Category: クラシック音楽

ワルター

By , 2008年12月20日 12:53 PM

私はオケ曲はあまり聴かないので、指揮者については当然語るほどの知識を持ち合わせていません。

しかし、先日「はりやこいしかわ」先生からワルター指揮、ブラームス交響曲第4番のCDを頂いて何度も聴いたところ、素晴らしかったです。

ワルターの演奏には侵しがたい崇高さがあるように思います。であって、聴き手の感情を揺さぶるような情熱があります。

産経新聞で「音楽の政治学」という連載が続いているようで、偶然ワルターが取り上げられているのを見つけました。

【音楽の政治学】ユダヤ人の魂をかけた指揮 ブルーノ・ワルター物語

2008.12.20 12:14

 

狂信的なナチスの政策により、1933~39年にドイツとオーストリアを追われたユダヤ人の音楽家は、1500人に上ったという。20世紀を代表する指揮者、ブルーノ・ワルターもその1人だ。米国に逃げおおせたとはいえ、その人生は苦渋に満ちたものだった。
ワルターが独ライプチヒの指揮者の座を追われたのは、ヒトラーが台頭した33年。自著「主題と変奏」は当時の無念をこう伝える。
「私は団員らに別れを告げた。メンデルスゾーンの像が、かくも長きにわたって立つ気高い建物を振り返ると、身を引き裂かれるような気持ちを抑え切れなかった」
失意のワルターを温かく迎えたのは隣国オーストリアだった。36年春、マーラーの交響曲第8番を演奏すると、聴衆は万雷の拍手を浴びせた。ワルターも言葉で感謝の意を表すという前代未聞の演奏会となった。
「私への賛辞は、優しさを超えて、私の敵や文化の敵に対する熱狂的な抗議となった。聴衆は私の中に文化の陵辱を見たのである」
ただ、ウィーンでのオペラの演奏中、親ナチス派に劇場に爆弾を投げ込まれたこともあった。演奏中止は、ナチスの勝利を意味する。断固演奏を続けた。
彼の親友は、ユダヤ人音楽家を取り巻く窮状を英紙上で世界に訴えたという。
「ドレフュス事件ともいえる惨状の中で、“ゾラ”はどこにいるのか? 非人道的な行為に対し、魂の底から血を吐くような叫びがどこであげられているのか」と。
38年のナチスのオーストリア併合の直前、シュシュニック首相がヒトラーに威嚇され、屈辱を味わっていたころ、ワルターはマーラーの交響曲第9番を演奏する。ユダヤ人作曲家マーラーの曲の演奏は、ナチスへの重大な挑戦でもあった。
当時のライブ録音は、会場のただならぬ雰囲気を今に伝える。演奏はわずか69分。通常なら80分前後だ。異常に早いテンポは、危機迫るワルターの焦燥感をも浮かび上がらせている。
ナチスは実際、間もなくウィーンに侵攻し、ワルターの全財産を没収し、競売にかけた。命からがらフランス、米国に逃げたワルターにとり、この演奏はウィーンへの告別の曲ともいえた。
戦後の50年代、米国で撮影された貴重なインタビュー映像が今も残る。気丈な表情とはいえ、その語り口からは、ナチスに追われ続けた者の断末魔の叫びが聞こえてきてならないのだ。(ベルリン 黒沢潤)

 
昔の演奏家の伝記を読むと、砲弾の飛び込む中で演奏を続けたという記述に会うことが時々あります。凄まじい信念を持って演奏していたのだなぁと関心しきりです。

年末ウィーンに行きますが、ワルターのCDをiPODに入れて、街を歩きながら感慨に浸りたいと思います。マーラーも探して聴いてみたいです。

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無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ

