Category: クラシック音楽

弦楽器のメインテナンス

By , 2007年7月14日 8:28 PM

今、少し楽器の練習をしていて、不吉なことに弦が切れました。今日は雨ですので湿度が高く、楽器には酷な天気です。

私が使用している弦は、E線が「Lenzner Musiksaiten Strings Goldbrokat(俗に言うゴールドブラカットです)」、A-G線が「PIRASTRO Oliv(俗に言うオリーブです)」です。今回切れたのはA線でしたが、コンサート前なので、全部張り替えることにしました。ただ、オリーブはガット弦なので、張り替えた後特に音程が狂いやすく、1週間くらいは調弦が頻回に必要で練習に支障があります。

弦楽器を張り替えながら、昔読んだ「マイスターのQ&A(佐々木 朗著、音楽之友社)」という本を思い出しました。弦楽器を演奏する方には必携の本だと思います。

佐々木氏のサイトには、たくさんの面白い読み物があります。

その中でお薦めは
マイスターのQ&A
ヴァイオリン製作関係レポート
ヴァイオリン音響研究の部屋

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第592回東京定期演奏会

By , 2007年7月13日 6:55 AM

日本フィルハーモニー交響楽団
第592回東京定期演奏会

7月12日(木) 19時開演 東京オペラシティ
1.交響曲第104番≪ロンドン≫(ハイドン)
2.交響曲第38番(モーツァルト)
3.協奏交響曲(チェロ協奏曲第2番)(プロコフィエフ)
指揮:広上淳一
チェロ:趙静
日本フィルハーモニー交響楽団

今回の演奏会のテーマはロンドン。どの作曲家もロンドンに縁があります。

モーツァルト、ハイドンとも、不満のない演奏で、純粋に楽しめました。弦楽器の音は、日本のオーケストラの中では、日フィルが一番好きです。音に香りを感じます。

プロコフィエフは初めて聴く曲。途中、彼作曲のヴァイオリン協奏曲に似ている部分もあり、楽しめましたが、私の好みとは異なり何度も聴きたい程の魅力は感じませんでした。

趙静さんは、しっかり弾き込んで音を出す方で、以前聴いたハンナ・チャンと対照的に感じました。時々音程が甘くなりますが、これほどの難曲なので、多少の傷は仕方ないかもしれません。解釈に音楽的な違和感を感じる点はなく、特に技巧的な箇所でのボウイングにはびっくりしました。中国は、ヨーヨー・マを初めとして、良いチェリストを色々育てているなと感じました。

ただ、今日の聴衆は音に鈍感な客が多かったためか、ガサガサと音を立てる人が多く、指揮者が楽章の間に腕を組んでじっとしているシーンもありました。コンサートのパンフレットの束を演奏中に落とした人もいたし・・・。最低限のマナーは守りたいものです。

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第141回東京芸術劇場名曲シリーズ

By , 2007年7月13日 6:12 AM

瑠璃さんからいくつかのコンサートチケットを頂きました。いつもありがとうございます。

当直のやりくりが何とかなったので、7月11日のコンサートを、先輩の I先生と芸術劇場に聴きに行きました。

 読売日本交響楽団
第141回東京芸術劇場名曲シリーズ

7月11日(水) 19時開演 東京芸術劇場
1.歌曲<オベロン>序曲(ウェーバー)
2.ヴァイオリン協奏曲第1番(ブルッフ)
3.組曲<展覧会の絵>(ムソルグスキー(ラヴェル編曲))
指揮:Paolo Carignani
Vn:川久保賜紀
読売日本交響楽団

当初のソリストは、ジャニーヌ・ヤンセンの予定。ところが、急病のためとのことで、急遽ソリストが変更となりました。ヤンセンの演奏は聴いたことがなかったので、残念でした。

ウェーバーの歌曲「オボロン」を聞くのは初めてです。出だしに派手さはありませんが、徐々に盛り上がり、胸のすくようなクライマックスを迎えます。オペラの序曲は、客に曲を覚えさせること (口ずさめるような曲であったりします) と、ワクワクさせることが非常に重要です。ウェーバーは、モーツァルトの妻と従兄弟に当たるそうで、彼のクラリネット協奏曲には聴きなじみがあります。

