マーラー
1月25日 サントリーホール
第587回定期演奏会
・交響曲第9番ニ長調(G.Mahler)
指揮:小林研一郎
日本フィルハーモニック管弦楽団
例によって、頂いたチケットで、コンサートへ。今回のコンサートは、演奏以外にも話題性が豊富にありました。まず、マーラーの指揮を多くしている小林氏が、第9番を振るのが今回が初めてということ、小林氏が日フィルの音楽監督を離れること。
マーラーは、ウィーンフィルの指揮者兼作曲家で、フロイトのカウンセリングを受けていたなどの逸話をもつ人物です。彼は、ベートーヴェンが第9交響曲を書いた後に死亡したのを気にしていて、自分も第9番交響曲を書いたら死ぬのではないかと考え、<大地の歌>を交響曲と呼び、第10交響曲としてこの曲を作曲しました。その4ヶ月後に実際に死亡した訳ですが・・・。死因は、心内膜炎で、血液培養からは多数のレンサ球菌が検出されたといいます(「音楽と病」ジョン・オシエー著, 法政大学出版局)。
曲の始まりで、特に金管楽器を中心として音程が曖昧で、聞いていてヒヤヒヤしましたが、尻上がりに演奏は良くなり、最終楽章、曲の終わりの終結部は極上の美しさでした。音が消え入り、演奏が終わってからも音を立てる観客はいませんでした。全員が息を潜め、数十秒してから、指揮者が姿勢を解くと、割れるような拍手が鳴り響きました。指揮者も、「観客の拍手の間が絶妙でした」と大絶賛。演奏者、観客で作り上げた名演でした。もちろん、コンサートマスターの木野雅之氏を含めた各楽器のソロも素晴らしかったです。