ILAE発作及びてんかん分類2017

By , 2017年3月25日 8:38 AM

2017年3月、ILAE (International League Against Epilepsy) から新しく発作分類とてんかん分類が発表された。

Instruction manual for the ILAE 2017 operational classification of seizure types. (2017.3.8 published online)

Operational classification of seizure types by the International League Against Epilepsy: Position Paper of the ILAE Commission for Classification and Terminology. (2017.3.8 published online)

ILAE classification of the epilepsies: Position paper of the ILAE Commission for Classification and Terminology. (2017.3.8 published online)

以下、簡単に要約する。なぜこの分類になったかとか、用語の定義などは原著参照のこと。

<発作の分類>

1981年分類から新しくなった点。

  1. “部分 (partial)” の語を “焦点 (focal)” に変えた。よって、部分発作は焦点発作と呼ばれるようになる。
  2. 発作型は “focal onset (焦点発作)”, “generalized onset (全般発作)”, “unknown onset (不明)” に分けられる。
  3. “Unknown onset” は将来さらに分類できるかもしれない。
  4. 焦点発作の分類に覚醒 “awareness” を用いる。
  5. 認知障害 (dyscognitive), 単純部分発作、複雑部分発作、心因性、二次性全般化の語は用いなくなった。
  6. 焦点発作で新たに加わった発作型は、自動症 (automatics), 自律神経 (autonomic), 行動停止 (behavior arrest), 認知機能 (cognitive), 情動 (emotional), 運動過多 (hyperkinetic), 感覚 (sensory), 焦点発作から両側性強直間代発作への移行 (focal to bilateral tonic-clonic seizures) を含む (下記の figure拡大バージョン参照)。弛緩性 (atonic), 間代性 (clonic), 点頭てんかん (epileptic spasm), ミオクローヌス性 (myoclonic), 強直性 (tonic) 発作は焦点発作の場合も全般発作の場合もありうる。
  7. 全般発作で新たに加わった発作型は、眼瞼ミオクロニアを伴う欠神発作 (absence with eyelid myoclonia), ミオクローヌス性欠神発作 (myoclonic absence), ミオクローヌス性強直間代性発作 (myoclonic-tonic-clonic), ミオクローヌス性弛緩性発作 (myoclonic-atonic), 点頭てんかん (epileptic spasms) である。

基本バージョンはこちら。

Basic version

Basic version

拡大バージョンはこちら。

Expanded version

Expanded version

流れとしては、まず発症時の状態で焦点発作 (旧部分発作) か全般発作かを検討する。目撃者がいなかった場合など、どちらかわからない場合は、今回から「不明 (unknown onset)」という分類が可能になった。個人的な意見だけど、治療の際に焦点発作でも全般発作でも対応できる抗てんかん薬を選択するという点で意味を持ってくるのかもしれない。焦点発作は、覚醒障害の有無により更に分類する。従来の「複雑部分発作」は「覚醒障害 (意識障害) を伴う焦点発作 (focal impaired awareness seizure)」と呼ばれるようになる。発作をさらに運動症状で発症したか、あるいは非運動症状で発症したかで分類し、細分化することもある。従来の二次性全般化は、「焦点発作から両側性強直間代発作への移行 (focal to bilateral tonic-clonic seizures)」として扱われる。

なお、発作型はできるところまで分類すれば良い。焦点発作でも、覚醒の障害があったかどうかわからないときは、単に「焦点発作」とだけ記せば良い。これらの分類については、厳格さよりも実用的であることを重視したため、”operational classification” という名前になっている。

<てんかんの分類>

発作型を診断した後、それを基にてんかんのタイプを診断する。てんかんのタイプは焦点性てんかん (focal epilepsy), 全般てんかん (generalized epilepsy), 全般てんかんと焦点性てんかんの合併 (combined generalized, and focal epilepsy epilepsy), 不明 (unknown epilepsy) に分類される。全般てんかんでは、典型的には脳波で全般性の spike-wave activityがみられるだろう。全般性強直間代発作で脳波が正常な場合は注意が必要である。この場合、myoclonic jerkや家族歴など補助的な根拠が大事になる。てんかんのタイプの次にてんかん症候群の診断をおこなうが、てんかん症候群の診断ができない場合は、てんかんのタイプが最終の診断になるかもしれない。てんかんのタイプとしてよくしられているのは、小児欠神てんかん、West症候群、Dravet症候群などがあるが、ILAEがこれまでてんかん症候群の正式な分類を出していないことには留意すべきである。

特発性全般てんかんという語は不適切だという意見もあるが、小児欠神てんかん、若年性欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、覚醒時全般性強直間代発作 (覚醒時大発作のこと) については、特発性全般てんかんの語は許容できる。

