ACP日本支部年次総会 2013

By , 2013年5月30日 4:07 PM

ACP日本支部年次総会 2013に行って来ました。製薬会社が一切タッチしない手作りの学会運営で、内容も素晴らしく、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。

 

5月24日 (金)

外来を終えて京都へ。22時頃 methyl先生と合流してまず京都国際ホテルにチェックイン。オステリア・エ・バールに食事に出かけました。深夜まで空いていたので助かりました。

5月25日 (土)

「臨床推論ケースカンファレンス~~綜合内科医の思考プロセスを探る~」 徳田安春

症例は、化膿性関節炎→敗血症性ショック+DKA→意識消失→交通外傷。小出しに集まる情報を元に、小グループでディスカッションしながら診断を進めていきました。小グループに学生がいて、学生の頃から勉強に来て意識が高いなと思いました。といいつつ、一緒のグループの研修医が可愛かったことが私にとっての一番の関心事だったのですが・・・ (^^;

Tipsとして、最近では糖尿病ベースの group G streptococcus感染症を診断することが多い、関節炎は 6Kと覚えると良い・・・というのがありました。

急性の 3K:化膿性 (細菌、ウイルス、真菌)、結晶誘発性 (痛風、偽痛風), 血腫 (関節内骨折、血友病などの出血傾向)

慢性の 3K:膠原病 (SLE), 関節リウマチ, 血清反応陰性 (ライター症候群、強直性脊椎炎、ベーチェット病、炎症性腸疾患)

講義が終わった後、桿状核球、分葉核球を知らない高齢の先生に、隣の席の医師が丁寧に教えてあげていて、アットホームな雰囲気を感じました。

 

“Snap diagnosis” Hiroshi Sudo

全て英語での講演。最初に、”The art of medicine is observation” というオスラーの言葉が紹介されました。爪についての話が多かったです。爪については、「爪 -基礎から臨床まで」という本が詳しいそうです。

1. Spoon nail: iron deficient anemia

2. Terry’s nail: hepatic cirrhosis, “Ground glass” like nail bed, no lunula

3. Lidsay nail: chronic kidney disease

4. Bean’s line: severe systemic disease (severe infection, myocardiac infarction), history of chemotherapy

5. Osler’s node, Roth spot, petechia, Janeway lesion, etc: peripheral stigma of endocarditis

6. Palmar crease pallor: shock vital

7. conjunctival rim pallor: anemia, sensitivity 10%, specificity 99%, LR +16.7

8. severe anemia looks like icterus.

9. asterixis: ≒metabolic encephalitis, CO2上昇でも出現しうる。baseline PaCO2 + 15 torr以上の CO2貯留で出現しうる。

10. Look at Jugular veneous wave: クラシカルには胸骨前面 (angle of Louis) より頸静脈を 5 cm挙上して怒張しているかどうか

11. Tachycardia: 鎖骨上部で拍動が見える (NEJM, 1998)

12. Goiter/Hyperthyroidemia: 喉を横から見て、正常では線状、goiterがあると前方に凸。

13. Hypothyroid speech:「 調子の悪い酔った人が風邪にかかり口の中にスモモを含んでの声を調子の悪い蓄音機で聴くような・・・」

14. Delayed ankle reflex (hypo thyroid, sensitive), Brisk ankle reflex (hyper thyroid, specific)

15. 血糖値チェックの針跡: endocarditisの peripheral stigmaと間違えないように

16. Auscultatory percussion of the bladder

17. Visible peristalsis: small bowel obstruction

18. “Sippu” indication most painful area: 湿布は患者さんが最も痛い場所を教えてくれる

19. ズボン膝部が破れている/汚れている: sudden loss of consciousness→cardiac syncope

20. 尿の色 (確か、ダ・ヴィンチのカルテに載っていたような尿の色調からの鑑別)

須藤先生の turning pointは、”on the bedside teaching” という論文だったそうです。あと、Sapiraの「身体診察のアートとサイエンス」はお薦めです。

 

「綜合内科医が知っておくべき膠原病診療のピットフォール~身体診察から鑑別疾患まで」 高杉潔

高杉先生の講談のように “聞かせる” 講演。関節所見の取り方は、高杉先生が作った DVDが入手可能なので、中外製薬の MRに聞くと良いそうです。Tocilizumabの治験で、診察所見の標準化をする時に作ったもの。以下、個々の関節について。

1. 頚椎: 口の中に指を入れて、硬口蓋に沿って示指先を伸ばせば自然に環椎の前結節に突き当たる筈。ただし患者さんにやるときは要マウスピース (噛まれないように)

2. 顎関節: 顎関節発症 RAは非常に稀。でもとても痛い。

3. 輪状披裂関節

4. 肩関節: 肩峰下・三角筋下滑液包の炎症が多い。hanging down stretchが有用。またbiceps long headの腱鞘炎も多い。

5. 肘関節: ① dimpleの触診大事。②肘頭滑液包炎, ③olecranon bursitisは肘をつくと起こる。関節との交通はない。④テニス肘、ゴルフ肘はステロイドを使わなくても、手で強く圧迫すると良くなる。阻血性?

