「はじめてのトポロジー (瀬山士郎著、PHPサイエンス・ワールド新書)」を読み終えました。
トポロジーは位相幾何学のことで、物体をグニャグニャと変形して、特徴を調べる学問のようです。
トポロジーには、「ケーニヒスベルクの橋」にみられるような一筆書き問題など取っつきやすい話題が色々あり、本書でも紹介されています。この辺りまでは楽しめました。
で、ホモロジー (閉曲線で曲面が2つの部分にわかれるかどうか)、ホモトピー (閉曲線が一点に収束するかどうか) といったややこしい用語が出現してきて、その後はついていくのがやっと。最終的にはポアンカレ予想に触れ、2次元の場合の証明をしていたのですが、ここはちんぷんかんぷんでした。ただ、ポアンカレ予想とは何なのか雰囲気がわかったのは良かったです。
ポアンカレ予想とは「n次元ホモトピー球面はn次元球面に同相である」というものです。3次元以外は既に全て証明されていて、3次元の場合が問題になっていました。
3次元球面では任意の閉曲線は一点に収束します。ボールの上に輪を描いて縮めていくと、一点に収束するのは直感的にわかると思います。
3次元トーラス (タイヤのチューブの形)、射影空間では一点に収束しない曲線が引けるので、3次元球面とは性質が異なります。
逆に、3次元において任意の閉曲線が全て一点に収束する図形は本物の球面と言ってよいか?というのがポアンカレ予想の主旨であると思います (この分野は素人なので、間違っていたら御指摘ください)。
これを証明したのがペレルマンでした。まぁ、彼がフィールズ賞を辞退したとか、1億円近い賞金を受け取ってないとか、失踪したとか、紆余曲折があっていくつも本が出ています。
難しいけれど、面白い学問があるものだなぁと思いました。
某先生から、K総合病院神経内科部長の F先生はトポロジストだったと聞きました。びっくりしました。
相変わらず将棋バーに行きつけています。先日は、佐々木慎五段に指導将棋をして頂き、ゴキゲン中飛車先手5八金右超急戦からGPS新手を試しましたが、こてんぱんにやられました。どうやら、後手が余している戦法なのではないかというのが、佐々木五段の印象であり、今月の「将棋世界」誌で久保棋王が述べている結論でした。
昨日、いつものように将棋バーで飲んでいるとアマチュア強豪の方がとなりの席にいらっしゃいました。私が新入りの店員さん相手に二連勝した後で、そのアマチュア強豪の方との対局を勧められました。
対局後、二人で盛り上がり、色々な戦型の研究をしながら世間話へ。
みぐ「将棋バーって楽しいですよね」
相手「最近弁護士バーってのも出来ましたよね」
みぐ「そうらしいですね」
相手「そういえば、坊主バーって知ってます?極楽浄土とかいうカクテルが出るという」
みぐ「へーっ、本当なんですか?飲み代踏み倒すと呪われそうですね」
ってな話になり、家に帰ってネットで調べてみたらありました。
坊主バー
確かに、仏教っぽいカクテルが並んでます。私は無神論者だし、こうした世界に全然感情移入できないので、行くことはないと思いますが、話のネタとして面白いなと思いました。
教師が嘘の安全日を教えて、教え子が次々と妊娠した話があるそうです。人生設計滅茶苦茶ですね。この話を読んで憤りを感じました。
河野美代子のいろいろダイアリー-「私と性教育」②うその安全日を教えたために。-
この一連のエントリーの最後 河野美代子のいろいろダイアリー-「私と性教育」④問題発言がきっかけとなって。- に「妊娠する性を持っている女性は自分の体に、妊娠させる性をもっている男性は女性の体に責任をもて、これが基本です」とあるようですが、至言ですね。
「動物の脳採集記 キリンの首をかつぐ話 (萬年甫著、中公新書)」を読み終えました。萬年先生は神経解剖学の大御所です。教育者としても業績が大きく、弟子から多くの教授を輩出しています。本書は彼が解剖学研究に打ち込んでいたときのこぼれ話を集めた本です。
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もう何年も前にブームになったヴァイオリニスト、ロビー・ラカトシュ。ロマ音楽 (ジプシー音楽) で有名な人物です。ジプシーという呼び方は日本でも流浪の民といったイメージで広く認識されていますが、差別用語であるとの意見もあり、最近ではロマと呼ばれることが多いようです。