ブルッフヴァイオリン協奏曲第1番を生で聴くのは久しぶりでした。昔、チャイコフスキーコンクールで入賞する前の川久保さんの演奏を聴いたことがあり、どう変わったのか楽しみでした。

川久保さん登場の時、背中がほぼ裸のセクシーな衣装で、ドキッとしました・・・・。

曲の出だしは、ポルタメントをかけながらで、面白い趣向だと思いました。彼女の魅力は、ミスのないことかもしれません。やりたいことも良く伝わってきました。ただ、演奏が少し平面的な印象も受けました。音の大小の幅が狭かったように思います。また、演奏に必然性を作り出す点で、巨匠と言われる演奏家と比べて少し不満を感じました。昔、師のザハール・ブロンの演奏を聴いたとき (川久保さんと共演だったのですが)、ブロン先生は、この点が天才的に上手だったと思います。もう一点気になったはヴィブラートです。低弦でのヴィブラートが、いずれも高音でのヴィブラート並に細かくかけられており、毎回気になりました。もう少し、ゆったりかけていると聴きやすかったと思いました。

とはいえ、今回は、急遽出演が決まり、ほとんど準備期間がなかったにしては、安心して聴くことが出来ました。高音の瑞々しい響きは彼女の魅力だと思います。

展覧会の絵を全曲聴くのは初めてでした。解説を読んでいたため、「あ、この曲がこの絵に相当するのか・・・」と楽しめました。ラヴェルの編曲も天才的です。

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チャイコフスキー国際コンクール

By , 2007年7月5日 10:04 PM

神尾真由子氏が、チャイコフスキー国際コンクールで優勝したようです。実は、これまでこのチャイコフスキー国際コンクールというのは、日本人が毎回のように入賞しているコンクールというのでもあります。

 【モスクワ=瀬口利一】モスクワで開かれていた第13回チャイコフスキー国際コンクールのバイオリン部門で29日、大阪府豊中市出身の神尾真由子さん(21)が優勝した。同コンクールはショパン国際ピアノ・コンクールなどと並ぶ若手音楽家の登竜門。

日本人が同部門で優勝したのは1990年の諏訪内晶子さん以来で2人目。98年の前々回は佐藤美枝子さんが女性声楽部門で、2002年の前回は上原彩子さんがピアノ部門で優勝しており、3大会連続で日本人の優勝者が出た。

神尾さんはこの日、本選に残った6人の最後に、チャイコフスキーとシベリウスのバイオリン協奏曲を演奏。会場から歓声と大きな拍手が送られ、聴衆に笑顔で応えた。優勝発表を受けた記者会見では、「本当にうれしい。逃げ出さずに弾けて良かった」と語った。

神尾さんは4歳でバイオリンを始めた。桐朋女子高校を経て、米ニューヨーク・ジュリアード音楽院プレ・カレッジで学んだ。04年のモンテカルロ・マスターズなど国内外の数々のコンクールで優勝経験があり、現在はスイス・チューリヒを拠点に活動している。(http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070630p102.htm)

一緒に室内楽をしていた後輩が、「チャイコン優勝した神尾真由子、4才位ん時から僕の先生んとこでブイブイいわしてた神童です。」とメールをくれました。是非演奏を聴いてみたいものです。チケットは取りにくくなるでしょうね。

と、喜び一色の中で、少し辛口の話。

最近の流れとして、コンクールの乱立により、「コンクール優勝」という肩書きが珍しくなくなっていること、減点方式に耐えられるような傷のない演奏が (たとえつまらない演奏でも) 好成績につながること・・・など、コンクールに対する評価の低下が著しいということがあります。ヨーロッパでは、チャイコフスキー国際コンクールなど、メジャーなコンクールでも、報道がほとんどされないとか。