6. 手関節: ①de Quervain diseaseは APL/EPBの腱鞘炎, ②MCP/PIP関節の腫脹は視診で確認可能なことが多い。

7. 股関節: 内旋運動が障害される

8. 膝関節: ①鵞足炎 (Anserine Bursitisは盲点になりやすい), ②膝窩部も診る, ③ Hamstringsの拘縮で歩容がおかしくなることがあり、ストレッチすると良くなる

9. 足関節:①Chopart’s joint, Lisfranc jointは部位を知っていれば正面から触れる, ②MTP 罹患頻度が極めて高い

次いで、岸本暢将先生、萩野昇先生による症例提示。サルコイドーシス、PANと紛らわしかった結核性動脈瘤, PMR (PMRの 15%は赤沈正常), 掌蹠膿疱症など。

血管炎の国際分類が変わったことなども話題にのぼりました (2012 Revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides)。

講演が終わってから、夜のレセプションまで京都大学周辺を散策しました。レセプションでは、研修医時代にお世話になった先生 (今ではすっかり大御所) に会うことが出来て話し込みました。終わってからは、6名くらいで佳久に移動して飲み直しました。ACP日本支部年次総会で講演される先生が何名かいて、濃い飲み会でした。

5月26日(日)

「臨床研究デザインの指標~研究デザイン 7つのステップ~」 栗田宜明, 福間真悟, 渡邉 崇

臨床研究の道標(みちしるべ)―7つのステップで学ぶ研究デザイン」という本とほぼ同じ内容。小グループでリサーチクエスチョンを実際に研究デザインしてみて、やってみるといかに難しいかよく分かりました。知識より、それが収穫でした。

 

 「膠原病の検査の見方~乱れ打ちは今日からやめよう!~」 萩野昇, 岸本暢将

流れるような講義でした。いくつか備忘録としてメモしたのが下記。でも、一覧表をさっと示された時とかメモが取れませんでした。やっぱり乱れ打ちはしちゃいそうです (-_-;)

・抗核抗体の検査法としては Immunofluorescenceが最も優れている。EIAは勧められない。

・抗核抗体のパターンによって、対応する疾患が異なる

・中年女性の 1/4が抗核抗体陽性になる (健常人で 1:40が 32%, 1:80が 13%, 1:320が 3%)

・抗核抗体陽性のときは、抗ds-DNA抗体、抗RNP抗体, 抗Sm抗体, 抗SS-A抗体, 抗SS-B抗体をチェック。

・抗核抗体陰性のときは、抗 ds-DNA抗体は必ず陰性。抗SS-A抗体, 抗SS-B抗体陽性は時として存在する。

・抗Sm抗体はだいたい抗 U1-RNP抗体と共に陽性となる、抗SS-B抗体はだいたい抗 SS-A抗体と共に陽性となる。

・1987年の関節リウマチ (RA) 分類基準では、早期関節リウマチの 13%しか陽性にならない。そこで ACR/EULAR 2010 Criteria for RAが出来たが、適応するには明らかな滑膜炎の存在、他の疾患によらない・・・というのが前提。

・リウマチ因子を測定する時は、RF定量を選ぶ。IgG-リウマトイド因子は選ばない。

・リウマチ因子の陽性率は、RA発症 3ヶ月 33%, 4-12ヶ月 70~80%, Sjogren 90%, 健常人 (60歳以上) 24%・・・であり、特異度が問題になる。

・リウマチ因子は疾患活動性の指標。ただし、リウマチ性血管炎では別。

・抗CCP抗体は、感度は RFと同じだが、特異度が高い。でも他の collagen diseaseや結核などで陽性になることもある。

・急性 B型肝炎の前黄疸期に関節炎をきたすことがある。

・血管炎での ANCAの陽性率は、GPA (旧 Wagner症候群) 90%, EGPA 40~50%, MPA 70%くらい。

・免疫抑制剤を使う前は Tbの家族歴を聞く。

・赤沈の基準値 (上限) は、男性 年齢/2, 女性 (年齢 + 10)/2

・ヘパリン、経口避妊薬で赤沈が上がることがある。

・赤沈高値、CRP低値では、高ガンマグロブリン血症 (多発性骨髄腫、クリオグロブリン血症、IgG4関連疾患)、SLE, Sjogren症候群などを考える。


Leave a Reply

Panorama Theme by Themocracy