Category: クラシック音楽

レナード・バーンスタイン 音楽のよろこび

By , 2007年10月2日 10:58 PM

久しぶりに音楽の事が語れます。といっても、ワインを一本空けた後の酔っぱらいトークですが。

最近「レナード・バーンスタイン 音楽のよろこび~オムニバス~」というDVDを購入しました。

バーンスタインは、ピアニスト、指揮者、作曲家として幅広い才能を発揮した人物です。

私はバーンスタインの語りが好きで、
①DVD「答えのない質問」→チョムスキーの言語学と音楽の対比
②「Young people’s concert」:バーンスタインが子供向けに行った講義で、「クラシカ」という有料放送で見られます。
③交響曲全集:バーンスタインがベートーヴェンの各交響曲を語った後、各曲が演奏されます。「クラシカ」で見られます。
などを見て感動したものです。

今回のDVDでは、第一話が「ベートーヴェンの『第5交響曲』」。ベートーヴェンが残した下書きの草稿を再現し、現在残された交響曲と対比します。ベートーヴェンが何を考え、どう書き換えて現在に至ったかを知りたければ必見です。ある草稿をバーンスタインは「これはピアノソナタ『悲愴』に似ていて一番好きだ」と語っています。また、運命の最初の草稿は、出だしの部分にはフルートが加えてあったのですが、曲の雰囲気が全然違います。バーンスタインによると、ベートーヴェンは主題が男性の声域に収まるようにフルートを除いたとのことです。聴いてみると一目瞭然です。このような話題が本DVDでは満載です。

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演奏家の手

By , 2007年9月14日 10:16 PM

「演奏家と手」というテーマを考えると、様々なアプローチがあると思います。

医学的アプローチから、今のところ資料がそろっているのが「パガニーニの手」、現在資料を集めているのが「シューマンの手」。それらについては、今後の約束として、今日紹介するのは職業病としての手の症状です。

練習や演奏により体を痛め、悩んでいる演奏家は多いと思います。しかし、それに対する医学的知見は乏しいのが現状です。しかし、演奏家の手の症状についてまとめた論文を見つけました。発表したのは、世界最高の病院の一つ、Massachusetts general hospital (MGH) の医師達です。

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Josef Hassid

By , 2007年9月4日 6:30 AM

Josef Hassidというヴァイオリニストを知っている方は、ある程度のヴァイオリン音楽通と言えるかもしれません。

Josefについては、将来を嘱望された演奏家として、巨匠達の演奏を集めた「The art of violin」といったDVDで軽く触れられています。私は「音楽の神童達 (下) (クロード・ケネソン著、渡辺和訳、音楽の友社)」という本で彼の人生について読んだことがあります。

今回紹介するのは、早逝の名演奏家、Josef Hassidです。Hassidの精神疾患について、実際に医学論文が書かれています。一部引用しながら紹介します。

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Glenn Gould

By , 2007年8月27日 12:50 AM

今日は、ほろ酔い加減で「Glenn Gould」について語ります。Gouldは夏目漱石に傾倒していたとする逸話があり、日本人としては少し親近感が持てます。

私が初めてGouldの演奏を聴いたのは、「グレン・グールド/バッハ全集」というCDでした。当時は研修医で、今よりハードな生活をしており、バイト当直が週2日、大学当直が週1日、当直がない日も帰宅は毎日終電近くで、少ない睡眠時間も深夜に看護師からの電話で起こされる毎日、患者のことを考えるよりも自分を守ることで精一杯でした。3日連続当直で、睡眠時間が 3日で 3時間という時もありました。Gouldのゴルドベルク変奏曲 (J.S.Bach) は、そんな時期に聴いただけに、荒んだ心に染みこむように感じました。

どのくらい感動したかといえば、ピアノを衝動買いしてしまった程です。ピアノなんて弾いたことがないのですが、「ゴルドベルク変奏曲」の楽譜を買ってきて、最初のアリアの右手だけでも弾けるようになりたいと思ったのです。結局その夢は挫折して今に至ります。郡山時代はピアノ不可の部屋だったのですが、東京に戻ってからはピアノ可の部屋に移り、今私の横にオブジェとして存在します。調律頼まないとなぁ・・・。

