ロート製薬
ロート製薬の復興支援計画が話題になっています。
テレビで繰り返し CMを見るより、こうした社会貢献のニュースを聞く方が、よっぽどその企業に好印象を持ちますね。
ロート製薬の復興支援計画が話題になっています。
テレビで繰り返し CMを見るより、こうした社会貢献のニュースを聞く方が、よっぽどその企業に好印象を持ちますね。
「天下一将棋会」というゲームがあります。
ゲームセンターで将棋のオンライン対戦が出来るゲームです。玉を囲ったり、好手を指すと派手なエフェクトが飛び出すのが魅力です。このゲームで、客がプロと対戦するイベントがありました。
第5回の「天下一将棋会 プロの一手 LIVE」は、プロとして橋本崇載七段が参戦。客はゲームでの段位をみると相当強いと思います (県代表クラス?)。結果は角 or 飛車落ちで橋本七段の三連勝。プロの強さをまざまざと見ました。トークも面白いので、将棋好きの方はどうぞ。
・「天下一将棋会 プロの一手 LIVE」 第5回放送 橋本崇載七段
「救命 東日本大震災、医師達の奮闘 (海堂尊監修, 新潮社)」を読み終えました。被災した、或いは震災直後から現地に乗り込みボランティアをした九名の医師が体験を綴っています。先日紹介した「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命」という本が病院に所属する医師としての目線だったのに対し、こちらは個々の医師としての目線で書かれています。津波で病院の屋上まで避難しそこで患者さん達と一晩を過ごした医師、「(酸素)ボンベの切れ目が命の切れ目」という現実、その中でそれぞれが震災を必死で生き、職務を全うしている姿が伝わってきました。
歯科医江澤庸博先生の章での「(身元確認の資料として)デンタルデータベースを作ってはどうか」、川越一男先生の章での「(震災後に無線が混乱して情報伝達が出来なかったので)テレビのアナログの周波数帯に医療の専用チャンネルを作ってはどうか」といった提言は、次に起こりうる関東、南海での大震災に備える上で重要だと思います。
震災以外にも、興味を引く話がありました。震災前既に平成24年3月31日での退職が決まっていた田老診療所の黒田仁先生の、退職が決まるまでの市とのゴタゴタです。黒田先生は外来60人/日、入院患者10名、訪問診療、老人ホームを担当し、休日は第三土曜日の28時間のみ。7時過ぎ~23時頃までの勤務に加え、夜間の呼び出しもある職場で身を粉にして働いていました。医師二人体制を目指して作られた診療所だったのに、黒田先生が一人で何とか支えていたのです。なのに宮古市議会では「現在、市の診療所の医師数は充足しておりますが・・・」とした市長の答弁があり、一方市の医師募集サイトではこの診療所への募集をしていなかった、こうした市の姿勢に心が折れたのだそうです。医師が去る地域がどういう地域なのか垣間見た気がしました。そしてこうした地域で働く医師がどんな気持ちで働いているかも少しわかりました。
色々な意味で、読んでみて頂きたい一冊です。
10月3日にノーベル医学生理学賞の発表がありました。公式サイトでは中継もされていたようです。
日経サイエンス2011年11月号では、ノーベル医学生理学賞予想として、山中教授や審良教授の特集を組んでいましたが、どちらも受賞せず残念な結果に終わりました。特に審良教授は、今年の受賞分野(自然免疫)でのパイオニアだったのに落選し、本当に残念。今年を逃したと言うことは、今後の受賞は厳しいかもしれません。来年、iPSの山中氏、オートファジーの大隅氏、プロテアソームの田中氏、スタチンの遠藤章氏などを期待したいです (自分の趣味で候補を挙げてますが・・・)。
(P.S.)
①今回の発表を見ながら、昨年旅行でカロリンスカ大学に行ったのを思い出しました。カロリンスカ大学は、ノーベル医学生理学賞を決める場所です。病院前のバス停の直ぐ傍から墓地が広がっていたのが強烈な記憶となっています。
②日経サイエンスで審良氏のびっくりするエピソードがあったので紹介しておきます。ほぼ泊まり込みで実験を続ける研究者も多い中、天才ってのは違うんですね。
日経サイエンス 2011年 11月号
2003年に武田医学賞を受賞したとき、夫人(故人)は関係者からこう聞かれた。「夜遅くまで帰ってこないし、土曜日曜の休みもない。研究者の奥様は大変でしょう」。すると夫人は「いいえ、主人はいつも午後 5時頃には帰ってきます。土日もだいたい家にいます」と答え、驚かれた。審良は「学生時代は午後 7時か 8時までいた」と苦笑するが、それでも早い。
③昨年紹介した、ノーベル医学生理学賞の動画が、面白いので再掲します。ただし、基礎知識が多少必要です (^^;
9月 24日に上司からメールが届き、Neuron誌に驚くべき論文が掲載されることを知りました。2011年 10月 20日の Neuron誌に載るようですが、オンラインでは一足早く紹介されています。
ONLINE EARLY: New Gene Identified as Major Cause of Familial ALS and FTD
Two independent groups have identified a repeat expansion in C9ORF72 as the underlying genetic defect on chromosome 9p21 responsible for frontotemporal dementia (FTD) and amyotrophic lateral sclerosis (ALS).