By , 2008年11月29日 12:17 PM

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためソナタ・パルティータはヴァイオリン音楽の旧約聖書とも呼ばれます。ヴァイオリンで多声音楽を演奏するテクニック的な難しさもありながら、和声と対位法を突き詰めて作られた楽曲を読み解いて演奏しなければいけない音楽的な難しさを内包しています。無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ・パルティータはチェロ組曲と違って、自筆譜が見つかっていますので、原典を無視出来ない点で、演奏上の制約は逆に多くなります (自筆譜のファクシミリは、ガラミアン版の最後についていて、簡単に手に入ります)。

この曲はある一定水準以上のヴァイオリニストは必ず練習するものの、若いうちは録音を避けることが多いように思います。演奏家として成熟してから、つまり音楽を深く理解してから取り組むものと考えられているからです。

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第 1番の第 1・2楽章の演奏を Youtubeからいくつか紹介します。

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日本音楽コンクール

By , 2008年11月5日 7:22 AM

妹からメール。妹と同門でお互いにレッスンを聴きあう仲のヴァイオリニストが、日本音楽コンクールで二位に入賞したそうです。

バイオリン部門 瀧村さん、1位

第77回日本音楽コンクール(毎日新聞社、NHK共催、特別協賛・三井物産)本選シリーズ5日目の25日は、東京オペラシティでバイオリン部門の本選が行われ、端正な様式観を基に格調高くうたいあげた瀧村依里さん(22)=東京芸大4年=が第1位に選ばれた。118人の応募から3度の予選を通過した4人がブラームスの協奏曲を競演し、海野義雄、小林美恵ら11氏が審査した。

他の入賞・入選者は次の通り。(敬称略)

▽第2位 石上真由子(17)=京都・同志社高2年▽第3位 寺内詩織(18)=桐朋学園大1年▽入選 前田奈緒(20)=東京芸大2年▽岩谷賞(聴衆賞)石上真由子

写メも送ってくれたので可愛いじゃんと思って、ネットで記事をチェックすると17歳。さすがに手が出せません(^^;

何年後かには、どこかの演奏会でみかけることになるのでしょうか?

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F. A. E.のソナタ

By , 2008年9月26日 12:10 AM

 

F. A. E.のソナタ」を聴いて、良い曲だなと思い、楽譜を買ってきて練習しています。この曲は、ディートリヒ、シューマン、ブラームスがヨアヒムのために作曲しました。

音名として、「F」は「ファ」、「A」は「ラ」、「E」は「ミ」ですね。曲の主題がこの三つの音になっているのですが、さて、FAEとは何のことなんでしょうか?

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Gustavo Dudamel

By , 2008年9月13日 12:12 PM

Gustavo Dudamelの CDを聴きました。

・「Beethoven 5 & 7」Simon Boliva Youth Orchestra of Venezuela, Gustavo Dudamel
・「Mahler 5」Simon Boliva Youth Orchestra of Venezuela, Gustavo Dudamel

実際に聞いてみて、ベルリンで聴いた時の方が良かったなぁ・・・と思ったのですが、一つはオーケストラの技量、もう一つはベルリンで聴いた方が生演奏だったという違いがあり、一概に比較はできません。

印象的なのは、テンポが良く動くことです。テンポが良く動くというか、動きすぎる印象もあって、結構気になります。でも、我々が従来の演奏に耳が慣れすぎているせいかもしれません。逆に、将来はこういった演奏が珍しくなくなっている可能性もあるわけです。後は、凄く情熱的な演奏ですね。ベネズエラという国のイメージと一致する気がします。クラシック音楽とは言っても、国によって多少特徴が出ますね。

さて、「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」というオーケストラは聞き慣れない名前です。彼がこのオーケストラを大事にしているのは、彼自身の出自及びベネズエラで行っている活動と無縁ではないでしょう。このオーケストラは全員 25歳までで構成されると聞きます。オーケストラの結成の経緯が CD “「Mahler 5」Simon Boliva Youth Orchestra of Venezuela, Gustavo Dudamel” のライナーノーツにありました。

