Category: 音楽

Norbert Hilger

By , 2009年2月28日 12:25 PM

Norbert Hilger が演奏する「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(バッハ)」のCDを聴きました。なんと、この録音はチェロで演奏されています。

最初にソナタ第1番の第1楽章アダージョが流れたときは、「ちょっとイマイチだなぁー」と感じました。この曲は Wikipediaで自筆譜を見ることも出来ますが、縦線としての和音と、それを紡ぐ早いパッセージから出来上がっています。これは建築に例えると、「橋脚」と「吊り橋のケーブル」のように見え、そのように演奏されることが多いです。すなわち和音を重く弾いて、間のパッセージを軽く弾くのです。そうすると曲が立体的になります。しかし、チェロだとヴァイオリンより発音に時間がかかるため、間のパッセージがモコモコしてしまって少し聴きにくくなっていました。スタッカートならもう少しクリアに出来たのでしょうが、楽譜にスラーの指示があるため、楽器の制約を受けてしまいましたね。

でも、以後の曲を聴き進めていくうちに、魅力にはまりました。音域が低い分、より落ち着いた雰囲気が出せていたのですね。一方で、ソナタ第1番のアダージョを除けば、早いパッセージが連続する曲でもクリアに演奏されていました。随所に工夫の跡があり、ソナタ第 2番の第 3楽章はピチカートで演奏されていて、新鮮でした。

一度、聴いてみて損がないと思います。

その他、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータのCDについては、下記のサイトが凄いです。

バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

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ラフマニノフと慢性疼痛

By , 2009年2月15日 3:58 PM

今回紹介する論文は、慢性疼痛を持ったピアニスト二人についてです。その偉大なピアニストとは、「Clara Wieck Schumann (1819-1896)」と「Sergei Vassilievich Rachmaninov (1873-1943)」です。Clara Schumann は Robert Schumann の妻としても知られています。Sergei Rachmaninov は、有名なロシアの作曲家でありピアニストです。彼のピアノ協奏曲を扱った「Shine」という映画を覚えている人も多いと思います。

論文「Hingtgen CM. The painful perils of pianists: The chronic pain of Clara Schumann and Sergei Rachmaninov. Semin Neurol 19: 29-34, 1999」には、この二人の慢性疼痛について詳細に記載されています。

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By , 2009年2月7日 2:32 PM

ヴァイオリンを使ってやる芸がいろいろあり、例えば救急車のサイレン音を Doppler効果付きで表現したり、弓を股間に挟んでヴァイオリンをこすりつけて演奏したり、ドアが開く「ギー」という音を出したり、私もいくつか持っています。

楽器を使った芸を Youtubeから紹介です。

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第77回日本音楽コンクール

By , 2009年2月5日 6:58 AM

妹が、第 77回日本音楽コンクールの DVDを録画して送ってくれました。

私が勝手につけた順位も審査員と同じでした。少なくとも、本番の演奏を聴く限り、第 3位以下と、第 1-2位でかなり開きがあるように感じました。第 3-4位の方は、音程が不安定でしたが、非常に緊張していたこともあるのでしょう。実力が発揮できていないように見えたのが残念です。

第 2位は、先日お伝えした石上真由子さんの演奏。本人は楽しんで弾いていたのではないでしょうか。聴いていて面白く、聴衆賞を受賞したのもわかります。でも若いせいか、時折洗練されていない音がありました。まだ最年少だったらしいですし、あと数年すれば面白いでしょう。

優勝した瀧村依里さんは、納得いく演奏です。技術的に安定感があり、音楽的にも自然です。ただ、期待を裏切らない変わりに、妙に安定してしまっていて、もう少し演奏に遊びがあると良いように感じました。コンクールということもあったのでしょうか。

入賞者達のこれからの活躍を楽しみにしています。

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カザルスホール

By , 2009年2月4日 7:58 PM

今年一番腹が立ったニュース。

 「室内楽の殿堂」カザルスホール、10年3月に閉館へ

2月4日12時17分配信 読売新聞

「室内楽の殿堂」として音楽ファンに親しまれた日本大学カザルスホール(東京・御茶ノ水)が、同大キャンパス再開発のため、2010年3月末で閉館することが4日、明らかになった。同大では現在の建物を取り壊す方針とみられる。

同ホールは、主婦の友社が日本初の室内楽専用ホールとして、名チェリストのパブロ・カザルスの名前を冠して1987年に開館。設計は建築家の磯崎新氏で、97年にはドイツ製パイプオルガンも設置された。

2002年、同社の経営難から日大に売却され、一時閉館したが再オープンし、学内行事のほか貸しホールとしてコンサートに使われていた。

同大では「パイプオルガンをどうするかなどは未定」としている。

カザルスホールを取り壊すとは何ごとでしょうか。

日本大学は芸術学部を有しているのですが、かくも芸術を軽く扱うのでしょうか。

私が今のヴァイオリンの師につくことを決めたのも、カザルスホールでの演奏に感動したからです。そして、ヴァイオリンを通じて、自分が最も不安定な時期を乗り越えることが出来たのです。

