妹が、第 77回日本音楽コンクールの DVDを録画して送ってくれました。
私が勝手につけた順位も審査員と同じでした。少なくとも、本番の演奏を聴く限り、第 3位以下と、第 1-2位でかなり開きがあるように感じました。第 3-4位の方は、音程が不安定でしたが、非常に緊張していたこともあるのでしょう。実力が発揮できていないように見えたのが残念です。
第 2位は、先日お伝えした石上真由子さんの演奏。本人は楽しんで弾いていたのではないでしょうか。聴いていて面白く、聴衆賞を受賞したのもわかります。でも若いせいか、時折洗練されていない音がありました。まだ最年少だったらしいですし、あと数年すれば面白いでしょう。
優勝した瀧村依里さんは、納得いく演奏です。技術的に安定感があり、音楽的にも自然です。ただ、期待を裏切らない変わりに、妙に安定してしまっていて、もう少し演奏に遊びがあると良いように感じました。コンクールということもあったのでしょうか。
入賞者達のこれからの活躍を楽しみにしています。
今年一番腹が立ったニュース。
2月4日12時17分配信 読売新聞
「室内楽の殿堂」として音楽ファンに親しまれた日本大学カザルスホール(東京・御茶ノ水)が、同大キャンパス再開発のため、2010年3月末で閉館することが4日、明らかになった。同大では現在の建物を取り壊す方針とみられる。
同ホールは、主婦の友社が日本初の室内楽専用ホールとして、名チェリストのパブロ・カザルスの名前を冠して1987年に開館。設計は建築家の磯崎新氏で、97年にはドイツ製パイプオルガンも設置された。
2002年、同社の経営難から日大に売却され、一時閉館したが再オープンし、学内行事のほか貸しホールとしてコンサートに使われていた。
同大では「パイプオルガンをどうするかなどは未定」としている。
カザルスホールを取り壊すとは何ごとでしょうか。
日本大学は芸術学部を有しているのですが、かくも芸術を軽く扱うのでしょうか。
私が今のヴァイオリンの師につくことを決めたのも、カザルスホールでの演奏に感動したからです。そして、ヴァイオリンを通じて、自分が最も不安定な時期を乗り越えることが出来たのです。
私にとっては、数々の名演奏家が演奏してきた聖地です。そこで弾いてはみたいけれど、私如きが演奏することが先人達への冒涜になる気もします。でも、ホールがなくなるのなら、そこで演奏してみたいです。日本大学カザルスホールの公式サイト を見ると、50万円くらいで借りられそうです。本当にするかはわかりませんけど。何か、感情の整理がついてません。
以前、シューマンの手<1> と題し、Henson氏らによる後骨間神経麻痺説を元に、長々とシューマンの手の障害の検討をしました。
実は、その後、1991年の Annals of Hand and Upper Limb Surgery という雑誌にシューマンの右手についての論文が掲載されました。Henson氏らの論文とは別の視点から検討しています。
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モーツァルトは、ヴァイオリンとヴィオラのデュオも残しています。しかし、これにはいささか裏事情もあり、ミヒャエル・ハイドンの作曲が間に合わなかったため代筆したのが、2曲の「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 」だとされています。ミヒャエル・ハイドンは、<音楽の父>ことヨーゼフ・ハイドンの弟です。
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前回ピアノの調律をしてから1年ばかり経ちました。調律師の方から電話があり、2月11日にまた調律をお願いすることにしました。
考えてみたら、前回調律してから、1回しか弾いていない・・・。あと、ピアニストの方と合わせたのが 1回・・・。もったいないですね。もうちょっとピアノに活躍の場を与えてあげなかればいけません。
いつもピアノの調律でお世話になっているのは、タナカピアノサービスです。調律の際に色々質問すると、的確な御返事が頂けます。質問する前に練習しろっていう話がありますが(^^;
タナカピアノサービス
クラシック音楽の世界で、親子で活躍しているのは少ないと思います。時々みかけても、世界的な演奏家というのはなかなかいません。歴史的には、ヨハン・セバスチャン・バッハとその子供達なんていうのもいますが、稀なケースです。
ヴァイオリンの世界では、ダヴィッド・オイストラフ 、イーゴリ・オイストラフ 親子や、レオニード・コーガン 、パヴェル・コーガン親子が代表格と思います。二組とも何故かロシアの演奏家です。ダヴィッド・オイストラフとレオニード・コーガンは良く比較され、ライバルのような扱いです。ちなみに私はコーガン派で、彼の直筆のサインを持っています。
コーガン親子を・・・と言いたいところですが、今回取り上げるのは、オイストラフ親子です。
最近、オイストラフ親子の録音した「協奏交響曲 (モーツァルト)」を聴きました。ベルリンフィルハーモニーとの演奏です。個人的には、この曲の哀愁漂う2楽章の旋律にいつも涙します。この曲には名演が多く、ハイフェッツ/プリムローズの演奏は甘い哀愁がありますし、カントロフ/メンデルスゾーンの演奏はヴィオラの響きが素晴らしいです。グッリ/ジュランナの演奏も微妙な陰影の付け方が見事です。
オイストラフ親子の録音ではダヴィッド・オイストラフが指揮とヴィオラを受け持ち、イーゴリ・オイストラフがヴァイオリンを演奏しています。さすが親子で息がぴったり合っています。二人とも音が綺麗で、のびのびした演奏です。でも、個人的には、もう少し切ない演奏の方が好みなのです。
私がこの親子の演奏で他に凄く好きなのは、バッハのドッペルコンチェルト です。この2楽章の絶妙の謳い回しは比類ないものです。この曲の名演は他にもたくさんありますが、この録音を上回る演奏にはなかなか出会えません。手に入りにくくなってしまったのが、残念でなりません。
彼らのように家族で室内楽を楽しめるのは、うらやましい限りです。でも、ダヴィッド・オイストラフが目の前で弾いていたら、イーゴリ・オイストラフも相当緊張するでしょうね。
(追記)
オイストラフ親子は、他に「David & Igor Oistrach」というCDを出しているのですが、曲がちょっとマイナーかも。ヴィヴァルディの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」やバッハの「トリオソナタ」はまだしも、ヘンデルやベンダの「トリオソナタ」はあまり聴きませんね。ほかにはヴィエニアフスキーの「エチュード・カプリス」やサラサーテの「スペイン舞曲<ナバラ>」が収録されています。興味がある方は是非。
以前、F. A. E. のソナタ を紹介しました。
第 3楽章はブラームスが作曲したもので、Youtubeでも動画がたくさんあるのですが、他の楽章がないものかと思っていたら、2楽章の動画をみつけました。
Continue reading '続・F. A. E.'»