ILAE classification of the epilepsies

ILAE classification of the epilepsies

今回の分類を読んだ感想。確かに、1981年に提案された ILAE発作分類や、1989年に提案された ILAEてんかん・てんかん症候群分類が抱える矛盾点をある程度解決しているといえる。でも、それらの分類が使いやすくて、とても浸透しているので、今回の分類が臨床現場で受け入れられるかはよくわからない。過去には、2010年に発表された発作分類及びてんかん分類の改訂版は普及しなかった訳だし。


最近の医学論文【下】

By , 2017年3月24日 9:27 PM

(最近の医学論文【中】より続く)

Ocular Flutter in the Serotonin Syndrome. (2016.11.3 published online)

46歳の女性が興奮 (agitation) のため救急外来に搬送されてきた。到着時、38.6℃の発熱と頻脈 (心拍数 169 /分) があった。患者は興奮しており、眼球粗動がみられた。また、下肢の筋強剛と腕のミオクローヌスがあった。腸音は亢進し、皮膚は冷たく、発汗を伴っていた。内服薬はベンゾジアゼピン、venlafaxine (SNRI) であった。彼女は指示されたよりも多く venlafaxineを内服していた。症状と無い履歴からセロトニン症候群が疑われた。ミダゾラムが投与され、気管挿管されたが、眼球粗動は続いていた。患者は ICUに入室し、数日後に死亡した。

SSRIや SNRIを処方することはたまにあるが、セロトニン症候群の経験はまだない。しかし、いつ遭遇するかわからないので、勉強しておかないと。論文サイトの眼球粗動の動画が印象的だった。

Assessing the Risks Associated with MRI in Patients with a Pacemaker or Defibrillator. (2017.2.23 published online)

MRI検査の適応がありながら、MRI非対応の心臓ペースメーカーや除細動器を植え込んでいる患者に、1.5Tの MRIを用いて検査をし、その安全性を前向き研究で確認した。植え込み式除細動器のうち pacing dependentの患者は除外している。適切なプログラミングがされていなかった植え込み式除細動器でジェネレーターの動作が確認できなかった以外、1000名のペースメーカー患者と 500名の植え込み式除細動患者で大きなトラブルはなかった。数件、小さなトラブルがあった。この研究でおこなったような条件なら、1.5テスラの MRIで大きな問題は起きないようだ。

この論文を読んで、10年前に読んだ教科書に、「いや・・・ほとんどめったに・・・ただただ気が進まずに行うことがある。我々の施設ではおよそ5年ごとに、ペースメーカー装着患者の差し迫った臨床上の問題で他の画像検査では十分でないために、MRIが必要とされる状況が生じる。このようなまれな状況では、我々は以下のプロとコールで安全に検査を施行してきた。①検査が医学的に必要なことを主治医が述べている声明書を取得する。(略)④うまくいくように祈る。」と書いてあったのをブログで紹介したことを思い出した。

Association of Intensive Blood Pressure Control and Kidney Disease Progression in Nondiabetic Patients With Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-analysis. (2017.3.13 published online)

非糖尿病性の慢性腎臓病 (CKD) で厳格な血圧コントロールをしたら、進行が防げるかというメタアナリシス。通常の血圧コントロールは 140/90 mmHg未満で、厳格な血圧コントロールは 130/80 mmHg未満とした。フォローアップ期間の中央値は 3.3年だった。その結果、年間の GFR変化率、血清クレアチニン倍増ないし GFR 50%低下、末期腎不全、複合腎アウトカム、総死亡において、両群間に有意差はなかった。ただし、非黒人および蛋白尿量が多い患者では、厳格な血圧コントロールでの CKD進行リスクが低い傾向があった。

厳格な血圧管理の有効性は低いかもしれないとはいえ、血圧の管理自体を否定する結果ではないのだろう。

Serum creatinine elevation after renin-angiotensin system blockade and long term cardiorenal risks: cohort study. (2017.3.9 published online)

RAS系阻害薬 (ACE阻害薬と ARB) 開始後の血清クレアチニン上昇と長期間の心腎リスク (末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡) のコホート研究。海外のガイドラインでは、血清クレアチニンが 30%上昇したら、RAS系阻害薬は中止するように推奨されているらしい。この研究では、RAS系阻害薬を投与された 122363名のうち 1.7%でクレアチニンが 30%上昇していた。女性、高齢者、心腎疾患合併、NSAIDs/ループ利尿薬/カリウム保持性利尿薬の使用に多かった。クレアチニン上昇の 30%上昇は全アウトカムの調整罹患率比に相関があった。

クレアチニン上昇とアウトカム

クレアチニン上昇とアウトカム

図をみると、クレアチニン上昇とアウトカムとの量相関関係が一目瞭然。たとえクレアチニン 10%上昇でも心腎リスクが上昇するというのはビックリ。これからは、ACE阻害薬とか ARBを処方したら、クレアチニンの上昇がないか気を配らないと。

Autologous Induced Stem-Cell-Derived Retinal Cells for Macular Degeneration. (2017.3.16 published online)