上記二本の論文の内容ですが、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 及び前頭側頭型認知症 (FTD) に関係する遺伝子が同定されました。それは C9ORF72という遺伝子のイントロンでの、GGGGCC 6塩基反復配列です。2つのグループから独立に報告されているので、かなり信頼性がありそうです。
Rentonらの論文を読んだので、簡単に紹介します。要旨は下記。
・過去に報告されていた chromosome 9p21に locusを持つ ALS-FTD家系を調べたところ、C9ORF72の第1 exonの 63塩基セントロメア側に GGGGCC 6塩基反復配列を同定した。
・フィンランドの 402名の ALS患者、478名のコントロール群を用いた解析では、ALS患者 113名 (28.1%), コントロール群 2名 (0.4%) で、この反復配列を認めた。ALS患者でみると、家族性 ALS患者の46.4%, 孤発性 ALS患者の 21.0%にこの反復配列を認めた。
・6塩基リピート数は、ALS群で平均 53 (30-71), コントロール群で 2 (0-22) だった。
・北アメリカ 198名、ドイツ 41名、イタリア 29名の家族性 ALS患者についても調べたが、この遺伝子異常は 102名 (38.1%) に見られた。
・FTD患者 75名についても調べた。進行性非流暢性失語症 6名、行動障害型認知症 16名、合計 22名 (29.3%) でこの変異が見られた。22名中 8名にはALSの家族歴があった。
・C9ORF72の RNAは脊髄や小脳など神経系に広く検出された。ALS患者と健常者の前頭葉皮質の組織での RNA発現量は同程度であった。
6塩基リピートというと、神経内科医が思い浮かべる疾患があります。トリプレット・リピート病と呼ばれる、3塩基リピートを来す疾患群です。しかし、同じリピート病といいながら、C9ORF72の場合は 6塩基リピートというのが興味深いです。
ALSの病因研究に関して大きく一歩進んだ印象ですが、未解決の問題は山ほどあります。例えば、元々 chromosome 9p21に locusを持つ ALS患者で同定された C9ORF72ですが、この haplotypeを持たない ALS患者でも C9ORF72の異常が見つかっているのは何故なのかは、わかっていません。また、表現促進現象 (anticipation) があるのかないのかもわかっていません。C9ORF72の RNA発現量が各神経組織でそれほど変わらないのに何故 ALSでは運動野の神経細胞を中心に脱落するのかも謎のままです。
未解決の問題が一つずつクリアされ、一日も早く治療法が開発される日が来ることを願っています。
「最終講義 (坪内祐三解説、実業之日本社)」は高名な学者達の最終講義をまとめたものです。そこに収録されている講義のうち、沖中重雄教授による「内科臨床と剖検による批判」の章を読みました。
講義は剖検の重要性についてから始まります。そして、どのようなときに剖検を受諾されやすく、どのようなときに断られやすいかが述べられます。例えば剖検を承諾した理由として、欧米では死因を知りたい、病気の知見を他人に役立たせたいというのがほとんどで、医師への謝意と答えた人は 3%しかいないそうですが、日本では医師に対する謝意が重要な役割を果たしていることが示されます。実際、入院期間が長く医師との人間関係が構築される方が剖検率は高くなるそうです。
各論では、それぞれ領域における誤診率と、いくつかの例が示されています。ただしこれらの誤診率はかなり厳しい基準によるものです。第一の基準は臓器の診断を誤ったもの、第二の基準は臓器の診断は正しいけれども病変の性質の誤診、第三は悪性腫瘍に関するもので原発巣の診断を誤った場合、とされています。以下、簡単に要約してみます。
1. 神経疾患
82例のうち 15例の誤診例があり、18%の誤診率である。脳腫瘍を血管障害、炎症性病変と誤診したものが多かった。
2. 循環器疾患
55例中 7例で 12.7%の誤診率。動脈瘤に関する誤診が多かった。
3. 腎臓疾患
60例中 7例で、11.6%の誤診率。腎盂腎炎、腎癌に関するものが多かった。
4. 肺疾患
77例中 13例で 16.8%の誤診率。肺癌の見落としが多かった。
5. 血液疾患
118例中 12例で 10.1%の誤診率。悪性リンパ腫と白血病の誤診が多かった。
6. 消化器疾患
126例中 15例で 11.8%の誤診率。胃癌の見落としが多かった。
7. 肝・胆道疾患