「神童 」という映画のDVDを観ました。
あらすじは、天才音楽少女と、落ちこぼれ音大受験生の話。
全体を通してちょっと消化不良でした。
内面の描写が今ひとつだったように思います。例えば、もう少し、主人公に陰があっても良かったと思うし、葛藤を表現しても良かったような気がします。これまで見た「シャイン」「4分間のピアニスト」「シャコンヌ」「不滅の恋」「ピアニスト」「戦場のピアニスト」など、音楽をテーマにした映画の多くではそうした点がきちんと描かれていますしね。
それと、モーツァルトの協奏曲では、オケ団員の演奏の仕方が視覚的にわざとらしい感じがしました。オケ団員は演奏経験者ないしプロの演奏家を使用している点で好感が持てましたが、映画ということを意識しすぎていたように思います。音楽で表現出来ていれば良いと思うのですが。
演奏は悪くないので、その点は楽しめると思います。
昨日は、一人でDVDを見ながら、ワインを飲んでいました。DVDは、バッハの「クリスマスオラトリオ」で、クラクフ・バッハ・アカデミー ’90管弦楽団、クラクフ・バッハ・アカデミー ’90合唱団ゲヒンゲン聖歌隊、ヘルムート・リリング指揮による演奏でした。録音場所はクラクフの聖母マリア聖堂。クラクフには先日行ったばかりで懐かしく思いました。
クリスマス・オラトリオ は、典型的なバッハの宗教音楽です。私は、バッハのこの手の曲が全部同じに聞こえてしまうので、「マタイ受難曲」の一節だよと言われたら、全然わかりません。スタイル、作り方が同じなので当然かも知れませんけれども。しかし、アリア「わが心よ、この聖なる奇蹟を」には心を動かされました。
・Schließe, mein Herze, dies selige Wunder(わが心よ、この聖なる奇蹟を)
その後、ギドン・クレーメルがバッハの無伴奏パルティータを演奏するDVDを見ました。かなりアクが強くて好みが分かれる演奏です。最初に聴くのにはお勧めしませんが、色々な演奏家の録音を聴いた後だと新鮮味があるかもしれません。「教科書的」演奏は対極にあって、他人の真似ごとではなく、純粋に楽譜から彼が感じたまま演奏されたんだなと感じさせます。
ところで、このクリスマスというイベント。エクストリーム・クリスマス なんていう競技もあるのを初めて知りました(^^;
「脳と音楽(岩田誠著、メディカルレビュー社)」という本に、ウィルヘルム・ヒスが書いた「バッハの墓所の発掘調査」という報告書の日本語訳が収載されています。その報告書には、バッハの頭蓋骨の詳細などが書かれています。著者のウィルヘルム・ヒスは、心臓のヒス束を見つけた医師の父親で、親子で同じ名前なので、ウィルヘルム・ヒス(父)と記載されることが多いようです。
さて、少し古い記事なのですが、産経新聞にバッハの顔復元との記事がありました。最近復元されたバッハの顔は・・・。
2008.2.29 09:19
ドイツの音楽家ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)の「本当の顔」を最新の法医学技術を利用して再現する作業が終了し、3月21日からドイツ・アイゼナハの博物館「バッハの家」で樹脂像が公開されることになった。博物館関係者が28日までに明らかにした。
遺骨をもとにした初の胸像が1894年に作られた後、この胸像をもとに1908年にライプチヒのトーマス教会前に全身像が完成、これがバッハの姿だと思われてきた。しかし、同博物館はこれらの像の顔が以前からあった肖像画に大きく影響されたとみて、所蔵するバッハの頭蓋(ずがい)骨の複製から科学的に頭部を再現することにした。
エジプトのラムセス2世の顔を復元したことで知られる英ダンディー大学の学者らが犯罪捜査に使われる法医学の手法を駆使して完成させた。だが、「本物」の顔も肖像画や像と似ているようにも見える。
3月21日はバッハの誕生日で、今年は全身像完成から100年となる。(共同)
元記事に当たって頂ければ、写真が見られますが、お世辞にもイケメンとは・・・。