これを元にしたカデンツァを弾くのも一種のブーム。確か、ギドン・クレーメルやクリスティアン・テツラフが録音したように記憶しています。

Youtubeでいくつかカデンツァを探してみました。以下紹介します (ただ、ベートーヴェンが作曲したピアノ版のカデンツァは残念ながら見つけることができませんでした)。

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ライプツィヒ・ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

By , 2010年3月15日 12:12 AM

Gewandhaus-quartett Leipzig による「Beethoven Streichquartett Op. 59, “Rasmouwsky”」の CD (VICC-60619~20) を聴きました。1977年に坂戸文化会館で行われた録音です。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス弦楽四重奏団は何度か団員が変わっていますが、1977年のこの録音では、ゲルハルト・ボッセ (Vn.1)、ギュンター・グラス(Vn.2)、ディートマル・ハルマン(Va)、ユルンヤコブ・ティム(Vc)といったメンバーです。一時、カール・ズスケなんかも所属していましたね。

実際に聴いてみると、味わいのある良い録音でした。人が四人集まった温かみを凄く感じることができました。一方、解釈ではっとさせられるところもあったりして。

先日、奇遇なことに、この第一ヴァイオリンのボッセさんと会うことができました (Wikipediaで経歴みると、凄い方ですね)。すると、彼は色々面白い話を教えてくださいました。

まず「一番好きな曲は?」と聞かれたので、私が「弦楽四重奏曲第15番第3楽章です」と答えると、ボッセさんは「それはねぇ、トーマス・マンの前で弾いたとき、『アンコール何が良い?』って聞いたら、彼が答えた曲だよ」と教えてくださいました。

つづけて、「面白い逸話があってね」とボッセさんは続けました。「ヨアヒムの最後の弟子がコンサートのある街に急いでいたんだけど、嵐で遅れることになってしまった。そこで電話したんだ。翌日のコンサートの曲目を伝えるためにね。彼が『Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart. (リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌)』って言ったら、電話の音が悪かったようで、相手が聞き間違えてしまったの。コンサートの案内には『中国の歌、ユダヤ風に (ボッセさんが実際にドイツ語で発音してくださいました)』って載ってしまって (爆笑)」

彼の口からでる言葉に、生きた歴史に触れた心地がして、胸がいっぱいになりました。

あとで調べて知ったのですが、ヨアヒムもゲヴァントハウス室内管弦楽団に属していたことがあったのですね。こうした音楽家と触れ合えるなんて、音楽好き冥利に尽きます。

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Happy birthday variation

By , 2010年3月14日 11:59 PM

Wikipediaによると 3月14日はテレマン、ヨハン・シュトラウス、アインシュタインらの誕生日らしいです。。

そこで、ギドン・クレーメル演奏の Happy birthday variationsを紹介したいと思います。おなじみのメロディーがこんなにも魅惑的になります。

・Happy Birthday Variations

先日誕生日を迎えた「しゃんでりあの君」にもこの曲を送ります(って、私の曲じゃないけど)。

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勘違い

By , 2010年3月14日 9:28 PM

今日は昼間、酔っぱらって Twitterでいろいろ呟いていました (ちなみにユーザー名は migunosukeです)。

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ・パルティータの話題になったとき、シャコンヌの88小節目が自筆譜では 3度低く書かれていることを私が指摘したのです。

そうすると、「tinouye」さんという方が、間違いを指摘してくださいました。

その部分の前のト音記号が3度下にかかれていて、「フレンチ記号」というのだそうです。その場合、普通のト音記号より3度高く演奏するのだと。音域が高くて楽譜が書きにくいときのテクニックらしいです。

いやー、「何でバッハの自筆譜と録音が違うのだろう??」とずっと思っていて、なおかつ勘違いしていたのが解決して良かったです。

Twitterって、デマが広まりやすい可能性が指摘されていますが、逆に知っている方に訂正して頂ける可能性がありますね。

教えて頂いた方、感謝感謝です。

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本当はやさしい臨床統計

By , 2010年3月14日 9:14 PM

「臨床医による臨床医のための 本当はやさしい臨床統計 一流論文に使われる統計手法はこれだ! (野村英樹/松倉知晴著、中山書店)」を読み終えました。

統計の教科書を読むのは初めてですが、内容が高度な割にすっきりとまとめていて、飽きずに読むことができました。

本書の長所は、各解析パターンで使われる頻度の多い統計手法を分類し、その後各々を説明していることです。

例えば、時系列を扱う論文を 「CLo(C)K論文」と命名します。これらは「Cox比例ハザードモデルにおける相対ハザードの算出」「Log-rank検定」「Kaplan-Meierの生存曲線」の頭文字を取ったもので、丁度「時計」の意味になるようになっています。また、表を扱う論文は「Table FCx」論文と命名され、「Fisherの直接確率検定」「Cochran-Mantel-Haenszel検定」「x^2検定」の頭文字です。

