バルトの楽園

By , 2013年1月16日 7:23 AM

第九の本邦初演を描いた、映画「バルトの楽園」の DVDを見ました。昨年末「東日本大震災復興祈念「会津第九演奏会2011」」というエントリーで少し触れた映画です。かなり期待して見た映画だったのですが、色々と残念でした。

まず、捕虜と日本人の友情及び恋愛、会津人であることで差別された収容所の所長、第九・・・多くの内容を詰め込もうとし過ぎて、逆に一つ一つのエピソードが薄っぺらくなっていました。また、映画のワンシーンで、女性の合唱を男性で代用することが述べられていましたが、演奏でのその部分の描写がほとんどなかったのにもがっかりしました。さらに、DVDのパッケージには、音楽にカラヤンの第九を使用したと書いてありましたが、今時カラヤンを有難がって聴く人はいるのかというのも疑問でした。

期待が大きかった分、失望が大きかったのですが、暇つぶしとして見るのなら楽しめるかもしれません。

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Tocilizumab

By , 2013年1月15日 1:18 AM

2012年12月24日の Archives of neurology誌に興味深い論文が掲載されていました。視神経脊髄炎 (NMO) についてです。

視神経脊髄炎は元々多発性硬化症の一亜型として扱われていましたが、抗アクアポリン4抗体が陽性になること、脊髄に長い病変をきたしやすいこと、失明に至る症例が多いことなどから、現在では独立した自己免疫疾患としての地位を確立しつつあります。治療に苦慮することの多い、難病です。

液性免疫の異常で起こると考えられていたため、B細胞を抑制することが治療戦略とされています。例えば、CD20に対するモノクローナル抗体である Rituximabなどが用いられます。

近年、IL-6というサイトカインとの関連が指摘されるようになりました。そこで、IL-6受容体に対するモノクローナル抗体を使ったらどうなったかというのが、今回の論文です。薬剤名は Tocilizumab (商品名:アクテムラ) で、関節リウマチの治療薬として有名です。

Disease amelioration with Tocilizumab in a treatment-resistant patient with Neuromyelitis Optica.

Background  Neuromyelitis optica (NMO) is an autoimmune disease of the central nervous system in which aberrant antibody responses to the astrocytic water channel aquaporin 4 have been described. Experimental evidence is emerging that NMO is partly driven by the proinflammatory cytokine interleukin 6 (IL-6), which propagates the survival of disease-specific B cell subclasses, and deviates CD4+ T helper cell differentiation toward IL-17-producing T helper 17 cells. Tocilizumab is a recombinant humanized monoclonal antibody against the IL-6 receptor approved for treatment of rheumatoid arthritis.

Objectives  To study clinical and paraclinical effects of tocilizumab in a patient with NMO.

Design  Case report.

Setting  Academic neurology department.

Patient  A patient with highly active aquaporin 4–seropositive NMO who failed numerous immunosuppressive interventions, including high-dose corticosteroids, mitoxantrone, plasma exchange (PE), rituximab (anti-CD20), and alemtuzumab (anti-CD52), before receiving tocilizumab.

Main Outcome Measures  Clinical disability, magnetic resonance imaging, cytokines and transcription factors levels in the cerebrospinal fluid, and peripheral blood mononuclear cells.

Results  A patient who continued to accumulate neurological disability and magnetic resonance imaging activity while receiving numerous immunoactive therapies stabilized, and eventually improved clinically and on magnetic resonance metrics after treatment initiation with tocilizumab. Treatment and clinical response correlated with a significant reduction of IL-6 levels in the CSF as well as a diminished expression of signal transducer and activator of transcription 3.

Conclusions  Tocilizumab might be effective in NMO, here in a patient not responding to leukocyte depletion. Our findings further support data that implicate IL-6 as a critical molecule in the immunopathogenesis of NMO, and a critical role for T cells in the pathogenesis of this disorder.