加齢性黄斑変性症に対する iPS療法の報告。2名が治療対象として選ばれ、1名に iPS療法が施行された 。iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞は術後 1年後も正常であった。視力は改善も悪化もなかった。もう 1名は copy numberの異常が確認され抗 VEGF療法への反応も若干あったため移植されなかった。移植しなかった細胞は解析に回され、ラットを用いた実験では、腫瘍の形成はみられなかった。

iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞移植の安全性を示したという意味で、記念碑的な論文だと思う。私は幹細胞医療も眼科領域も専門外でよくわからなかったのだけれど、術後 1年経過して視力が改善も悪化もしないというのはどういう意味なのだろう。加齢性黄斑変性症が進行しなかったため効果があったということなのか、それとも改善しなかったというのは効果がなかったということなのか。論文に説明がないので、よくわからない。”However, we have yet to evaluate the extent of photoreceptor function of RPE graft in Patient 1.” と書いてあるから、効果に対する評価はこれから色々とおこなわれていくのだろう。

NEJM誌の同じ号に、幹細胞クリニックで脂肪由来の幹細胞移植を受けて失明した 3名の加齢性黄斑変性症患者の症例報告がある。今回日本から報告された iPS療法のように十分な科学的裏付けがあり安全性に細心の注意を払っておこなっているところはよいけれど、そうではないところは怖いなと思う。

Clarifying a “PenicillinAllergy: A Teachable Moment. (2017.2.1 published online)

患者さんがペニシリンアレルギーと深刻したとき、皮膚テストをしてみると 80-90%はアレルギーではないらしい。ペニシリンアレルギーの患者にどう対応するかという下記の図が勉強になる。

ペニシリンアレルギー

ペニシリンアレルギー

DPPX antibody-associated encephalitis: Main syndrome and antibody effects. (2017.3.3 published online)

DPPXは Kv4.2カリウムチャネルの制御蛋白である。2013年以降の DPPX抗体関連脳炎 9名を後方視的に検討。発症年齢の中央値は 57歳 (36-69歳)。全ての症例で、強い体重減少や下痢が先行した。その後に、認知機能障害、記憶障害、中枢神経興奮性 (過剰驚愕症、ミオクローヌス、振戦、けいれん発作)、脳幹や小脳機能障害が出現した。疾患のピークは 8ヶ月 (1-54ヶ月) であった。全例、IgG4および IgG1 DPPX抗体が陽性であった。クラスター化した神経では、抗体は DPPXクラスターと Kv4.2蛋白の減少の原因となったが、これらは抗体の除去により可逆的だった。67%の症例に、体重減少 (中央値 20 kg)/胃腸症状、認知機能-精神機能低下、中枢神経興奮性の三徴がみられた。過去の報告と併せた 39症例のうち、35例の予後が評価可能だった (8名は免疫療法を受けていない)。60%は十分ないし軽度の改善、23%は改善なし (大部分は無治療)、17%が死亡した。

近年、脳炎の原因抗体が沢山されていて、把握がなかなか困難となってきているけれど、強い体重減少や下痢の先行というキーワードは特徴的なので覚えておこうと思う。

Delayed tacrolimus leukoencephalopathy, a rare and reversible cause of dementia. (2017.1.10 published online)

タクロリムスを投与している患者に起こる急性白質脳症としては、PRESが一般的だが、遅発性慢性の経過をとる白質脳症も報告されている。頭部MRIで造影効果があり、タクロリムスを中止すると改善するらしい。

Neurological Autoantibody Prevalence in Epilepsy of Unknown Etiology. (2017.2.6 published online)

原因不明のてんかん患者の連続症例で、自己抗体を検索した研究。112名のうち、34.8%で何らかの自己抗体が検出された。2つ以上の自己抗体が検出されたのは 7名で、3名が 抗TPO抗体+抗VGKC抗体、2名が抗GAD65+抗VGKC抗体、1名が抗TPO抗体+抗GAD65抗体、1名が抗Hu抗体+抗GAD65抗体だった。112名のうち、抗TPO抗体が 15名 (13.4%)、抗GAD65抗体が 14名 (12.5%)、抗VGKC抗体が 12名 (10.7%; うち 4名が抗LGI抗体)、抗NMDA抗体が 4名 (3.6%) であった。抗TPO抗体および低値の抗VGKC抗体を除いてさえ、てんかんの原因と考えられる自己抗体が検出された患者が 23名 (20.5%) 存在した。自己抗体が存在するか予測するのに APE (antibody prevalence in epilepsy) スコアが有用だった。自己抗体が検出された 23名のうち APE 4点以上が 82.6%であり、抗体が陰性なのに APE 4点以上だったのは 19.1%のみだった。自己抗体が陽性の患者は、発作のアウトカムが良く、発作頻度の減少は免疫抑制療法の使用と関連があった。

APE score

APE score

Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica. (2017.3.23 published online)

