古楽器で聴くモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ④

By , 2009年3月20日 10:26 AM

Raychel Podger は、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータを古楽器で録音し、高い評価を得た女流ヴァイオリニストです。何と、前回のエントリー「古楽器で聴くモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ③」で紹介した Manzeとバッハのドッペルコンチェルトも演奏しているのです。即興での装飾の応酬が興味をそそります。

その Podgerが Gary Cooper (fortepiano)と組んでモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを録音しました。現在の所、Volume 6まで発売されています。彼らは初期のソナタをかなりルバートを効かせて演奏しています。バロック音楽の名残があり、自由度を高く設定したのでしょう。中期・後期のソナタとなるに従って、古典派として様式感が聴き取れるようになります。

Podgerと Cooperの演奏の特徴は、即興性です。バロックや古典派の時代は、即興も音楽の大切な要素で、演奏家のセンスを判断する目安のひとつでした。当然、モーツァルトも自作のソナタを即興たっぷりに演奏したことでしょう。Podgerらはそうした点を意識したのだと思います。他の古楽器演奏家と比較しても、Podgerらの即興性の要素は強く、何度も聴いた曲が新鮮に聴かれるのではないかと思います。音楽的にも非常に聴きやすいので、お勧めです。

(気が向いたら)つづく

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