症例は 34歳女性です。視神経炎で発症し、その後頚髄や胸髄に長い病変を来たし、不全四肢麻痺となりました。抗アクアポリン4抗体は陽性でした。RituximabやMitoxantrone, Alemtuzumabといった免疫抑制剤を使用しましたが、治療に抵抗性でした。そこで Tocilizumabを試したところ、症状は改善し、再発もなくなり、頭部 MRIで造影される病巣もなくなりました。髄液の IL-6レベルは治療に反応して低下していました。また、IL-6依存的にTh17細胞の成熟を促進する転写因子 STAT3 (signal transducer and activator of transcription3) の mRNA発現が、末梢血単核球で低下していました。これらのことから、著者らは、NMOにおける T細胞性免疫の関与を指摘しています。

視神経脊髄炎で髄液の IL-6が上昇しているのはしばしば経験することなので、IL-6に対するモノクローナル抗体の存在を知った時、使ったら効くのではないかと友人と議論した記憶があります。そして、今回実際に使った報告を読んで、さもありなんという感じでした。ただし、まだ一例報告に過ぎず、今後エビデンスを確立していく必要があります。

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脳梗塞と音楽能力

By , 2013年1月14日 6:38 AM

音楽能力が脳のどこに局在するかは、様々な学者が研究している興味深いテーマです。 Functional MRIなどの画像検査で脳のどこが賦活化されるか調べるのもひとつの方法ですが、脳の病気で失われた部分と音楽能力を比較するのも昔から行われている有力な方法です。

ある高名な指揮者が左中大脳動脈領域の広範な脳梗塞となり、その経過が 1985年の Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry誌に掲載されました。患者さんは匿名化されて “NS” と記されています (ただし論文での記載があまりに詳細であるため、私の師匠は経過を読んで、誰だかわかってしまったそうです)。最近その論文を読んだので簡単に内容を紹介します。

Spared musical abilities in conductor with global aphasia and ideomotor apraxia.

(Basso A, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry, 1985; 48: 407-12)

SUMMARY: A conductor suddenly developed global aphasia and severe ideomotor apraxia as a result of an infarct in the territory of the left middle cerebral artery. Although aphasia and apraxia remained unchanged during the following six years, his musical capacities were largely spared and he was still able to conduct. This case provides some evidence in favour of right hemisphere dominance for music.

ヴァイオリンとピアノを嗜み、ヴェニスの Feniceやミラノの La Scalaなどで長年指揮者を務めた NS氏は、1977年11月27日に脳梗塞を発症しました。アメリカのツアー中での出来事でした。症状は、軽度の右片麻痺、右同名半盲、全失語でした。また、高次脳機能評価では、観念運動失行などを指摘されました。論文に頭部CTが掲載されていますが、左中大脳動脈後枝領域を中心に広範に障害されています。

ところが、音楽能力はほぼ保たれました。ピアノ演奏は行うことが出来ましたし、初見演奏も可能でした。他人の演奏の小さな間違いをも指摘することができました。そればかりか 1982年2月から 6月までの間、指揮者としての活動を続け、音楽評論家から絶賛されました。オペラも指揮しています。ただし、言葉は完全に失われたままで、音名を述べたりすることは出来ませんでした。彼は 1983年4月21日に左片麻痺で 2度目の脳血管障害を発症しました。そして、5月4日に肺水腫を伴った心不全で死亡しました。

彼の音楽能力と、音楽以外の能力には多くの解離があります。観念運動失行はあるけれど指揮はできる、文章は読めないけれど楽譜は読める、言葉は失われたけれど演奏はできる・・・。右半球の脳梗塞で音楽能力を失った過去の報告と併せ、著者らは音楽能力の多くが脳の右半球にあるのではないかと推測しています。

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米国糖尿病学会 2013年ガイドライン

By , 2013年1月13日 10:23 AM

米国糖尿病学会 (ADA) 2013年ガイドラインが公開されました。

安定している患者では HbA1測定が年 2回でよかったり、血圧管理が緩和されたり、色々常識を覆されました。

知り合いの先生が要点を纏めてくださっています。一読の価値があります。

米国糖尿病学会ADAの糖尿病診療指針 (なんごろく)

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ライバルからのクレーム

By , 2013年1月12日 6:13 AM

多発性硬化症の新薬、BG-12について、以前お伝えしました。

多発性硬化症の新薬

第三相臨床試験まで終了し、効果が期待される薬剤です。ところが、第三相試験でも比較薬剤となった glatiramer acetateを販売しているライバル Teva社が薬剤の安全性に疑問を投げかけました。

Teva questions safety of MS drug from rival Biogen

(Reuters) – Teva Pharmaceutical Industries Ltd, which makes the market-leading multiple sclerosis drug Copaxone, has filed a petition with the U.S. Food and Drug Administration that could, if granted, delay entry to the market of a rival drug developed by Biogen Idec Inc.