106例中 20例で 18.8%の誤診率。肝硬変に合併した小肝癌の見落とし、転移性肝癌と診断したものが原発性肝癌であったもの、肝癌と診断したものが胆道癌であったものなど。
8. 膵臓疾患
17例中 7例で 41.1%の誤診率。膵頭部癌がほとんどだった。
9. 感染症・膠原病
60例中 10例で 10%の誤診率。放線状菌性髄膜炎→多発性根神経炎、クリプトコッカス髄膜炎→結核性髄膜炎、全身性結核性病変・内分泌器官の病変→非定型エリテマトーデス、全身性汎血管炎→Hodgkin病疑いなどの誤診があった。
10. その他
49例中 5例で 10.2%の誤診率。Sheehan症候群など。
これらをみると、画像診断を始めとする診断技術の未発達な時代に、すごく低い誤診率であると思います。病歴、診察所見、限られた検査所見でここまで診断をつけていたことに敬服します。逆に我々は画像診断学の発達した社会にいますが、それによって生まれた疾患概念も多くありますので、ピタリと診断を当てるのはいつの世も難しいことに変わりはありません。内科医がずっと追求していかないといけないことです。
この講義のまとめの部分「書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書がある」は重い言葉です。胸に抱いて日々の臨床、研究を行いたいと思います。
そういうふうないろいろなことを考えますと、診断というものがいかにむずかしいものであるか、こういうことを自分としては経験するほど、そのむずかしさを感じます。簡単にみえる症状の病気を診る場合でも、かえって診断に対して非常な恐怖心をいだき、むずかしいなにかがそこに潜んでいるかという心配をいたしますので、臨床というもののむずかしさをますます感じているというのが現状であります。
それにしても平凡なことですが、いつも正確な既往歴 Anamneseをとる、これをなんべんも読み返すことが大切です。それから、これは学生諸君にとくに申しあげるのでありますが、精細な臨床検査、ことに bed sideでの緻密な観察、検討というものをたえず怠ってはならないと思います。同一の患者を診る場合にも、毎日新しい患者を診る気持ちで観察していかなければなりません。
なにもむずかしい検査をいつもする必要はないのですが、少なくともそれに頼る前に、頭と目と手で簡単な検査道具を使って、よく患者を診ることがいつも大切です。
病理でやってもらえばわかるんだ、外科であけてもらえばわかるんだ、そういう安易な気持ちは、われわれ内科医としては夢にももってはいけないとわたくしは思います。あくまでも自分で考えて、それで診断をしていく。学生諸君に先輩として、わたくしはそういうことを申しあげるのであります。よく考える医師になっていただきたいのです。
時間もそろそろまいりましたので、この非常に平凡な結論になりまして、先輩・同僚の各位にとりましては誠に申しわけのない話しになりました。しかし学生諸君にとりましては、なにがしかの教訓になったことと、わたくしは教師として、また先輩としてそう信じております。
自分は、なお元気でございますので、将来とも自分の経験知識をできるだけ活かして進んでいきたいと思いますが、どうか次の時代をになわれる学生諸君、若い方々に、こんごの勉強をお願いし、大成を祈ってやまない次第でございます。
ここで、わたくしはこの「最終講義」を終わりにしたいと思いますが、最後に一言、学生諸君に申しあげておきたい言葉がございます。これはわたくし自身がつくったものではありませんが、わたくしがこれは非常にいい言葉だと思って、なにかのときにメモしておった先覚者のいわれた言葉だと思いますが、その言葉を、学生諸君にお伝えして、わたくしのこの最後の講義を終わりたいと思います。
それは”書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書の中身がある“というのです。もう一度申しますが、”書かれた医学は過去の医学であり、目前に悩む患者のなかに明日の医学の教科書がある“-少しオーバーな言い方かもしれませんが、しかし、わたくしはそういうことを諸君に述べまして、このわたくしの最後の、八百二十回目の講義を終わりたいと思います。
長らくご静聴ありがとうございました。(鳴りやまぬ拍手)
この講義で、長崎大学の病理学の松岡教授を「りっぱな数字をだしておられます」として好意的に扱っています。私の叔母、旧姓が松岡で、親が長崎大学の病理の教授だったと聞いています。こんな有名な講義で登場するなんてびっくりしました。
(参考)
こんなニュースが最近流れました。
認知症発作で死亡事故 男性と同乗者を書類送検 京都府警
2011年9月16日(金)15:13