 広く知られているようにベネズエラ (小さなヴェネツィアというのが国名の語源とされる) はカリブ海を臨む共和国であり、豊富な石油資源によりラテン・アメリカ諸国では個人所得が最高位にランクされるほど恵まれた国家である。人口は約 2600万人とされるが、ご多聞にもれず貧富の差は大きく、青少年が麻薬、暴力など犯罪行為に巻き込まれる例も多いという。そんな時に青少年救済、社会政策として音楽を積極的に活用しようと設けられたのが Fesojiv (The Foundation del Estado para el Sistema de Orquesta Juvenil e Infantil de Venezuela) という財団である (SISTEMAの呼称でも親しまれている)。

既に30年近くの歴史をもつこの財団の前身は、ホセ・アントニオ・アブレウというひとりの経済人で音楽家でもあり、また政治家でもある人物が生み出したものであった。アブレウは子供たちを犯罪から守り、彼らに輝かしい未来を与えるため、また社会全体が音楽の力により平和で豊かな潤いの心をもつ環境へと変わるようにとの願いをこめてこの音楽組織を発足させている。

最初の頃、地下駐車場での練習に集まった子供たちはわずか12名だったというが、信念を支えとするアブレウは「ここから新しい歴史が始まる」と皆を説得したという。名状しがたい魅力と求心力があったのであろう。次のリハーサルには 25人、その次には 46人と増加、この活動はたちまち軌道に乗っているし、石油による好景気の波を受けて政府からの援助も受けるようになり、この活動はまもなくベネズエラの文化行政、いや社会施策としての成果を挙げ始めたのである。

(中略)

一見、底辺の底上げといった感もないではないが、この底辺が充実してくることで、その豊かな土壌からドゥダメルのような指揮者が育ち、また17歳でベルリン・フィルにコントラバス奏者として入団したエディクソン・ルイスといった逸材が生まれてきたのであり、ある意味でベネズエラの奇跡には必然性があったのである。

(中略)

こうした土壌のもとに生まれた最高の実りがドゥダメルであり、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラということになる。

Gustavo Dudamel THE BEST!!!!

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チョン・ミュンフン

By , 2008年9月7日 10:56 PM

昨日、コンサートに招待されて行ってきました。

FILARMONICA DELLA SCALLA
MYUNG-WHUN CHUNG JAPAN 2008

2008年9月6日(土) サントリーホール

ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」より第3幕への間奏曲
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36

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ガストン・プーレとドビュッシー

By , 2008年8月6日 9:38 PM

ヴァイオリンの名教師として、古くはレオポルド・アウアージョルジュ・エネスコイヴァン・ガラミアン、その後ヘルマン・クレッバースドロシー・ディレイザハール・ブロン・・・など。それぞれ一流の演奏家を多く育て、名声を得ました。

String誌の 2008年 8月号に、ジェラール・プーレ氏のインタビューがされていました。プーレ氏は、これまで何度か紹介してきた佐藤俊介氏の師匠です。やはりヴァイオリンの名教師として知られています。フランチェスカッティメニューインミルシタインシェリングらの薫陶を受けています。

そのプーレ氏、実は父のガストン・プーレがドビュッシーと親交があったようなのです。

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お気に入りの主題

By , 2008年7月31日 7:38 AM

これまで、バッハ、モーツァルトの全集を聴いてきて、「使い回し」のように、同じ旋律を他の曲に使用することが如何に多いか感じていました。旋律そのものより、旋律をどう扱うのかに重点を置いていたからでしょうか。

バッハの場合は、毎週日曜日のミサまでに曲を完成させないといけませんでしたから、やむをえずといった事情があったのではないでしょうか?それだけではないでしょうが。

モーツァルトの場合は、主題の扱い方を変えることを楽しんでいたように思えます。変奏曲の得意なモーツァルトらしく、主題を色々なシチュエーションでいじくり回すことに興味を覚えたのではないでしょうか?