Teva’s petition asks that the FDA not approve any new multiple sclerosis drug until its safety has been evaluated by a panel of outside advisors, and said it had uncovered “troubling information” on a publicly accessible website about the safety of Biogen’s drug, BG-12.

Israel-based Teva said the information showed that kidney changes were observed after repeated administration of BG-12 in mice, rats, dogs and monkeys. The company suggested that as a result, “there is a substantial probability the risk is applicable to humans as well.”

Biogen spokeswoman Kate Niazi-Sai, echoing comments made by company chief executive, George Scangos, at the J.P. Morgan Healthcare Conference earlier this week, said the company is “confident” in BG-12’s safety data.

Niazi-Sai said the incidence of kidney problems was similar between patients taking BG-12 and those taking a placebo, she said. A late-stage clinical trial showed that 21 percent of patients taking the placebo experienced kidney problems, compared with 22 percent of patients taking BG-12 twice a day and 25 percent of patients taking BG-12 three times a day.

Teva asked the FDA not to approve any new MS drug unless or until it has convened a panel of outside advisors and listened to the panel’s recommendations. And it said its motives were to protect patients.

“Teva filed the petition, on behalf of the more than 300,000 patients with relapsing remitting multiple sclerosis in the U.S.,” Denise Bradley, a spokeswoman for Teva, said in an emailed statement. She said the company wants to “ensure that appropriate safeguards are implemented to maintain an acceptable risk-benefit profile.”

So far the agency has not scheduled such a meeting for BG-12, though it could do so at any time. An advisory committee meeting would delay BG-12’s entry to the market.

The FDA is scheduled to rule on whether to approve BG-12 by the end of March, three months later than the original decision date. Biogen has said the agency did not require additional information, just more time to review application.

Brian Abrahams, an analyst at Wells Fargo Securities, said he doubts Teva’s petition will cause the FDA to delay BG-12’s approval, “though one cannot rule out the possibility of a minor process-related delay as FDA necessarily evaluates/responds” to the petition.

(Reporting by Toni Clarke in Boston; Additional reporting by Bill Berkrot in New York; Editing by Tim Dobbyn)

Teva社でも BG-12の動物実験をやってみたところ、腎障害がみられたというのです。しかし、BG-12を開発した Biogen社は「臨床試験では問題なかった」として反論しています。Teva社は FDAに対し、有識者の意見を聞くまで薬剤を承認しないよう求めています。FDAは当初の予定より 3ヶ月遅らせて、3月末に承認するかどうか決定するとしています。

実際にヒトで腎障害が起こるかどうかは現時点では不明ですが、ライバル会社の新薬について発売前にクレームを付けるというのが、凄い話だなと思いました。

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被災地 2013

By , 2013年1月11日 7:35 AM

2013年1月6~7日に、妹夫婦と被災地に行ってきました。震災から約 2年経って、かつて訪れた地がどのように変わったかを見たかったからです。

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論文査読者の迷コメント集

By , 2013年1月8日 7:26 AM

ワイリー・サイエンスカフェに「<記事紹介> 論文査読者の迷コメント集(Environmental Microbiology誌から)」というエントリーがありました。

毎年、Environmental Microbiology誌が、論文査読者のコメントを抜粋して紹介しているというものです。具体的にどんなコメントがあったのかは、上記リンク先からご覧ください。しかし、2012年の Environmental Microbiology誌には、 “Referees’ quotes” は見つかりませんでした。この特集、やめてしまったのでしょうか?