最近、Gouldの CDをまた買いました。ベートーヴェンの協奏曲集なのですが、特に第5番(皇帝)が綺麗でした。ソロパートの旋律を紡ぐように演奏するところで心を打たれました。他の協奏曲についてはノーコメントとしておきます。

ゴルドベルク変奏曲については、1955年と 1981年の録音が知られています。ミッシャ・マイスキーによるチェロ組曲 (Bach) は、歳をとってからの録音の方がテンポが速いのに対して、Gouldのゴルドベルク変奏曲の場合は逆で、1981年は優しくゆっくり弾いているのが印象的でした。この曲は、最近ペライアの CDを買って、再び感銘を受けました。

さて、前置きはそのくらいにして、紹介するのは、Gouldの死因についてです。これは実際に医学論文が出ています。一部引用しますが、推敲していませんので、(ほろ酔い加減でもあるし) スペルミスなどあるかもしれません。是非原文に当たることをお薦めします。

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Isabelle Faust

By , 2007年8月21日 7:55 AM

Isabelle Faustが演奏するベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とクロイツェルソナタの CD (HMC 901944)を聴きました。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は現在練習中の曲で、メジャー、マイナー問わず、いろいろな演奏家の録音を多数集めて聴いています。中でもお気に入りはヴォルフシュタールの演奏 (1928年録音) です。カップリングされた曲の演奏が不安定なこと、ピッチがあまりに高い (録音技術の問題?)、録音技術のため音質が多少悪いといった欠点がありますが、それらを補って余りあります。その他、個人的に好きな演奏家なので、レオニード・コーガンの演奏を良く聴きます。また、オイストラフの演奏は、録音によって多少の当たりはずれがありますが、言葉にならないくらい美しい録音もあり、時々聴きます。クライスラーの演奏は、傷も多いのですが引き込まれますね。

今回の Isabelle Faustの演奏は、清々しく、聴きやすい演奏でした。エレガントで押しつけがましくないのですが、伝えたいことがはっきりと伝わってきます。これまでに聴いた中にないタイプで、非常に面白かったです。繊細でクリアな音に、一瞬古楽器演奏を思い浮かべました。

彼女の演奏は 2000年10月7日にサントリーホールで聴いたことがあります。その時は、バッハの無伴奏パルティータ第2&3番、バルトークの無伴奏ヴァイオリンソナタでした。特にバルトークは圧巻でした。

彼女の使用している楽器はストラディバリウスの「スリーピング・ビューティー」だそうで、チャーミングな名前です。

一時期、ドイツのヴァイオリニストは不作だと言われましたが、ムター以降、ツィンマーマン、テツラフ、ファウストと大物が続いています。それぞれタイプが違うのも面白いところです。

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空耳?

By , 2007年8月10日 6:51 AM

時々言及されることですが、クラシック音楽には、曲は違っても、そっくりのフレーズというのがあります。

私がバッハ全集を聴きながら感じたのは、「トリオソナタ BWV 1079 第1楽章」「ヴァイオリンソナタ第4番 第1楽章」「マタイ受難曲 アリア~憐れみたまえ、わが神よ~」がそっくりなことです。バッハは多忙だっためか、色々と使い回ししてますし、モーツァルトも自身の曲を様々に編曲しています。

今回、ベートーヴェンの全集を聴きながら感じたのは、「ピアノと管弦楽のためのロンド WoO 4 第三楽章」の短調の部分と、ロマンス第1番のある部分がそっくりであることです。ベートーヴェンの初期~中期の作品には、特にヴァイオリンとピアノの距離が非常に近いものが多いように思います。彼がヴァイオリンとピアノのためにヴァイオリンソナタを書いたのは若い頃だけでしたし、ヴァイオリン協奏曲 (1806年) を、ピアノ演奏用に編曲したのも若い頃 (1807年) でした。

そうそう、話は変わりますが、ベートーヴェンのピアノソナタ Op. 111の第 2楽章が途中から Jazzに聴こえるのは私だけでしょうか?