坐骨神経痛に対するプレガバリン (商品名リリカ) の効果を調べたランダム化比較試験。8週間 (および 52週間) の観察で、プレガバリンによる疼痛スケール、障害、QOLなどの改善はなく、副作用 (めまいなど) が多かった。

Auditory training changes temporal lobe connectivity in ‘Wernicke’s aphasia‘: a randomised trial. (2017.3.4 published online)

脳卒中で感覚性失語症をきたした患者に対する介入。30名の慢性期患者を対象に (1) “Earobics” というソフトウェアを用いた音韻性トレーニング、(2) ドネペジルによる薬物療法の効果を調べた。ドネペジルは、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバーデザインで評価した。その結果、音韻性トレーングは重度の障害の患者の言語理解を特に改善した。ドネペジルは、逆に悪化させるという予想外の結果だった。ドネペジルなど認知機能改善薬は、神経薬理学的作用と遂行機能の間に逆U字状の関係が指摘されており、聴覚野のアセチルコリン刺激が十分高い状況でドネペジルを入れることが逆効果だったのではないかと著者らは考察している。また、ドネペジルは言語理解よりもむしろ言語の表出に効果があるのではないかという検討もなされている。

Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. (2017.2.14 published online)

米国内科学会による腰痛の診療ガイドライン。

RECOMMENDATION 1:

Given that most patients with acute or subacute low back pain improve over time regardless of treatment, clinicians and patients should select nonpharmacologic treatment with superficial heat (moderate-quality evidence), massage, acupuncture, or spinal manipulation (low-quality evidence). If pharmacologic treatment is desired, clinicians and patients should select nonsteroidal anti-inflammatory drugs or skeletal muscle relaxants (moderate-quality evidence). (Grade: strong recommendation).

RECOMMENDATION 2:

For patients with chronic low back pain, clinicians and patients should initially select nonpharmacologic treatment with exercise, multidisciplinary rehabilitation, acupuncture, mindfulness-based stress reduction (moderate-quality evidence), tai chi, yoga, motor control exercise, progressive relaxation, electromyography biofeedback, low-level laser therapy, operant therapy, cognitive behavioral therapy, or spinal manipulation (low-quality evidence). (Grade: strong recommendation).

RECOMMENDATION 3:

In patients with chronic low back pain who have had an inadequate response to nonpharmacologic therapy, clinicians and patients should consider pharmacologic treatment with nonsteroidal anti-inflammatory drugs as first-line therapy, or tramadol or duloxetine as second-line therapy. Clinicians should only consider opioids as an option in patients who have failed the aforementioned treatments and only if the potential benefits outweigh the risks for individual patients and after a discussion of known risks and realistic benefits with patients. (Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence).

ごく簡単に要約すると、”急性および亜急性の腰痛は、治療にかかわらず時間とともによくなる。まずは温める、マッサージなどの非薬物療法を選択するべきである。もし薬物療法が必要なら、NSAIDsや筋弛緩薬を用いる。慢性の腰痛では、最初に非薬物療法を選択し、非薬物療法への反応が不十分なら薬物療法を考慮すべきである。NSAIDsが第一選択薬で、トラマドールやデュロキセチンが第二選択薬となる。”
普段外来をしていると、腰痛を訴える高齢者は少なくないし、必要な知識だと思う。

最近の医学論文【中】

By , 2017年3月24日 9:26 PM

(最近の医学論文【上】より続く)

Assessment of Safety and Efficacy of Safinamide as a Levodopa Adjunct in Patients With Parkinson Disease and Motor Fluctuations: A Randomized Clinical Trial. (2017.2.1 published online)

MAO-B阻害薬である safinamideの第三相試験。Safinamideはジスキネジアのない on時間を 9.3時間から 1.42時間延長した。プラセボ群では 9.06時間から 0.57時間延長した。ジスキネジアは、safinamide群 14.6%, プラセボ群 5.5%だった。そして、FDAが 2017年3月21日承認

セレギリン、ラサギリンに続く薬剤。他の薬剤との直接比較がどうなのか知りたいところ。

Blood-based NfL: A biomarker for differential diagnosis of parkinsonian disorder. (2017.2.8 published online)

血液で、パーキンソン病とそれ以外のパーキンソン症候群 (atypical parkinsonian disorders; APD) を鑑別できないかという試み。パーキンソン病では neurofilament light chain (NfL) は上昇しないが、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症候群では上昇することを用いた。パーキンソン病を APDと鑑別する感度/特異度は、 Lund cohortで 82%/91%, London cohortで 80/90%, Early disease cohortで 70/80%だった。NfLは髄鞘化大径線維の変性のマーカーであり、脳卒中、頭部外傷、APD, 筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭葉変性症などで上昇することが知られている。パーキンソン病では上昇しない。軸索変性が重度でなく、また広範ではないことが原因ではないかと推測されている。

NfL

NfL

血液検査で、精度良く鑑別できるのは大きな利点だと思う。

Development of a Biochemical Diagnosis of Parkinson Disease by Detection of α-Synuclein Misfolded Aggregates in Cerebrospinal Fluid. (2017.2.1 published online)