私も、ある有名コンクール優勝者の演奏を聴くことがありましたが、その師であるザハール・ブロンの演奏の方が、何倍も音楽に説得力があり、器が全然違うのを感じたことがあります。現在では、ツィンマーマンやテツラフのように、コンクール以外の方法で、つまりリサイタルなどを成功させて有名になってくる演奏家の方に、名演奏家が多いように思います。そういった演奏家は、評価にコンクールを必要としないのでしょう。

個人的には、エリザベート王妃国際音楽コンクール初期の頃の入賞者の顔ぶれが凄いと思います。多くが巨匠と呼ばれるようになりました。

神尾真由子氏が、どのような演奏家になるのか今後にかかっています。頑張って欲しいものです。

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Magic Bow

By , 2007年6月24日 6:25 AM

Magic Bow」というビデオを見ました。

国内では手に入らなくて、アメリカのアマゾンから取り寄せて購入した音楽映画です。パガニーニというヴァイオリニストが主人公です。音源は若かりしメニューイン。英語版で字幕なしだったので、イマイチ内容が理解出来ず残念でしたが、E-D線の弦を切ってG線だけで演奏したりといった、主人公のパフォーマンスを見ているだけでも楽しめました。

ただ、例によって俳優の手の動きと音が全然一致していないのがストレスでした。この手の音楽映画は、俳優が演奏素人なので、音と動きが一致しません。だったら、演奏家に主役をやってもらえば良かったのにと思います。

例えば、Heifetzが出演した「彼らに音楽を」や「カーネギーホール」といった映画では、このようなストレスから解放されることが出来ます。

とはいえ、音楽は絶品です。

パガニーニの映画に関して言えば、他に「パガニーニ」というタイトルの映画もあります。こちらの演奏はサルバトーレ・アッカルド。技術的には傷が多いのですが、鬼気迫る演奏という表現がぴったり。悪魔の乗り移ったかのような雰囲気を作り出すのに成功しています。ただ、パガニーニの人生を描いているため、映画自体は官能シーンの連続で、他人と見ると気まずいのでご注意を。

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日フィル 第591回定演

By , 2007年6月14日 11:17 PM

日本フィルハーモニー交響楽団
第591回東京定期演奏会

6月14日(木) 19時開演 東京オペラシティ
1.ジークフリート牧歌 (ワーグナー)
2.交響曲第39番 変ホ長調 (モーツァルト)
3.交響曲第6番 ヘ長調 (ベートーヴェン)
指揮:Martin Sieghart
日本フィルハーモニー交響楽団

ジークハルトはとてもオシャレな雰囲気を持っていて、洗練された指揮は (映像でしか見たことがないけれど) カルロス・クライバーを連想させました。

モーツァルトが素晴らしかったのですが、ベートーヴェンも、最高でした。聴きながら自分自身の存在が希薄になっていくような不思議な感じがして、途中から胸が張り裂けそうになりました。途中管楽器のチューニングが微妙に狂っていたのは少し気になったけれど、音楽的にはこの上ないものでした。

この指揮者の CDを色々買ってみたいと思います。

演奏会は、すべて対向配置で行われました。最近ブームです。

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耳の話

By , 2007年5月24日 6:59 AM

Paget病について調べていました。「Diagnosis of bone and joint diorders 3rd Edition (Resnick著)」の第4巻1924ページを読んでいて、面白い記述を見つけました。

Diagnosis of bone and joint diorders 3rd Edition (Chapter 54 – Paget’s Disease)

Neuromuscular complications are not infrequent. Neurologic deficits, such as muscle weakness, paralysis, and rectal and vesical incontinence, resulting from impingement on the spinal cord, can be apparent in patients with compression fractures of the vertebral bodies. Similar deficits may accompany platybasia owing involvement of the base of the skull. Compression of cranial nerves in their foramina is not common, although deafness may be apparent. In fact, some investigators suggest that Beethoven’s deafness resulted from Paget’s disease. Impingement on the auditory nerves usually is the result of pagetic involvement of the temporal bone and labyrinth, although structural abnormality of the ossicles of the middle ears also has been observed.