今、ベートーヴェンの全集を聴いています。そこに「プロメテウスの創造物」の主題を用いたピアノ曲がありました。曲名は長いのですが、「<プロメテウスの創造物>の主題による15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 op.35 <エロイカ変奏曲>」といいます。

この主題、ベートーヴェンが気に入って、何回も使い回したものです。CDの解説書から一部引用します。

CD解説書より

この曲の主題は最初オーケストラのための<12のコントルダンス>WoO 14第7番に用いられ、次いでバレエ音楽<プロメテウスの創造物>作品 43のフィナーレに転用され、その次にこの変奏曲、最後に交響曲第3番<英雄>のフィナーレへと何度も使われた。

この曲は作品 34の変奏曲と同時に書かれた姉妹作であるが、作品 34とは違った手法が見られる。テーマの前に序奏を置き、主題の低音の持つ可能性を示す手法はバロック時代のパッサカリアを思わせるもので、しかも 2声、3声、4声と進められたのちに「テーマ」が現れるという個性的な作り方。曲想も作品 34に比べて雄大華麗であり、ベートーヴェンの変ホ長調作品に共通した明るさ、力強さ、英雄的な音楽性を感じさせるものである。

最後に、YouTubeから、「<プロメテウスの創造物>の主題による 15の変奏曲とフーガ 変ホ長調 op.35 <エロイカ変奏曲>」を紹介しておきます。交響曲第 3番「エロイカ」と聴き比べて、ご堪能ください。 まぁ、ベートーヴェンは他にも、交響曲第 9番の最終楽章の主題に、弦楽四重奏曲第 15番の最終楽章の主題を当初流用していたりと、いろいろあるようですが。

Glenn Gould – Beethoven 15 Variations and Fugue Op 35 (1/3)

Glenn Gould – Beethoven 15 Variations and Fugue Op 35 (2/3)

Glenn Gould – Beethoven 15 Variations and Fugue Op 35 (3/3)

Beethoven – Symphony No.3 E-flat major, Op.55 “Eroica” / Jordi Savall

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軽井沢

By , 2008年7月27日 8:00 PM

昨日は、昼くらいにピアニストとの合わせがありました。発表会本番まで後 1週間です。いくつか課題を指摘されたので、修正が必要です。これまでは、一人で練習してきたのですが、ピアニストが入ると全然雰囲気が変わりますね。

そのまま、毎年恒例の OB合宿に直行。軽井沢まで行ってきました。いつも OBの方が子供を連れてくるのですが、年々成長する様子が窺えます。

最寄りの御代田駅までコテージの管理人が迎えにきてくれました。管理人は、原油の高騰を嘆いており、出来るだけ車には乗らないようにしていることをユーモアたっぷりにおっしゃっていました。「ガソリンが燃やせないから、自分の脂燃やすことにしたんだけど、こっちは使っても使っても減らないのよね」

コテージでは恒例のバーベキュー。雷が鳴っていたのですが、屋根があるので大丈夫です。今年は、他の客がいなかったので、時間も延長して貰えて、さんざん飲みました。それから、部屋に移動して、飲み直し。まず「葡萄交響曲 作品201」を飲みました。これはクラシック音楽を聴かせて作ったワインらしいのですが、おいしかったです。何の曲を聴かせたのかが気になるところです。ワインの次は、先輩が持ってきた焼酎「中々」を飲みました。