パーキンソン病患者の髄液中の微量の α-synucleinを protein misfolding cyclic amplification (PMCA) で検出することで、感度 88.5% (95%CI 79.2-94.6%), 特異度 96.9% (95%CI 89.3-99.6%) の診断精度をえられるという報告。

PMCAは 2014年に報告された論文で尿中のプリオン蛋白を検出するのに用いられた方法で、これがパーキンソン病の髄液 α-synucleinで報告されたというのは、α-syculeinとプリオン蛋白との類似性の現れなのかもしれない。

Predictors of survival in progressive supranuclear palsy and multiple system atrophy: a systematic review and meta-analysis. (2017.3.1 published online)

進行性核上性麻痺や多系統萎縮症の予後予測についての systematic review & meta-analysis。進行性核上性麻痺では、予後不良因子として、Richardson型、初期の嚥下障害や認知機能障害が挙げられる。多系統萎縮症の予後不良因子は、重度の自律神経障害、初期から自律神経障害と運動症状の合併が挙げられる。そのほか、進行性核上性麻痺と多系統萎縮症で、早期からの転倒も予後予測因子だった。

この論文で勉強になったのは、予後予測因子そのものより、各研究での生存曲線。いずれの疾患も、約5~10年で半数、10~15年で大部分が亡くなるという結果が一目瞭然。

Predictors of survival in PSP and MSA

Predictors of survival in PSP and MSA

Safety and efficacy of ozanezumab in patients with amyotrophic lateral sclerosis: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial. (2017.1.28 published online)

筋萎縮性側索硬化症に対する分子標的治療薬 ozanezumabの第二相試験。SOD1G93A mouseに効果を示した Neurite outgrowth inhibitor A (Nogo-A) に対するモノクローナル抗体 ozanezumabは ALS患者に対して、プラセボ比較で効果を示すことができなかった。

論文の考察でも少し触れられているけれど、SOD1をターゲットに薬剤を開発しても、SOD1変異がない大部分の ALS患者では効果がないということなのだろうか・・・。SOD1変異のあるヒトを対象とした臨床試験をおこなったらどうだろうかと、ふと思った。

Zika virus infection and Guillain-Barré syndrome: a review focused on clinical and electrophysiological subtypes. (2016.10.31 published online)

ジカウイルスによる Guillan-Barre症候群の総説。AIDPタイプが多い、顔面の麻痺を伴うことが多い、入院時に抗asialo-GM1抗体が 31%に検出されるがジカウイルス抗原と asialo-GM1の関連を示すエビデンスはない、などの点がポイント。

Genetic heterogeneity of motor neuropathies. (2017.3.1 published online)

運動ニューロパチーの遺伝的多様性を調べたイギリス北部の大規模コホート研究。105名の内訳は、distal hereditary motor neuropathy (dHMN) 64名、axonal motor neuropathy (Charcot-Marie-Tooth disease type 2) 16名、hereditary motor neuropathy plus 25名であった。原因遺伝子は 35.6%で同定された。遺伝子の内訳と、鑑別を考えるときの手がかりは下記。

Genetic heterogeneity of motor neuropathies

Genetic heterogeneity of motor neuropathies

Netrin-1 receptor antibodies in thymoma-associated neuromyotonia with myasthenia gravis. (2017.3.1 published online)

胸腺腫、neuromyotonia, 重症筋無力症のある 3名の患者の血清を用いて免疫沈降法をおこなった。沈降したタンパク質 182のうち、コントロール群の血清と反応したタンパク質などを除外した後、細胞表面タンパク質が 9種類残った。Neuromyotoniaの患者サンプルを用いて、cell-based assayをおこない、Contactin-associated protein 2 (Casper2), Deleted in colon cancer (DCC), Netrin uncoordinated-5A receptor (UNC5A) の 3つの抗体が同定された。抗Netrin抗体 (DCC, UNC5A) 陽性患者はいずれも胸腺腫があった。

Serum antibody-positive patients

Serum antibody-positive patients

Venn diagram

Venn diagram

胸腺腫合併の重症筋無力症や neuromyotoniaで、抗Netrin-1抗体が陽性になることがあるらしいという話。覚えなくてはいけない抗体がどんどん増える。

Long-term survival in paraneoplastic Lambert-Eaton myasthenic syndrome. (2017.3.1 published online)

肺小細胞癌患者は、Lambert-Eaton筋無力症候群 (LEMS) を合併した方が予後がよさそうという報告。Lead time biasでは説明できないらしい。原因はよくわかっていないけれど、LEMSで検出される抗VGCC抗体が腫瘍の増殖にとってマイナスに働いているのではないかと推測されている。

肺小細胞癌とLEMS

肺小細胞癌とLEMS

Cerebellar Ataxia and Hearing Impairment. (2017.2.1 published online)