私にとっては、数々の名演奏家が演奏してきた聖地です。そこで弾いてはみたいけれど、私如きが演奏することが先人達への冒涜になる気もします。でも、ホールがなくなるのなら、そこで演奏してみたいです。日本大学カザルスホールの公式サイトを見ると、50万円くらいで借りられそうです。本当にするかはわかりませんけど。何か、感情の整理がついてません。

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シューマンの手<2>

By , 2009年2月3日 12:51 AM

以前、シューマンの手<1>と題し、Henson氏らによる後骨間神経麻痺説を元に、長々とシューマンの手の障害の検討をしました。

実は、その後、1991年の Annals of Hand and Upper Limb Surgery という雑誌にシューマンの右手についての論文が掲載されました。Henson氏らの論文とは別の視点から検討しています。

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Mozart, Duo

By , 2009年2月1日 6:11 PM

モーツァルトは、ヴァイオリンとヴィオラのデュオも残しています。しかし、これにはいささか裏事情もあり、ミヒャエル・ハイドンの作曲が間に合わなかったため代筆したのが、2曲の「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲」だとされています。ミヒャエル・ハイドンは、<音楽の父>ことヨーゼフ・ハイドンの弟です。

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調律

By , 2009年1月30日 12:27 AM

前回ピアノの調律をしてから1年ばかり経ちました。調律師の方から電話があり、2月11日にまた調律をお願いすることにしました。

考えてみたら、前回調律してから、1回しか弾いていない・・・。あと、ピアニストの方と合わせたのが 1回・・・。もったいないですね。もうちょっとピアノに活躍の場を与えてあげなかればいけません。

いつもピアノの調律でお世話になっているのは、タナカピアノサービスです。調律の際に色々質問すると、的確な御返事が頂けます。質問する前に練習しろっていう話がありますが(^^;

タナカピアノサービス

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父子鷹

By , 2009年1月25日 4:08 PM

クラシック音楽の世界で、親子で活躍しているのは少ないと思います。時々みかけても、世界的な演奏家というのはなかなかいません。歴史的には、ヨハン・セバスチャン・バッハとその子供達なんていうのもいますが、稀なケースです。

ヴァイオリンの世界では、ダヴィッド・オイストラフイーゴリ・オイストラフ親子や、レオニード・コーガン、パヴェル・コーガン親子が代表格と思います。二組とも何故かロシアの演奏家です。ダヴィッド・オイストラフとレオニード・コーガンは良く比較され、ライバルのような扱いです。ちなみに私はコーガン派で、彼の直筆のサインを持っています。

コーガン親子を・・・と言いたいところですが、今回取り上げるのは、オイストラフ親子です。

最近、オイストラフ親子の録音した「協奏交響曲(モーツァルト)」を聴きました。ベルリンフィルハーモニーとの演奏です。個人的には、この曲の哀愁漂う2楽章の旋律にいつも涙します。この曲には名演が多く、ハイフェッツ/プリムローズの演奏は甘い哀愁がありますし、カントロフ/メンデルスゾーンの演奏はヴィオラの響きが素晴らしいです。グッリ/ジュランナの演奏も微妙な陰影の付け方が見事です。

オイストラフ親子の録音ではダヴィッド・オイストラフが指揮とヴィオラを受け持ち、イーゴリ・オイストラフがヴァイオリンを演奏しています。さすが親子で息がぴったり合っています。二人とも音が綺麗で、のびのびした演奏です。でも、個人的には、もう少し切ない演奏の方が好みなのです。

私がこの親子の演奏で他に凄く好きなのは、バッハのドッペルコンチェルトです。この2楽章の絶妙の謳い回しは比類ないものです。この曲の名演は他にもたくさんありますが、この録音を上回る演奏にはなかなか出会えません。手に入りにくくなってしまったのが、残念でなりません。

彼らのように家族で室内楽を楽しめるのは、うらやましい限りです。でも、ダヴィッド・オイストラフが目の前で弾いていたら、イーゴリ・オイストラフも相当緊張するでしょうね。

(追記)
オイストラフ親子は、他に「David & Igor Oistrach」というCDを出しているのですが、曲がちょっとマイナーかも。ヴィヴァルディの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」やバッハの「トリオソナタ」はまだしも、ヘンデルやベンダの「トリオソナタ」はあまり聴きませんね。ほかにはヴィエニアフスキーの「エチュード・カプリス」やサラサーテの「スペイン舞曲<ナバラ>」が収録されています。興味がある方は是非。

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続・F. A. E.

By , 2009年1月22日 6:18 AM

以前、F. A. E. のソナタを紹介しました。

第 3楽章はブラームスが作曲したもので、Youtubeでも動画がたくさんあるのですが、他の楽章がないものかと思っていたら、2楽章の動画をみつけました。

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