京都市で2月、1人が死亡、12人が負傷した多重衝突事故で、京都府警は16日、認知症で意識を失ったまま車を運転したとして自動車運転過失致死傷容疑で京都市中京区の無職男性(61)を、持病を知りながら運転を止めなかったとして重過失致死傷容疑で、同乗の派遣社員の兄(68)と妻(63)の計3人を、それぞれ書類送検した。
府警によると、認知症の患者が引き起こした交通事故で、同乗者も含めて立件されるのは珍しい。
男性の書類送検容疑は2月27日正午ごろ、京都市北区の市道で乗用車を運転中、認知症の発作で意識を失い、信号で停車中の車やミニバイクに衝突。ミニバイクを運転していた大学生=当時(20)=を死亡させ、男女12人に軽傷を負わせたとしている。
(魚拓)
認知症発作という医学用語はありませんし、認知症は通常慢性 (一部亜急性) に進行し、意識障害を伴わないのが原則です。認知症が発作として起こることは絶対にありません。
このニュースの限られた情報から推測すると、元々アルツハイマー病か何かの認知症があり、たまたま意識消失を来して事故を起こしたものと思われます。意識消失の原因としては、神経調節性失神、てんかん、徐脈性不整脈などの可能性が考えられます。
新聞記事で医療関係のニュースのチェックはかなり甘く、でたらめな記事を時々目にします。前から繰り返し言っているのですが、もし事実を追及する意志があるのなら、何故専門家のチェックを受けないのでしょう?素人の思いこみを事実のように報道するのは、危険なことだと思います。
9月 15~16日、宇都宮で開かれた日本神経心理学会総会に行ってきました。心理士の方が中心のためか、若い女性の多いなかなか楽しい会でした←何かが間違っている・・・。
Continue reading '第35回日本神経心理学会総会'»
外務省のサイト、こんな素敵なコーナーがあります。外務省 good jobです。
「がんばれ日本! 世界は日本と共にある」(世界各地でのエピソード集(7月27日現在))
例えば、ポーランドでは・・・
ポーランド
3月17日,ある邦人がタクシーを利用して料金を支払おうとしたところ,運転手が「日本人なら料金はいらない。これが今日本のために自分ができる精一杯のことだから」と言って料金を受け取りませんでした。その邦人はそのタクシー代を赤十字に寄付しました。
スペインでは・・・
スペイン
7歳の女児ダニエラ・リオさんが,これまで乗馬のために貯蓄していた貯金を被災者救援に使って欲しいと日本大使館に送付。
3月15日,ボノ下院議長が,日本への弔意メッセージを表明。全議員が起立の上,拍手が1分半続きました。
きっとこのサイトを纏めていた人は、仕事をしながら温かい気持ちになったに違いありません。
以前、ズービン・メータ『第九』~ 復興支援演奏会 in ミュンヘンについてお伝えしました。
最近、東日本大震災チャリティー・コンサートの第二弾、チェコフィルによる新世界 (指揮:イオン・マリン) の CDを聴きました。心に沁み入る、とても良い演奏でした。この曲の二楽章の主題は、「遠き山に日は落ちて」などの愛唱歌に編曲されたことでも有名ですね。
実はチェコフィルは、震災の時日本ツアーの真っ只中だったのですが、地震のほとんどないチェコに住む彼らは、余震に耐えられず、大統領判断により政府の用意した飛行機により帰国してしまったそうなのです。しかし、彼らはそのことに心を痛めていたようです。その後の経過がライナーノートに書いてあります。
3月の下旬、親戚の見舞いに行っていた大阪で、僕は一本の電話をとりました。それはチェコ・フィルの総裁からのものでした。「楽団総員の申し出で、愛する日本へのチャリティー・コンサートを行いたい。それにはチェコの政府も前向きで、プラハ城内で行うことが出来そうだ。」というものでした。当初日本への思いからなるコンサートなので、団員の総意として指揮者には是非小林研一郎氏の起用を」という強い希望がありましたが、あいにくスケジュールが合いませんでした。そこで、オーケストラと近い指揮者たちの中でイオン・マリン氏が担当することになり、このコンサートの実現となったのです。実に発案から 1週間ほどのスピーディーさでした。(江崎友淑)
CDの収益金の一部は義援金として日本赤十字社に寄付されます。是非、聴いてみてください。
Amazon: ドヴォルザーク:交響曲第 9番「新世界より」
(追記)
このコンサートを BSフジで聴かれた方のブログがあります。本当は樫本大進の演奏もあったそうなのですが、CDには収録されていません。そこが少し残念でした。
日々雑録 または 魔法の竪琴-東日本大震災チャリティ チェコフィル演奏会 樫本(Vn), マリン(指揮)-
Panorama Theme by
Themocracy