ロマ音楽家は代々子に曲を伝えていきます。したがって、同じ曲でも家によって、あるいは演奏家によって全然アレンジが違うのが面白いところです。また、即興性も重視されますので、同じ演奏家でもその時毎に演奏が違ったりします。
ロビー・ラカトシュはロマ音楽の名家に生まれました。彼の祖先はベートーヴェンの前で演奏したこともあるといいます。彼はロマ音楽のみならずクラシックヴァイオリンも勉強し、ブダペスト音楽院に通いました。クラシック音楽でのコンクール受賞歴もあります。更に、彼はジャズを勉強しました。彼の優れた即興性は一つの魅力ですが、ジャズで培ったものも多分にあると思います。
ラカトシュはNHKでも特集されたことがあり、そのときは「だんご三兄弟」をアレンジして好評を博しました。また、津軽三味線の木下伸一氏と即興を行い、意気投合して「遭遇」というタイトルの CDにもなりました。
Youtubeにいくつか動画がアップされています。
・Roby Lakatos – Hejre Kati from the album Fire Dance
私のヴァイオリンの師の友人がブリュッセルの飲み屋で変な髭のおっさんの演奏を聴き、「誰だこいつ?無茶苦茶上手いし」と思っていたら、後でラカトシュだと知ったという逸話がありますので紹介しておきます。
「はじめてのメタアナリシス (野口善令著、福原俊一監修、健康医療評価研究機構)」を読み終えました。小冊子ながら、メタアナリシスのエッセンスが簡潔に纏めてあり、さくっと読むことができました。
メタアナリシスとは、同じテーマの論文を集めて統合して解析する研究手法です。多くの研究を総合的に解釈できるため、エビデンスレベルは高いと考えられています。しかし、質の高いメタアナリシスにするために、統合する前の研究の同質性が問題になってきます。また、セレクションバイアスやパブリケーションバイアスといったバイアスが出来るだけ入らないようにしなければいけません。
本書では、メタアナリシスの概念を説明し、どのような研究がメタアナリシスにふさわしいか概説しています。さらに実際にメタアナリシスをやってみせながら解説していきますので、その過程でどうやってバイアスを処理していけばよいのかが実感を持って理解できます。
薄くて軽い本で持ち運びに便利ですので、通勤の電車の中でお勧めの一冊です。
3月29日は医師国家試験の合格発表でした。
厚生労働省は29日、2月に実施した第104回医師国家試験の合格者7538人を発表した。受験者数は8447人で、合格率は前年を1・8ポイント下回る89・2%だった。
男女別の合格率は男性88・2%、女性91・3%で、データのある1991年以降、20回連続で女性が男性を上回った。女性の合格者は2499人で全体の33・2%。最高齢の合格者は63歳の男性だった。
大学別の合格率は、滋賀医科大99・0%が最高で、以下、順天堂大97・9%、東京医科歯科大97・5%と続いた。4大学は80%を下回った。
必修問題100問のうち6問は、試験終了後の点検で専門家から「必修問題とするのは妥当ではない」と指摘があり、正解した受験者は得点に加算する一方、不正解の受験者は採点対象にしない措置をとった。
発表は、個人情報保護のため氏名は非公表とし、受験地と受験番号のみを公表した。
2010/03/29 16:53 【共同通信】
偶然、大学時代の部活の後輩の卒業祝いで飲むことになっていたのですが、全員合格していて、悦びが重なりました。
最初の店は、久々の「Pauke」。以前来たときよりビールの種類が減っていたのに少しがっかりしましたが、料理は美味しかったです。料理は量的に多い店なので、4人くらいで行くといろんな種類が食べられて良いですね。
その後、赤坂の Bar 「ジパング」に移動。ワイン「Chateau Chasse-Spleen 2004 」とカクテルを少々飲みました。おいしいワインでしたが、店での値段とネットでの値段の違いにはちょっとびっくり。さすが高級店でした。でも、こういうオシャレな店で値段なんて野暮というものです。
みなさん楽しんでくれたようで、良かったです。改めて、卒業と国家試験合格、おめでとうございます。