色々語り合ったのですが、この御時世なので、やっぱり医療崩壊関係の話題が多かったです。科や環境が違う医師が集まって話をしているので、新鮮でした。

「T大学の小児科外来で親が 2時間クレームをつけた事件があり、それ以来警察 OBが立ち会いで救急医療をしている」
「東京の某大学は、内科全科合わせてで研修医が 10人しか集まらなかった」
「会津地方の医師不足は深刻。福島県と新潟県の県境にある人口 7000人の町は、元々医者が二人しかいなくて、一人は引退。残った一人が病気になって無医地区となってしまった。」
「区の政策で、小児の医療費をタダにしたら、『タダなんだから時間外の方がすいていて良い』と、夜間に患者が殺到しているのが現状(時間外料金も助成されるため)。で、小児科医が足りないから内科の開業医が呼び出されて、小児科当直をやっている。」
「白内障手術の眼内レンズで、遠近両用というのがある。遠視用と近視用のレンズがそれぞれ円を描くように配置されている構造。ただ、保険が効かないので 70万円くらいが相場。東京だと結構需要がある。」
「N響では女性は出産しないのが、何となく不文律になっており、先輩の奥さんが出産したのが 20年以上ぶり。でも、何とか配慮して貰ってやっている。その後、3人くらい結婚して、出産を考えている後輩も増えてきた。」

みんなが眠った後、飲み足りなかったので、外に出て友人に電話しながら、一人で飲んでいたら、潰れて、そのまま外で寝てしまいました。途中で目が覚めて、部屋の中に戻りましたが、翌日地面に携帯電話とビールが落ちているのを管理人が見つけ、回収してくださいました。ちょっと不審がられてしまいましたね。

今朝は、二日酔いながら、楽器を演奏して遊びました。子供たちから、「ポニョを弾いて」と言われて即興で弾いたり、Bachの二声のためのインベンションを編曲したものを弾いたりしていました。久々の合奏は楽しかったですね。

昼は、NOROというレストランに寄って帰りました。なかなか雰囲気の良いレストランでしたよ。

来年は、奥さんを連れてくるように先輩から言われたのですが、結婚に関しては、今のところ、予兆すらありません。

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ザハール・ブロンのレッスン2

By , 2008年4月27日 12:00 AM

4月5日に紹介したザハール・ブロンのレッスン。同じシリーズで「ザハール・ブロンのレッスン ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (AMA VERLAG GmbH 企画制作、ヤマハミュージックメディア販売)」を見ました。私も良く弾いたり聴いたりする曲ですので、興味深く見ました。扱われているのは、モーツァルト ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ホ短調 KV 304です。

最初に行われた生徒の演奏は、音が綺麗ですし、特におかしなことはやっていないと思ったのですが、少しせわしなさを感じました。

実際にレッスンに入ると、ブロン氏によって、如何にモーツァルトが難しいかが語られました。シンプルであることの難しさです。

生徒の演奏はフレージングが未熟であり、ブロン氏によって「メロディーの切断である」と批評され逐一直されていきます。弓の使い方がメロディーの演奏に大きな意味を持っていますが、ヴィブラートもしつこく注意されていました。ヴィブラートは TPOが大切です。

私が感じた「せわしなさ」については、「直線的に進んでいます」「君は急ぎすぎているんです」という言葉で注意されていました。

2楽章では、ギャラント様式という言葉が多用されます。ギャラント様式というのは、Wikipediaによると「多くの点でバロック様式のけばけばしさへの反撥であり、バロック音楽にくらべると、より素朴で、ごてごてと飾り立てておらず、流麗な主旋律の重視に伴い、モノフォニックなテクスチュアと、楽節構造の軽減や和声法の抑制 (トニカとドミナントの殊更な強調)、バス声部 (通奏低音)の軽視といった特徴がある」というものです。言われてみると、モーツァルトのソナタはその通りですね。ブロン氏によると、この曲はギャラント様式の中に豊かな感情や心情が入り、最後に哀しみが表現されるという解釈です。

その他に面白かったのが、音の「中膨らみ」が注意されているシーンです。音の「中膨らみ」が、ゴールドベルクによるストリング誌での誌上レッスンでしばしば注意されていたのを思い出しました。弦楽器奏者が陥りやすい音楽的な過ちの一つです。今回は、「中膨らみ」が一つの音についてでなく、一つのフレーズについて指摘されていたのが新鮮でした。

このレッスンに刺激を受け、私のモーツァルトの演奏も少し変わるかも知れません。

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