51歳男性。マラソンをして 1ヶ月もしないうちに進行性の歩行障害が出現した。また難聴を訴えが、他人の話したことを解釈するのが難しいようだった。浮動性めまいや膀胱直腸障害はなかった。バランス障害をきたすような家族歴は無かった。弁護士としての勤務は可能だった。神経学的には軽度の小脳失調はあったが、ミオクローヌスやパーキンソニズムはなかった。MoCAは 28/30点だった。頭部MRIは異常がなかった。髄液は正常で、14-3-3蛋白も正常範囲内だった。傍腫瘍症候群の抗体は陰性で、脳波も正常だった。1ヶ月後、車椅子生活となり、正確変化がみられた。小脳失調が悪化し、姿勢反射障害もみられたが、ミオクローヌスはなかった。けいれんが出現して入院した。精神症状が悪化し、無言となった。脳波も徐波となった。頭部MRIでは拡散強調像を含めて異常なかった。

診断はクロイツフェルト・ヤコブ病。感覚性失語を伴う急速進行性の失調が診断の手がかりとなる。鑑別診断は、亜急性失調+末梢性難聴として、傍腫瘍症候群、そのほか成人発症 CAPOS (cerebellar ataxia, pes cavus, optic atrophy, and sensorineural hearing loss) 症候群など。しかし、末梢性難聴がないことや、けいれんがあったことから考えにくい。亜急性の失調としては、ビタミンB1欠乏やビタミンE欠乏が挙げられるが、これらは正常だった。頭部MRIでも Wernicke脳症を示唆する所見はない。ビタミンB1を補充しても改善はなかった。橋本脳症のようなステロイド反応性脳症も考えたが、抗TPO抗体は陰性であり、ステロイドパルスも無効であった。通常耳鳴りや回転性めまいを伴わない聴力低下や聴覚過敏は、孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病の初期症状として報告されている。髄液14-3-3蛋白、脳波、拡散強調像の感度/特異度は高い (髄液14-3-3蛋白 92/80%, 脳波での周期性同期性放電 67/86%, 拡散強調像 83-92/87-95%) が、いずれも正常な場合があり、特に初期症状が小脳失調の場合に多い。これらは無言無動状態となってさえみられないことがある。この患者の剖検では、視床、海馬、小脳歯状回に海綿状変性があり、ウエスタンブロットで異常プリオンタンパクの存在が確認された。病理学的には thalamic CJD / sporadic familial insomniaに合致する所見であったが、このような表現型ではなかった。

主要検査所見が全て陰性である triple negative CJDは小脳失調で発症するタイプにみられやすいことを 2016年12月31日のブログで書いておきながら、すっかり忘れていた。復習が必要。

The prion model for progression and diversity of neurodegenerative diseases. (2017.2.23 published online)

神経変性疾患の原因タンパク質が個体内あるいは個体間で伝播するというプリオン仮説の総説。研究の現状や、治療 (免疫療法、RNA干渉)。

prion仮説

神経変性疾患のprion仮説

ラボで基礎実験をしていた時代、TDP-43のプリオン仮説を唱えている先生の講演を聞いて以来、注目している仮説。

最近の医学論文【下】


最近の医学論文【上】

By , 2017年3月24日 9:23 PM

論文を読んでいて、ちょっとおかしな点があったので酔った勢いで知り合いに連絡を取って、レターを書いたら、脳卒中の某 top journalに通りました。普段は酔った勢いで失敗してばかりですが、プラスに働くこともあるんですね。あと、編集中の雑誌が出版間際なのですが、原稿落ちの危機にあって 5日間で総説一本書き上げました。普段読んだ論文をブログ記事にしているため、ブログ内検索しながら引用すべき文献を見つけられて、結構楽でした。忙しいけれど、こうして書いておくと、何かの役に立ちますね。

Effectiveness and safety of reduced dose nonvitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study. (2017.2.1o published online)

腎障害、年齢、体重などにより、NOACは減量して用いる。減量して用いた患者でのコホート研究 (propensity scoreを使用) が BMJ誌に掲載された。その結果、虚血性脳卒中及び全身性塞栓症リスク (%/year) は、アピキサバン 4.8,ダビガトラン 3.3, リバロキサバン 3.5, ワルファリン 3.7だった。ワルファリンとの比較では、効果に関するハザード比は、アピキサバン 1.19 (95%CI 0.95-1.49), ダビガトラン 0.89 (0.77-1.03), リバロキサバン 0.89 (0.69-1.16) だった。主要安全性アウトカムは、アピキサバン 0.96 (0.73-1.27), ダビガトラン 0.80 (0.70-0.92), リバロキサバン 1.06 (0.87-1.29) だった。

通常量だと NOAC間で効果に差がなくアピキサバンの出血リスクが低そうという結果だったが、減量量に関していえば、アピキサバンは効果が劣る、ダビガトランの出血リスクが低いということで、ダビガトランに軍配があがりそうだ。