このように何を解釈したい時にどの統計を用いる明らかにした後、個々の統計手法の原理を説明します。

本書の最終章は医療ツールとしての統計の扱い方です。例えば、プラバスタチンでの心血管イベント抑制を示した WOSCOPでは、相対リスクが 31%減少したと宣伝されます。相対リスク減少率を言い換えれば、内服していなくてイベントを起した人のうち、内服していればイベントを起こさずに済んだと思われる人の割合です。31%と言われれば滅茶苦茶効くように思えますが、ここにトリックがあります。そこで別の指標で評価してみると、何人がプラバスタチンを飲んだら 1人イベントを起こさずに済むかという治療必要数 (number needed to treat; NNT) は 162人なのです。つまり、せっせと内服しても (観察期間内に) 心血管イベント抑制の恩恵に蒙れるのは、162人に 1人いう結果なのです。売るために、どちらの数字を宣伝したくなりますか?プラバスタチンが良い薬か悪い薬かとは別で、提示された数字を鵜呑みにしてはいけないというのが勉強になるところです( もちろんNNTですら万能の指標ではありません)。

統計の本は初めてだったので、目から鱗なことも多く、勉強になりました。今まで論文を読んでいても、「有名雑誌なのだから、統計方法で嘘をつくことはしないだろう」と思って統計方法の所はとばして読んでいましたが、次からはきちんと目を通してみたいと思いました。

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レッドディーヴァ

By , 2010年3月10日 8:42 PM

やっと名前が決まりました。

東京サラブレッドクラブで一口馬主になっていましたが、ようやく馬の名前が決まったと連絡が来ました。

私が購入した馬の名前は「レッドディーヴァ」。ディーヴァとは「歌姫」を意味するそうです。レッドは冠名なので、このサラブレッドクラブのどの馬にも与えられます(例外はあるようです)。

名前は一口馬主の所有者から公募されていました。私は「レッドヌクレウス」などという趣味の悪い名前をつけましたが、却下されたようです(「レッドヌクレウス=赤核」:脳の部位の一つです)。

これからは「レッドディーヴァ」を応援していきます!この時期になってもまだ満口にならないので、あまり足は速くないかもしれませんが (^^;

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オンデマンド

By , 2010年3月2日 9:57 PM

Idatenで知ったのですが、自治医科大学の図書館で、オンデマンドの医学講義を受けることが出来ます。抗菌薬の講義はお勧めです (特に「抗菌薬 はじめの一歩」)。

自治医科大学図書館 ビデオオンデマンド

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Riverdancing Violinist

By , 2010年2月28日 7:50 PM

何度か紹介した 「Igudesman & Joo」。

今日は、以前紹介しなかった動画を紹介します。

・Riverdancing Violinist

変なところで譜めくり→曲の途中で次々と他の曲へ→掃除機の音 (D) を持続音として再び演奏が始まります。Youtubeのコメント欄を見ると、アイリッシュ音楽なのでしょうか?彼のサイトでは Scotland’s Braveというムービーで演奏されている曲ですが。

偶然発見したのですが、Igudesmanは Youtubeにアカウントを持っていました。彼のチャンネルを見ることができますので紹介しておきます。新曲も色々アップされているようです。

Igudesman’s channel

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アルコール

By , 2010年2月28日 12:38 PM

酒を飲んで、何故幸せな気分になるのか良くわかりませんでしたが、下記のブログに面白い論文が紹介されていました。

5号館のつぶやき-適度な量のアルコールは脳内エンドルフィンを放出させる-

お酒好きの方、是非読んでみてください。

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ユビキチンがわかる

By , 2010年2月28日 12:30 PM

ユビキチンがわかる (田中啓二編, 羊土社)」を読み終えました。こうした分野の特徴なのですが、理解すれば理解するほど謎が深まるというような・・・。

基本編ではユビキチンに関する基礎的知識が身に付きました。一方で、トピックス編はなかなか高度な内容でした。神経内科ではあまり癌を扱わないので、細胞周期やアポトーシスの話を理解するのはなかなか大変でした、というか理解できませんでした。

トピックス編の神経疾患に関する話では、アルツハイマー病におけるタウのユビキチン化、Parkinson病におけるα-シヌクレインとユビキチンの結合 (PARK1)、ユビキチンリガーゼである Parkinの異常(PARK2), ユビキチンヒドロラーゼ活性の低下や UCHL1のユビキチン63番目リジン (K63) へのリガーゼ活性 (PARK)、筋萎縮性側索硬化症におけるユビキチン化された SOD1, Dorfinなどの話が紹介されていて興味深かったです。ただ、神経疾患においては、一つのメカニズムだけではなかなか病気を説明しきれない点も多く、研究の余地はまだまだあります。ミトコンドリア修復におけるユビキチン・プロテアソーム系の話や、p62といった最先端の話は、まだ概念が確立していないためか、触れられていませんでした。数年後の教科書には載りそうです。こうしたメカニズムが明らかになり、神経疾患の根本的な治療法が生まれることを望んでいます。

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