BeethovenがPaget病で難聴を来していたという可能性です。Beethovenの耳についてはさまざまな議論があります。

音楽に関する病跡学の本として有名な「音楽と病 病歴にみる大作曲家の姿 (ジョン・オシエー著, 菅野弘久訳, 法政大学出版局)」には、Beethovenの耳について詳しく記載されています。

ベートーヴェンの難聴の原因に最終判断を下すまで医学は至っていない。聴神経そのものが傷ついて起こる感音性難聴が原因なのか、耳小骨 (中耳を通して音を伝える三つの骨) が厚く固まる耳硬化症が原因なのか、医学界では意見が分かれている。耳と脳については、解剖所見にある程度詳しく記されているものの、驚いたことに耳小骨については何も触れられていない。解剖を担当したヨハネス・ワーグナーは、耳小骨と錐体の一部を後で調べるために取っておいたが、紛失してしまった。ベートーヴェンの遺体は、一八六三年と八八年に二度発掘されている。なくなった耳小骨は見つかっていない。その骨がない以上、ベートーヴェンの病気についてなされるさまざまな診断から、耳硬化症の可能性を除くことはできない。

更に、オシエーの本の「序」には、ワグナー教授がベートーヴェンの解剖を行いそのときの弟子がロキタンスキーだったこと、ロキタンスキーにとって最初の解剖がベートーヴェンだったことが記されています。その後、ロキタンスキーは解剖学で名前を残した名教授となりました。

オシエーの本に載っている、ベートーヴェンの耳疾患の鑑別診断は下記です。

伝記作家が推測するベートーヴェンの難聴の原因 (1816-1988)

発疹チフス/髄膜炎 ヴァイセンバッハ (1816)
外傷性感音性難聴 フォン・フリンメル (1880)
梅毒
(a)髄膜血管 ヤコブソン (1910)
(b)先天性 クロッツ-フォーリスト (1905)
(c)初期 マッケイブ (1958)
耳硬化症 ソルスビー (1930)
血管機能不全 スティーヴンズ、ヘメンウェイ (1970)
耳硬化症 スティーヴンズ、ヘメンウェイ (1970)
ぺージェット病 ナイケン (1971)
医原病 ギュート (1970)
自己免疫性感音性難聴 デービス (1988)
(耳硬化症が好まれる診断)

こうした記述からは、耳硬化症の説が強いようです。

「ミューズの病跡学Ⅰ 音楽家篇 (早川智著, 診断と治療社)」でも、「ベートーヴェンの聴力障害」という項で、Beethovenの耳疾患について扱っています。しかし結論は示されていません (ちなみに、著者の早川先生とは、年に一度くらい飲む機会があり、個人的にお世話になっております。最近は、「mozart effect」について議論しました)。

最後に、オシエーの本から、ベートーヴェンの解剖報告書のうち、耳と脳に関する記述を紹介しましょう。

 外耳は大きく、正常である。舟状窩、とくに耳殻はたいへん深く、通常の1.5倍はある。さまざまな突起や湾曲部が目立つ。外耳道は輝きのある鱗屑で覆われて、鼓膜の辺りが見えない。耳管はかなり拡張しているが、粘膜が膨れているため、骨の部分でやや収縮している。開口部の前と扁桃腺に向かう部分に窪んだ瘢痕が見られる。乳様突起の中心細胞は大きくて無傷だが、充血した粘膜で覆われている。錐体全体にも同じような充血が見られる。かなり太い血管が、とくに蝸牛部分を横断しているためで、螺旋状の粘膜部分が少し赤くなっている。
顔面神経は異常なほど太い。逆に聴神経は細く、鞘がない。それに沿った動脈は拡張して羽軸ほどの太さになり、軟骨化している。左のさらに細い聴神経は、三本の灰色の糸からなり、右の聴神経は、より太く白い糸からなっている。これらは他のどの部分よりも堅く、充血している第四脳室から生じている。脳回には水が溜まり、異常に白い。通常より太く、また多いように思われる。頭蓋冠は全体に厚く、半インチほどある。