Optimal Timing of Anticoagulant Treatment After Intracerebral Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation. (2016.12.20 published online)

心房細動のある患者が脳出血を発症した場合、いつ頃から抗凝固療法を再開すればよいかを調べたコホート研究。脳出血発症 7~8週間後から再開すると、効果とリスクの比が最もよさそうだ。

Cardioembolic Stroke. (2017.2.3 published online)

Atrial Fibrillation and Mechanisms of Stroke: Time for a New Model. (2017.1.19 published online)

③と④は同じ著者による論文。心房細動では説明できない心原性脳塞栓症が多いことがわかってきていて、心房心筋症や心房の線維化など、心房基質の異常というモデルが注目されているという内容。2017年1月9日のブログ記事で詳しく紹介した論文と似た内容。

Histopathological Differences Between the Anterior and Posterior Brain Arteries as a Function of Aging. (2017.2.14 published online)

脳バンクの 194剖検脳を用いて、脳の前方循環と後方循環の動脈の病理組織学な違いを検討。後方循環の動脈は前方循環と比べて、壁が薄く、エラスチンが少なく、求心性の内膜肥厚が強かった。前方循環と比べると、脳底動脈は内弾性板に囲まれた動脈の面積が大きく (動脈拡張を示唆する)、椎骨動脈はエラスチンの欠損、求心性内膜肥厚、非アテローム硬化性狭窄が強かった。若者では椎骨動脈の石灰化が前方循環よりも強かったが、加齢とともにこの差は目立たなくなった。

前方循環と後方循環の脳梗塞の違いを比較するときに役に立ちそうな報告だと思う。

Intravenous Thrombolysis in Unknown-Onset Stroke: Results From the Safe Implementation of Treatment in Stroke-International Stroke Thrombolysis Registry. (2017.2.7 published online)

発症時刻不明で血栓溶解療法をおこなった症例と、発症 4.5時間以内に血栓溶解療法をおこなった症例を比較した。その結果、発症時間不明の脳卒中では、発症4.5時間以内とくらべて、症候性出血は増えなかった (調整オッズ比 1.09, 95%CI 0.44-2.67) が、死亡が増え (調整オッズ比 1.58, 95%CI 1.04-2.41)、良好なアウトカム (mRS) は減少した (調整オッズ比 1.29, 95%CI 1.01-1.65)。

mRS at 90 days

mRS at 90 days

発症時刻不明の脳卒中症例で、頭部CTで early signが出ていなかったり、頭部MRIの拡散強調像での高信号域が狭かったりすると、私は「まだ発症してすぐなんだろうな」と思いながら、血栓溶解療法は結局やらない (というか、基本的に発症 4.5時間以内というのが確認できる症例じゃなきゃ、やっちゃダメだし)。発症時刻不明の脳卒中で血栓溶解療法をすると、発症 4.5時間以内の症例に比べて予後が悪くなるというのは予想できる結果だったけど、どの程度というのがわかって勉強になった。

Association of Preceding Antithrombotic Treatment With Acute Ischemic Stroke Severity and In-Hospital Outcomes Among Patients With Atrial Fibrillation. (2017.3.14 published online)

心房細動の既往のある急性期虚血性脳卒中患者 94474名を対象として、発症前におこなわれていた治療と脳卒中の重症度 (NIHSS 16点以上を中等度~重症脳卒中と定義) を後方視的に調べた。脳卒中発症前に 7.6%が治療域 (INR≧2) のワルファリン、8.8%が NOACsを内服していた。83.6%は治療域の抗凝固療法を受けていなかった。13.5%はワルファリンを内服していたが治療域でなく、39.9%は抗血小板薬単独であり、30.3%は何の抗血栓治療も受けていなかった。CHA2DS2-Vasc 2点以上で抗凝固療法をおこなっていなかった理由の内訳は、記載なし 65.8%, 出血リスク 16.3%, 転倒リスク 10.3%, 終末期 6.2%, 患者の拒否 4.3%などだった。交絡因子で調整後、発症前に抗血栓療法がおこなわれていた患者では、中等度~重症脳卒中 (調整後オッズ比 治療域のワルファリン 0.56 [95%CI 0.51-0.60], NOACs 0.65 [0.61-0.71], 抗血小板薬 0.88 [0.84-0.92]) および院内死亡 (調整後オッズ比 ワルファリン 0.75 [0.67-0.85], NOACs 0.75 [0.72-0.88], 抗血小板薬 0.83 [0.78-0.88]) のオッズが低かった。