とりあえず、2011年までの “Referees’ quotes” のリンクを貼っておきます。

Referees‘ quotes – 2011 – 2011 – Environmental Microbiology

Referees‘ quotes – 2010 – 2010 – Environmental Microbiology

Referees‘ quotes – 2009 – 2009 – Environmental Microbiology

Referees‘ Quotes – 2008 – 2008 – Environmental Microbiology

Referees‘ Quotes – 2007 – 2007 – Environmental Microbiology

Referees‘ Quotes – 2006 – 2006 – Environmental Microbiology

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ラモン・イ・カハル自伝

By , 2013年1月6日 8:43 AM

ラモン・イ・カハル自伝 ―悪童から探求者へ (小鹿原健二訳、萬年甫解説、後藤素規編、里文出版)」を読み終えました。

カハールについては、このブログでも何度か取り上げました。「ニューロン説」を唱え、ノーベル賞を受賞した歴史的科学者です。

神経学の源流 2 ラモニ・カハール

脳の探求者ラモニ・カハール スペインの輝ける星

「ラモン・イ・カハル自伝」は、カハールが悪童として名を馳せた少年期から、学問を志すようになった頃までを綴った自伝です。カハールがかなりの悪童であったことは事実ですが、彼がハチャメチャな行動を行うに至った内面の描写が面白く、まるで良質の冒険小説を読んでいるようでした。一方で、彼は凄く分析的に周囲のことを観察できる子供だったようです。教師を客観的に分析し、何故その教師の授業を聞く気にならなかったかも記しています。他面、カハールには試験での遅刻癖があり、再三失敗したということも、記されていました。色々と規格外の人物だったのですね。

本書には、教訓的な表現が多く出てきて、なかなか含蓄があります。

その経験とは、様々な似たような事態にもあてはまるが、次の極めてありふれた格言「困難な仕事において、勝利をおさめようと思うなら、充分な時間と労力をかけて、明らかに必要なものを予め身に備えながら、仕事に打ち込め」の中に含まれていた。結局、努力は、決して害にならず、むしろ、別の機会に役立った。それにひきかえ、努力の不足は、それがわずかであっても、惨めな失敗をもたらすのである。

何か有益な教訓を生み出さないような「愚かな行動」はないものだ。

アマチュアの絵書きが大体そうであるように、私は基本的な色調をよく識別した。しかし、灰色の使い方の難しさを知らなかったし、また、「自然は、単純な色を示すことはほとんどない」ということに全く無知だった。

聴覚と同様に、風景の色彩感覚において、いろいろな組み合わせしか存在しない」ということは知られている。色彩には色々の割合で、常に、白と黒―聴覚における無音と有音に相応する―が混じり合っている。色彩に関するこのような認識が子供に欠けていることは止むを得なかった。そんな事を知らずに、私は、色彩を単純化し、図式化した。ハーモニーを無視してメロディーだけを表現するヘボ楽士のように、未熟な絵書きは、主要な色調だけを描く。ここで街頭絵書きの気違いじみた色付けを思い出さない人はいないだろう。(略)

私も経験のなさから、このような嘆かわしい欠陥に犯されていた。しかし、暗中模索している中に、私はこの欠陥の一部を克服して、調和のとれた色調を見分けることができるようになった。例えば、それまで、あらゆる緑色を単純に芝生のような純粋な緑色にしていたが、オリーブの緑色、黄楊の黄緑色、樫と松の灰緑色、糸杉の黒緑色を区別できるようになった。このような目立たない鑑識力の向上は私に自然の事物を詳しく観察させ、必ずといっていいほど、形や色調を単純化しがちである記憶に疑いを抱かせるように仕向けた。

世間の生業は、神秘的な作用には全く無関係な仮借のない論理に従って進展し、そして結末がつく、というのが私の意見である。

カハールは絵が大好きだったようで、それは彼のスケッチからも伺い知ることができます。写真は、彼が父親と一緒に解剖学を勉強していたときのスケッチです。


さて、最後に情報募集。カハールが下記のように紹介したファーブルの「宇宙」という本を読みたくなって探しているのですが、見つかりません。ご存知の方がいらっしゃったら御教授頂ければ幸いです。