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第210回定期演奏会

By , 2007年7月27日 6:53 AM

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第210回定期演奏会

7月26日(水) 19時開演 東京オペラ・シティ
1.オーボエ協奏曲(R.シュトラウス)
2.組曲「惑星」作品32(ホルスト)
冥王星、再生する者(コリン・マシューズ)
指揮:飯守泰次郎
オーボエ:広田智之
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

このコンサートはNHK「オーケストラの森」収録を兼ねた演奏会で、先輩のK先生と聴きに行ってきました。

1曲目はリヒャルト・ストラウスのオーボエ協奏曲でした。私の叔父がオーボエ奏者であったため、楽器に親しみがあります。叔父については、私がヴァイオリン協奏曲第3番(モーツァルト)を練習していたときに、「ここからここまで弾いてごらん。叔父さんはここからここまで弾くから」と言われ、同時にヴァイオリンソロ・パートの別々の部分を演奏したのに、叔父さんの演奏した部分が伴奏になっていて、びっくりした記憶があります。今考えると、お互いの和声が一緒だったからですね。

オーボエ・ソリストは非常に上手で、安定感があり、音も綺麗で楽しめました。この曲は、1945年9月14日に完成、10月25日に浄書終了され、軍事的な性格を持つトランペットとティンパニが欠けているそうです(ライナーノーツより)。元々、私はR.シュトラウスが好きではないのですが、例外的にこの作品は聴きやすかったように思います。

2曲目は、「惑星」でした。昨年 11月に聴いて以来となります。演奏には非常に満足で、特に「木星」のテンポが前向きに演奏され、盛り上がりました。

ただ、個人的には「冥王星」が演奏されない方が好きです。「海王星」で徐々にヴォカリーズが遠ざかり、余韻を残して終わるところが好きだからです。これは、「冥王星」付きが好きな人もいるでしょうし、あくまで趣味の問題です。

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レスピーギ

By , 2007年7月22日 11:56 AM

「IL TRAMONTO(MTWD99029)」というCDを購入しました。演奏はQuartetto Dorico MilanoとQuartetto di Luganoです。Quartetto di Luganoには木野雅之氏が参加しています。

このCDは、全てレスピーギの曲を収録しており、世界初収録曲もあります。CDに収録されている曲は
①ドリア旋法の弦楽四重奏曲
②夕暮れ~メゾ・ソプラノと弦楽四重奏曲のための~
③弦楽八重奏曲
です。

レスピーギは1879年生まれ、1936年没、と比較的新しい時代の作曲家です。作品としては、リュートのための古い舞曲とアリアなどが有名で、一部ネットでも視聴できます

収録曲はいずれも聴きやすく、また、中にはジプシー音楽風な部分もあり、楽しめました。

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渡邊暁雄と日本フィル全集

By , 2007年7月18日 6:46 AM

渡邊暁雄と日本フィル全集 (26枚組)」を聴き終えました。

普段聴かない曲が多くて勉強になりました。収録されている曲にはシベリウスが多かったのですが、指揮者の渡邊暁雄先生の母親がフィンランド人であることが影響しているのかもしれません。

現代曲が多く、新しい音楽を発掘しようとする強い意志を感じました。しかし、私の趣味には合わない曲も多かったようにも思います。一つには新しい音楽に私の耳が慣れていないからという問題があります。

現代曲の中で名曲として残るのは一握りに過ぎず、消えていく曲の方が多いのも事実です。その中には相当数の駄作も含まれますが、後世になって評価が変わる曲もあります。いずれにせよ、どんな曲も一度は演奏されないと日の目を見ることはありません。渡邊先生のされていたことは、素晴らしいことだと思います。