神経内科医になって、心房細動があるのに抗凝固療法をされずに心原性脳塞栓症で運ばれてくる患者さんを日々みて切々と感じていたのは、「なぜこの方は抗凝固療法をされていなかったのだろう。ひょっとしたら防げていたかもしれないのに。」ということ。おそらく NOACsが発売になり製薬会社がプロモーションの一環として抗凝固療法の必要性の啓蒙活動をするようになったこと、CHADS2あるいは CHA2DS2-Vasc scoreが知られるようになり抗凝固療法の適応がわかりやすくなったことが原因で、最近では適切に抗凝固療法が行われている症例が増えていると思う。そして、きちんと予防治療されている患者では、仮に虚血性脳卒中を発症しても軽くすむことが多いというデータ。抗血小板薬でも中等度~重症脳卒中および院内死亡の低下とこれだけ相関があるというのは少し驚きだった。

Validating the HERDOO2 rule to guide treatment duration for women with unprovoked venousthrombosis: multinational prospective cohort management study. (2017.3.17 published online)

誘因のない静脈血栓塞栓症において、女性の 51.3%が HERDOO2 (Hyperpigmentation, Edema, or Redness in either leg; D-dimer level ≥250 μg/L; Obesity with body mass index ≥30; or Older age, ≥65 years) の low riskに分類された。この場合、5-12ヶ月の短期間で抗凝固療法をやめても再発率は低かった (3.0% per patient year, 95% confidence interval 1.8% to 4.8%)。HERDOO2高リスク女性および男性では、治療を中止すると 8.1%  (95%CI 5.2% to 11.9%) per patient yearの再発があり、抗凝固療法を続けた場合は 1.6% (95%CI 1.1-2.3%) per partient yearの再発リスクだった。

HERDOO2

HERDOO2

いつまで抗凝固療法をつづけるかの指標として便利なので覚えておきたい。

 

Tumefactive demyelination following treatment for relapsing multiple sclerosis with alemtuzumab. (2017.2.8 published online)

症例は 39歳の女性。24歳時に再発緩解型多発性硬化症と診断。Glatiramer acetate→fingolimod→natalizumabで治療してきて、JC virusが陽性となったことを転機に alemtuzumabに変更。4ヶ月後、脱髄病巣による腫瘤形成がみられた。著者らは、リンパ球の populationが劇的に変化したためではないかと推測している。

Alemtuzumabは、種々の副作用のため米国では承認が延長された過去があり、最近副作用絡みの報告が専門誌に散見されるので、かなり注意して使わないといけない薬剤だと思う。

Treatment effectiveness of alemtuzumab compared with natalizumab, fingolimod, and interferon beta in relapsing-remitting multiple sclerosis: a cohort study. (2017.2.10 published online)

再発寛解型多発性硬化症について、alemtuzumabと他の薬剤を比較したコホート試験。年間再発割合は、alemtuzumab 0.19 vs interferon beta 0.53, alemtuzumab 0.15 vs fingolimod 0.34, alemtuzumab 0.20 vs natalizumab 0.19だった。障害のアウトカムでは、alemtuzumabは interferon beta, fingolimod, natalizumabと比較して有意差はなかった。alemtuzumabは障害の改善において、 interferon beta, fingolimodと差はなく、natalizumabより劣った。

Alemtuzumabや natalizumabの再発抑制効果は高いことはよくわかるけれど、いずれも副作用が気になるところ。重症例向けの薬剤なのだろうな・・・。

Long-term Outcomes After Autologous Hematopoietic Stem Cell Transplantation for Multiple Sclerosis. (2017.2.20 published online)

多発性硬化症に対する自家造血幹細胞移植の長期成績。281名の患者、追跡の中央値 6.6年の報告。78%が進行型の多発性硬化症だった。末梢血幹細胞の mobilizationをしたときの EDSSスコアの中央値は、6.5だった。8名 (2.8%, 95%CI 1.0-4.9%) が移植後 100日以内に死亡した。EDSSスコアによる評価で悪化がなく 5年間過ごせたのは 46%だった。移植後の神経学的疾患進行に関する因子は、高齢、進行型、2種類以上の疾患修飾薬を使用した既往であった。ベースラインの EDSSスコアが高い患者では、全生存の悪化と関連があった。

移植治療は侵襲の大きな治療で、約3%が移植に関連して亡くなるが、うまくいけば約半数の患者で明らかな進行なく過ごせるという、ハイリスク・ハイリターンの治療。

Neurodegeneration in multiple sclerosis and neuromyelitis optica. (2016.9.28 published online)

多発性硬化症と視神経脊髄炎の神経変性についての総説。多発性硬化症では髄鞘が障害されやすいけれど、視神経脊髄炎では軸索が障害されやすいことを説明した図がわかりやすい。

MS and NMO

MS and NMO

 

Possible liver injury added to label of Biogen MS drug (2017.1.25)

2017年2月22日に本邦でも発売開始となった フマル酸ジメチル (商品名 テクフィデラ) だが、米国では 添付文書に肝障害の副作用について記すことになったらしい。フマル酸ジメチルで重度の肝障害をきたした症例が複数報告されており、販売するバイオジェンのスポークスマンによれば、23万人治療して、14例だったとのこと。発症時期は数日~数ヶ月で幅があるらしい。

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