安心させるな?
読んで ムカつく噛みつき評論に、視聴者を安心させないでというエントリーがありました。
視聴者を安心させないで
「(医師は)健康番組の打ち合わせで、テレビ局側に最初に念を押されたという。
『視聴者を安心させないでください』
不安を覚えた視聴者はチャンネルを切り替えずに番組を注視し、続編を出せば飛びついて見てくれる」
健康番組の翌日は、不安を感じた一般人の受診が多く、外来担当医に負担となることがあります。いつもに比べて「○○が不安」という受診が多いのです。不安症の方の受診ばかりで、実際にその病気の方が受診するのを見たことがありません。症状がないのに、「新型インフルエンザが不安だから検査してくれ」なんてのも似てますね。
もし、上記に書かれた打ち合わせの風景が本当だとすれば、ただ不安をあおるのではなく、きちんと事実を伝えて欲しいものだなと思います。
twice
11月15日に季節性?というエントリーを書きました。A型インフルエンザに罹患後、1ヶ月後に再度インフルエンザA型が陽性になった患者を診察したときの話です。その時は、新型と季節性、各1回ずつ罹患したのかなと思ったのですが、どうやら新型インフルエンザに 2度罹患することがあるらしいという話が出てきています。
感染でも発症しない例確認=新型インフル、2度発症も-大阪府立公衆衛生研調査
大阪府内で5月、新型インフルエンザの集団感染が確認された関西大倉中学・高校の生徒を対象にした血清疫学検査で、府立公衆衛生研究所は11日、ウイルスに感染しながら症状が出ていない「不顕性感染者」が確認されたと発表した。
検査は8月下旬、生徒550人、教職員95人、生徒の家族2人の計647人を対象に実施。ウイルスに感染もしくは疑いが強い、高濃度(抗体価160倍以上)の抗体量を示した98人のうち18人(18.4%)に発熱、せきなどの症状がなかった。
また検査後に発症した108人のうち、高濃度の抗体を持つ人は3人おり、発症が1度にとどまらない可能性もあることが判明した。
同研究所は「(年齢層に偏りがあるため)必ずしも一般化できない」としながらも、「季節性インフルエンザと似ている」との見解を示している。(2009/12/11-22:35)
Idatenという感染症専門メーリングリストでも同様の報告がされており、今後の動向が注目されます。
新型インフルエンザに同年に再感染することがあるのなら、ワクチンを接種したにも関わらず感染することがあるのも納得出来ます。まぁ、2回新型インフルエンザに感染すれば、よっぽど強い免疫の「記憶」が出来そうですけどね。
迷惑メールは誰が出す?
「迷惑メールは誰が出す? (岡嶋裕史著、新潮新書)」を読み終えました。
迷惑メールを出す人間は、それによって得する人間に決まっているのですが、結構クリック率、購入率が思ったより良いことに驚きました。これなら送ろうとする人間の気持ちもわかる気がします。
「迷惑メールのリンクをクリックしたことがありますか」 39%がイエス
「迷惑メールをきっかけにして、ものを買ったことがありますか」 11%がイエス
「迷惑メールで詐欺などにかかったことがありますか」 9%がイエス
本書で面白かったのは、迷惑メールを誰が出しているかというより、迷惑メールがどのようにして送られてくるか、詐欺の手口、どのように対処すれば良いかなどについてわかりやすく書かれていたことです。また、迷惑メールの歴史も興味深く読めました。
読むのが遅い方でも、3時間くらいで読める薄い本ですので、興味があると読んでみると良いかもしれません。
医者やめたい病
研修医の頃に「医者やめたい病」に罹患してしまったようで、「早く引退したいなぁ・・・。音大とか他の学部にも通ってみたいなぁ・・・。こんな雑用だらけの毎日から解放されたいなぁ・・・」と思いつつ働いていました。働かないで食べられる程金も貯まらないし、医者という職業の中に楽しいこと(学問的な興味、気の合う患者さんとのコミュニケーションなど)がいくつか見つかり、まだ辞めずにいます。この病気は慢性疾患のようで、治癒した訳ではありません。でも、なんとなく実際に私が医者を辞めるシチュエーションは訪れなさそうな気がします。
こんなこと考えるの私だけだと思ったら、同じ病気の患者が非常にたくさんいるのですね。聞けば親友の医師もそうだし、知り合いの医師で「医者やめて小説家になる」宣言をされている方もいます。
実は有病率が高い病気なのではないかと思っていたら、まっしー池田先生のサイトにこの病気のことが扱われていました。
医者を辞めずに済む方法 医者やめたい病のあなたのための認知行動療法
このサイトの「私の病歴・経過のスライド」というファイルみると、約 60%の勤務医がこの病気に罹患していることがわかります。凄い有病率です。なんだ、みんなそんなこと考えながら仕事してたんだ・・・と。
ハリソンにも書いていない病気ですが、ハリソンに載っている病気と同じくらい、医師たちは知っていないといけない病気だと思います。まっしー池田先生の上記のサイトは治療法も書いてあって面白いので、是非見てみてください。
コンピューター将棋
私の小学生の頃は、内藤九段 将棋秘伝というソフトがあり、子供心に「コンピューターって弱いなぁ・・・」と思っていたものですが、現在では「東大将棋」「激指」といった将棋ソフトに手も足も出ず、2~4級くらいの設定にして遊んでいます。今後コンピューターと私の力関係が逆転することはまずありません。
新型インフルエンザ年齢別死亡率
小名浜生協病院の館山政美先生のサイトで、インフルエンザ年齢別感染率、死亡率が掲載されています。わかりやすくまとめられているので、是非ご覧ください。
Dr. Tateyama Penguin Homepage -年齢別感染率 死亡率-
実際にデータを見ると、老人はかかりにくいけど、比較的重症化しやすいことがわかります。インフルエンザに感染して死亡した場合、すべてインフルエンザが死亡原因とは断定できませんが、80歳以上で感染した場合 10000人中 3.6人が亡くなるというデータは、急変リスクを考える上で一つの目安になります。
仕分け
科学技術に関する予算の削減については各所から批判が出ています。資源のない日本にとっての生命線ですし、方針を改めて欲しいものです。熾烈な戦いの中で世界の最先端を走る日本の科学技術を国をあげて支える必要があります。