私個人として、渡邊暁雄先生には特別な思い出があります。渡邊先生は、岡山県北部の山間の都市に毎年第九を指揮しにいらしていました。アマチュア音楽家であった父が毎年クラリネットで参加し、それを楽しみにしていたのです。毎年演奏会を聴きに行っていました。東京から6時間かかる田舎でしたが、これだけ高名な指揮者が、良く毎年来てくださったなと、今になって思います。

少し古い時代の日本のオケの演奏ですが、CDの演奏水準として、気持ちよく聴けます。ただ、ヴァイオリンソロの水準には疑問符が付きました。石井志都子氏のサン・サーンスのコンチェルトは、CDを聴いて頂けるとわかると思いますが、技術的には不安定な部分が目立ちます。

 山口市に生まれる。
小学4年で全国日本学生音楽コンクール第1位。
中学1年で音楽コンクール第2位。高校2年16
才でロン・ティボーコンクール第3位入賞。この
年パリ国立音楽院入学。翌年パリ国立音楽院
を首席で卒業。
再度ロン・ティボーコンクール第3位受賞。恩師
のパリ国立音楽院教授ガブリエル・ブイヨン氏も
同行して2年半ぶりに帰国。
各地で帰国記念演奏会。再びフランスへ留学。
21才でパガニーニ国際コンクール第3位入賞。
昭和44年約10年間の留学を終えて帰国。
共演したオーケストラはパリコロンヌ、フランス国
立放送、パドゥルー、ナポリシンフォニー等。
わが国では読売日響、東京フィル、日本フィル
などと共演。
平成6年10月東京芸術劇場にて、デビュー35周
年記念コンチェルトリサイタルを開催。
現在、桐朋学園大学教授、日本音楽コンクール、
全日本学生音楽コンクールの審査員をつとめる。
石井洋之助、鷲見三郎、ガブリエル・ブイヨン氏に
師事。
平成10年山口県文化功労賞を受賞。(http://www.c-able.ne.jp/~tanabata/h15soukai.html)

輝かしい経歴の持ち主のようです。たまたまこの時の演奏が不調だったのか、録音と聞いて緊張していたのか、知るべくもありませんが。

その他に、ルイ・グレーラー氏の演奏を初めて聴くことが出来て、うれしく思いました。昔、氏の「ヴァイオリンはやさしく 音楽はむずかしい (ルイ・グレーラー著、羽仁結訳、全音楽譜出版社)」を読んだことがあり、一度演奏を聴いてみたいと思っていたからです。

こうした全集は、記録としての価値もあり、貴重だと思います。日本のオケの 50年も前の演奏をじっくり聴く機会など、あまりないですから。

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あるルーマニア人演奏家の思い出

By , 2007年7月14日 11:18 PM

あれこれと、音楽系サイトをみて遊んでいたのです。

弦楽器Stradのサイト。そこで、在庫楽器の弾き比べをムービーで紹介していました。

まぁ、傷の多い演奏ではあります。普段弾き慣れない楽器を弾くのも大変なのでしょう。ただ、聴いていて楽しい演奏ではあります。表現したいことは伝わってきますね。

演奏は、ダヌーツ・マーニャ。懐かしい名前でした。

私が、一時期ロマ音楽(=ジプシー音楽)にはまっていて、ルーマニア出身のマーニャの演奏を聴きに行ったことがありました。客席で、演奏までの間、「森のかなたのミューズたち ルーマニア音楽誌(みやこうせい著、音楽之友社)」を読んでいました。すると、すぐ後ろの客席の女性が、「それはひょっとして、先生の本ではありませんか?」と話しかけてきたのです。私が本の表紙を見せると、その女性は、自分の隣に座る男性を「こちらの先生が、みや先生です」と紹介してくれました。

これ程の奇遇もありません。

みや氏は本に「よき出会いをよろこびつつ 2001.10.14 みやこうせい」とサインをしてくれました。

マーニャの演奏ムービーを聴きながら、そんな話を思い出したのでした。

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