私はラプラスの有名な著作を読もうと思って、その下準備のため、天文学に関する通俗的な本、特にフラマリオンの有名な人気のある本と、天才的な昆虫の観察者ジャン・アンリ・ファーブルの本を参考にしようと考えた。フラマリオンの数々の本は私を大いに楽しませてくれたが、知識欲を完全に満たしてはくれなかった。それらの本は豊かな叙情味、打ち解けた親しみ、華やかな文章では優れていたが、論証がほとんどなかった。それに引き替え、『宇宙』と題されたファーブルの小さな手引書は、私にとって素晴らしい天啓となった。その本には、分別と節度に貫かれた文章が躍動していた。(「昆虫の王」が優れた詩人であることは良く知られている) しかも、言葉が思想をおし殺していない。本のすべての頁にわたって、初心者に幾何学的方法―その方法の助けで、宇宙形状誌と天文学の驚くべき真理が発見された―の基本的メカニズムを手ほどきしようとする配慮が息づいていた。三角形の定義に始まり、天文学が獲得した最も優れた知見に終わるこの小冊子を読んだ私は、ついにそれまで軽蔑していた幾何学、憎んでいた三角法と和解した。宇宙空間の科学は、若干の器具の力を借りて、紙の上に何本かの線を引くことによって地球の大きさを測り、地球の実際の形を決定し、月までの距離と大きさを決め、太陽の容積と太陽までの距離を研究し、遊星の軌道と形を決定するような壮挙を成し遂げたことに気付いて、私はびっくりした。もっと卑近な仕事では、登らずに塔や山の高さや幅を知ること、渡らずに川の幅を測ること、海に沈んだ船の位置を決定すること等があった。特に、二千年以上も前にサモスのヒッパルコスによってなされた太陽までの距離に関する幾何学的な極めて巧妙な論証に、私は心から驚嘆した。今日、三角法は、太陽までの距離の割り出しや、もっと他の大きな問題の解決のために非常に正確で洗練された方法にまで高められている。しかしながら、幾何学の卓越した力を人類に明らかにしたこのギリシアの天文学者が、先駆者の一人であることを認めなければならない。

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EMPOWER trial

By , 2013年1月4日 12:27 PM

Dexpramipexoleという薬剤について、2011年11月3日のブログでお伝えしました。ALSでの進行抑制が期待されていた薬剤です。

2013年1月3日、第三相臨床試験の結果が出ました。

BIOGEN IDEC REPORTS TOP-LINE RESULTS FROM PHASE 3 TRIAL INVESTIGATING DEXPRAMIPEXOLE IN PEOPLE WITH AMYOTROPHIC LATERAL SCLEROSIS (ALS)

— EMPOWER trial fails to demonstrate efficacy in primary and key secondary endpoints —

WESTON, Mass.–(BUSINESS WIRE)–Jan. 3, 2013– Today Biogen Idec (NASDAQ: BIIB) reported top-line results of EMPOWER, a Phase 3 trial investigating dexpramipexole in people with amyotrophic lateral sclerosis (ALS). The trial did not meet its primary endpoint, a joint rank analysis of function and survival, and no efficacy was seen in the individual components of function or survival. The trial also failed to show efficacy in its key secondary endpoints. Additional analyses of multiple subpopulations failed to demonstrate any efficacy among these groups. Based on these results, Biogen Idec will discontinue development of dexpramipexole in ALS.(略)

EMPOWER Trial

EMPOWER was a randomized, double-blind, placebo-controlled Phase 3 trial which enrolled 943 people with ALS at 81 sites in 11 countries. Patients were randomized on a one-to-one basis to receive either dexpramipexole or placebo. The primary endpoint was a joint rank analysis of function and survival, known as the Combined Assessment of Function and Survival (CAFS). In addition to CAFS, the trial individually evaluated functional decline, survival and respiratory decline, among other measures.(略)

残念ながら、臨床的に効果が証明できなかったようです。なかなか明るいニュースの少ない分野ですが、一刻も早く治療法が開発されることを願ってやみません。

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脳卒中メモランダム

By , 2013年1月3日 6:45 PM

脳卒中メモランダム」というブログを見つけました。脳卒中に関係した論文を多く紹介しています。

脳卒中以外でも、「関心のある論文を自動的に収集する方法」とか、「本当に毎日洗濯した半袖の白衣の方が清潔なの?ランダム化比較試験による検討」といった記事があり、読んでいて為になります。定期的にチェックしていきたいと思います。

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