話は変わりますが、国試の結果発表時期について岩田健太郎先生が苦言を呈しています。その通りだと思います。
楽園はこちら側-医師国家試験の合否発表日は遅すぎる-
花粉症に悩まされる私としては朗報です。今は抗ヒスタミン薬を内服していますが、花粉が酷いと症状が出てしまうし、かといって抗ヒスタミン薬の量を増やすと眠くなってしまうという板挟み状態です。このワクチンが完成すれば悩みから解放されます。
理化学研究所と日本たばこ産業(JT)グループの「鳥居薬品」(東京)は25日、理研が開発したスギ花粉症ワクチンの実用化に向けた共同研究を開始すると発表した。研究成果を臨床応用に生かすための仕組みを整備し、2012年に臨床試験を始め、18年の実用化を目指す。
このワクチンは、アレルギー反応の原因となるスギ花粉の主要な抗原たんぱく質2種類に、抗体反応を抑える化合物を遺伝工学的手法で融合させたもの。マウスの実験では効果が確認されており、花粉症シーズン前に摂取すれば、症状を引き起こさない初の根治薬として期待されている。
実用化には治験や生産など製薬会社の協力が必要だが、市場がほぼ国内に限定されることや、予想される薬価が低いことなどから、提携先を見つけることが難しかった。(2010/03/25-18:53)
余談ですが、抗ヒスタミン薬の臨床試験はかなり過酷です。密室に人を入れて、上から花粉をばらまいて、実薬群とプラセボ群を比較するというもの。このワクチンの治験も同じようなことをするのでしょうか、それとも日常生活での症状で比較するのでしょうか。ちょっと気になります。
さて、このワクチンが実用化されれば、積極的に受けたいという方がたくさんいそうです。私もその一人。楽しみにしています。それにしても、2012年治験開始、2018年実用化が目標って、まだまだ先の話ですね。途中でボツになる薬も多いだけに、順調に製品化されて欲しいです。
(参考)
理化学研究所プレスリリース
3月 19日に帰省しました。そして 3月 20日に馬券オヤジ氏と大山乗馬クラブへ。
2鞍乗馬しました。軽速足は大分安定してきたのですが、今回の問題点は鐙から足がすぐに外れてしまうこと。そんなに浅く足を乗せている訳ではありませんが、馬を動かそうとして合図を強く出す度に外れてしまいます。並足の合図なら歩きながら立て直せるのですが、軽速歩だとさすがに無理なので馬を止めなければいけません。馬にしてみれば、合図を出された直後に止められるという、理不尽状態。トレーナーの先生は足首を柔らかくするようにおっしゃるのですが、なかなか難しいです。それ以外が上達してきているだけに後一歩です。
それと、私の馬が急に止まったせいか、馬券オヤジ氏の落馬を誘ってしまったことは、謝罪しておかないといけません。
何度か通って大山乗馬クラブのトレーナーの方にも覚えて頂いたので、また次回帰省する際には乗馬をしにいきたいです。
乗馬の帰りには活ガニスーパーで松葉ガニを買って帰りました。
前回の「ベトコンのカデンツァ」が好評だったので番外編。
ベートーヴェンの勝手解説全集に紹介されていましたが、著作権が切れた古い楽譜を無料で掲載しているサイトがあります。ベートーヴェンの作品は全て著作権がきれている筈なので、数多く収録されています。
Category:Beethoven, Ludwig van
さらにリンクをたどると、ヴァイオリン協奏曲の項もあります。
Violin Concerto, Op.61 (Beethoven, Ludwig van)
何とヴァイオリン協奏曲は全楽章、スコアとパート譜が載っています。しかも・・・カデンツァも載っているのです。ただし、著作権の関係か、新しいカデンツァは掲載されていません。しかし、現在ではなかなか手に入らなくなった昔の作曲家達(多くはヴァイオリンスト)によるものが掲載されています。作曲者達の名前を挙げれば、アウアー、プゾーニ、ヘルメスベルガー、フバイ、サン・サーンス、ヴュータン、ウィルヘルミなど錚々たるメンバー。昔、なにかのインタビューで「その日の気分でどのカデンツァを弾くか決めているよ」という超格好良いヴァイオリニストを見たことがありますが、上記のカデンツァをいくつか練習すれば、そんな台詞吐けるようになるかも。
さあ、普段とはちょっと違ったカデンツァをさらってみましょう!(上手に弾けるようになった方は是非聴かせてください)