解剖の際の情景が浮かんでくるようです。ボンでデスマスクを見た時のことを思い出しました。

ちなみに、Beethovenの死因は、アルコール性肝硬変という説が最も有力です。

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By , 2007年5月20日 7:25 AM

昨日、部活の新入生がヴァイオリンを買いに行くのに、ついて行きました。初心者だとなかなか選ぶのに苦心するからです。お店は、MAGICOといい、千駄ヶ谷にありました。

初心者用の楽器を買った後、店員と話をしているうちに、店に展示しているヴァイオリンを試奏させて頂けることになりました。

楽器は、Pressenda Giovanni Francesco作の銘器で、お値段約3800万円。高音が脳に響くような、経験したことのない音がしました。恍惚状態になってしまい、余り詳しいことは覚えていません。その次に1100万円の楽器を弾かせて頂きましたが、こちらはオーソドックスな鳴り。

その日は一日、ボーっとしていました。プレッセンダ・・・。欲しいなぁ・・・。一生手に入らないだろうけど・・・。

その後、新入生達と飲みに行き、飲んだ後部室で一緒に練習して、更に飲みに行きました。久々の音楽三昧、酒三昧でした。

プレッセンダ・・・。

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日フィル 第590回定演

By , 2007年5月10日 11:54 PM

日本フィルハーモニー交響楽団
第590回東京定期演奏会

5月10日(木) 19時開演 東京オペラシティ
1.歌劇≪魔笛≫より序曲(モーツァルト)
2.交響曲第36番≪リンツ≫(モーツァルト)
3.ピアノ協奏曲第2番(ベートーヴェン)
4.幻想曲≪フランチェスカ・ダ・リミニ≫(チャイコフスキー)
指揮:Alexander Dmitriev、ピアノ:Eric Heidsieck
日本フィルハーモニー交響楽団

モーツァルトの演奏は非常にドライでした。フレーズ終わりの音の処理に余韻がなく、余り好みではありませんでした。

ピアノ協奏曲第2番は、素晴らしい演奏でした。ハイドシェックは、第1,3楽章では、余り拍感がなく、気にかかりましたが、緩徐楽章ではこの上ない美しさで、演奏会で涙がこみ上げてきたのは生まれて初めてです。ドミトリエフのドライな演奏が、かえってハイドシェックのソロを引き立たせました。アンコールは、バースデーソングとその変奏。

チャイコフスキーではドミトリエフの凄味を感じました。途中のクラリネットソロで泣かせ、更に最後の盛り上がりは圧巻でした。

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モーツァルト:ヴァイオリンソナタ

By , 2007年5月6日 10:57 PM

モーツァルトのヴァイオリンソナタは、聴きやすい曲が多く癒されます。モーツァルト、ベートーヴェンはボロが出やすいので、専門家にとっては、良く試験の課題曲になるそうです。

最近、クラシカというクラシック専門チャンネルで、アンネ・ゾフィー・ムターがモーツァルトのヴァイオリンソナタを演奏しています。

私は、ムターはあまり好きではありません。ベートーヴェンの演奏について、行儀が悪いと思うし、音楽が非常に人工的すぎると思うからです (もう少し、自然、この世界の美しさを表現した方が良いと思う)。

ただ、今回のモーツァルトはとても楽しめます。何といっても、遊び心がいっぱいです。型にはまらないところが面白くって良いです。

これまで、私が好きなモーツァルトの録音は、F. P. Zimmermann/Alexander Lonquichのスタンダードな録音や、ヴァイオリニストのボウイングは少し衰えているけれども Szymon Goldberg/Radu Lupuの優しい演奏、古楽器の Hiro Kurosaki/Rinda Nicholsonなどでした。Heifezの甘い音も好きですが、全曲録音ではありませんね。そうそう、定番の Grumiauz/Haskilも忘れてはいけません。

今回のムターの演奏は、Salvatore Accardo/Bruno Caninoの録音のように、所謂「面白い演奏」として、わくわくしながら聴ける演奏としてお薦め出来ると思います。好みは分かれると思いますが。

ベートーヴェンのヴァイオリン曲のお薦め演奏家は難しいですね。

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